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幕間 ドキッとくる夏休み! パラソル下で磯を味わいましょう♪
05. 社長の怒りは、突き刺さる程に冷たいんです。「ミント」だけに。
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パラソル下でのバカンスを終えて――
ランチの後片づけをし、ほかに軽く見物できる場所を観光。道なりに進んで見つけたレストランで夕食を終えた後は、翌日のチェックアウトまでゆったり過ごすだけとなった。
車でホテルへ戻り、ロビーを抜けると、サウナに続く憩いのホールがある。地方テレビが流れているそこで、クミンとバンブーと行動を別にしたミントは一人ソファに腰かけ、コーヒー片手に軽くくつろいだ。
「おかえりなさいませ。どこか、お散歩にいかれていたのですか?」
ホテルのスタッフとして勤務する美紀だ。元・レンタル彼女の一人。
ソファに座っている人物を見て気づいたのだろう。ミントが振り向き、今朝の件について軽く説明をした。
「車で少し移動した先の公園で、軽くランチをしたんだ。道の向かい側に滝が流れている」
「あー、あの公園ですね!? 知ってます。あそこ、パラソルがある場所にまで涼しい風が吹いて快適なんですよね。もしかして、そこでお得意の手料理を…?」
「まぁ。都会みたいに、そんなに混んでなかったから、仲の良い人達と静かに過ごせたよ」
「そうだったんですね。よかったです」
「ミ、美紀さんお疲れさまです! あの、厨房から交代の指示が…」
と、そこへもう一人レセプションの男性が顔を覗かせてきた。バンブーの知り合いであるツバサだ。彼の声かけで、美紀がそちらへと振り向き一礼した。
「はい! では、私はこれで」
そういって美紀が踵を返し、ミントは再び一人になった。
クミンが部屋に戻り、バンブーがサウナで一汗かいている間である。憩いのホールでくつろぐミントが口にしていた芳醇なコーヒーは、最後の一滴まで香り漂っていた。
――――――――――
二泊目、深夜。
入浴を終え、ベッドに横になるまでの間は、本当に何もすることがない。念のため持参しておいたノートパソコンを開き、リモートでの案件がきていないか確認するも、特に何もないのであとは明日のチェックアウトに向けて寝るしかないのだ。
一泊目よりかは多少、環境に慣れてリラックスできるようになったとはいえ、昨夜クミンがしていたように前もって欲しいものを買い足しておいてよかった。
部屋の電気を消した暗い中、部屋の片隅にあるミニ冷蔵庫にしまっておいたドリンク缶を取り出し、ミントがそのプルタブを引こうとしたその時だった。
ミシッ…
「?」
昨夜も耳にした、何者かが一階窓の向こうの草むらを歩く音だ。
ミントの手が止まり、振り向かずに視線だけそちらへ向ける。しばらく様子を見ると、
カサ… カサ、カサ……
――あの時と同じ音だ。やはり、気のせいじゃなかったのか。
彼は確信した。ミントが… 宿泊客が寝静まっているだろう時間帯に限り、その窓の奥の外を歩いている「ニンゲン」がいると。
ミントは音を立てないよう、静かにドリンク缶を置き、忍び足で部屋を出た。
自分の部屋は今、電気を落としているので、きっと窓の外の相手には自分が移動している影など見えないだろう。そう信じ、ミントは退室後すぐさまホテル出入口へと向かった。
ホテルを出て、裏へ回る。
自分が寝泊まりしている部屋の位置は、だいたい把握できているので、そちらへ草を踏んで足音を立てないよう、静かに歩み寄る。すると――
「っ…」
ミントの部屋の窓の向こう。人が全然通らない、少し草がぼうぼうに生えているその暗い裏手に、確かに人がいたのだ。
虫でも、野良猫でもない、人間である。しかもその人は閉まりきった窓の奥を覗き込むように手眼鏡を作り、窓が開くか否かチェックしようとしていた。ミントは絶句した。
「ふぅ」
ザッ、ザッ。
その人は、ミントが部屋で眠っていると解釈したのか、軽くため息をついてその場から離れようとした。
が、振り向いたその先に… 本人が、一番今の自分の姿を見られたくないであろう人物に、ガッツリ見られている事に気づいた。ちょうど“そこ”に立っているからだ。
「ひっ…!」
ズザザッ!!
