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プロローグ タケノコ村とキノコ村
二十五話 新たな道
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昨日の夜は壮絶だった。辺りを歩くだけで目線を静かに浴びたり、シズに長時間称賛の言葉を送られたりと、少なくとも承認欲求は1年分は満たされている
そして今日。正式に自分たちは…
「…っても、賃金上がるのとバッチ変わるだけかよ」
そうカイムが言う。胸には四角形の小さく輝くバッチがつけられていた。
今日、カイム、ハル、キクの三人は4級へと昇格した。理由は言うまでもない
底辺から一段階上がっただけで、特に利益はないし、キノコ軍全体は4級の人数が一番多いのだ
「ヤミを倒したんだぞ。上級にしてくれてもいいのに、クソ」
「もう上級は3人揃ってるし…入らなくてもいいでしょ………」
「うるせえ…俺はお前らと馴れ合わないからな、部屋に戻る
てかどうしたハル。暗くねえか?」
「いや…」
シズと会っていない。ハルは今日。シズを一切見ていない
部屋が変わったのだろうか?それともなにか不幸に…
「…なんでもないよ」
あまり詮索したくない。その思いでハルは静かに答える
このあと特にやることはない。任務もない。今日は自分達はフラフラと街を歩いてても許される休日だ。のんびりと考えていよう
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キノコ村の北西には、廃墟がある。いつ誰が使っていたのかわからない廃墟が、更にそこを進むと、何か建物の集まりがあるらしい。しかしそこに侵入し、帰ってきたものは一人もいなかった。
半ば都市伝説のような話だが、実際に行方不明者が出ており、"そこ"に何かがいるのだと噂されていた
だから昔のキノコ軍たちはこの廃墟の先を施錠し、入れないようにした。今も定期的に、廃墟の探索が行われている。そんなとき
「…、ぐえっ…」
一人の男が、血を吐きながら横たわる
胸につけているのはルビーのように輝く赤色のバッチ。そのバッチさえも血で汚れ、神々しさが消えている
「なん…っだよっ…はあ…俺は…ここの廃墟の探索に来ただけだっての…」
「……クッ…フフ…なんと哀れな…」
「化け物が…廃墟の先に生物がいるとか、聞いてねえ…ッ、しかもなんで俺達の言葉で通じるんだ…」
「私達ハ精密な生き物だからだ。君達に存続を邪魔されながらも、君達よリ長く生き抜いてきた。」
「存続を邪魔って…ぐあっ…キノコ軍がここを施錠したこと…?」
「その通リ。施錠を解いたとしても外で地獄が起こってるかもしれない…そのような"見えない恐怖"のせいで、私達は外の世界へ出ることができなかった。」
「…流れ的に、この先に入ったやつが帰ってこなかったのは、お前らが殺したのか…」
「…………………イ因果応報 だ」
「っぁ!」
弱った男を吹き飛ばす。もう男には抵抗できる気力は残ってない
「はあっ…はあっ…!」
一緒に探索に来たキノコ軍たち7人は自分以外全滅した。その中でも最年少だった新人の女も、無惨に血を垂れ流し、地に這いつくばって死んでいる
「…くっっそおお…っ」
「…貴様の名は?それだけオぼえて殺してやル」
「……パアワ だ。お前は?」
「我々に個人の名は存在しないが…まあいい。強いて言うのなら…
アポロ族の"アガレズ"だ。」
「……アポロ族!?!?!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハルたちが4級になった数時間後
血みどろのパアワがキノコ軍に帰還した
その凄惨な姿に周りの人達がザワザワとどよめいていて、昨日の夜にお祭りムードは何処にもない
「!?おいっ!大丈夫かっ!!!パアワっ!!」
「はあ…レイ、悪い…連れの皆、守れなかった…」
「…ったけのこ軍に合っちまったのか!?
