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再生数
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「……………はい、今回の動画はこれまで!もしおもしれぇなって思ったらチャンネル登録と高評価よろしくな!バイバイっ」
俺達は全員で手を振り、笑顔でカメラのレンズを見る。
5秒ほどした後、俺は身を乗り出してカメラを切った。
「いや~、今回の動画は伸びるっしょ!」
「よくて4桁再生だろ、いつも通りの。」
「『やきそば、いろんな調味料で作ってみたら驚きの組み合わせを発見した!』だぜ?人気出るって!」
「んー、有名どころが出してたら人気出るかもしれないけど。僕達みたいな弱小チャンネルだとインパクトが足りない気がするなぁ…。」
美波(みなみ)の言葉を、俺はなるほどと受け止める。もともとは俺と美波のふたりで動画配信を始めた、いわば初期メンバーであり俺の親友だ。ちょっと再生数に対する欲がないのが気になるが、楽しくやれればそれでいいというこいつの言葉には共感している。
「まあ、編集する分には見てておもしろいぞ。少しずつだけど再生数伸びてるし。」
「だよな!だよな!」
東真(あずま)の言葉に、若干安堵する。東真は動画編集能力が高く、こいつが加入してくれたおかげで動画の演出も格段に充実した。
「あはは、ボクは今回の企画好きだよ?今度個人チャンネルでやってみようかな~。」
「おい、お前むしろ個人チャンネルのほうが登録者多いだろ!グループのためにもそれはやめてくれ!」
西幸(にしゆき)はメンバーで唯一自分個人のチャンネルである『にっしーの隠れスタジオ』を開設している。基本的に歌や演奏動画をあげており、隠れスタジオというチャンネルなのに全然隠れる気配もなく再生数をぐんぐん伸ばしている。
「とにかく、まずは投稿しようぜ!東真、編集よろしく頼むわ!」
「あいよ。北都(ほくと)たちは次の動画の企画でもしててくれ。」
「いつも悪いね、東真くん。」
「気にすんな。この中で一番おもしろく編集出来るのはオレだからな。」
「てめぇ!言うじゃんかよ!」
俺は軽く東真を小突く。東真はにやにやとそれを受け止め、美波と西幸はそれを見て笑っている。
俺は動画投稿も好きだが、こうしてこいつらと撮影している時間も好きだ。ゆくゆくはこのメンバーで動画サイトの急上昇ランキング1位を獲得したいものだ。
「さて、東真が編集進めてる間に次のネタでも考えるか。」
「このメンバーでバンドでもやってみようよ。ボクがボーカルね。」
「お前以外が演奏出来るのなんてリコーダーと鍵盤ハーモニカくらいだよ!」
西幸の提案は美波に却下され、西幸はにこにこと腕を組む。期待通りのツッコミが来た、というリアクションだ。
「ゲーム実況とか。人気のゲームなら小学生から大学生まで幅広く見てもらえるよ。」
美波の提案に、俺達はしばらく思考を働かせる。正直、美波以外にまともな意見を出すやつがいない。
「うーん、悪くは無いけど、ボク達よりそれを専門としてるゲーム実況者たちの動画のほうが注目されちゃうんじゃない?」
「たしかになぁ。あ、これはどうだ?『近所の虫を捕まえて調理してみ」
「「それは絶対ない!!」」
美波と西幸からの総ツッコミを受ける。生き物系は結構再生数稼げると思ったんだが。
「………まあ、来週また集まるまでに考えとこうか。東真、悪いけど今日は一旦解散でいい?」
「いいぞ。俺はこのまま編集しとくから、完成したら一旦動画送るわ。」
「ここはお前ん家だしな、東真。お前もなんかいい企画思いついたら連絡くれよ。」
「楽器の練習したくなったらいつでも言ってね、東真くん。」
「楽器なんかやらんわ(笑)まあ企画は編集がてら考えてみるわ。」
そうして、東真家を3人であとにする。俺達はそれぞれ帰宅路につき、美波はコンビニに寄ると言って一足先に別れた。
「ちなみに北都くん的には、今回の動画どれくらい伸びると思う?」
「まあここらでバチッと10万再生狙いてえところだな!」
「10万かぁ…。有名になってからならありえるかもねぇ。」
「おい!もっと再生数に貪欲にいこうぜ!」
「いつも美波くんが言ってるでしょ。楽しい動画が一番だって。ボク達が楽しんでないと、見てておもしろくないでしょ?」
「まあ、たしかになぁ。それでも再生数はやっぱモチベーションに繋がるけどな。」
「それもわかるけどね。みんなが見るようなテレビとかSNSからヒントを貰ってみるとか?やっぱり流行にはどんどん乗っかっていくのがいいかも。」
「いいな、それ。帰ったら見てみるわ。」
と、ここで俺は家に到着したので西幸に別れを告げる。西幸が歩き出したのを確認し、俺は玄関のドアを開けた。
