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第三章 レンタル彼女の恋愛事情は、楽じゃない!?
06. 相手に強引に料理されたら、こちらも料理し返しましょう。超・強火で!
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警察署。
バンブーが顔を数発殴られる被害に遭い、綾羽を狙った男性が連行された連絡を受け、仕事を終えたミントとクミンが立ち寄っていた。
綾羽があのあと逃げた先は、その警察署である。
ケガも、衣服の破損等も一切ないとはいえ、そのまま何食わぬ顔をして過ごせるほど無責任な事はしたくないのだろう。下手を打てば鞄に仕掛けたGPSの存在を警察に知られる事になるが、そこは敢えて伝えず、正直にデートのモニタリング中に襲われたとの旨を話したのであった。
「あそこ。彼女が座ってるの」
クミンが、椅子に腰かけ俯いている綾羽を発見した。
ミントもその姿を確認し、スマートフォンに映るNINEのメッセージを一瞥した。
「相当落ち込んでいるな。それと、さっきバンブーが手当てを終えたって」
「そっかぁ。でも、まさかあのバンブー相手に手を出すなんてね」
捕まった男性のことだ。ミントはスマホの画面を閉じ、肩をすくめた。
「あの日バンブーに依頼し、その男と“トモダチ”になってもらった結果分かったのは無職。しかも実家が福岡で、借金のかた家族からは絶縁されたらしい。つまり『無敵の人』だ」
「うわぁ特急呪物すぎる。そんなやつと、綾羽さんが… 知り合い? どういう関係?」
「そこは、本人から聞ければいいけどね。少し、会って話してくるよ」
そういって、ミントは綾羽がいる場所へと歩いていった。
少し遠回りをするように、綾羽の目線からみて左斜め前の少し離れた所から、ただ「綾羽さん」とだけ穏やかに声をかける。
異性絡みのショックで憔悴中の女性は、心理学的に、突然後ろから男性に声をかけられると多大なる恐怖を覚えてしまうもの。かといって真正面から近寄れば、かえって本人にこちらの威圧感を与えかねないのだ。だから人間の殆どが右利きで、その利き腕が万一の防御時に大きな可動域を得られる左斜め前から、静かに歩み寄るという配慮をとったのであった。
「はっ」
綾羽はミントの声をきいて、すぐに椅子から立ちあがった。
ミントが左斜め前の空いている椅子に座る前に、申し訳ない顔で大きく頭を下げる。
「申し訳ありませんでした! 私のせいで、こんな事に」
「謝らなくていいよ。相手が一方的に殴りかかったそうじゃないか、君は何も悪くない」
「でも、そのせいでバンブーさんが…」
「バンブーならさっき、手当を終えたばかりだと連絡があったよ。幸いにも軽いケガで済んだのと、本人はケロッとしている。あとは診断書が出来しだい、すぐに帰宅するそうだ」
そういって、ここはミントから先にゆっくりと腰かける。社長のそんな仕草を見て、ここは自分も座らないと失礼に値すると判断したのか、綾羽も続けて椅子に腰かけた。
真正面で向かい合っていないのが、傍から見れば少し不自然に感じるかもしれないが、これも前述した心理学的配慮によるものである。ミントが、もの悲しい表情で綾羽にきいた。
「それより、綾羽さんこそとても怖い思いをしたんじゃないか? 病欠明けにモニタリングを依頼された直後、まさかあんな野蛮な奴に襲われるとは思いもしなかっただろう。会社としては、綾羽さんの様な大切なスタッフを襲おうとした男の行為は当然許さないし、もし綾羽さんの知っている範囲であれば、その男の特徴や顔見知りの有無を教えてくれる?
