13 / 36
第二部 ―青空かすむ怠惰の魔女―
ep.13 本作の趣旨と目標について、今一度おさらい。
しおりを挟む
※ここまでの道筋(~ep.12)
アガーレールの住宅地、そのうちのサリイシュ宅が見えてきた頃には、空は既に昼へと差し掛かっていた。
今回、新たに発見したクリスタルからヘルと若葉を解放し、改めてこの国について説明する必要がある。今、僕達の身に何が起こっているのかを伝え、気を落ち着かせる事が大事だ。
「魂の解放?」
と、ヘルが反芻した。
今はジョン、キャミ、礼治が先に戻っているため、ここは僕が説明に入る。
「うん。上界の三柱と俺、アゲハ、マニー以外の仲間全員が、どういうわけかあの日、クリスタルチャームに封印されてしまったらしい。だから、まずは何故かこの異世界へと飛ばされた皆を全員解放し、今回の謎の真相究明に取り掛かろうってわけ」
「ほう。その様子だと、神々でさえ理由が分からず混乱しているみたいだな」
「えー? 神なのに、知らないなんて事あるの? それか、三柱のうちの誰かがウソでもついてんじゃね?」
と、おいおい若葉ハッキリ言いすぎ! もっとこう、手心というか、オブラートにだな。
ぶっちゃけ、正直殆どの傍観者が内心思った事かもしれないけど、僕としてはあまり疑いの目を向けたくないのが本音である。神様に失礼だからね。
そんなこんなで、僕達はサリイシュ宅前へと到着した。
僕がここ異世界で、最初にスポーンした場所。玄関から2人の若者が顔を出した。
「いらっしゃい」「はじめまして」
サリバとイシュタだ。
今回は礼治がいたので出番がなかったものの、普段はここで緩やかに暮らしながら、仲間の魂が封印されたチャームを見つけ次第「おまじない」で解放するという、重要な役割を担っている。ヘル達が挨拶を返した。
「ヘルだ。こっちはバディの若葉。よろしく」
「オッスオッス。この世界にも人間っているんだね」
「今のところ、先住民のニンゲンはこの2人だけだけどね。あとは俺達を除いて、この国の住民はドワーフ族とハーフリングくらいかな」
「…他でチラホラ建っている家の大きさからして、そんな気はしていたよ。で、あの丘の上に見える建物が、アゲハ達の住む王宮と」
そういって、ヘルが近くの丘を見上げた。
手前の木々に少し隠れているけど、そこからひょっこり顔を出している屋根、そしてここからの距離からして、一際大きい建造物である事が分かる。
「お2人も、クリスタルチャームに閉じ込められていたんだよね? で、解放したのは…」
サリバが辺りを見渡すが、今その「代わりに解放した人」は、ここにはいない。
一方で、イシュタは自らの掌を、憂いそうな目で見つめていた。
「その神々と同じ力を、僕達が持っていたなんて――。子供の頃から、石碑とかに閉じ込められた妖精さんを解放するのに使ってきた力だけど、未だに実感が湧かないな」
「うん… そうだね。当たり前のように持っているこの力が、いざ神々と同じものだって言われるとね」
僕はそんな2人を見て、思った。
本当に、この子たちは一体何者なのだろう?
先住民のニンゲンだって事や、この世界のホモ・サピエンスが魔力を多く持つ種族だって事は知ってるんだけど、そんな2人の「出生」についてはまだまだ謎が多いのだ。
彼女達の実の両親はどんな人達なのだろう? とか、なぜこの世界では人間が2人しか確認されていないのだろう? とか。
そりゃあ、今日までの出来事を見てきた身からすれば知りたくて仕方がない。
そんな重々しい空気を打ち砕くように、次に若葉がこう切り出した。
「で? そんなセリナ達が今やるべき事って、さっき自分達が制圧したあの石橋の向こうの主を何とかして、シアンを解放するって話だったっけ?」
「そうなんだよ。だけどアゲハ達曰く、チアノーゼは敵対勢力の中でもかなり地位が高く、おまけにメチャクチャ強いらしい。だから、出来るだけ穏便に説得で済ませたいんだと」
「はぁ? マジでいってんのそれ!?」
と、若葉が怪訝な表情で首を傾げた。
おっと?