「さて、早速ヒントちゃんに頼りますかね。」
俺はテレビのリモコンを持ち、赤いボタンをピッと押してテレビをつける。
「…続いてのニュースです。本日正午、〇〇駅のホームで人身事故が発生しました。被害者は……………」
「おいおい、また人が死んだのかよ。もっと明るい話題頼むぜ。」
俺はチャンネルを切り替え、人気のバラエティ番組をつける。が、番組の内容はどれも大規模で、俺達が動画に出来るようなリーズナブルな企画はなさそうだ。
「Dwitterはどうだ?みんながいいねしてるつぶやきでもみてみようか。」
『ナメクジに塩かけてみたんだけど、マジでしぼんで焦ったwww』
「やっぱ生き物系注目されるじゃん!あいつらも考え直してくれないかなぁ。」
そうこうしてるうちに日付も変わったので、俺はスマホアプリをしながら静寂な闇の中へと沈んでいった。
────────────────────
「………はい、今回も良い動画になりましたね~メンバー諸君!」
「お前くらいだろ、今回の企画楽しんでんの!」
「コオロギタベチャッタ、コオロギタベチャッタ、コオロギ………」
「オレ、この動画編集するのやめようか。」
「何故かみんなのテンションが低いですが、俺はとっても満足です。てなわけで、画面の前で笑ってる諸君、チャンネル登録と高評価よろしく頼むぞ!!」
俺はひとりで笑顔でカメラに向かって手を振る。他のメンバーはうつむいたり頭を抱えたり目頭を抑えたりしているが、気にせず笑顔で手を振る。
「………っと、こんなとこだろ。いや~お疲れ皆の衆!」
「これっきりにしてくれよ、北都。まーじで気持ち悪い。」
「いくら企画が思いつかないとはいえ、捕まえた虫調理対決なんてどうして許可してしまったんだ…。」
「ボク、今回の企画は嫌いだよ。次やるとしても3年くらい先にしてね。」
俺自身は大いに楽しんだのだが、みんなは不満なようだ。解せない。
「まあまあ。でも今話題の生き物系で攻めたんだから、今回は再生数期待できるぞ!」
「まあねー。前回よりは伸びるんじゃない?」
「ボク、知らずにコオロギまで食べたんだからね?これで再生数稼げなかったら楽器食べるよ。」
今回は早く美味いもんが食べたいという満場一致(俺は単純に美味いもんが食べたいだけ)の意見のもと、俺達4人はラーメン屋へと足を運んだ。そして、食事を終えた俺達はそれぞれ自宅の方向へと歩いていった。
────────────────────
数日後。
「おいおいおーい!今回の動画、1週間も経ってないのにもう10万再生いってんぞ!!」
「うわ、マジか。」
「おい、動画見せんな。オレは編集しながら何回も自分たちが虫を食す様を眺めたんだぞ。」
「ボク、最近はコオロギ見るだけで気持ち悪くなるんだ。あっはは。」
それぞれ否定的なリアクションを取りつつも、今までとは文字通りに桁違いな再生数に喜びの表情を浮かべる。
「やっぱトレンドって大事なんだな、トレンド!西幸のアドバイスのおかげだわ!」
「するんじゃなかった、あんな助言。」
「てめぇのせいか、西幸!次の動画お前が編集しろよ!」
「あ、ボク、いい企画思いついたよ。『ギターの弦でラーメン作ってみた』なんてどうかな?えっへへ。」
壊れてしまった西幸はさておき、この文句を言い合いつつ盛り上がったこの場に俺は満足する。
「まあまあ。今日はもう動画も撮ったことだし、解散しようぜ。みんなもテレビとDwitterチェックしとけよな!」
「僕はビンスタグラムもチェックしとくよ。こっちのほうが精神衛生上よろしそうな内容が多そうだし。」
そうして俺達は解散し、各々自宅へ。
「さて、テレビテレビっと。」
「いやぁ、ゲストの森永さん。どうですかね?今回の事件!」
「そうですねぇ…。やっぱりどんな理由があっても人を殺していいわけが………」
「まぁーた事件かよ!いやな世の中だねぇ、まったく。」
俺はすぐさまチャンネルを変えるが、どこのチャンネルでも殺人事件の話題で持ちきりだ。
「そんなに注目されるもんかね、人が死ぬと。」
今日のところは他にヒントも得られなそうだったので、俺は寝ることにした。
思えば、ここで「他に」と考えてしまったことが始まりだったのかもしれない。
────────────────────
「ほいっ、今日はこれまで!また次の動画で会いましょー!高評価とチャンネル登録も忘れずに!」
俺は笑顔でカメラに向かって手を振る。そしてカメラを切り、3人の方を見る。
「なあなあ、今回は再生数期待出来るんじゃね?」
俺はにこにこと語りかけるが、3人の反応や表情はイマイチといった感じだ。
「それはそうかもしれんが…。北都、最近再生数を気にし過ぎじゃねえか?」
「僕もそう思うよ。流行が大事とは言っても、興味無いことばっかりやってても僕達がおもしろくないよ。」
