25 / 42
本編
22:婚約披露
私は正午前には、夕刻に行われる婚約披露パーティーに出る為に王宮へ入っていた。
昼食は当然抜き。
なんせこれからコルセットで締め付けられるのだもの。少しでも和らげるためには必要でしょ?
陽が高いうちから王宮でお風呂に入って、念入りにエステを受けたわ。
やっと身繕いが始まったのはおやつの時間の頃かしら?
小腹が空いているのだけど、コルセットを付けた後じゃないと安心して食べられないのでじっと我慢よ!
そして空腹の中、念願のお菓子を食べられたのは、パーティーまで後一時間と言う頃だったわ。
コルセットで締め付けられたお陰で、あまり食べられないのはお約束。
でも細かく何度も食べる方向で頑張るつもり。
今日の為に仕立てられた純白のドレスを着込んで、フェルから贈られた首飾りを付けてやっと準備は完了。
その時間には、本日も護衛役となるメレーヌとイレーヌも親衛隊の騎士姿で帯剣して現れていた。
「あら二人とも今日はとっても格好良いわね」
言っておいてなんだけど、これ女の子に使っていい褒め言葉かしら?
「「ありがとうございます。ジルダ様はとってもお綺麗ですね」」
私の疑問を他所に、双子はステレオで嬉しそうに返してくれたわ。
ちなみに折角着飾ったのに、双子は私の座る席の後ろにある幕の中で待機だそうよ。
せめて写真に残せれば良いのだけどこの世界には無いし、とっても残念よね……
それから五分後、フェルが迎えに来てくれて会場へと向かったわ。
まず国王陛下と王妃様が並んで座り、その左右に空席が。国王陛下側には王太子であるアントナン殿下が、王妃側には第二王子のフェルが座る。そのフェルの隣が私の席だ。
試しに座ってみると、檀上に設置されたその席からは、会場の様子が容易に一望できたわ。
「そろそろ宜しいでしょうか?」
「ええ、忙しい所をありがとう」
実は初めての事なので進行役にお願いして、手順を先に教えて貰っていたのだ。
これで確認を終えたので、私は一旦下がって貴族の入場を待つことになる。
それからたっぷり三十分くらい経ったかしら。
パーティ会場に貴族らが全員入場を終えた事を、進行役から教えて貰ったわ。
最初に陛下が、王妃様を連れて入って行った。そして続いてアントナン殿下が一人で入っていく。王族が入って来るたびに会場からは盛大な拍手が聞こえてきたわ。
そして最後に、本日の主役のフェルと私が連れ立って入っていったのよ。
主役の登場に今まで以上の拍手で迎えられて、その拍手の中私たちは一礼したわ。
そして陛下の宣言で婚約パーティーが開催される。
私とフェルが未成年にあたる年齢の為、夜遅くまで居ないという事が伝えられており、挨拶は早めに済ます様にと事前に貴族らに伝えられていたらしい。
そのため、パーティーが始まってすぐに私たちの前には長蛇の列が完成していた。その長さを見て、思わず私の笑顔が引きつったのは仕方が無いと思って貰いたい。
座ったままお祝いの言葉を聞き、フェルと二人でお礼の挨拶をする。話が長い人もいれば、簡潔な人もいた。そして私の遠縁の親戚を名乗る貴族も多数居たわね。
でもお母様のお婆様の妹の嫁いだ先の旦那の弟の~辺りでもう他人でいいわよね?
貴族らの度重なる挨拶に対して、何度も笑顔を返していると次第に引きつり始める頬と口角。
私って笑顔が苦手なのよね……
とっくに張り付いたような笑みになっているに違いないわ。
あれから何人に固まった笑顔を振りまいただろうか?
次に私の前に来たのは、ビノシュ子爵閣下とリアーヌだった。
「ジルダお姉さま、おめでとうございます!」
「ありがとうリアーヌ」
この時の私は、物凄く自然な笑顔で笑っていたと思う。
相手がリアーヌだからではなくて、やっと子爵まで来たと分かったからよ!
あとはもっとも多い男爵だけ……がんばれ私!
数は多くとも男爵は恐れ多いとかで話が短くて助かった。それから一時間ほどで貴族の列を消化したわ。
ちなみに最後まで綺麗な笑顔を見せていた王妃様を見て、王族って凄いわねと本気で舌を巻いたわ。
挨拶が終わると程よい時間になっていた。
最後の締めにと促されて、フェルと二人でダンスを披露して会場を後にしたわ。
ここからはお酒が解禁、大人の時間だそうよ?