もしかしたら、警察の手では届かない方法で、相手を合法的に制裁するための策がこちらで練られるかもしれない。先日、俺からグループチャットに送ったかの不審者情報と、同一犯である可能性も踏まえてね」
すると数秒ほど、綾羽が口を紡ぐような素振りを見せてはふと、右斜め前の廊下を歩いていた警官へと目をやり、すぐに目線を俯き加減へと戻した。
その様子から、ミントはなんとなく察したものだ。おそらく彼女は当たり障りのない「嘘」をつこうとして、でも先の聴取で既に警察には事実を伝えているので、ここで嘘を言っても遅かれ早かれバレると。
すると、綾羽は言葉を選ぶようにこういった。
「あの人は… 私が、東京へ引っ越す前までに同棲していた、元カレです」
その瞬間、ミントは内心「やはり」と確信を得た。
でも、その思惑を敢えて表情には示さない。寧ろここで真実を言ってくれている“今”をチャンスと捉え、更に綾羽との会話を進めた。
「そうだったんだな… それで、まさかこんな事になるなんて。一応聞くけど、なんでその人と別れたの?」
「彼は、とても暴力癖のある人でして。でも、私も当時は彼が初めての彼氏だったから、依存していたのかもしれません。それで、自分がもっとちゃんとしていれば彼が許してくれると思って、ずっと引きずり続けて… すみません。こんな話されるの、嫌ですよね?」
「気にしなくていい。こちらから質問した以上、どんな話も聞き入れる覚悟はできてる。可能なら、このまま続けて?」
「っ… はい」
そういうと、綾羽は自身のワンピースの裾をぎゅっと握りしめ、こう続けた。
「当時、勤務先の残業が増えたのを理由に、彼に酷く怒鳴られて… 言い訳をしていたら、その翌日に、彼がいつの間にか勝手に私の印鑑を使って、会社に退職届を出したんです…! その日は『手違いだ』と会社に報告したけど、何故かその事が彼に知られて、余計殴られて」
「…」
「そのせいで、更にその翌日には私とのハ… ううん、ごめんなさい! これ以上は、言えません…! グスッ それで、もうその職場にはいられなくなって… このままだと人生狂わされると、目が覚めて… 夜逃げ、しました。彼にバレないよう、東京に! うぅ」
綾羽の目から、大粒の涙が流れ落ちる。
ミントとしては、これで全ての合点がいった。
先日、彼がバンブーに依頼したのは、その問題の男性にバンブーが上手いこと話しかけ“友達”になることで彼を喫煙スペースから遠ざけ、レンタル彼女達の不安を取り除くというもの。だからミントはその日の夜、男性の似顔絵を描いてそれをレンタル彼女たちのグループチャットに送信。不審者がいるから気を付けて、と注意喚起を促したのだ。
するとそのチャットを既読した女性の一人が、すぐに病欠シフトキャンセルの連絡を入れてきた。それがこの綾羽だったのだ。つまりあの男性は綾羽と顔見知りであり、奴はどこかから綾羽が合同会社オレガノで働いているとの情報を聞きつけ、わざわざ上京。あの日クミンに「顔写真一覧を見せろ」と脅してきたのだと推測できた。
そしてそれ以来、バンブーが裏で引っ張ってくれたお陰で男性の影が見えなくなったタイミングで、ミントは再度チャットに「不審者は見かけなくなった」と送信。すると、その後に綾羽から体調が戻ったとの振替シフト申請が入り、今日に至るのであった。綾羽の体調不良は、実はその元カレかもしれない似顔絵を見て恐怖していたゆえの「嘘」であった。
きっと、あの男性が上京した理由も碌なものではないのだろう。
そう考え、ミントはこれ以上、綾羽と男性との関係を深堀りしない事にした。それより、法律をある程度知っている側からすればとても聞き捨てならない情報がある。ミントは同情からの更なる質問をした。
「よく、生きて東京に来れたよ。とても苦しい思いをしてきたんだな… 綾羽さんがそれだけ必死だったのは、今回の傷害事件をきいても手にとってわかる。そんな酷い男に、言葉と拳で言いくるめられ、委縮して、視野が狭くなっていたのかもしれないよ」
「う、うぅ…」
「一点、確認したい。その元カレと別れるために、東京へ夜逃げしてから、どれ位経つ?」
「グスッ 二年半、です」
