上 下
22 / 73
嘘×恋

伝えよう

しおりを挟む

「…っ!芽依!」
「ゴメン、沙希、わたし…わがままだよね…まだ先輩が好きだなんて…」
もう先輩にふられても構わない。
私の素直な気持ちを直接先輩に伝えよう。
あの日、助けてもらった時から好きになっていく気持ちは
どんどんつもっていくばっかりで…
「っ、沙希。私、行ってくる!」
「も~。芽依には敵わないよ…早く行ってきな!」
「沙希、ありがとう!」
「たーだーし!絶対帰ってくること!前みたいに秘密も禁止!!」
「うんっ!」

ータタッ
先輩、私ね、先輩に伝えたいことがあるんです。
私ね、自分から先輩に「好き」って伝えたことがないんです。いつも先輩ばっかりで…
だから、今度は私の番です。

ーー
やっと着いた。手が震えてる。
でも言うって決めたんだからちゃんと言おう。
あれ?教室空いてる…誰かいるのかな…
ーードクンッ
卓人先輩と柊先輩…
「卓人、お前まだ落ち込んでるのかよ…」
「別に…」
「お前、最近ずっとこんな調子だな」
「ーーー…」
「ひきずってるんだろ?」
「ん、まぁね。」
「お前、芽依ちゃんと一緒にいてどう思ったんだよ?」
「お…俺は、芽依といて辛かったよ」
「お前な…」
やっぱ沙希のいうとうり忘れよう。私は教室を遠くに歩いた。しばらくして、人気のない資料室に着いた。
ここにしばらく座っとこう。そう思った時だった。
「あれ?芽依ちゃんじゃん~♪」
ードクンッ
この声…まさか。
「柊先輩…」
「芽依ちゃん、やっと別れてくれたんだね~良かった♪」
そうです。私は柊先輩の言うとうり悪い子。だけど…
「…ぁ、あのっ!」
「何?」
「わ、私の事は悪く言ってもいいけど、先輩の事は悪く言わないでくださいっ!!!!」
「……」
「ぶはははははっ!芽依ちゃんって面白いね!」
「へ?」
「本当はね早く謝りたかったんだ」
「え?」
「あの日…芽依ちゃんと卓人が付き合い始めたって聞いたとき、俺は早く別れさせないといけないと思ったんだ…だって、罰ゲームから始まった恋って意味ないだろ?だから、芽依ちゃんにも辛く言ったんだ。」
「柊先輩…」
「今までごめんな」
「だ、大丈夫です」
「で、芽依ちゃんはどうしてここに?」
「それは…」
「卓人に言いたいことがあったからだろ?」
「…え、なんでわかるんですか…」
「そりゃ、わかるよ。だってさ、芽依ちゃんと卓人、同じ顔してるし…」
「え?それって…」
「俺からアドバイスな、2人とも同じ事考えて悩んでるようにしか見えないけどな~♪」
「ぁ、あの!私、先輩の所に行ってきます!!」
「いってらっしゃい。素直になって伝えてきてな!」
「ありがとうございます。」

廊下に私の走る足音が響いている。
もう、この階段を何回上ったかのかもわからない…
ーガラッ
「ぃ、いない…」
もしかして…あの場所?
私と先輩が付き合い始めて、始めて2人で行った場所。

ーーガチャッ

「はーあ!俺、何してんだよ!」
「せ…ん……ぱぃ…」
あ、ヤバっ!!
「!!芽依?…」
「……」
「あ…の、芽依、俺さ、ちゃんと言わなきゃいけない。」
「はい。」
怖いけどちゃんと聞かなきゃ。
「芽依、罰ゲームの事。最初は謝ろうと思ってた。だけど、謝れなかった。芽依を泣なせたくないと思ったから。もっと一緒にいて、笑いあったりしたいと思ったから…自分が弱くて、ずるい、最低な奴だと思いもしなかった。」
「先輩…それは…」
「これは俺の本当の気持ち。芽依、好きです。こんな俺で良かったら最初からやり直したいと思ってる。」
先輩が私を好き?これは嘘だ。
ーーギュッ
「嘘じゃないよ」
これは奇跡だ。先輩が私の事好きなんて…
「芽依…」
「んっ」
大好きな先輩にやっと好きって言ってもらえた。
だけど私もちゃんと言おう。
ーーー
「…そういえば先輩、屋上は高いけど大丈夫なんですか?」
「下さえ見なきゃね!それに芽依、屋上好きだからね」
「先輩!」
「ん?」
「大好きです!」
「俺も(照)」
 


                                       ☆END☆
しおりを挟む

処理中です...