まさか…アデルとか…」
「いや違う…幽霊みたいなやつだ…人間の見た目をしてないのに…言葉が通じて…っう……」
「…廃墟の先?ってことか?その先に入ったのか?」
「…ちがう…たまたま居合わせただけだ…会っちまった…」
「…都市伝説、じゃねえの…?」
「そんなわけな…いの、一級のお前が一番しってるだろ。 アポロ族だ……アポロ族は存在したんだ。廃墟の先に…っ!アポロ族がいてっ…!皆!!殺しちま」
そこまで言って、パアワは倒れた
「っくそ!死ぬな頼む!医療室!」
医療班の人達が冷や汗を流しながらパアワを運ぶ。
この一連の悲惨な光景を、ハル、カイム、キクは
部屋の窓から見ていた
「おいおい…部屋で楽しく打ち上げ(キクは無理矢理)してたのによお…ヤミ倒した次の日はなんだ…!?」
「アポロ族って言ってたよね…あれ、都市伝説じゃないんだ…俺達の祖先っていう…」
「ちっ!人間の戦いの次は都市伝説の幽霊とも戦わなきゃいけねえのか?俺達はよお」
「そういうことだね…ますますキノコ軍が…追い詰められていく…!」
こうして
新たな地獄が 始まろうとしていた
そして今日。正式に自分たちは…
「…っても、賃金上がるのとバッチ変わるだけかよ」
そうカイムが言う。胸には四角形の小さく輝くバッチがつけられていた。
今日、カイム、ハル、キクの三人は4級へと昇格した。理由は言うまでもない
底辺から一段階上がっただけで、特に利益はないし、キノコ軍全体は4級の人数が一番多いのだ
「ヤミを倒したんだぞ。上級にしてくれてもいいのに、クソ」
「もう上級は3人揃ってるし…入らなくてもいいでしょ………」
「うるせえ…俺はお前らと馴れ合わないからな、部屋に戻る
てかどうしたハル。暗くねえか?」
「いや…」
シズと会っていない。ハルは今日。シズを一切見ていない
部屋が変わったのだろうか?それともなにか不幸に…
「…なんでもないよ」
あまり詮索したくない。その思いでハルは静かに答える
このあと特にやることはない。任務もない。今日は自分達はフラフラと街を歩いてても許される休日だ。のんびりと考えていよう
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キノコ村の北西には、廃墟がある。いつ誰が使っていたのかわからない廃墟が、更にそこを進むと、何か建物の集まりがあるらしい。しかしそこに侵入し、帰ってきたものは一人もいなかった。
半ば都市伝説のような話だが、実際に行方不明者が出ており、"そこ"に何かがいるのだと噂されていた
だから昔のキノコ軍たちはこの廃墟の先を施錠し、入れないようにした。今も定期的に、廃墟の探索が行われている。そんなとき
「…、ぐえっ…」
一人の男が、血を吐きながら横たわる
胸につけているのはルビーのように輝く赤色のバッチ。そのバッチさえも血で汚れ、神々しさが消えている
「なん…っだよっ…はあ…俺は…ここの廃墟の探索に来ただけだっての…」
「……クッ…フフ…なんと哀れな…」
「化け物が…廃墟の先に生物がいるとか、聞いてねえ…ッ、しかもなんで俺達の言葉で通じるんだ…」
「私達ハ精密な生き物だからだ。君達に存続を邪魔されながらも、君達よリ長く生き抜いてきた。」
「存続を邪魔って…ぐあっ…キノコ軍がここを施錠したこと…?」
「その通リ。施錠を解いたとしても外で地獄が起こってるかもしれない…そのような"見えない恐怖"のせいで、私達は外の世界へ出ることができなかった。」
「…流れ的に、この先に入ったやつが帰ってこなかったのは、お前らが殺したのか…」
「…………………イ因果応報 だ」
「っぁ!」
弱った男を吹き飛ばす。もう男には抵抗できる気力は残ってない
「はあっ…はあっ…!」
一緒に探索に来たキノコ軍たち7人は自分以外全滅した。その中でも最年少だった新人の女も、無惨に血を垂れ流し、地に這いつくばって死んでいる
「…くっっそおお…っ」
「…貴様の名は?それだけオぼえて殺してやル」
「……パアワ だ。お前は?」
「我々に個人の名は存在しないが…まあいい。強いて言うのなら…
アポロ族の"アガレズ"だ。」
「……アポロ族!?!?!」
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ハルたちが4級になった数時間後
血みどろのパアワがキノコ軍に帰還した
その凄惨な姿に周りの人達がザワザワとどよめいていて、昨日の夜にお祭りムードは何処にもない
「!?おいっ!大丈夫かっ!!!パアワっ!!」
「はあ…レイ、悪い…連れの皆、守れなかった…」
「…ったけのこ軍に合っちまったのか!?
まさか…アデルとか…」
「いや違う…幽霊みたいなやつだ…人間の見た目をしてないのに…言葉が通じて…っう……」
「…廃墟の先?ってことか?その先に入ったのか?」
「…ちがう…たまたま居合わせただけだ…会っちまった…」
「…都市伝説、じゃねえの…?」
「そんなわけな…いの、一級のお前が一番しってるだろ。 アポロ族だ……アポロ族は存在したんだ。廃墟の先に…っ!アポロ族がいてっ…!皆!!殺しちま」
そこまで言って、パアワは倒れた
「っくそ!死ぬな頼む!医療室!」
医療班の人達が冷や汗を流しながらパアワを運ぶ。
この一連の悲惨な光景を、ハル、カイム、キクは
部屋の窓から見ていた
「おいおい…部屋で楽しく打ち上げ(キクは無理矢理)してたのによお…ヤミ倒した次の日はなんだ…!?」
「アポロ族って言ってたよね…あれ、都市伝説じゃないんだ…俺達の祖先っていう…」
「ちっ!人間の戦いの次は都市伝説の幽霊とも戦わなきゃいけねえのか?俺達はよお」
「そういうことだね…ますますキノコ軍が…追い詰められていく…!」
こうして
新たな地獄が 始まろうとしていた
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