「なら、まだ制裁のチャンスはあるな。彼が君の職場によこした退職届の送付やハ… ゴホン! “バラマキ行為”は、立派な私文書偽造罪および名誉毀損だ。これらの時効は早くても三年だから、今から弁護士を通して訴訟を起こせば莫大な慰謝料を請求できるだろう。それだけ、その男は綾羽さんの人生を狂わせたんだ。俺も、スタッフを脅かされた経営者の一人として徹底的に戦うし、出来る限り協力する。だから、自分を責めないで」
ミントがそういうと、綾羽は両手で顔を覆いながら泣いた。泣きじゃくった。
ミントはそんな綾羽を決して責める事なく、本人の気持ちが落ち着くまで静かに待った。
その様子を少し遠くから見つめていたクミンも、綾羽の忌わしい過去にはちょっぴり同情したものの、内心少しだけ嫉妬したのはいうまでもない。
(つづく)
バンブーが顔を数発殴られる被害に遭い、綾羽を狙った男性が連行された連絡を受け、仕事を終えたミントとクミンが立ち寄っていた。
綾羽があのあと逃げた先は、その警察署である。
ケガも、衣服の破損等も一切ないとはいえ、そのまま何食わぬ顔をして過ごせるほど無責任な事はしたくないのだろう。下手を打てば鞄に仕掛けたGPSの存在を警察に知られる事になるが、そこは敢えて伝えず、正直にデートのモニタリング中に襲われたとの旨を話したのであった。
「あそこ。彼女が座ってるの」
クミンが、椅子に腰かけ俯いている綾羽を発見した。
ミントもその姿を確認し、スマートフォンに映るNINEのメッセージを一瞥した。
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「そっかぁ。でも、まさかあのバンブー相手に手を出すなんてね」
捕まった男性のことだ。ミントはスマホの画面を閉じ、肩をすくめた。
「あの日バンブーに依頼し、その男と“トモダチ”になってもらった結果分かったのは無職。しかも実家が福岡で、借金のかた家族からは絶縁されたらしい。つまり『無敵の人』だ」
「うわぁ特急呪物すぎる。そんなやつと、綾羽さんが… 知り合い? どういう関係?」
「そこは、本人から聞ければいいけどね。少し、会って話してくるよ」
そういって、ミントは綾羽がいる場所へと歩いていった。
少し遠回りをするように、綾羽の目線からみて左斜め前の少し離れた所から、ただ「綾羽さん」とだけ穏やかに声をかける。
異性絡みのショックで憔悴中の女性は、心理学的に、突然後ろから男性に声をかけられると多大なる恐怖を覚えてしまうもの。かといって真正面から近寄れば、かえって本人にこちらの威圧感を与えかねないのだ。だから人間の殆どが右利きで、その利き腕が万一の防御時に大きな可動域を得られる左斜め前から、静かに歩み寄るという配慮をとったのであった。
「はっ」
綾羽はミントの声をきいて、すぐに椅子から立ちあがった。
ミントが左斜め前の空いている椅子に座る前に、申し訳ない顔で大きく頭を下げる。
「申し訳ありませんでした! 私のせいで、こんな事に」
「謝らなくていいよ。相手が一方的に殴りかかったそうじゃないか、君は何も悪くない」
「でも、そのせいでバンブーさんが…」
「バンブーならさっき、手当を終えたばかりだと連絡があったよ。幸いにも軽いケガで済んだのと、本人はケロッとしている。あとは診断書が出来しだい、すぐに帰宅するそうだ」
そういって、ここはミントから先にゆっくりと腰かける。社長のそんな仕草を見て、ここは自分も座らないと失礼に値すると判断したのか、綾羽も続けて椅子に腰かけた。
真正面で向かい合っていないのが、傍から見れば少し不自然に感じるかもしれないが、これも前述した心理学的配慮によるものである。ミントが、もの悲しい表情で綾羽にきいた。
「それより、綾羽さんこそとても怖い思いをしたんじゃないか? 病欠明けにモニタリングを依頼された直後、まさかあんな野蛮な奴に襲われるとは思いもしなかっただろう。会社としては、綾羽さんの様な大切なスタッフを襲おうとした男の行為は当然許さないし、もし綾羽さんの知っている範囲であれば、その男の特徴や顔見知りの有無を教えてくれる?