その様子だと、もしかしてこの2人、チアノーゼの件で何か知っているな!?
すると、ここはヘルも溜め息交じりに腕を組み、こう告げた。
「それは、無理があるんじゃないかな。でなきゃ今頃、あの組織の幹部にはなっていない」
「そうなの?」
「あぁ。俺も若葉も、あの悪魔達の体内に閉じ込められる前に少しだけ、チアノーゼの様子を見た事がある。あの女はとても慈悲深く、かつ、一度決めた信念は絶対に曲げないんだ」
「うんうん。吸血鬼だから昼は籠りがちな分、警戒心も強いしねー。
まぁ、言い換えればゴリゴリの『優性思想』というか? あいつ、対象者が生まれた時点で劣性だったり、後からデカい傷や障害を負ったり、そういうのを見かけたらすぐ殺処分を仕掛ける女だよ? 説得とかフツーに無理じゃね?」
「えぇぇぇぇ!?」
僕は驚きと同時に、嫌な確信を抱いた。
そのチアノーゼとかいう女、とんでもなく頑固なシリアルキラーだ! しかもただの「殺しに快楽を覚えたから」とかではない。曲がりなりにも、ちゃんと理由に筋が通っている。
だからさっき、あのジョナサンも言ったんだな。「今の俺達が勝てる相手じゃない!」と… あ、そういう意味じゃない?
しかしこれには僕だけでなく、サリバとイシュタも恐怖で後ずさりする始末。
だけど、ある意味デカい収穫ではないだろうか。あの富沢とは大違いの、悪い意味で有能なチアノーゼの近くにいたヘル達から、敵対勢力について色々訊けるチャンスだぞ。
「一応聞くけど、どうしてアゲハ達は説得という形で、事を穏便に済ませたいと?」
と、ヘル。僕は顎をしゃくった。
「それが、少し前にこの国が突然フェデュートに襲撃されたのをきっかけに、マニーが一時期敵の内部に潜入して、判明した事らしいんだけど…
相手は、倉庫にミサイルとか巨大な兵器とかを、大量にストックしているらしい。それらを使われるのだけは避けるべく、まずは仲間達の解放を急ぎたいのだそうだ」
「そうか… 言い方はあれだが、今の話を聞く限り、この国はまだ軍を率いるほどの勢力を持っていないみたいだな。相手国との交渉もうまくいっていない、と」
うぐぅ。今の指摘をアゲハが聞いたら、何も言い返せなくてメチャクチャ悔しい表情を浮かべそう。さっきから痛いとこ突くなぁ。
いやでも、アゲハはすごく頑張った方なんだって!
マニーと合流するまでずっと孤独の中、先住民達から受け入れられるよう努力して、この国が出来上がったんだぞ! サリイシュからもそう聞いているし。
「とりあえず、事情はアゲハ達から直接聞いた方が早そうだな。どちらにせよ、仲間全員を解放しない分には、元きた世界やその他諸々を見つけてもすぐには帰れないだろう」
「しかしさぁ、まさかお別れ会の最中でこんな事になるなんて、思ってもみなかったよ! あ、そうだ。セリナにこれ分け与えようっと」
そうだった、僕すっかり忘れてた。
こうしてヘル達みたいに新たにクリスタルチャームを見つけ、魂を解放した暁には、なぜかその人達の手に渡ってしまっているこの僕・芹名アキラの能力を返してもらうんだった。
そうする事で、僕の本来の力はどんどん戻っていくし、各自能力を保有したまま仲間は増えていくしで、良い事尽くめなのだ。
僕はヘルと若葉による魔法返却を前に、静かに身構えた。
あー!!
そういえば、あのジョナサンからまだ僕の能力を返してもらってないじゃん!
てゆうか、僕にもくれよその予知能力!
