最強剣士異世界で無双する

セレモニア王国編 第3章王都奪還

第76話 魔族幹部長

　ケンイチ達はセレモニア王国奪還の為に戦っていた頃、魔族領にある魔王城に一人の男が入っていった。

「ここに帰ってくるのも三年ぶりか」

　城を見てふと呟いてしまった。

「さすがにあそこからだと二ヶ月もかかっちまった。人間の姿をしているのも不便な物だ」

　城の扉を開けながら呟く。

「お帰りなさいませ魔族幹部長殿」

「お久しぶりでございます」

　中に入ると魔族達が挨拶をしてくる。

「ああ、久しいな。何か変わったことはあったか」

「はい、魔王様が千年ぶりに復活なさいました」

　その言葉を聞き、目から涙がこぼれた。

　千年前、勇者四人の手によって封印された我が王がやっとお目覚めになられた。そのことへのうれしさからかだろうか。

　なんとも言えない気持ちがあった。

「魔王様はどちらにおられる」

「はっぁ！　今のお時間ですと会議室で幹部副長とお話をされていると思われます」

「分かった」

　それだけ言って走り足で会議室に向かった。

　魔王様に会える。その気持ちが俺を会議室にへと焦らせた。

「ガチャ!！」

　会議室の扉を勢いよく空けた、

「魔王様、魔王様ただいま帰りました!！」

　大声で言っていた。

「おお、久しいな」

　その声は紛れもなくあのお方の声だった。千年前と何も変わらないしゃべり方に声色。その姿を見た瞬間に俺は膝から崩れ落ちてしまった。

「どうした？」

　俺の元へと近づいてくる魔王様は、俺に手を差し伸べてくれた。

「ありがとうございます」

　俺は手を取りながら俺をお礼を言うと、

「別によい。お主は俺の大切な子なのだから」

　俺達魔族は魔王様の手によって産まれた。だからこそ俺達は魔王様の事を親のように思っている。それと同じように魔王様も俺達のことを大切にしてくれる。

「ありがたきお言葉。早速なのですが、魔王様お伝えしたお話がございます」

「分かった。レシルクも一緒でよいか」

「大丈夫でございます」

　俺は、会議室のイスに座ると、

「長官どのお久しぶりにございます」

　レシルクが話しかけてきた。

「魔王様復活の時に立ち会えなくてすまなかったな」

「そんな事ございません。あなた様は人間の国で大事な任務だったのですから」

「そう言ってもらえると助かる」

「それではお前がこの三年間で見てきた事を聞かせてもらおうか」

「はい、ではまず」

　それから人間世界の話しを魔王様に聞かせた。今の人間の力、数を俺が知る限り全て。

「なるほど。話しを聞く限りでは人間は千年前よりも弱体化しているのか？」

「はい。あなた様に刃向かう者は殆どいないと思われます」

「殆どとな」

「はいごく数名ですがもしかしたらでございますが、あの勇者と同じ力を持つ者が一人。それと、全五属性魔法を使う者が一人おります」

　一瞬魔王様の顔色が変わったように感じた。

「勇者と同じ力か……お主から見てそれほど厄介なのか？」

「今はまだとしか。ただ今後の成長次第では脅威になるかも知れません」

「そうだな。今の所は頭の片隅にでも置いておくことにしよう。で、その者達の名はなんて言うのだ」

「勇者と同じ力を持つ者の名はケンイチ。五属性の魔法を使う者の名はミカと言います」

　名を聞いて頷くだけだった。

「帰ってきてもらった所悪いのだが一つ頼みたいことがある」

「何なりと」

「魔族領付近の国、マット王国とテロット王国を落としてきてくれ」

「かしこまりました」

「必要な物はこちらで用意する。何なりと言うがよい」

「ありがとうございます。ですがその程度の国私一人の手で落として見せましょう」

「それではその力を見せてもらおうかアレクシスよ」

「お任せ下さい」

　俺はすぐに行動に移った。

　城を出てからすぐにマット王国に向かうのだった。



「魔王様。長官の情報どう思いますか？」

　アレクシスが部屋か出て行った後、レシルクが魔王様に質問していた。

「あやつの情報に間違えはないだろ。昔もそうだったからな」

「ですが、千年も経った今あの勇者と同じ力を持つ者がいるとはどうしても思えないのです」

　レシルクはアレクシスの情報を少し疑っていた。あの勇者と同じ力を持つ者がこのタイミングでいるはずがないと思いたかったのだ。

「確かにお前の意見も一理あるが、今は信じてみよう。どうせすぐに分かるだろ。せれもにあ王国侵略の報告がそろそろ届く頃だろうしな」

「そうでございますね」

　それから三ヶ月程でマット王国とテロット王国は魔族の物となってしまった。