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三章
第六十五話 世界の秘密
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場面は変わらず、前回の続き…
騒がしい
混乱の音、警戒の音、ハル達も含め、その場にいるキノコ軍全員、ニグという男にどれだけ警戒心を込めているのかがわかる
ため息をついたニグは右手を上げ…
いつもの荒々しい口調とは真逆、一直線に何かを見つめるその目で、この空間全てを睨みつける
「ーーー静かに」
ざわざわ、ざわざわと、様々な音が渦巻く空間を一瞬で静止させる
そして、ニグの語りが始まった
ーーーーー
「お前らァ、自己紹介がなくて悪かったな、えと…まずは、俺はニグ、そして…キノコ軍であってキノコ軍ではない。」
「????」
「俺達は政府に公開されてない裏社会の集団…裏のキノコ軍
"オムニバース" だ」
奇天烈な単語が出てきた
裏のキノコ軍 その名もオムニバース
全員の頭にハテナの記号が浮かぶ
まあそうだろうなという風に、ニグは髪を整えながら言う
「このキノコ村からァ…約500キロ離れた上層部…そこに、"オムニバース"は住んでいる、色々な研究をしたりだなァ……いわば、戦わないもう一つのキノコ軍だ」
俺達 といった。それは、ニグのような存在が他にもいるということの裏付けだ。
そこで、モブがひとり叫ぶ
「待てよ…ッ!!住んでるって?!もう一つのキノコ軍だって!?あんた…強いんだろ!!」
そのモブは、ずかすかと聴衆をぬかし進む、その行動には怒りの感情が見え隠れしていた、しかしそれを止めることなどはしない。
みんな、モブと同じ事を思っている
「なんで、戦争の時…とかっ!俺たちを助けなかったんだ…!?いつもいつも死と隣り合わせのなかで、何人も死んだ!!お前がいれば、かてたかもしれないし…!強いくせに…っ!何してたんだよォ!!」
悲痛 だった
彼にもわかっている。ニグという男に事情があることは、察している。ただし、こころがそれを認めない
辛いのだ、己の弱さが
あたりたいのだ、強き者に
その悲痛な顔を凝視し、ニグはモブに向かって歩く。
「…!」
恐怖に包まれる。顔がこわばる
強いものの怒りを買ってしまった。
無意識に、背中に担がれた狙撃銃に視線が揺れる
もう止めることは…
しかし、ニグはスッとモブの前に立ち、凛々しい目でそういった
「本当に すまなかった」
「………へ?」
「理由があるんだ…聞いてほしい」
ニグは、謝罪 した、迷いもなく。
ニグは、冷徹で最強の戦士ではなく、弱いものを思いやる。真の強者 そのような空気を全員が感じ取る
そして悟る、この男は 味方だということを
「俺達が、戦わ買った理由…それはァ
不死鳥が 強すぎるから」
「…うん?」
「…悔しいけどなァ、言葉のとおりだよ。オムニバースは皆、不死鳥と相対した経験がある」
「「「「「「!!!!!!」」」」」」
この世界にとってその言葉は、すべての事象よりも重いものだった。
今に至るまで、不死鳥 とやらがこの世界の最大の敵ということはわかっていた。しかし、
その最大は人間なのか、種族か、そもそも概念的なものなのか、それすら不明であった。
そしてニグは語る
「今からたった7年前、戦争が始まったときはァ、俺は上級候補の優秀な人間だった。小隊を作って森林部を移動していたんだ。その時、偶然出会ったんだ。不死鳥と呼ばれる男に、
タケノコ軍に、指示を出していた」
「…」
全員、黙って聴く。ニグの話に耳を傾けないものなど誰一人として存在しなかった
「不死鳥とやらの顔は覚えてないが…とにかくわかった
"勝てない"ってことがよォ、でも俺達は、若さに任せてそこを突っ込んで戦いを挑んだーーーー。
