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第二章 竜人族の少女
第三十二話 召喚術使い魔族1
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召喚の精霊王イプロが俺に声を掛けてきた。
「どうした?」
「相手のモンスターより別の魔力を感じます」
「別の魔力?」
「はい、もしかすると彼らは誰かの手によって召喚されてここに現れているのではないでしょうか?」
その言葉にこのモンスターの数の異常さにも納得がいった。しかもこの数だ、相当の魔力を持つ者でないとこの数を召喚することは出来ない。そう考えると、この里に来る際にヒストリアとサーシャと話していた俺の想像もあながち間違いでないのかもしれないと思った。
俺は、探索の魔法で周囲の気配探る、五百メートル圏内には竜人族とヒストリア以外の気配はなし。それなら一キロ圏内へ距離を拡大。するとそこに一つの大きな気配を感じる。そこから現れる大量のモンスター。また数を増やしているのが分かる。
このまま行けばただの消耗戦でこちらが先に魔力切れを起こしてやられる。そうなる前にどうにかしないといけないと思った俺は、
「ヒストリアちょっと来てくれ」
後方で竜人族の護衛をしていたヒストリアを呼ぶ。
「何かな? お兄ちゃん」
「モンスターとの戦闘任せてもいいか?」
まだ戦闘に慣れていないヒストリア一人に任せるのは少し迷ったが、前方にいるやつを放っておくことも出来ない。
「いいよ!」
力強い一言。
「本当にいいのか?」
「うん、だって私を信頼してくれてるから任せたんだよね」
そこで俺の中にあった迷いは消えた。ヒストリアになら任せても大丈夫だと。
ただそれでもまだ戦いを覚えてから二日、少しの不安もある。だから、
「俺からのプレゼントだ!」
俺は子精霊をヒストリアへと付与した。
ガイルたちのパーティーにいた頃、彼ら全員に子精霊を付与していた。当然気づかれないようにしてだ。
この子精霊は付与した者の基礎能力を上げてくれる。その上で魔法の威力、魔法やスキルの発動に必要な魔力を減らしてくれたりなど様々なサポートを受けることが出来る。その効力は絶大でガイルたちはかなりの強さになっていた。
「お兄ちゃんこれは精霊ですか?」
そういえばヒストリアは精霊を見ることが出来たんだった。
「そうだよ」
「凄いよお兄ちゃん! なんか力が湧いてくる」
無茶苦茶うれしそうなヒストリア。
「俺は行ってくる。ここは任せたぞ」
「分かった」
俺はテレポートを使い召喚魔法を使う魔族の元へ移動した。
「何者だ!」
俺が目の前に現れたことでびっくりする魔族。
少し長耳を持ち、不健康そうな肌の色、文献にあった魔族そのものであった。ヒストリアの両親に偽っていたあの二人の顔を見る事が出来なかったために、本物の魔族を見るのはこれが初めてということになる。
「俺はただの人間だよ」
魔族の近くにある魔法陣。召喚魔法を使う時に現れる物であった。しかもそれを複数展開してそこからモンスターが現れる。今もモンスター出てきていた。
「たかが人間がこんなところに何しに来たんだ」
「おまえを倒しに来たんだよ」
「笑わせる、人間如きが俺たち魔族に勝てるはずがないだろう」
「そうか」
俺は、一瞬で展開されている召喚魔法の魔法陣を消滅させて見せた。
「今何しやがった!」
「ただ魔力をぶつけて魔法陣を壊しただけだ」
「簡単に言うな、そんな高等技術そうそう使える者はいない。しかも人間になど不可能に決まっている!」
確かに魔力その物を扱う技術はかなり高度の物で、出来る者はほとんどいない。だが人間にできないと言うのはこいつら魔族の偏見に過ぎない。
「何だっていうんだ! 一週間前に作戦は失敗するは、盗賊は全滅させられるは、一体どうなっているんだ」
「一週間前の作戦はよくわからんが、盗賊なら俺が全滅させたぞ」
「何を言ってやがる、奴らの中には人間の中でもかなり腕の立つやつがいたんだ。勝てるわけがないだろう。それに竜人族は全員俺が張った結界で何もできなかったはずだ」
「別にあれぐらいの奴ならなんてことないさ。それとおまえの言う一週間前の作戦と言うのは王都でのことか?」
魔族が一週間前の作戦と言った時からある出来事が頭の中に浮かんでいた。一週間前のヒストリアのこと。もしこのことだとしたらと思ったのだ。
「何故そのことを知っている」
「知っているさ、王都爆破を食い止めたのは俺だからな」
魔族が関わっていることを知ったのは偶然だったが。
だが、何故ここまでの魔族が関わっている事件が起こるんだか。
「たかが人間のぶんざいでどれだけ俺たちの邪魔をすれば気が済むんだ」
気が済むんだと言われても、偶然魔族がかかわっていただけなのだが。
「まあ、偶然でもおまえたちの計画を潰せてきたのはよかったよ。それじゃ今回の竜人族の村を襲ったのも食い止めさせてもらおうか」
「生意気を言いやがる。おまえは俺の全力を持って倒してやる。これ以上俺たちの計画の邪魔をさせないためにな」
「やってみろ! 返り討ちにしてやる」