後ずさりをし、危うく尻餅をつきそうになる。が、すぐに体制を持ち直した。
ミントはそんな相手の少し間抜けな姿を見ても、面白いという感情にはならず、ずっと真顔である。宿泊中にストーキングされていたこと自体、気味が悪いからなのもそうだが、その相手がミントの知る人物だから故の失望も大きいのだ。
「そこで、何をしているんですか?」
そう言い放つミントの声が、刺さるように冷たい。
その相手こそ、レセプションで夜勤フロントを担当している男性―― ツバサであった。
(つづく)
ランチの後片づけをし、ほかに軽く見物できる場所を観光。道なりに進んで見つけたレストランで夕食を終えた後は、翌日のチェックアウトまでゆったり過ごすだけとなった。
車でホテルへ戻り、ロビーを抜けると、サウナに続く憩いのホールがある。地方テレビが流れているそこで、クミンとバンブーと行動を別にしたミントは一人ソファに腰かけ、コーヒー片手に軽くくつろいだ。
「おかえりなさいませ。どこか、お散歩にいかれていたのですか?」
ホテルのスタッフとして勤務する美紀だ。元・レンタル彼女の一人。
ソファに座っている人物を見て気づいたのだろう。ミントが振り向き、今朝の件について軽く説明をした。
「車で少し移動した先の公園で、軽くランチをしたんだ。道の向かい側に滝が流れている」
「あー、あの公園ですね!? 知ってます。あそこ、パラソルがある場所にまで涼しい風が吹いて快適なんですよね。もしかして、そこでお得意の手料理を…?」
「まぁ。都会みたいに、そんなに混んでなかったから、仲の良い人達と静かに過ごせたよ」
「そうだったんですね。よかったです」
「ミ、美紀さんお疲れさまです! あの、厨房から交代の指示が…」
と、そこへもう一人レセプションの男性が顔を覗かせてきた。バンブーの知り合いであるツバサだ。彼の声かけで、美紀がそちらへと振り向き一礼した。
「はい! では、私はこれで」
そういって美紀が踵を返し、ミントは再び一人になった。
クミンが部屋に戻り、バンブーがサウナで一汗かいている間である。憩いのホールでくつろぐミントが口にしていた芳醇なコーヒーは、最後の一滴まで香り漂っていた。
――――――――――
二泊目、深夜。
入浴を終え、ベッドに横になるまでの間は、本当に何もすることがない。念のため持参しておいたノートパソコンを開き、リモートでの案件がきていないか確認するも、特に何もないのであとは明日のチェックアウトに向けて寝るしかないのだ。
一泊目よりかは多少、環境に慣れてリラックスできるようになったとはいえ、昨夜クミンがしていたように前もって欲しいものを買い足しておいてよかった。
部屋の電気を消した暗い中、部屋の片隅にあるミニ冷蔵庫にしまっておいたドリンク缶を取り出し、ミントがそのプルタブを引こうとしたその時だった。
ミシッ…
「?」
昨夜も耳にした、何者かが一階窓の向こうの草むらを歩く音だ。
ミントの手が止まり、振り向かずに視線だけそちらへ向ける。しばらく様子を見ると、
カサ… カサ、カサ……
――あの時と同じ音だ。やはり、気のせいじゃなかったのか。
彼は確信した。ミントが… 宿泊客が寝静まっているだろう時間帯に限り、その窓の奥の外を歩いている「ニンゲン」がいると。
ミントは音を立てないよう、静かにドリンク缶を置き、忍び足で部屋を出た。
自分の部屋は今、電気を落としているので、きっと窓の外の相手には自分が移動している影など見えないだろう。そう信じ、ミントは退室後すぐさまホテル出入口へと向かった。
ホテルを出て、裏へ回る。
自分が寝泊まりしている部屋の位置は、だいたい把握できているので、そちらへ草を踏んで足音を立てないよう、静かに歩み寄る。すると――
「っ…」
ミントの部屋の窓の向こう。人が全然通らない、少し草がぼうぼうに生えているその暗い裏手に、確かに人がいたのだ。
虫でも、野良猫でもない、人間である。しかもその人は閉まりきった窓の奥を覗き込むように手眼鏡を作り、窓が開くか否かチェックしようとしていた。ミントは絶句した。
「ふぅ」
ザッ、ザッ。
その人は、ミントが部屋で眠っていると解釈したのか、軽くため息をついてその場から離れようとした。
が、振り向いたその先に… 本人が、一番今の自分の姿を見られたくないであろう人物に、ガッツリ見られている事に気づいた。ちょうど“そこ”に立っているからだ。
「ひっ…!」
ズザザッ!!
後ずさりをし、危うく尻餅をつきそうになる。が、すぐに体制を持ち直した。
ミントはそんな相手の少し間抜けな姿を見ても、面白いという感情にはならず、ずっと真顔である。宿泊中にストーキングされていたこと自体、気味が悪いからなのもそうだが、その相手がミントの知る人物だから故の失望も大きいのだ。
「そこで、何をしているんですか?」
そう言い放つミントの声が、刺さるように冷たい。
その相手こそ、レセプションで夜勤フロントを担当している男性―― ツバサであった。
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