「ボク、昔のスタイルの方が好きだなー。いくらニュースや番組で話題だからって、知らないゲームやどうでもいいお店行くのも疲れちゃうし。」
「なんだよ。お前らだって再生数増えて喜んでただろ?」
「たしかに最初はオレ達らしい企画で伸びてて嬉しかったさ。だが、最近は視聴者に媚びてる感じがして素直に喜べねえな。」
「ボク達のオリジナリティっていうの?あんまし感じられないよね。再生数伸ばしたいのはわかるけどね。」
「…おい、文句ばっか言ってんじゃねえよ。俺の企画のおかげで再生数もチャンネル登録者数も増えてんじゃねえのかよ、なあ?」
「は?お前一人のちからじゃねえだろ。そもそもどの企画も流行りに便乗した二番煎じじゃねえか?」
「うっせえな!じゃあお前考えてみろよ!」
「ちょっと、ふたりとも…」
美波が俺と東真の間に入り、制止する。
「再生数はたしかに伸びてるし、東真が言ってることも最もだよ。次からはもう少し僕達らしさを押し出してこうか。」
「ボクは正直、東真くんと同意見だよ。このまんまのスタイルなら、ボクは個人チャンネルメインにしてこうかな。」
「おい、西幸!てめぇ裏切るのかよ!」
「裏切るって、人聞き悪いなぁ。再生数を伸ばすにしても、もっといいやり方があるんじゃないかってことだよ。今のやり方はボク達にとって楽しくないよね。」
「もういっぺん言ってみろよ!!」
俺は西幸の胸ぐらを掴み威圧する。西幸は目を細め、俺の顔をじとっと見つめている。
「北都!いい加減頭冷やしなよ!」
美波の声を聞き、俺は乱暴に西幸をつけ離す。
西幸は服の襟をクイッと正し、荷物を持ち上げる。
「美波くんの言う通りだよ。今日はもう帰るから、頭冷やしなよ北都くん。テレビはほどほどにしないとダメだよ?」
「おい、まだ話は終わって…!」
俺が言い終わる前に、西幸は東真の家から出ていってしまう。
「…まあ、今日は帰れやお前らも。このままじゃ空気最悪なまんまだぞ。」
「そう、だね。北都、いこう。」
俺は東真を睨むが、東真はパソコンから視線を逸らさない。
俺と美波は沈黙したまま家を出た。
────────────────────
「んだよ、あいつら…。特に西幸!あいつクッソムカつくぜ。」
帰宅するなり、俺はメンバーたちへの不満を一人零さずにはいられなかった。
「気にせずテレビチェックっと…。」
「殺害予告が出るのはよくあることですが、まさか実行する人も出てくるとはねえ」
「怖い世の中ですよ。こどもの尊い命が………」
「………よくみるなぁ、殺人。」
俺は毎日のように流れる報道と、それに対するSNSの反応を眺める。
これだけの人が、ひとつの報道に対して様々な反応をしている。特に人が死ぬ事件では、自分の考えなどを授業の感想を書くかのように書き込んでいる。
「他人の死は、注目を浴びる……。なるほどなぁ。」
俺は、西幸を空き地へ呼び出す。
台所から包丁を取り出し、カメラを持って家を出る。
「北都、どこいくの?」
家から少し歩いたところで、美波に引き留められる。
「美波か。別に。特に何も無いよ。」
「何も無い顔には見えないよ。すごい顔してるよ。」
そんなに酷い顔をしていたのだろうか。たしかに、俺が今からやろうとしていることはまともとは言えない。まともじゃない顔をしていても当然かもしれない。
「まあ、美波には何もしないからさ。」
「僕には、ってことは、誰かに何かするの?」
こういうとき、美波は鋭い。俺が何か企んでいる時は、昔からこいつに気づかれていることが多かった。
「やめなよ。良くないことしようとしてるんでしょ?」
「やだなぁ、俺らのためにはなるよ。喧嘩も解決するし、再生数も一気に増えるぞ!」
「解決………?再生数って………………まさかお前!」
察したらしい美波が、俺のもとへ駆け寄って腕を掴んでくる。
「どけよ!あいつが気に食わねえし、再生数伸ばす方法も思いつかねえんだからしょうがねえだろ!」
「また再生数かよ!なんでお前はそんなふうになっちゃったんだよ!」
美波としばらく取っ組み合い、そのままふたりして地面に倒れ込む。俺は美波に乗っかられる形になり、身動きが取れなくなる。
「邪魔だっつってんだろ!そんなに言うなら、お前を殺したっていいんだぞ!」
「っ…………!」
すると、美波は動きを止めてうつむく。諦めたかと思い身体を起こそうとしたが、俺を押さえつけるその腕からは力が抜けてなかった。
「やれよ。」
「え………?」
「殺れっつってんだよ、僕を。それでお前は満足するんだろ?」
「いや、勢いで言っちまった冗談で……」
「さっきのお前は冗談を言ってるなんて思えなかったぞ!お前が誰かを殺すところを見るくらいなら、俺が殺されたほうがいいっつってんだ!!」
美波の叫びを聞き、頭の中が掻き乱される。