俺と魔族との戦闘が開始するのだが、俺はどうしても集中できないでこの戦闘に挑むことになるのだった。
「どうした?」
「相手のモンスターより別の魔力を感じます」
「別の魔力?」
「はい、もしかすると彼らは誰かの手によって召喚されてここに現れているのではないでしょうか?」
その言葉にこのモンスターの数の異常さにも納得がいった。しかもこの数だ、相当の魔力を持つ者でないとこの数を召喚することは出来ない。そう考えると、この里に来る際にヒストリアとサーシャと話していた俺の想像もあながち間違いでないのかもしれないと思った。
俺は、探索の魔法で周囲の気配探る、五百メートル圏内には竜人族とヒストリア以外の気配はなし。それなら一キロ圏内へ距離を拡大。するとそこに一つの大きな気配を感じる。そこから現れる大量のモンスター。また数を増やしているのが分かる。
このまま行けばただの消耗戦でこちらが先に魔力切れを起こしてやられる。そうなる前にどうにかしないといけないと思った俺は、
「ヒストリアちょっと来てくれ」
後方で竜人族の護衛をしていたヒストリアを呼ぶ。
「何かな? お兄ちゃん」
「モンスターとの戦闘任せてもいいか?」
まだ戦闘に慣れていないヒストリア一人に任せるのは少し迷ったが、前方にいるやつを放っておくことも出来ない。
「いいよ!」
力強い一言。
「本当にいいのか?」
「うん、だって私を信頼してくれてるから任せたんだよね」
そこで俺の中にあった迷いは消えた。ヒストリアになら任せても大丈夫だと。
ただそれでもまだ戦いを覚えてから二日、少しの不安もある。だから、
「俺からのプレゼントだ!」
俺は子精霊をヒストリアへと付与した。
ガイルたちのパーティーにいた頃、彼ら全員に子精霊を付与していた。当然気づかれないようにしてだ。
この子精霊は付与した者の基礎能力を上げてくれる。その上で魔法の威力、魔法やスキルの発動に必要な魔力を減らしてくれたりなど様々なサポートを受けることが出来る。その効力は絶大でガイルたちはかなりの強さになっていた。
「お兄ちゃんこれは精霊ですか?」
そういえばヒストリアは精霊を見ることが出来たんだった。
「そうだよ」
「凄いよお兄ちゃん! なんか力が湧いてくる」
無茶苦茶うれしそうなヒストリア。
「俺は行ってくる。ここは任せたぞ」
「分かった」
俺はテレポートを使い召喚魔法を使う魔族の元へ移動した。
「何者だ!」
俺が目の前に現れたことでびっくりする魔族。
少し長耳を持ち、不健康そうな肌の色、文献にあった魔族そのものであった。ヒストリアの両親に偽っていたあの二人の顔を見る事が出来なかったために、本物の魔族を見るのはこれが初めてということになる。
「俺はただの人間だよ」
魔族の近くにある魔法陣。召喚魔法を使う時に現れる物であった。しかもそれを複数展開してそこからモンスターが現れる。今もモンスター出てきていた。
「たかが人間がこんなところに何しに来たんだ」
「おまえを倒しに来たんだよ」
「笑わせる、人間如きが俺たち魔族に勝てるはずがないだろう」
「そうか」
俺は、一瞬で展開されている召喚魔法の魔法陣を消滅させて見せた。
「今何しやがった!」
「ただ魔力をぶつけて魔法陣を壊しただけだ」
「簡単に言うな、そんな高等技術そうそう使える者はいない。しかも人間になど不可能に決まっている!」
確かに魔力その物を扱う技術はかなり高度の物で、出来る者はほとんどいない。だが人間にできないと言うのはこいつら魔族の偏見に過ぎない。
「何だっていうんだ! 一週間前に作戦は失敗するは、盗賊は全滅させられるは、一体どうなっているんだ」
「一週間前の作戦はよくわからんが、盗賊なら俺が全滅させたぞ」
「何を言ってやがる、奴らの中には人間の中でもかなり腕の立つやつがいたんだ。勝てるわけがないだろう。それに竜人族は全員俺が張った結界で何もできなかったはずだ」
「別にあれぐらいの奴ならなんてことないさ。それとおまえの言う一週間前の作戦と言うのは王都でのことか?」
魔族が一週間前の作戦と言った時からある出来事が頭の中に浮かんでいた。一週間前のヒストリアのこと。もしこのことだとしたらと思ったのだ。
「何故そのことを知っている」
「知っているさ、王都爆破を食い止めたのは俺だからな」
魔族が関わっていることを知ったのは偶然だったが。
だが、何故ここまでの魔族が関わっている事件が起こるんだか。
「たかが人間のぶんざいでどれだけ俺たちの邪魔をすれば気が済むんだ」
気が済むんだと言われても、偶然魔族がかかわっていただけなのだが。
「まあ、偶然でもおまえたちの計画を潰せてきたのはよかったよ。それじゃ今回の竜人族の村を襲ったのも食い止めさせてもらおうか」
「生意気を言いやがる。おまえは俺の全力を持って倒してやる。これ以上俺たちの計画の邪魔をさせないためにな」
「やってみろ! 返り討ちにしてやる」
俺と魔族との戦闘が開始するのだが、俺はどうしても集中できないでこの戦闘に挑むことになるのだった。
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