今でも覚えてる。少し前に笑顔を見せていた仲間が、全員、見てくるんだァ…こっちを…………胴体だけの仲間が…目が無い仲間が…ァ…俺以外、皆死んだ」
背筋がぞわりとした。語っているニグでさえ、拳がふるふると震えていた
「運好く俺だけが生き残って、帰還報告をして、この事は…不死鳥と接敵し、俺以外全滅したことは、
"世界に公表しないという方向"で話が向いた
何故なら、そんな話きィたら、キノコ軍が壊れちまうんじゃないかってさァ
そして俺は不死鳥という世界最大のタブーを知った者として、不死鳥から生き残った最強の戦士として、"この村から戸籍を消し"、政府が作ったオムニバースに入った。
………それが、経緯かなァ。これらの情報は今まで国家機密…知ることができるのは上級のみ…だ
」
「…っ」
圧倒される。話のスケールに。
ハルは背筋が反り返るような雰囲気で体を震わせてきいていた
オムニバースを何故作ったかは考えればわかる。貴重な人材を前線に出さず、世界に公表せず、最終兵器として使うためだ。
「それでェ、なぜそんな秘密の塊みてェな俺がここに来たかって言うと…
俺達はいま、劣勢だから」
「!!」
「詳しく話す。最近オムニバースのメンバーにタケノコ軍の偵察に行かせていてなぁ…定期的な偵察の結果わかったことがある。
タケノコ軍は、何かを作っている。兵器のような、何かを。
ソレに、最近話題だろ?アデルとか霧の力…それもあって、水面下で戦いは激化している」
「まじ…か、」
キクはおもわず声をはっし、周りにいたもの全員がざわざわと声をあげる
「ってことでェ…我々オムニバースは、キノコ軍の戦いに加わる。よろしく、お前等ァ」
簡潔に…締めた
「我々オムニバースってゆーけど…、そのオムニバース、ニグ1人しか知らないんだがな…」
「はは…」
カイムとハルがわざと軽口を飛ばし合う
ニグと同等の実力をもつ集団が戦いに加わる。それは嬉しいことではない。
オムニバースは国家機密、最終カード
それを出すという判断は、今 それだけの状態だということだ。
新たな混乱が、始まろうとしていた
騒がしい
混乱の音、警戒の音、ハル達も含め、その場にいるキノコ軍全員、ニグという男にどれだけ警戒心を込めているのかがわかる
ため息をついたニグは右手を上げ…
いつもの荒々しい口調とは真逆、一直線に何かを見つめるその目で、この空間全てを睨みつける
「ーーー静かに」
ざわざわ、ざわざわと、様々な音が渦巻く空間を一瞬で静止させる
そして、ニグの語りが始まった
ーーーーー
「お前らァ、自己紹介がなくて悪かったな、えと…まずは、俺はニグ、そして…キノコ軍であってキノコ軍ではない。」
「????」
「俺達は政府に公開されてない裏社会の集団…裏のキノコ軍
"オムニバース" だ」
奇天烈な単語が出てきた
裏のキノコ軍 その名もオムニバース
全員の頭にハテナの記号が浮かぶ
まあそうだろうなという風に、ニグは髪を整えながら言う
「このキノコ村からァ…約500キロ離れた上層部…そこに、"オムニバース"は住んでいる、色々な研究をしたりだなァ……いわば、戦わないもう一つのキノコ軍だ」
俺達 といった。それは、ニグのような存在が他にもいるということの裏付けだ。
そこで、モブがひとり叫ぶ
「待てよ…ッ!!住んでるって?!もう一つのキノコ軍だって!?あんた…強いんだろ!!」
そのモブは、ずかすかと聴衆をぬかし進む、その行動には怒りの感情が見え隠れしていた、しかしそれを止めることなどはしない。
みんな、モブと同じ事を思っている
「なんで、戦争の時…とかっ!俺たちを助けなかったんだ…!?いつもいつも死と隣り合わせのなかで、何人も死んだ!!お前がいれば、かてたかもしれないし…!強いくせに…っ!何してたんだよォ!!」
悲痛 だった
彼にもわかっている。ニグという男に事情があることは、察している。ただし、こころがそれを認めない
辛いのだ、己の弱さが