………いや、乱れていた頭が冷静さを取り戻してきているのかもしれない。
「再生数なんていいじゃんかよ………僕は、お前と一緒にバカやれればそれでいいって言ってんじゃんか………………。」
「美波………」
美波の頬には、涙が少しずつ流れていた。
親友が自分のために涙する様を見て、俺がしようとしたことが狂っていたのだと気付かされる。
「わりぃ、美波………本当に。本当にごめん。」
俺は美波に詫び、腕を美波の胸ぐらから自分の顔に移す。
「西幸にはちゃんと謝っとくよ。再生数がすべてじゃないもんな。お前らに酷いことして伸ばしても意味ねえんだよな。」
「北都…。そうだよ、うん。」
俺達はゆっくり起き上がり、俺は家の中へと歩みを進める。
「ありがとうな、美波。」
「いいんだ、北都。」
俺はそう言い、美波が見守る中玄関のドアをくぐった。
「あぶねえとこだったな。もう少しで人殺しになっちまうとこだったよ。」
「西幸に連絡しとくか。やっぱり空き地にはこなくて大丈夫、それと今日のことはごめんなっと。」
「お、返信だ。『気にしてないよ、ボクこそごめん』か。なんだかんだ良い奴だよな。」
「『再生数伸ばしたいのはわかるから、他の人を傷つけずにすむ方法をテレビとかSNSから探してみようね』とも書いてあるな。うん、我ながら反省すべきだよな。気を取り直してテレビでもみますか!」
「続いてのニュースです。昨日14時頃、高校生が駅のホームから転落し、死亡しました。現場には遺書が残されていたことから自殺であると考えられ……」
また人の死が、世間の注目を集めている。俺はもう殺しなど考えていない。
そして、SNSで反応をチェックする。
@usatan
『自殺なんてかわいそう。いじめが無くならないのはなんで?』
@coron_5656
『友達はいなかったのかな?友達なら守ってあげるべき。先生とか親とかもそう!』
@happy_S
『人に迷惑かけたくないってのはわかるけど、自殺なんかしたら嫌でも注目されちゃうよね。』
あぁ、なるほど。
俺は腰を上げ、カメラの準備をする。
ロープと椅子をセッティングし、カメラの角度を調節する。
支度を全て終えた俺は、カメラを起動させる。
そうだよな。
「別に人を殺さなくても、注目を浴びれるんだよな。」
────────────────────
「ども、みなさん。今日はこの動画を見てくれてありがとう。
ボクは先日、大切な友達を一人失ってしまいました。
何故彼が自殺なんかしてしまったのか、ボクやグループのみんなはわかりません。
でも、ボクたちに出来たことがもっとあったんじゃないかって、とっても後悔しています。
なので、グループチャンネルは今後も3人で続けていきたいと考えています。
彼は動画を撮ること、それをみんなに見てもらうことが大好きでした。
ボクたちはその想いを引き継ぎ、みなさんに楽しんで貰えるような動画を作っていきたいと考えています。
どうか、この4人のグループチャンネルを今後もよろしくお願いします。」
3人で深々と頭を下げる。少しの沈黙の後、ボクはカメラの撮影を、オフにした。
「………もう泣いていいぞ、美波。」
「……………いや、泣かない。北都に笑われるから。」
東真が美波の頭をポンッと叩く。美波は強がっているが、その瞳は真っ赤で目の下にもクマが出来ている。
「この動画、ボクのチャンネルにもあげとくよ。できるだけ多くの人に見て欲しいしね。」
「あぁ、わかった。再生数が伸びるっつって、北都も喜ぶだろうよ。」
東真なりに場を和ませようとしているのだろう。にやにやと笑う素振りを見せるが、いつもよりも少し切ない表情をしている。
「今日はもう解散しよっか。それで、来週からは気持ち切り替えて、ボクたち『4人で』頑張ってこうね!」
「あぁ、そうだな。」
「わかった。ふたりともありがとう。」
───────────────────
ボクは家に到着するとすぐさま個人チャンネルで動画を投稿した。
すると、5分と待たないうちに再生数はどんどん増えていき、コメントが殺到した。
SNSの方も、確認しとかないとね。
@happy_S :通知 0件
あれ、おかしいな。
………あ、そっか。サブアカウントに切り替えたまんまだったっけ。
アカウントをかえてっと………。
@Yukky_24 :通知 126件
よしよし、通知がたんまりだ。
『にっしーさんも辛いよね…。私たちがついてるよ!』
『グループチャンネルの動画、全部見てみたいと思います!3人になっても頑張ってください!』
うん。いい反応だ。これなら今までの動画の再生数もうなぎ登りになることだろう。
よかったね、北都。そしてありがとう。
「君のおかげで、ボクはこんなに注目されてるよ。あっはは!」
俺達は全員で手を振り、笑顔でカメラのレンズを見る。
