最強剣士異世界で無双する

魔族決戦編 第二章 魔王

第149話 魔族領侵入

　マット王国を出発してから一か月が経とうとしていた。

　魔族領に入ってからは一つの街も見えてこず、情報も手にはいらない状態である。

「いつになったら街が見えてくるのよ」

　当初の予定では魔族領にはいってから一週間で最初の街が見えてくるはずであった、だがしかし一か月経っても家一つ見えてこない。

　人間がこの魔族領へと入ったのは今から数百年前の出来事。そして今使っているのはその時に使われていた地図であった。地形が変わっていたりしてもおかしくはないことである。

「まっすぐ進んでいればいつかは街にぶつかるだろう」

「いつかっていつよ？」

「俺が知るか」

　一か月の馬車の移動と、いつ敵が襲ってくるかわからない緊張感すでにシェリーやヒョウカは限界に来ていた。

　





　一方その頃、

「魔王様、奴らの精神もそろそろ限界に近付いているかと思います。先に来ていた人間冒険者どもすでに此方でとらえております。奴らを捉えてしまえば人間側に抵抗する手段はないかと思います」

　水晶に移るケンイチ達の様子を伺いながら魔王に話しかけている魔族幹部副長レシルク。

「だが、ここまで魔族幹部三人がやられている聞くぞ」

「ですが、奴らは幹部の中でも最弱。やられてもしょうがないかと思います」

　魔王に副長はアレクシスがやられたことを知らないでいた。

「それもそうか。それに奴らは人間側の実力を図るために送った者達であったな」

「そうにございます。それに奴らが向かっている先にはムルクの街がございます。そしてそこには魔族幹部の序列四位から七位の者達がございます」

「確かにあ奴らがいれば問題ないか」

「はい、それに序列三位と私、それに魔族幹部にはなれなかったものの、魔族序列十一位から十四位の者の達もおります。アレクシスもすぐに戻るかと思います」

「そうだな。人間如きにやられるわけがないな」

　魔族の強さを信じ切っている副長。

　それに対して魔王は心の中では、ケンイチ達のことを危険だと思っていた。数百年前の戦い、魔王は魔族側の勝ちを確信していた。それにも関わらずたった四人の人間の冒険者パーティーに敗北してやられてしまったのである。そしてその時に対峙した冒険者と同じいやそれ以上の嫌な雰囲気を感じ取っていた。

「奴らに指示をだし、奴らを捉えよ」

「御意!」

　副官より指令が飛びムルクの街に滞在している、魔族幹部四位から七位のメンバーがケンイチ達を倒すために動き出すのであった。





　そんなことを知らない一行は

「ケンイチあれ見て、街よ」

　シェリーが馬車の窓から体を出して前方を指さしている。

「街だ!」

　ヒョウカからも大きな声が聞こえてきた。

「取り合えずあの町で暴れて情報を聞き出すぞ」

「暴れる必要あるの？」

　何故暴れるのかと不思議そうな顔をしているミカ。

「魔族が俺達人間に簡単に情報を教えてくれると思うか？」

「無理かな？」

「無理だな。だから適当な魔族を捕まえて魔王城の場所を聞き出すしかないだろうが」

「それもそうだね。やっぱりお兄ちゃん天才だね」

　ミカと俺の会話を見て少し引き気味なシェリー達。

　そして、魔族領初の街へと到着したのだった。