(つづく)
アガーレールの住宅地、そのうちのサリイシュ宅が見えてきた頃には、空は既に昼へと差し掛かっていた。
今回、新たに発見したクリスタルからヘルと若葉を解放し、改めてこの国について説明する必要がある。今、僕達の身に何が起こっているのかを伝え、気を落ち着かせる事が大事だ。
「魂の解放?」
と、ヘルが反芻した。
今はジョン、キャミ、礼治が先に戻っているため、ここは僕が説明に入る。
「うん。上界の三柱と俺、アゲハ、マニー以外の仲間全員が、どういうわけかあの日、クリスタルチャームに封印されてしまったらしい。だから、まずは何故かこの異世界へと飛ばされた皆を全員解放し、今回の謎の真相究明に取り掛かろうってわけ」
「ほう。その様子だと、神々でさえ理由が分からず混乱しているみたいだな」
「えー? 神なのに、知らないなんて事あるの? それか、三柱のうちの誰かがウソでもついてんじゃね?」
と、おいおい若葉ハッキリ言いすぎ! もっとこう、手心というか、オブラートにだな。
ぶっちゃけ、正直殆どの傍観者が内心思った事かもしれないけど、僕としてはあまり疑いの目を向けたくないのが本音である。神様に失礼だからね。
そんなこんなで、僕達はサリイシュ宅前へと到着した。
僕がここ異世界で、最初にスポーンした場所。玄関から2人の若者が顔を出した。
「いらっしゃい」「はじめまして」
サリバとイシュタだ。
今回は礼治がいたので出番がなかったものの、普段はここで緩やかに暮らしながら、仲間の魂が封印されたチャームを見つけ次第「おまじない」で解放するという、重要な役割を担っている。ヘル達が挨拶を返した。
「ヘルだ。こっちはバディの若葉。よろしく」
「オッスオッス。この世界にも人間っているんだね」
「今のところ、先住民のニンゲンはこの2人だけだけどね。あとは俺達を除いて、この国の住民はドワーフ族とハーフリングくらいかな」
「…他でチラホラ建っている家の大きさからして、そんな気はしていたよ。で、あの丘の上に見える建物が、アゲハ達の住む王宮と」
そういって、ヘルが近くの丘を見上げた。
手前の木々に少し隠れているけど、そこからひょっこり顔を出している屋根、そしてここからの距離からして、一際大きい建造物である事が分かる。
「お2人も、クリスタルチャームに閉じ込められていたんだよね? で、解放したのは…」
サリバが辺りを見渡すが、今その「代わりに解放した人」は、ここにはいない。
一方で、イシュタは自らの掌を、憂いそうな目で見つめていた。
「その神々と同じ力を、僕達が持っていたなんて――。子供の頃から、石碑とかに閉じ込められた妖精さんを解放するのに使ってきた力だけど、未だに実感が湧かないな」
「うん… そうだね。当たり前のように持っているこの力が、いざ神々と同じものだって言われるとね」
僕はそんな2人を見て、思った。
本当に、この子たちは一体何者なのだろう?
先住民のニンゲンだって事や、この世界のホモ・サピエンスが魔力を多く持つ種族だって事は知ってるんだけど、そんな2人の「出生」についてはまだまだ謎が多いのだ。
彼女達の実の両親はどんな人達なのだろう? とか、なぜこの世界では人間が2人しか確認されていないのだろう? とか。
そりゃあ、今日までの出来事を見てきた身からすれば知りたくて仕方がない。
そんな重々しい空気を打ち砕くように、次に若葉がこう切り出した。
「で? そんなセリナ達が今やるべき事って、さっき自分達が制圧したあの石橋の向こうの主を何とかして、シアンを解放するって話だったっけ?」
「そうなんだよ。だけどアゲハ達曰く、チアノーゼは敵対勢力の中でもかなり地位が高く、おまけにメチャクチャ強いらしい。だから、出来るだけ穏便に説得で済ませたいんだと」
「はぁ? マジでいってんのそれ!?」
と、若葉が怪訝な表情で首を傾げた。
おっと?
その様子だと、もしかしてこの2人、チアノーゼの件で何か知っているな!?