5秒ほどした後、俺は身を乗り出してカメラを切った。
「いや~、今回の動画は伸びるっしょ!」
「よくて4桁再生だろ、いつも通りの。」
「『やきそば、いろんな調味料で作ってみたら驚きの組み合わせを発見した!』だぜ?人気出るって!」
「んー、有名どころが出してたら人気出るかもしれないけど。僕達みたいな弱小チャンネルだとインパクトが足りない気がするなぁ…。」
美波(みなみ)の言葉を、俺はなるほどと受け止める。もともとは俺と美波のふたりで動画配信を始めた、いわば初期メンバーであり俺の親友だ。ちょっと再生数に対する欲がないのが気になるが、楽しくやれればそれでいいというこいつの言葉には共感している。
「まあ、編集する分には見てておもしろいぞ。少しずつだけど再生数伸びてるし。」
「だよな!だよな!」
東真(あずま)の言葉に、若干安堵する。東真は動画編集能力が高く、こいつが加入してくれたおかげで動画の演出も格段に充実した。
「あはは、ボクは今回の企画好きだよ?今度個人チャンネルでやってみようかな~。」
「おい、お前むしろ個人チャンネルのほうが登録者多いだろ!グループのためにもそれはやめてくれ!」
西幸(にしゆき)はメンバーで唯一自分個人のチャンネルである『にっしーの隠れスタジオ』を開設している。基本的に歌や演奏動画をあげており、隠れスタジオというチャンネルなのに全然隠れる気配もなく再生数をぐんぐん伸ばしている。
「とにかく、まずは投稿しようぜ!東真、編集よろしく頼むわ!」
「あいよ。北都(ほくと)たちは次の動画の企画でもしててくれ。」
「いつも悪いね、東真くん。」
「気にすんな。この中で一番おもしろく編集出来るのはオレだからな。」
「てめぇ!言うじゃんかよ!」
俺は軽く東真を小突く。東真はにやにやとそれを受け止め、美波と西幸はそれを見て笑っている。
俺は動画投稿も好きだが、こうしてこいつらと撮影している時間も好きだ。ゆくゆくはこのメンバーで動画サイトの急上昇ランキング1位を獲得したいものだ。
「さて、東真が編集進めてる間に次のネタでも考えるか。」
「このメンバーでバンドでもやってみようよ。ボクがボーカルね。」
「お前以外が演奏出来るのなんてリコーダーと鍵盤ハーモニカくらいだよ!」
西幸の提案は美波に却下され、西幸はにこにこと腕を組む。期待通りのツッコミが来た、というリアクションだ。
「ゲーム実況とか。人気のゲームなら小学生から大学生まで幅広く見てもらえるよ。」
美波の提案に、俺達はしばらく思考を働かせる。正直、美波以外にまともな意見を出すやつがいない。
「うーん、悪くは無いけど、ボク達よりそれを専門としてるゲーム実況者たちの動画のほうが注目されちゃうんじゃない?」
「たしかになぁ。あ、これはどうだ?『近所の虫を捕まえて調理してみ」
「「それは絶対ない!!」」
美波と西幸からの総ツッコミを受ける。生き物系は結構再生数稼げると思ったんだが。
「………まあ、来週また集まるまでに考えとこうか。東真、悪いけど今日は一旦解散でいい?」
「いいぞ。俺はこのまま編集しとくから、完成したら一旦動画送るわ。」
「ここはお前ん家だしな、東真。お前もなんかいい企画思いついたら連絡くれよ。」
「楽器の練習したくなったらいつでも言ってね、東真くん。」
「楽器なんかやらんわ(笑)まあ企画は編集がてら考えてみるわ。」
そうして、東真家を3人であとにする。俺達はそれぞれ帰宅路につき、美波はコンビニに寄ると言って一足先に別れた。
「ちなみに北都くん的には、今回の動画どれくらい伸びると思う?」
「まあここらでバチッと10万再生狙いてえところだな!」
「10万かぁ…。有名になってからならありえるかもねぇ。」
「おい!もっと再生数に貪欲にいこうぜ!」
「いつも美波くんが言ってるでしょ。楽しい動画が一番だって。ボク達が楽しんでないと、見てておもしろくないでしょ?」
「まあ、たしかになぁ。それでも再生数はやっぱモチベーションに繋がるけどな。」
「それもわかるけどね。みんなが見るようなテレビとかSNSからヒントを貰ってみるとか?やっぱり流行にはどんどん乗っかっていくのがいいかも。」
「いいな、それ。帰ったら見てみるわ。」
と、ここで俺は家に到着したので西幸に別れを告げる。西幸が歩き出したのを確認し、俺は玄関のドアを開けた。
「さて、早速ヒントちゃんに頼りますかね。」
俺はテレビのリモコンを持ち、赤いボタンをピッと押してテレビをつける。
「…続いてのニュースです。本日正午、〇〇駅のホームで人身事故が発生しました。被害者は……………」
「おいおい、また人が死んだのかよ。もっと明るい話題頼むぜ。」
俺はチャンネルを切り替え、人気のバラエティ番組をつける。が、番組の内容はどれも大規模で、俺達が動画に出来るようなリーズナブルな企画はなさそうだ。
