妻は従業員に含みません

夏菜しの

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41:伯母様が来た!

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 妊娠八ヶ月。お腹が随分大きくなり動くのが億劫になった。
 歩くのが辛いから、食堂とベッド間の往復だけをしていたら、産婆に大層叱られてしまった。
 良く食べ、良く眠り、良く歩くと言うのが健康な母体をつくる秘訣なんですって。
 ちなみにこの頃から、デリア夫人が足繁く様子を見に訪ねてくれるようになった。出産の心得やら助言など豆知識を彼女は披露してくれる。
 まるで本当のお婆ちゃんの様でちょっと嬉しい。

 さらに一ヶ月。
 領地から伯母様が侍女を三人も連れてやってきた。
 こちらに帰ってから一度、伯父様と伯母様そしてアルフォンスを約束通り屋敷に招いたが、それ以来なので伯母様が来たのは半年ぶりくらいだ。

「それで伯母様、今日はどうされたのですか?」
「今日からわたくしはこちらで暮らします」
「ええっまさか伯父様と喧嘩をなさったのですか!?」
「馬鹿仰い。貴女のためよ」
「わたしですか?」
「貴女の母が存命ならわたくしがしゃしゃり出る事は無かったのだけれど……
 今回は娘の初産ですもの、心配して何が悪いのよ」
 少しだけ唇を尖らせて不満げにそんなことを漏らす伯母。
「えっ娘……?」
「もしかしてその様に接していたのはわたくしだけだったのかしら?」
 失言を聞きつけギロリと睨みつけてくる目が怖い。
「いいえとんでもございません。
 伯母様にはいろいろ教えて頂きとても感謝しておりますわ」
 でも娘ってのは流石にねえ?
 あーそう言えば伯母様の子供って全員男だったわね。そしてわたし以外は弟のアルフォンスだから、淑女の躾けに出産の立ち合いは、すべてわたしが最初で最後なのよ。
 そっかぁ伯母様は娘が欲しかったんだ。
 そう思うと厳しくて少し苦手だった伯母様が、何だか可愛らしく見えてくるから不思議だわ。
「初孫ではないですけど、出産までよろしくお願いします」
「ええ任せておきなさい」

 その日の夕刻。
 帰って来たフリードリヒは伯母を見て驚いたが、出来る旦那様のフリードリヒはその理由にすぐに気づき、
「どうか出産までリューディアをよろしくお願いします」と歓迎した。
 もちろん伯母様は上機嫌。
 どうやらうちの旦那様のできるっぷりは天井知らずみたいね。
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