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ニ章
第五十六話 決断
しおりを挟む「…………すご…いな」
ハルを戦闘に全員がニグに駆け寄る
「少し気になるな、君はなぜその様な力を持っている?どこでそんな」
「身体能力と歴戦の目ェだよ、ドーピングなんてしてねぇ」
「霧とか使わず…!?あ、」
カイムが霧というワードをあげる
そのあとバツが悪そうに口を閉じた
カイムのことも改めて気になるがソレは後だ
ーーと、そのとき遠くから声がした
「おーーい!!!」
「レイさん!?」
振り返ると先程街の人の避難に行かせた上級3人が戻って来ていた
「避難し終わったとおもったら急にすげえ音でさ…みんな生きてるし戦いは好調って………とこ………か?」
「ん?パアワ…?えっ」
「ーーー二グ!!!?!?」
「よぉ、」
上級達はどうやら二グについて知っているようだった
ハル達はソレについて言及しようと声をあげかけたが、一つ重要なことを思い出し、気持ちを切り替える
「ーそうだ!!アデルはまだ死んでません!多分…ヨツンヴァインが起き上がったときに何処かへ…」
「ここですよ」
「!!!!」
振り返るとアデルは、倒れたヨツンヴァインの足に立っていた、
「今まで隠れていたのかァ、俺がいるから」
ニグがそういうとアデルは目を細める
「――否定はしないですよ。“私はこの場所で最強ではない“」
「ーーなぜ逃げない、アデル」
「…はぁ」
「この状況…勝てると思っているのか?みんなの避難は完了した、もう誰も殺せない、帰れ!!」
レイが睨みつけそう言う
アデルはその言葉が耳障りだとでも言うように頭をふる、そして叫ぶ
「まだ……ッ!!!まだ終わらない…!!!!
興味深い人間がいる!!ハル!アガレズ!」
「…はぁ!?」
「あなた達をこのまま逃がすわけにも行かない…確実に、全てを知るために、不死鳥様に首を持って行くまでは…っ!」
「……っ」
ぞわりと背筋が凍る、彼は今狂気に満ちている
いや、常に狂気に満ちてはいたが、いまの精神状態は尋常ではない
「だからこの……ヨツンヴァインを使わせていただきます」
「グオオオオオオオオオオ!!」
その瞬間、ちょうどヨツンヴァインが起き上がる
だが、アデルは重力には逆らわず、ヨツンヴァインの腰に張り付いていた
「!!浮いてる?」
「ちがう!右手にアンカーみてぇなのがある!あと…隠してるつもりだろうけど…左手の奥にレーザー銃を持ってる
ヨツンヴァインが目に入ったものにしか敵意を示せないことに気付かれたんだ」
「……なるほどなァ、こっすいねぇ…」
ヨツンヴァインは、切断された片足などなかったかのように、四足歩行の体勢になり(三足歩行だが…)この状態で戦うつもりだ
つまりアデルは、ヨツンヴァインの目に入らない
腰に道具を使って張り付き、最後に暴れる巨人の被害から免れながら、レーザー銃でハル達を殺すつもりだろう
「聞こえてるかァ!!?恥ずかしくねぇのかタケノコヤロー!!そんなこっすい手でェ!!その持ってる銃多分おれが落としたやつだわ!」
「落とすなよ!二回目!!」
「恥ずかしいだと……?