「Dwitterはどうだ?みんながいいねしてるつぶやきでもみてみようか。」
『ナメクジに塩かけてみたんだけど、マジでしぼんで焦ったwww』
「やっぱ生き物系注目されるじゃん!あいつらも考え直してくれないかなぁ。」
そうこうしてるうちに日付も変わったので、俺はスマホアプリをしながら静寂な闇の中へと沈んでいった。
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「………はい、今回も良い動画になりましたね~メンバー諸君!」
「お前くらいだろ、今回の企画楽しんでんの!」
「コオロギタベチャッタ、コオロギタベチャッタ、コオロギ………」
「オレ、この動画編集するのやめようか。」
「何故かみんなのテンションが低いですが、俺はとっても満足です。てなわけで、画面の前で笑ってる諸君、チャンネル登録と高評価よろしく頼むぞ!!」
俺はひとりで笑顔でカメラに向かって手を振る。他のメンバーはうつむいたり頭を抱えたり目頭を抑えたりしているが、気にせず笑顔で手を振る。
「………っと、こんなとこだろ。いや~お疲れ皆の衆!」
「これっきりにしてくれよ、北都。まーじで気持ち悪い。」
「いくら企画が思いつかないとはいえ、捕まえた虫調理対決なんてどうして許可してしまったんだ…。」
「ボク、今回の企画は嫌いだよ。次やるとしても3年くらい先にしてね。」
俺自身は大いに楽しんだのだが、みんなは不満なようだ。解せない。
「まあまあ。でも今話題の生き物系で攻めたんだから、今回は再生数期待できるぞ!」
「まあねー。前回よりは伸びるんじゃない?」
「ボク、知らずにコオロギまで食べたんだからね?これで再生数稼げなかったら楽器食べるよ。」
今回は早く美味いもんが食べたいという満場一致(俺は単純に美味いもんが食べたいだけ)の意見のもと、俺達4人はラーメン屋へと足を運んだ。そして、食事を終えた俺達はそれぞれ自宅の方向へと歩いていった。
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数日後。
「おいおいおーい!今回の動画、1週間も経ってないのにもう10万再生いってんぞ!!」
「うわ、マジか。」
「おい、動画見せんな。オレは編集しながら何回も自分たちが虫を食す様を眺めたんだぞ。」
「ボク、最近はコオロギ見るだけで気持ち悪くなるんだ。あっはは。」
それぞれ否定的なリアクションを取りつつも、今までとは文字通りに桁違いな再生数に喜びの表情を浮かべる。
「やっぱトレンドって大事なんだな、トレンド!西幸のアドバイスのおかげだわ!」
「するんじゃなかった、あんな助言。」
「てめぇのせいか、西幸!次の動画お前が編集しろよ!」
「あ、ボク、いい企画思いついたよ。『ギターの弦でラーメン作ってみた』なんてどうかな?えっへへ。」
壊れてしまった西幸はさておき、この文句を言い合いつつ盛り上がったこの場に俺は満足する。
「まあまあ。今日はもう動画も撮ったことだし、解散しようぜ。みんなもテレビとDwitterチェックしとけよな!」
「僕はビンスタグラムもチェックしとくよ。こっちのほうが精神衛生上よろしそうな内容が多そうだし。」
そうして俺達は解散し、各々自宅へ。
「さて、テレビテレビっと。」
「いやぁ、ゲストの森永さん。どうですかね?今回の事件!」
「そうですねぇ…。やっぱりどんな理由があっても人を殺していいわけが………」
「まぁーた事件かよ!いやな世の中だねぇ、まったく。」
俺はすぐさまチャンネルを変えるが、どこのチャンネルでも殺人事件の話題で持ちきりだ。
「そんなに注目されるもんかね、人が死ぬと。」
今日のところは他にヒントも得られなそうだったので、俺は寝ることにした。
思えば、ここで「他に」と考えてしまったことが始まりだったのかもしれない。
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「ほいっ、今日はこれまで!また次の動画で会いましょー!高評価とチャンネル登録も忘れずに!」
俺は笑顔でカメラに向かって手を振る。そしてカメラを切り、3人の方を見る。
「なあなあ、今回は再生数期待出来るんじゃね?」
俺はにこにこと語りかけるが、3人の反応や表情はイマイチといった感じだ。
「それはそうかもしれんが…。北都、最近再生数を気にし過ぎじゃねえか?」
「僕もそう思うよ。流行が大事とは言っても、興味無いことばっかりやってても僕達がおもしろくないよ。」
「ボク、昔のスタイルの方が好きだなー。いくらニュースや番組で話題だからって、知らないゲームやどうでもいいお店行くのも疲れちゃうし。」
