最強剣士異世界で無双する

夢見叶

文字の大きさ
75 / 162
セレモニア王国編 第3章王都奪還

第74話 最終戦 2

しおりを挟む
 俺は凄く落ち着いていた。さっきまでの怒りの感情も今は感じない。

 これを使うといつもこうなる。だからこそ強い。

「さっきまでと違うようだな」

 振り下ろされた剣をかわしたのを見て何か気づいたようだ。

「ああそうだ。ここからが本番だ」

 俺から仕掛ける。それを見ながらもまだ表情に余裕があるだが、気を遣い瞬間的に速度を上げて間合いを詰める。

「やるな」

 それを見ても笑顔が消えない。

 俺は奴の頭上から剣を振り下ろす。奴はそれを剣で受けようとしてくるが今度は違う。俺は足に集めていた気を全て腕に集めて力を上げる。そのまま剣を振り下ろしてレイクの剣をたたき折る。

「すげ~な。さっきまでとは別人みたいだぜ」

 先程までと違いレイクから余裕が消えた。ここからが本番になる。

 俺はもう一つの剣を異空間収納から取り出し構える。レイクは折れた剣を投げ捨てて、新しい剣を腰から抜き構える。お互い動かずにら見合っていた。

 その静寂がしばらく続いたが、先にこの静寂を破り動き出したのはレイクの方だ。奴は一瞬で間合いを詰めて切りかかってくる。だがそれを左手の剣で受け止める。

 レイクは俺に蹴りかかってくるがそれをかわした瞬間左手から剣を離してしまった。その瞬間に奴は俺とのきょろをとる。

「すげ~な、どうやったらそこまで変われるんだ」

「別に、ただ本気になっただけだよ」

 今俺はゾーンと呼ばれる状態になっている。元々人間は自信力の二十パーセントから三十パーセントくらいしか出していない。でもこのゾーンと呼ばれる状態はそのリミッターを解き放っている状態である。よくスポーツ選手とかでたまに起こる現象である。

 俺はこの状態に自分の意思であることが出来る。だがこの世界に来てからはなったことがなかった。それに心の中に怒りの感情が渦巻いていた。そのため少し自身はなかったが何とか成功してよかったと思っている。

「ならこちらも本気を出そう」

 その言葉と同士にレイクの姿が消えた。そして次の瞬間、俺の後ろから切りかかってきていたが、それを簡単にかわす。

「何故!!」

 レイクは少し驚いた顔をしていた。先程までよりも速度を上げて近づいたのに何故かわされたのか。

 この状態のとき身体能力だけじゃなく、感覚も強化される。そのため小さな周りの空気の変化もつかむことが出来る。そのため先程のレイクの攻撃をかわすことが出来た。

「ならこれでどうだ!!」

 また、一瞬で間合いを詰めてきて連続で切りかかってくる。その剣速はかなり早く目で追い切れない。だが剣を動かすことで周りの空気が揺れる。それにより攻撃を読み切ることができ全てをかわしきる。

「それがあなたの本気ですか? そうでしたとても残念です」

 何も答えない。いや、答えられないのだろ。人間にここまでこけにされているのだから。

「こちらもそろそろ攻めさせていただきましょうか」

 俺はその言葉と同士にレイクとの間合いを一瞬で詰めると右から切りかかっていく。奴はそれを剣で受け止めようとするが、その瞬間に正面にいた俺は消えた。

「ちっ!!」

 それをみてレイクは舌打ちをして意識を後ろへと向けようとするがそれよりも先に俺の剣が奴の脇腹絵と突き刺さった。

「ぐっは」

 奴はすぐに俺との距離を取った。

「っち!! 何をしやがった」

 脇腹を押さえながら聞いてくる。

「ただあなたの後ろに回り込んで切りかかっただけですよ。さすがに正面からだとまた防がれそうだったので」

 俺が答えると、

「そうか。面白い芸を持っているな」

 何とか余裕を見せつけようとしているが無理がある。

「もう諦めたどうだ。実力の差は明確だろ」

「そうだな。今のままでは勝てないな」

 あっさりと負けを認めた。

「だから、今日はこれでおいとまさせてもらうよ」

 その言葉と同時にやつの姿が消えた。

「霧化しやがったか」

 なんとか奴の気配を探れないかとやってみるが見つけることは出来なかった。

 とりあえずこれで終わったのかと思い急いでシェリーの元へと近づいた。

「シェリー、シェリー大丈夫か!!」

 シェリーを抱き上げながら声を掛ける。反応はないが何とか呼吸はしている。

「フルヒール」

 上位回復魔法であるフルヒールは、瀕死の状態からでも完璧に治すことが出来る。

 傷はこれで塞がったがまだ意識は戻らない。

「とりあえずここを離れないとな」

 俺は、お姫様だっこでシェリーを抱え上げると急いで城をでてエレナ様達のいる場所へと戻るのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...