すると、ここはヘルも溜め息交じりに腕を組み、こう告げた。
「それは、無理があるんじゃないかな。でなきゃ今頃、あの組織の幹部にはなっていない」
「そうなの?」
「あぁ。俺も若葉も、あの悪魔達の体内に閉じ込められる前に少しだけ、チアノーゼの様子を見た事がある。あの女はとても慈悲深く、かつ、一度決めた信念は絶対に曲げないんだ」
「うんうん。吸血鬼だから昼は籠りがちな分、警戒心も強いしねー。
まぁ、言い換えればゴリゴリの『優性思想』というか? あいつ、対象者が生まれた時点で劣性だったり、後からデカい傷や障害を負ったり、そういうのを見かけたらすぐ殺処分を仕掛ける女だよ? 説得とかフツーに無理じゃね?」
「えぇぇぇぇ!?」
僕は驚きと同時に、嫌な確信を抱いた。
そのチアノーゼとかいう女、とんでもなく頑固なシリアルキラーだ! しかもただの「殺しに快楽を覚えたから」とかではない。曲がりなりにも、ちゃんと理由に筋が通っている。
だからさっき、あのジョナサンも言ったんだな。「今の俺達が勝てる相手じゃない!」と… あ、そういう意味じゃない?
しかしこれには僕だけでなく、サリバとイシュタも恐怖で後ずさりする始末。
だけど、ある意味デカい収穫ではないだろうか。あの富沢とは大違いの、悪い意味で有能なチアノーゼの近くにいたヘル達から、敵対勢力について色々訊けるチャンスだぞ。
「一応聞くけど、どうしてアゲハ達は説得という形で、事を穏便に済ませたいと?」
と、ヘル。僕は顎をしゃくった。
「それが、少し前にこの国が突然フェデュートに襲撃されたのをきっかけに、マニーが一時期敵の内部に潜入して、判明した事らしいんだけど…
相手は、倉庫にミサイルとか巨大な兵器とかを、大量にストックしているらしい。それらを使われるのだけは避けるべく、まずは仲間達の解放を急ぎたいのだそうだ」
「そうか… 言い方はあれだが、今の話を聞く限り、この国はまだ軍を率いるほどの勢力を持っていないみたいだな。相手国との交渉もうまくいっていない、と」
うぐぅ。今の指摘をアゲハが聞いたら、何も言い返せなくてメチャクチャ悔しい表情を浮かべそう。さっきから痛いとこ突くなぁ。
いやでも、アゲハはすごく頑張った方なんだって!
マニーと合流するまでずっと孤独の中、先住民達から受け入れられるよう努力して、この国が出来上がったんだぞ! サリイシュからもそう聞いているし。
「とりあえず、事情はアゲハ達から直接聞いた方が早そうだな。どちらにせよ、仲間全員を解放しない分には、元きた世界やその他諸々を見つけてもすぐには帰れないだろう」
「しかしさぁ、まさかお別れ会の最中でこんな事になるなんて、思ってもみなかったよ! あ、そうだ。セリナにこれ分け与えようっと」
そうだった、僕すっかり忘れてた。
こうしてヘル達みたいに新たにクリスタルチャームを見つけ、魂を解放した暁には、なぜかその人達の手に渡ってしまっているこの僕・芹名アキラの能力を返してもらうんだった。
そうする事で、僕の本来の力はどんどん戻っていくし、各自能力を保有したまま仲間は増えていくしで、良い事尽くめなのだ。
僕はヘルと若葉による魔法返却を前に、静かに身構えた。
あー!!
そういえば、あのジョナサンからまだ僕の能力を返してもらってないじゃん!
てゆうか、僕にもくれよその予知能力!
(つづく)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜
音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった!
スキルスキル〜何かな何かな〜
ネットスーパー……?
これチートでしょ!?
当たりだよね!?
なになに……
注文できるのは、食材と調味料だけ?
完成品は?
カップ麺は?
え、私料理できないんだけど。
──詰みじゃん。
と思ったら、追放された料理人に拾われました。
素材しか買えない転移JK
追放された料理人
完成品ゼロ
便利アイテムなし
あるのは、調味料。
焼くだけなのに泣く。
塩で革命。
ソースで敗北。
そしてなぜかペンギンもいる。
今日も異世界で、
調味料無双しちゃいます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