「なんだよ。お前らだって再生数増えて喜んでただろ?」
「たしかに最初はオレ達らしい企画で伸びてて嬉しかったさ。だが、最近は視聴者に媚びてる感じがして素直に喜べねえな。」
「ボク達のオリジナリティっていうの?あんまし感じられないよね。再生数伸ばしたいのはわかるけどね。」
「…おい、文句ばっか言ってんじゃねえよ。俺の企画のおかげで再生数もチャンネル登録者数も増えてんじゃねえのかよ、なあ?」
「は?お前一人のちからじゃねえだろ。そもそもどの企画も流行りに便乗した二番煎じじゃねえか?」
「うっせえな!じゃあお前考えてみろよ!」
「ちょっと、ふたりとも…」
美波が俺と東真の間に入り、制止する。
「再生数はたしかに伸びてるし、東真が言ってることも最もだよ。次からはもう少し僕達らしさを押し出してこうか。」
「ボクは正直、東真くんと同意見だよ。このまんまのスタイルなら、ボクは個人チャンネルメインにしてこうかな。」
「おい、西幸!てめぇ裏切るのかよ!」
「裏切るって、人聞き悪いなぁ。再生数を伸ばすにしても、もっといいやり方があるんじゃないかってことだよ。今のやり方はボク達にとって楽しくないよね。」
「もういっぺん言ってみろよ!!」
俺は西幸の胸ぐらを掴み威圧する。西幸は目を細め、俺の顔をじとっと見つめている。
「北都!いい加減頭冷やしなよ!」
美波の声を聞き、俺は乱暴に西幸をつけ離す。
西幸は服の襟をクイッと正し、荷物を持ち上げる。
「美波くんの言う通りだよ。今日はもう帰るから、頭冷やしなよ北都くん。テレビはほどほどにしないとダメだよ?」
「おい、まだ話は終わって…!」
俺が言い終わる前に、西幸は東真の家から出ていってしまう。
「…まあ、今日は帰れやお前らも。このままじゃ空気最悪なまんまだぞ。」
「そう、だね。北都、いこう。」
俺は東真を睨むが、東真はパソコンから視線を逸らさない。
俺と美波は沈黙したまま家を出た。
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「んだよ、あいつら…。特に西幸!あいつクッソムカつくぜ。」
帰宅するなり、俺はメンバーたちへの不満を一人零さずにはいられなかった。
「気にせずテレビチェックっと…。」
「殺害予告が出るのはよくあることですが、まさか実行する人も出てくるとはねえ」
「怖い世の中ですよ。こどもの尊い命が………」
「………よくみるなぁ、殺人。」
俺は毎日のように流れる報道と、それに対するSNSの反応を眺める。
これだけの人が、ひとつの報道に対して様々な反応をしている。特に人が死ぬ事件では、自分の考えなどを授業の感想を書くかのように書き込んでいる。
「他人の死は、注目を浴びる……。なるほどなぁ。」
俺は、西幸を空き地へ呼び出す。
台所から包丁を取り出し、カメラを持って家を出る。
「北都、どこいくの?」
家から少し歩いたところで、美波に引き留められる。
「美波か。別に。特に何も無いよ。」
「何も無い顔には見えないよ。すごい顔してるよ。」
そんなに酷い顔をしていたのだろうか。たしかに、俺が今からやろうとしていることはまともとは言えない。まともじゃない顔をしていても当然かもしれない。
「まあ、美波には何もしないからさ。」
「僕には、ってことは、誰かに何かするの?」
こういうとき、美波は鋭い。俺が何か企んでいる時は、昔からこいつに気づかれていることが多かった。
「やめなよ。良くないことしようとしてるんでしょ?」
「やだなぁ、俺らのためにはなるよ。喧嘩も解決するし、再生数も一気に増えるぞ!」
「解決………?再生数って………………まさかお前!」
察したらしい美波が、俺のもとへ駆け寄って腕を掴んでくる。
「どけよ!あいつが気に食わねえし、再生数伸ばす方法も思いつかねえんだからしょうがねえだろ!」
「また再生数かよ!なんでお前はそんなふうになっちゃったんだよ!」
美波としばらく取っ組み合い、そのままふたりして地面に倒れ込む。俺は美波に乗っかられる形になり、身動きが取れなくなる。
「邪魔だっつってんだろ!そんなに言うなら、お前を殺したっていいんだぞ!」
「っ…………!」
すると、美波は動きを止めてうつむく。諦めたかと思い身体を起こそうとしたが、俺を押さえつけるその腕からは力が抜けてなかった。
「やれよ。」
「え………?」
「殺れっつってんだよ、僕を。それでお前は満足するんだろ?」
「いや、勢いで言っちまった冗談で……」
「さっきのお前は冗談を言ってるなんて思えなかったぞ!お前が誰かを殺すところを見るくらいなら、俺が殺されたほうがいいっつってんだ!!」
美波の叫びを聞き、頭の中が掻き乱される。
………いや、乱れていた頭が冷静さを取り戻してきているのかもしれない。