※
気づけば季節は冬に入り、日付は最後の月へと進んでいた。
冷たい風を直接に受けない馬車の中とは言え、この季節はやっぱり寒い。
そんなある日の事。
私たち三人が停留所に着くと、なにやら辺りが騒がしいことに気づいた。
彼らは学園へ向かって歩き始めるでもなく、この寒い中で道の端に数人が固まってなにやら話し込んでいるのだ。
「どうかしたのかしら?」
もちろん双子の二人は、首を振って知らないアピールよ。
それらの人の塊を避けつつ玄関口に入ると、シャルロを連れたリアーヌと出会ったわ。
「おはようございます。ジルダお姉さま」
白い息を吐きながら、嬉しそうに走り寄って来るリアーヌはまるで子犬のようだわ。
「ねぇなんだか表が騒がしくないかしら?」
そう問いかけた私に、リアーヌは「こっちへ」と少し人気のない場所へと私を引っ張っていった。
「実はですね、ケヴィン先生が複数の生徒に手を出したと言う噂が流れています」
まさかの噂に驚きを隠せなかった。
「それは本当なの!?」
だってそれが本当なら、まさに昼ドラの世界じゃないの!?
あの夢にまでみた教師と生徒間のどろどろのアレなのよ!
と、興奮気味に昼ドラを思い出して、芋づる式に別のことも思い出してしまった。
もしかしてこれって、オディロン様が流した捏造じゃないかしら? と。
すると途端に、この状況が楽しめなくなったのは言うまでもないわよね?
昼食は当然抜き。
なんせこれからコルセットで締め付けられるのだもの。少しでも和らげるためには必要でしょ?
陽が高いうちから王宮でお風呂に入って、念入りにエステを受けたわ。
やっと身繕いが始まったのはおやつの時間の頃かしら?
小腹が空いているのだけど、コルセットを付けた後じゃないと安心して食べられないのでじっと我慢よ!
そして空腹の中、念願のお菓子を食べられたのは、パーティーまで後一時間と言う頃だったわ。
コルセットで締め付けられたお陰で、あまり食べられないのはお約束。
でも細かく何度も食べる方向で頑張るつもり。
今日の為に仕立てられた純白のドレスを着込んで、フェルから贈られた首飾りを付けてやっと準備は完了。
その時間には、本日も護衛役となるメレーヌとイレーヌも親衛隊の騎士姿で帯剣して現れていた。
「あら二人とも今日はとっても格好良いわね」
言っておいてなんだけど、これ女の子に使っていい褒め言葉かしら?
「「ありがとうございます。ジルダ様はとってもお綺麗ですね」」
私の疑問を他所に、双子はステレオで嬉しそうに返してくれたわ。
ちなみに折角着飾ったのに、双子は私の座る席の後ろにある幕の中で待機だそうよ。
せめて写真に残せれば良いのだけどこの世界には無いし、とっても残念よね……
それから五分後、フェルが迎えに来てくれて会場へと向かったわ。
まず国王陛下と王妃様が並んで座り、その左右に空席が。国王陛下側には王太子であるアントナン殿下が、王妃側には第二王子のフェルが座る。そのフェルの隣が私の席だ。
試しに座ってみると、檀上に設置されたその席からは、会場の様子が容易に一望できたわ。
「そろそろ宜しいでしょうか?」
「ええ、忙しい所をありがとう」
実は初めての事なので進行役にお願いして、手順を先に教えて貰っていたのだ。
これで確認を終えたので、私は一旦下がって貴族の入場を待つことになる。
それからたっぷり三十分くらい経ったかしら。
パーティ会場に貴族らが全員入場を終えた事を、進行役から教えて貰ったわ。
最初に陛下が、王妃様を連れて入って行った。そして続いてアントナン殿下が一人で入っていく。王族が入って来るたびに会場からは盛大な拍手が聞こえてきたわ。
そして最後に、本日の主役のフェルと私が連れ立って入っていったのよ。
主役の登場に今まで以上の拍手で迎えられて、その拍手の中私たちは一礼したわ。
そして陛下の宣言で婚約パーティーが開催される。
私とフェルが未成年にあたる年齢の為、夜遅くまで居ないという事が伝えられており、挨拶は早めに済ます様にと事前に貴族らに伝えられていたらしい。
そのため、パーティーが始まってすぐに私たちの前には長蛇の列が完成していた。その長さを見て、思わず私の笑顔が引きつったのは仕方が無いと思って貰いたい。
座ったままお祝いの言葉を聞き、フェルと二人でお礼の挨拶をする。話が長い人もいれば、簡潔な人もいた。そして私の遠縁の親戚を名乗る貴族も多数居たわね。
でもお母様のお婆様の妹の嫁いだ先の旦那の弟の~辺りでもう他人でいいわよね?
貴族らの度重なる挨拶に対して、何度も笑顔を返していると次第に引きつり始める頬と口角。
私って笑顔が苦手なのよね……
とっくに張り付いたような笑みになっているに違いないわ。
あれから何人に固まった笑顔を振りまいただろうか?
次に私の前に来たのは、ビノシュ子爵閣下とリアーヌだった。
「ジルダお姉さま、おめでとうございます!」
「ありがとうリアーヌ」
この時の私は、物凄く自然な笑顔で笑っていたと思う。
相手がリアーヌだからではなくて、やっと子爵まで来たと分かったからよ!
あとはもっとも多い男爵だけ……がんばれ私!
