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プロローグ タケノコ村とキノコ村
第十九話 わからない正解
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イアンの口調は極めて静かなものだった。怒りではなく、呆れ、諦めの感情が篭もっていたように感じる
「…まず偵察任務の結果だが、何一つ得られなかった。まあ、これは皆知ってるよな、馬鹿なやつのせいで話が広がりすぎてるしな」
馬鹿なやつ とはキクの事だろう。今までで類をみない独りよがりなキクの暴挙は、キノコ村全体に広がっていた
「そしてそう。馬鹿なこいつとはキクのことでーす。じゃーん」
冷徹な声で隣にいるキクを指差す
たちまち自体をくわしく知らない人から声がアガってくる。
「あいつって…パアワさんに口答えした…」
「やりそう」
「根っからの馬鹿なんだろなぁ…」
「…………黙れ、奴隷かよ」
周囲の聞こえた声にキクが反応する。目すら合わせない。
「そしてそして、あろうことかキクに協力し作戦の趣旨とは大きくかけ離れてしまった原因がこいつら~」
次見せしめにされるのはハルとカイム
「くそ……どうして、」
ざわめきが広がるのが屈辱でたまらない。
一応、タケノコ軍を倒したじゃないか
一応、ヤミに傷を与えたじゃないか
ーーーそもそも、俺達は死ぬ前提で行ったんじゃないか
何も持ち帰らない予定だったのに、いざ持ち帰らなかったらこれなんて理不尽……
そうかんがえたところで、気付く。すべて言い訳であることに
ーーでも、キクを見殺しにしなかった選択は正しかった。はずだ。
そんな自信も、周囲のざわめきとともに失われてゆく。全身から力がぬける感覚だった。
「さぁ…みんなはこいつらをどおしたい?」
「退団」「退団しましょう」「退団するべき…っ!です!」「…………………………」
「殺したほうが良いです」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」
退団コールが響いたとき、シズを見つけた。
シズは自分だけを、静かに見つめていた。
あぁ…誰も、傷付けないって、
今日、何人殺しただろうか。
5人、少なくともそれ以上は確実に殺した。
一人の命とタケノコ軍の大勢の命、それを天秤にかけて、自分は量より質を選んだ。一つ一つに価値のある命だというのに
後悔だ。後悔だけだ。後悔しかない。
……入って数ヶ月でクビか。
これからどうしようか。また貯金を切り崩してボソボソと生活する日々が始まるのか。笑顔になることなど1日もないあの日が。レイに救われるまえの人生に、逆戻りしてしまうのか
そうだ。レイ レイが。
ーー期待を、裏切ってしまった。
あれだけ強くなるとか生き残れるとか言っておいてこのザマだ。自分の存在でレイに迷惑をかけてしまった。
喪失感を撫でるように冷徹な声がゆっくり響く
「……まあ、村の意見はそんなとこだ。詳しいことは上級で決めようじゃないか、じゃ、解散」
…これから3人は、上級の部屋に連れてかれて退団についての詳しいはなしを行う…ということだろうか
喪失感、喪失感だけ、喪失感しかない、喪失感だけが、喪失感たった一つだけで、ハルの感情はコントロールされる。支配される。
「……クソが」
「ごめん……キク……俺が出しゃばったんだ…」
「…ハァ?何いってんだてめえ、俺達は何一つ悪くねぇだろうが。」
「キクおまえ…いいやつなんか悪いやつなんかわかんねぇな」
「よく聞けよカイム。悪いのは価値観の狂った殺戮マシーンのイアンだ。あいつなんかもうすぐ死ぬ。清々するぜ」
「それは流石に言い過ぎたよ…キク」
「喋るな、お前ら 行くぞ」
イアンはそう言い残して背を向け、上級の部屋につれてこうとする。抵抗はできない。
「………」
(聞こえてんだよ……くそ)
イアンは心の中の言葉を心の中で放ち、あるき始めた
「…まず偵察任務の結果だが、何一つ得られなかった。まあ、これは皆知ってるよな、馬鹿なやつのせいで話が広がりすぎてるしな」
馬鹿なやつ とはキクの事だろう。今までで類をみない独りよがりなキクの暴挙は、キノコ村全体に広がっていた
「そしてそう。馬鹿なこいつとはキクのことでーす。じゃーん」
冷徹な声で隣にいるキクを指差す
たちまち自体をくわしく知らない人から声がアガってくる。
「あいつって…パアワさんに口答えした…」
「やりそう」
「根っからの馬鹿なんだろなぁ…」
「…………黙れ、奴隷かよ」
周囲の聞こえた声にキクが反応する。目すら合わせない。
「そしてそして、あろうことかキクに協力し作戦の趣旨とは大きくかけ離れてしまった原因がこいつら~」
次見せしめにされるのはハルとカイム
「くそ……どうして、」
ざわめきが広がるのが屈辱でたまらない。
一応、タケノコ軍を倒したじゃないか
一応、ヤミに傷を与えたじゃないか
ーーーそもそも、俺達は死ぬ前提で行ったんじゃないか
何も持ち帰らない予定だったのに、いざ持ち帰らなかったらこれなんて理不尽……
そうかんがえたところで、気付く。すべて言い訳であることに
ーーでも、キクを見殺しにしなかった選択は正しかった。はずだ。
そんな自信も、周囲のざわめきとともに失われてゆく。全身から力がぬける感覚だった。
「さぁ…みんなはこいつらをどおしたい?」
「退団」「退団しましょう」「退団するべき…っ!です!」「…………………………」
「殺したほうが良いです」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」「退団」
退団コールが響いたとき、シズを見つけた。
シズは自分だけを、静かに見つめていた。
あぁ…誰も、傷付けないって、
今日、何人殺しただろうか。
5人、少なくともそれ以上は確実に殺した。
一人の命とタケノコ軍の大勢の命、それを天秤にかけて、自分は量より質を選んだ。一つ一つに価値のある命だというのに
後悔だ。後悔だけだ。後悔しかない。
……入って数ヶ月でクビか。
これからどうしようか。また貯金を切り崩してボソボソと生活する日々が始まるのか。笑顔になることなど1日もないあの日が。レイに救われるまえの人生に、逆戻りしてしまうのか
そうだ。レイ レイが。
ーー期待を、裏切ってしまった。
あれだけ強くなるとか生き残れるとか言っておいてこのザマだ。自分の存在でレイに迷惑をかけてしまった。
喪失感を撫でるように冷徹な声がゆっくり響く
「……まあ、村の意見はそんなとこだ。詳しいことは上級で決めようじゃないか、じゃ、解散」
…これから3人は、上級の部屋に連れてかれて退団についての詳しいはなしを行う…ということだろうか
喪失感、喪失感だけ、喪失感しかない、喪失感だけが、喪失感たった一つだけで、ハルの感情はコントロールされる。支配される。
「……クソが」
「ごめん……キク……俺が出しゃばったんだ…」
「…ハァ?何いってんだてめえ、俺達は何一つ悪くねぇだろうが。」
「キクおまえ…いいやつなんか悪いやつなんかわかんねぇな」
「よく聞けよカイム。悪いのは価値観の狂った殺戮マシーンのイアンだ。あいつなんかもうすぐ死ぬ。清々するぜ」
「それは流石に言い過ぎたよ…キク」
「喋るな、お前ら 行くぞ」
イアンはそう言い残して背を向け、上級の部屋につれてこうとする。抵抗はできない。
「………」
(聞こえてんだよ……くそ)
イアンは心の中の言葉を心の中で放ち、あるき始めた
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