「再生数なんていいじゃんかよ………僕は、お前と一緒にバカやれればそれでいいって言ってんじゃんか………………。」
「美波………」
美波の頬には、涙が少しずつ流れていた。
親友が自分のために涙する様を見て、俺がしようとしたことが狂っていたのだと気付かされる。
「わりぃ、美波………本当に。本当にごめん。」
俺は美波に詫び、腕を美波の胸ぐらから自分の顔に移す。
「西幸にはちゃんと謝っとくよ。再生数がすべてじゃないもんな。お前らに酷いことして伸ばしても意味ねえんだよな。」
「北都…。そうだよ、うん。」
俺達はゆっくり起き上がり、俺は家の中へと歩みを進める。
「ありがとうな、美波。」
「いいんだ、北都。」
俺はそう言い、美波が見守る中玄関のドアをくぐった。
「あぶねえとこだったな。もう少しで人殺しになっちまうとこだったよ。」
「西幸に連絡しとくか。やっぱり空き地にはこなくて大丈夫、それと今日のことはごめんなっと。」
「お、返信だ。『気にしてないよ、ボクこそごめん』か。なんだかんだ良い奴だよな。」
「『再生数伸ばしたいのはわかるから、他の人を傷つけずにすむ方法をテレビとかSNSから探してみようね』とも書いてあるな。うん、我ながら反省すべきだよな。気を取り直してテレビでもみますか!」
「続いてのニュースです。昨日14時頃、高校生が駅のホームから転落し、死亡しました。現場には遺書が残されていたことから自殺であると考えられ……」
また人の死が、世間の注目を集めている。俺はもう殺しなど考えていない。
そして、SNSで反応をチェックする。
@usatan
『自殺なんてかわいそう。いじめが無くならないのはなんで?』
@coron_5656
『友達はいなかったのかな?友達なら守ってあげるべき。先生とか親とかもそう!』
@happy_S
『人に迷惑かけたくないってのはわかるけど、自殺なんかしたら嫌でも注目されちゃうよね。』
あぁ、なるほど。
俺は腰を上げ、カメラの準備をする。
ロープと椅子をセッティングし、カメラの角度を調節する。
支度を全て終えた俺は、カメラを起動させる。
そうだよな。
「別に人を殺さなくても、注目を浴びれるんだよな。」
────────────────────
「ども、みなさん。今日はこの動画を見てくれてありがとう。
ボクは先日、大切な友達を一人失ってしまいました。
何故彼が自殺なんかしてしまったのか、ボクやグループのみんなはわかりません。
でも、ボクたちに出来たことがもっとあったんじゃないかって、とっても後悔しています。
なので、グループチャンネルは今後も3人で続けていきたいと考えています。
彼は動画を撮ること、それをみんなに見てもらうことが大好きでした。
ボクたちはその想いを引き継ぎ、みなさんに楽しんで貰えるような動画を作っていきたいと考えています。
どうか、この4人のグループチャンネルを今後もよろしくお願いします。」
3人で深々と頭を下げる。少しの沈黙の後、ボクはカメラの撮影を、オフにした。
「………もう泣いていいぞ、美波。」
「……………いや、泣かない。北都に笑われるから。」
東真が美波の頭をポンッと叩く。美波は強がっているが、その瞳は真っ赤で目の下にもクマが出来ている。
「この動画、ボクのチャンネルにもあげとくよ。できるだけ多くの人に見て欲しいしね。」
「あぁ、わかった。再生数が伸びるっつって、北都も喜ぶだろうよ。」
東真なりに場を和ませようとしているのだろう。にやにやと笑う素振りを見せるが、いつもよりも少し切ない表情をしている。
「今日はもう解散しよっか。それで、来週からは気持ち切り替えて、ボクたち『4人で』頑張ってこうね!」
「あぁ、そうだな。」
「わかった。ふたりともありがとう。」
───────────────────
ボクは家に到着するとすぐさま個人チャンネルで動画を投稿した。
すると、5分と待たないうちに再生数はどんどん増えていき、コメントが殺到した。
SNSの方も、確認しとかないとね。
@happy_S :通知 0件
あれ、おかしいな。
………あ、そっか。サブアカウントに切り替えたまんまだったっけ。
アカウントをかえてっと………。
@Yukky_24 :通知 126件
よしよし、通知がたんまりだ。
『にっしーさんも辛いよね…。私たちがついてるよ!』
『グループチャンネルの動画、全部見てみたいと思います!3人になっても頑張ってください!』
うん。いい反応だ。これなら今までの動画の再生数もうなぎ登りになることだろう。
よかったね、北都。そしてありがとう。
「君のおかげで、ボクはこんなに注目されてるよ。あっはは!」
応援ありがとうございます!
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