数は多くとも男爵は恐れ多いとかで話が短くて助かった。それから一時間ほどで貴族の列を消化したわ。
ちなみに最後まで綺麗な笑顔を見せていた王妃様を見て、王族って凄いわねと本気で舌を巻いたわ。
挨拶が終わると程よい時間になっていた。
最後の締めにと促されて、フェルと二人でダンスを披露して会場を後にしたわ。
ここからはお酒が解禁、大人の時間だそうよ?
※
気づけば季節は冬に入り、日付は最後の月へと進んでいた。
冷たい風を直接に受けない馬車の中とは言え、この季節はやっぱり寒い。
そんなある日の事。
私たち三人が停留所に着くと、なにやら辺りが騒がしいことに気づいた。
彼らは学園へ向かって歩き始めるでもなく、この寒い中で道の端に数人が固まってなにやら話し込んでいるのだ。
「どうかしたのかしら?」
もちろん双子の二人は、首を振って知らないアピールよ。
それらの人の塊を避けつつ玄関口に入ると、シャルロを連れたリアーヌと出会ったわ。
「おはようございます。ジルダお姉さま」
白い息を吐きながら、嬉しそうに走り寄って来るリアーヌはまるで子犬のようだわ。
「ねぇなんだか表が騒がしくないかしら?」
そう問いかけた私に、リアーヌは「こっちへ」と少し人気のない場所へと私を引っ張っていった。
「実はですね、ケヴィン先生が複数の生徒に手を出したと言う噂が流れています」
まさかの噂に驚きを隠せなかった。
「それは本当なの!?」
だってそれが本当なら、まさに昼ドラの世界じゃないの!?
あの夢にまでみた教師と生徒間のどろどろのアレなのよ!
と、興奮気味に昼ドラを思い出して、芋づる式に別のことも思い出してしまった。
もしかしてこれって、オディロン様が流した捏造じゃないかしら? と。
すると途端に、この状況が楽しめなくなったのは言うまでもないわよね?
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。
巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?
紅子
恋愛
新作のゲームの為に創った魔法陣に魅入られた神様の眷族のせいで、死んじゃった私。別の世界で残りの生を消化しないと、永遠を流離うって、酷くありませんか?剣と魔法の世界で生き残るなんて出来る気がしません。私、一見、平和そのものなあの世界の住人ですよ?原因を作った眷族をつけてくれる?それなら、なんとか・・・・?はぁ、永遠を流離うくらいなら、眷族と一緒になんとか生き残れるように頑張ります!
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界につき、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
今度は、私の番です。
宵森みなと
恋愛
『この人生、ようやく私の番。―恋も自由も、取り返します―』
結婚、出産、子育て――
家族のために我慢し続けた40年の人生は、
ある日、検査結果も聞けないまま、静かに終わった。
だけど、そのとき心に残っていたのは、
「自分だけの自由な時間」
たったそれだけの、小さな夢だった
目を覚ましたら、私は異世界――
伯爵家の次女、13歳の少女・セレスティアに生まれ変わっていた。
「私は誰にも従いたくないの。誰かの期待通りに生きるなんてまっぴら。自分で、自分の未来を選びたい。だからこそ、特別科での学びを通して、力をつける。選ばれるためじゃない、自分で選ぶために」
自由に生き、素敵な恋だってしてみたい。
そう決めた私は、
だって、もう我慢する理由なんて、どこにもないのだから――。
これは、恋も自由も諦めなかった
ある“元・母であり妻だった”女性の、転生リスタート物語。
戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました
志熊みゅう
恋愛
十三歳の誕生日、侯爵令嬢エディット・ユングリングは、自分が死ぬ瞬間を"夢"に視た。
卒業舞踏会で、婚約者であるフィーラ帝国・第一皇子マティアス殿下から、身に覚えのない罪で断罪され、捕らえられる。傍らでは見知らぬピンクブロンドの令嬢が不敵に微笑む。貴族牢のある北の古城に連行される途中、馬車ごと“死の谷”へと落ちていった――そんな妙に生々しい夢。
マティアス殿下は聡明で優しく、エディットを大切にしているように見えた。だから誰もその"夢"のことを気に留めなかった。しかし、兄の怪我、愛猫の死、そして大干ばつ――エディットの"夢"は次々と現実になっていく。ある日、エディットは気づく。この"夢"が、母の祖国・トヴォー王国の建国の軍師と同じ異能――"未来視"であることに。
その頃、一年早く貴族学院に入学したマティアス殿下は、皇宮から解放され、つかの間の自由を知った。そして、子爵令嬢ライラに懸想するようになる。彼女は、"夢"の中で冷酷に微笑むあの令嬢に瓜二つ。エディットは自分が視た"夢"が少しずつ現実になっていくことに恐怖した。そんな時に視た、黒髪の令息が「愛しているよ」と優しくはにかむ、もう一つの『未来』。エディットは決心する。
――断罪される未来を変えたい。もう一つの未来を自分で選び取る。
彼女は断罪される前に、家族と共に自らの死を偽装し、トヴォー王国へと身を隠す。選び取った未来の先で、エディットは『戦姫』として新たな運命の渦に飲まれていく――。
断罪の未来を捨て、愛する者のために戦う令嬢の恋愛ファンタジー!
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。