もしかしたら、警察の手では届かない方法で、相手を合法的に制裁するための策がこちらで練られるかもしれない。先日、俺からグループチャットに送ったかの不審者情報と、同一犯である可能性も踏まえてね」
すると数秒ほど、綾羽が口を紡ぐような素振りを見せてはふと、右斜め前の廊下を歩いていた警官へと目をやり、すぐに目線を俯き加減へと戻した。
その様子から、ミントはなんとなく察したものだ。おそらく彼女は当たり障りのない「嘘」をつこうとして、でも先の聴取で既に警察には事実を伝えているので、ここで嘘を言っても遅かれ早かれバレると。
すると、綾羽は言葉を選ぶようにこういった。
「あの人は… 私が、東京へ引っ越す前までに同棲していた、元カレです」
その瞬間、ミントは内心「やはり」と確信を得た。
でも、その思惑を敢えて表情には示さない。寧ろここで真実を言ってくれている“今”をチャンスと捉え、更に綾羽との会話を進めた。
「そうだったんだな… それで、まさかこんな事になるなんて。一応聞くけど、なんでその人と別れたの?」
「彼は、とても暴力癖のある人でして。でも、私も当時は彼が初めての彼氏だったから、依存していたのかもしれません。それで、自分がもっとちゃんとしていれば彼が許してくれると思って、ずっと引きずり続けて… すみません。こんな話されるの、嫌ですよね?」
「気にしなくていい。こちらから質問した以上、どんな話も聞き入れる覚悟はできてる。可能なら、このまま続けて?」
「っ… はい」
そういうと、綾羽は自身のワンピースの裾をぎゅっと握りしめ、こう続けた。
「当時、勤務先の残業が増えたのを理由に、彼に酷く怒鳴られて… 言い訳をしていたら、その翌日に、彼がいつの間にか勝手に私の印鑑を使って、会社に退職届を出したんです…! その日は『手違いだ』と会社に報告したけど、何故かその事が彼に知られて、余計殴られて」
「…」
「そのせいで、更にその翌日には私とのハ… ううん、ごめんなさい! これ以上は、言えません…! グスッ それで、もうその職場にはいられなくなって… このままだと人生狂わされると、目が覚めて… 夜逃げ、しました。彼にバレないよう、東京に! うぅ」
綾羽の目から、大粒の涙が流れ落ちる。
ミントとしては、これで全ての合点がいった。
先日、彼がバンブーに依頼したのは、その問題の男性にバンブーが上手いこと話しかけ“友達”になることで彼を喫煙スペースから遠ざけ、レンタル彼女達の不安を取り除くというもの。だからミントはその日の夜、男性の似顔絵を描いてそれをレンタル彼女たちのグループチャットに送信。不審者がいるから気を付けて、と注意喚起を促したのだ。
するとそのチャットを既読した女性の一人が、すぐに病欠シフトキャンセルの連絡を入れてきた。それがこの綾羽だったのだ。つまりあの男性は綾羽と顔見知りであり、奴はどこかから綾羽が合同会社オレガノで働いているとの情報を聞きつけ、わざわざ上京。あの日クミンに「顔写真一覧を見せろ」と脅してきたのだと推測できた。
そしてそれ以来、バンブーが裏で引っ張ってくれたお陰で男性の影が見えなくなったタイミングで、ミントは再度チャットに「不審者は見かけなくなった」と送信。すると、その後に綾羽から体調が戻ったとの振替シフト申請が入り、今日に至るのであった。綾羽の体調不良は、実はその元カレかもしれない似顔絵を見て恐怖していたゆえの「嘘」であった。
きっと、あの男性が上京した理由も碌なものではないのだろう。
そう考え、ミントはこれ以上、綾羽と男性との関係を深堀りしない事にした。それより、法律をある程度知っている側からすればとても聞き捨てならない情報がある。ミントは同情からの更なる質問をした。
「よく、生きて東京に来れたよ。とても苦しい思いをしてきたんだな… 綾羽さんがそれだけ必死だったのは、今回の傷害事件をきいても手にとってわかる。そんな酷い男に、言葉と拳で言いくるめられ、委縮して、視野が狭くなっていたのかもしれないよ」
「う、うぅ…」
「一点、確認したい。その元カレと別れるために、東京へ夜逃げしてから、どれ位経つ?」
「グスッ 二年半、です」
「なら、まだ制裁のチャンスはあるな。彼が君の職場によこした退職届の送付やハ… ゴホン! “バラマキ行為”は、立派な私文書偽造罪および名誉毀損だ。これらの時効は早くても三年だから、今から弁護士を通して訴訟を起こせば莫大な慰謝料を請求できるだろう。それだけ、その男は綾羽さんの人生を狂わせたんだ。俺も、スタッフを脅かされた経営者の一人として徹底的に戦うし、出来る限り協力する。だから、自分を責めないで」
ミントがそういうと、綾羽は両手で顔を覆いながら泣いた。泣きじゃくった。
ミントはそんな綾羽を決して責める事なく、本人の気持ちが落ち着くまで静かに待った。
その様子を少し遠くから見つめていたクミンも、綾羽の忌わしい過去にはちょっぴり同情したものの、内心少しだけ嫉妬したのはいうまでもない。
(つづく)
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