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男爵家に生まれた私ことリアラ.アルマルーザが物心ついた時には既に、病弱の母は天に召されていたので実母との思い出は無い。
しかし、それでも10歳の誕生日を過ぎる頃までは最低限、令嬢としての生活を守られ、使用人達にも令嬢扱いをされて来た私の生活に不便は無かった
快適な生活が一変したのは父が再婚し、義母が出来た時からだ。
義母マリアには連れ子で私より1個下の義妹シャーロットが居て、彼女が父そっくりの容姿だった事から全てが変わった
義母マリアは父の幼馴染で初恋の人だった。使用人の子で平民だった為に婚姻は出来なかったけれど、ずっと想い合っていたらしく母と婚姻後も繋がっていたらしい
先日、母方の祖父にあたる男爵が亡くなり、父は晴れて遠慮無く好きな人をアルマルーザ男爵家へ向かい入れたと言う訳だ
私の為に祖父が歳老いても預貯金から毎年纏まった金額を支援をしてくれていたのでずっと恋人の存在を隠していたのだろう。
それが祖父が亡くなった事で表向きに出せなかった秘密の恋人と漸く正式的に伴侶になれた喜びからか、父は私を見ても居ない者扱いに変わり、新しく母になったマリアは以前の使用人を解雇して自分に従順な使用人だけ雇い入れた
義妹のシャーロットは綺麗な私のドレスを欲しがり、義母マリアに全て取り上げられたが私の心は凪いでいた
何故なら、私は前世持ちだからだ
生まれ変わったこの世界でリアラ.アルマルーザとして生きているのを自覚した時、先ずは流行りの異世界転生かと焦ったけれど知っている限り、私がプレイしたゲームや読んだ漫画、小説にリアラの名前は聞いた事が無くて安心したのだ
乙女ゲームだとしても良く有る悪役令嬢でもヒロインでも無く、魔法で魔獣を倒すヒーローも居ない世界なら少なくとも自分が何かに巻き込まれる心配も無い、と。
バリバリの庶民だった過去の私、その記憶が今の私を支えてくれていた
「リアラ、まだご飯は出来ないの?」
「あら、シャーロットはもうお腹が空いたのね?早いけれど夕飯を作りましょうか。先にきなこ棒をちょっとあげるわ。これで我慢して頂戴な」
使用人と同じメイド服しか与えらない私を義妹はわざと使用人扱いして見下すが、もう9歳になる貴族令嬢になった子が仮にも姉を呼び捨てなのは義母の育て方が悪いのだと逆に憐れみの眼差しを向けた
使用人も最初は私を扱き使うつもりで指示出しをして来たが、初日が肝心とばかりにあからさまに鼻で笑ってビンタをくれたらマリアに告げ口に行ったものの、私を怒鳴るマリアに懇々と貴族としての在り方を、女主人の仕事を、彼女が手に持っていた鞭を振るわんばかりだったので即取り上げ、床に鞭を何度も打ち付けて【お話】した所、使用人から無視はされたが偉そうに言われる事は無くなった
お義母様、貴女は平民で無くなったのだから好き放題になんて出来ませんよ?
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