ッッッッッッッッくだらない感情だあああああッッッッ!!!!!!!」
アデルは目をがんびらき、ニグに向かい叫ぶ
「うぉっ…!うるせぇな…急に…」
「虎の威を借りる事に何の違和感がある!?命を!命を奪いさえすればぁ!!!!命を!!不死鳥様の下へ届けられれば!!何も関係は無いのですよ……ッ!!たとえーーーっ!!私の命が散ろうともオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!」
力いっぱい、必死に、声で殺してくるかのように、地面に突っ立っている人間たちを睨みつける
何もわからない、だが、アデルという男には不死鳥という存在がこびりついていて、病的なまでにソレに執着していることはわかる
「アデル…」
カイムが落胆したように声を漏らす
「カイム!!来るぞォ!!!」
途端 ヨツンヴァインがドシンドシンと進み始める
「うおおおお!!、?俺か!!?」
残された片足を跳ねるように使い、腕でバランスをとりぴょんぴょんと迫るヨツンヴァイン
横に長くなったそれは新鮮な恐怖をもたらした
キクは危機一髪で避け、代わりにヨツンヴァインは大岩に激突する
「っ!!」
振り返るとアデルがキクに向かって銃を向けていた
「いや!!まてゃぁぁ!!?!?」
奇妙な声を上げ剣を構えるが、この距離から銃に勝つすべはない、
ビッ
という音とともに、キクが腕を押さえる
「………っ!!くそが…」
「大丈夫!?キク!!」
「俺を心配すんじゃねぇハル!こんなん無事だ!!それよりも二グ!!これなんとかできるのお前しかいねぇぞ!!!」
「ーー球切れだァ、安心しろ」
「はああああ????!!!」
ーーと、言っているとことは別の場所からアガレズ、パアワ、イアン、カイムがたいせいを立て直そうとしているヨツンヴァイン…あるいはアデルむ向かいって剣を振るう
「はあああああ!」
「っああっ!!」
「無駄ですよ!!!ヨツンヴァインに剣は効かないッ!」
そう言い、素早く銃を連射する
「が」
「痛」
「まっ…」
この世界では、銃などろくに普及してはいない
恐らく初めて使ったであろう銃をここまで正確に使いこなすアデルからは、相当な才能が垣間見えた
なにもできず、4人は地面に転がり落ちる、致命傷ではないものの、確実なダメージとなってそれは現れる
「………おっ前!!皆を…」
「…おお」
銃をリロードするアデルの後ろから、巨人の体を上がってきたレイが立ちはだかる
アデルは剣を持っていない、近距離戦なら、レイが有利だ
「良くも皆を………ッ!!!!」
「っ!!!」
アデルは焦る、左手はヨツンヴァインに張り付くためのアンカー、右手は剣を防げない銃、これでは戦えないーー
と、思った瞬間、瞬時にひらめきでヨツンヴァインにレーザー銃を撃ち込む
「ギャ!!!」
倒れたヨツンヴァインが体をビクンと震わせる
そのまま暴れたように急に立ち上がろうとする
「っ!!?わ!!待っ………!!!」
「さようなら」
落ちる瞬間のレイの足に銃を撃ち込む
「がはっ!」
血を吐くレイ
、これで受け身を取ることができない
そして
この高さから落ちたらーーー助からない
「レッ…」
「レイ―――――――ッ!!!!」
ニグはハルよりも何倍も大きい声を出し落下するレイへ走る
そしてレイが地面に叩きつけられる瞬間飛び上がり、お姫様抱っこの体勢でキャッチする
「!!ありがとう…ニグ、なんで来てくれたの?」
「フン…下からデケェ音がしてなァ、それにちょうど…」
「くっついてる暇があるか!!???」
そう叫びアデルはニグにレーザー銃を向ける
「っ!!」
このままレイを下ろせばレイが撃たれる
「ーーーっ!」
レイをぎゅっと抱え、それを見たアデルはニグの背中に銃を連発する
「が!はぁ!!!いってええええええええ!!!!」
「ニグ!!レイさんっ!!!」
走り出してきたハルが失礼を承知で二人ごと押し倒し、なんとか岩陰に無理矢理隠れる
ニグの背中は血で赤く染まり、見るも無残な状態とかしていたが、いまはソレどころじゃない
「が、はぁっ………はぁっ………助かったゼェ…、ハル」
「やばい……皆撃たれた…さらにヨツンヴァインの突進まで避けて…こんなの……、どうやって勝つんだよ…」
「レイ、大丈夫だ、レイッ!」
どうやらニグはレイに対してなにかあるようだ
出会ったのはさっきだが、今までで一番感情が動いてるようにみえた
「大丈夫じゃないよ…!……ここで全滅したらあいつらはきっとほかの区域も攻め始める…そうなったら…全滅じゃねぇ…キノコ族が絶滅するッ!!!」
「………っくそ!!!!」
ニグが地面を殴る、ハルその光景を見つめる
このままでは勝てない、でも負けられない、
「ーーー決めろ」
「…?ハル?」
「――俺…なんか変な力、持ってるんだ、雷みたいな………原理は不明だし、そもそも出るかわからないけど…もしそれが出たら、ものすごく強くなれる」
「ーーは?頭おかしくなったのか?」
「俺にもわからないんだよ詳しいことは!でも…本当に、1回だけ、確かに出たんだ…あの力が」
本当に、命の危機に瀕したとき、出た、
「…………ハル…駄目だよ…そんな不明な力…無茶」
「でも…ここで死んだら、誰があいつらをたおせるんですか?」
「…っ」
撃たれて地面にうなだれる仲間たち、打ちひしがれる実力者、絶望する恩人
“ひとのいのちは こんなにもかるいものなのか“
と
失敗 などという言葉は噛み砕き、飲み込み、消化する
「ーーー俺が、倒します」
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