あたりたいのだ、強き者に
その悲痛な顔を凝視し、ニグはモブに向かって歩く。
「…!」
恐怖に包まれる。顔がこわばる
強いものの怒りを買ってしまった。
無意識に、背中に担がれた狙撃銃に視線が揺れる
もう止めることは…
しかし、ニグはスッとモブの前に立ち、凛々しい目でそういった
「本当に すまなかった」
「………へ?」
「理由があるんだ…聞いてほしい」
ニグは、謝罪 した、迷いもなく。
ニグは、冷徹で最強の戦士ではなく、弱いものを思いやる。真の強者 そのような空気を全員が感じ取る
そして悟る、この男は 味方だということを
「俺達が、戦わ買った理由…それはァ
不死鳥が 強すぎるから」
「…うん?」
「…悔しいけどなァ、言葉のとおりだよ。オムニバースは皆、不死鳥と相対した経験がある」
「「「「「「!!!!!!」」」」」」
この世界にとってその言葉は、すべての事象よりも重いものだった。
今に至るまで、不死鳥 とやらがこの世界の最大の敵ということはわかっていた。しかし、
その最大は人間なのか、種族か、そもそも概念的なものなのか、それすら不明であった。
そしてニグは語る
「今からたった7年前、戦争が始まったときはァ、俺は上級候補の優秀な人間だった。小隊を作って森林部を移動していたんだ。その時、偶然出会ったんだ。不死鳥と呼ばれる男に、
タケノコ軍に、指示を出していた」
「…」
全員、黙って聴く。ニグの話に耳を傾けないものなど誰一人として存在しなかった
「不死鳥とやらの顔は覚えてないが…とにかくわかった
"勝てない"ってことがよォ、でも俺達は、若さに任せてそこを突っ込んで戦いを挑んだーーーー。
今でも覚えてる。少し前に笑顔を見せていた仲間が、全員、見てくるんだァ…こっちを…………胴体だけの仲間が…目が無い仲間が…ァ…俺以外、皆死んだ」
背筋がぞわりとした。語っているニグでさえ、拳がふるふると震えていた
「運好く俺だけが生き残って、帰還報告をして、この事は…不死鳥と接敵し、俺以外全滅したことは、
"世界に公表しないという方向"で話が向いた
何故なら、そんな話きィたら、キノコ軍が壊れちまうんじゃないかってさァ
そして俺は不死鳥という世界最大のタブーを知った者として、不死鳥から生き残った最強の戦士として、"この村から戸籍を消し"、政府が作ったオムニバースに入った。
………それが、経緯かなァ。これらの情報は今まで国家機密…知ることができるのは上級のみ…だ
」
「…っ」
圧倒される。話のスケールに。
ハルは背筋が反り返るような雰囲気で体を震わせてきいていた
オムニバースを何故作ったかは考えればわかる。貴重な人材を前線に出さず、世界に公表せず、最終兵器として使うためだ。
「それでェ、なぜそんな秘密の塊みてェな俺がここに来たかって言うと…
俺達はいま、劣勢だから」
「!!」
「詳しく話す。最近オムニバースのメンバーにタケノコ軍の偵察に行かせていてなぁ…定期的な偵察の結果わかったことがある。
タケノコ軍は、何かを作っている。兵器のような、何かを。
ソレに、最近話題だろ?アデルとか霧の力…それもあって、水面下で戦いは激化している」
「まじ…か、」
キクはおもわず声をはっし、周りにいたもの全員がざわざわと声をあげる
「ってことでェ…我々オムニバースは、キノコ軍の戦いに加わる。よろしく、お前等ァ」
簡潔に…締めた
「我々オムニバースってゆーけど…、そのオムニバース、ニグ1人しか知らないんだがな…」
「はは…」
カイムとハルがわざと軽口を飛ばし合う
ニグと同等の実力をもつ集団が戦いに加わる。それは嬉しいことではない。
オムニバースは国家機密、最終カード
それを出すという判断は、今 それだけの状態だということだ。
新たな混乱が、始まろうとしていた
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