56 / 98
5章 旅立ちと旅立ち
47話 盗賊の神
しおりを挟む
聖ガイア歴303年 水竜の月 10日
セプトモンス地方 無主地
山間部
グラティア隊はライオットを先頭に進んでいた。山刀で木々を蹴散らし、後進を助ける。
「ライオット」
「フラウロス、なんだ?」
「お前、弓兵だろ。後ろに居た方がいいんじゃねえか?」
「山岳地帯を歩くには、少々コツがいる。お前は、もう少し歩幅を狭くしておけ」
ライオットはフラウロスの足元を指差す。彼の歩幅は幾分か広い。
「ん? こうか」
フラウロスはライオットの足跡をそのまま辿り出した。
「そうだ。その方が疲れない」
「わかった。敵が来たら直ぐに下がれよ」
「あぁ。頼りにしているよ。盾を」
「俺を頼れ、俺を」
「ふっ」
「なんでカッコつけたんだよ、今」
フラウロスは三白眼をより吊り上げた。
隊員の緊張がゆるむ。
「はははは」
「ふふふ」
「はははは。ライオット君、そろそろ休憩にしないか?」
騎士グラティアは頬を緩ませ、近くの水場を指差す。
「分かりました」
---
隊員達は、水場の岩に腰掛けた。
「あ"ぁ……疲れた」
「ラッツあんた、身体が大きいのにだらしないわね」
「うるせえよ。それより水水」
ラッツは空になった水筒に水を汲もうとする。
「ラッツ、ちょっと待て」
「あン?」
ライオットは水場の淵を探り出すと、アウロラガラシを見つけた。
「あ、あった」
「ん? なんだそれ」
「清涼な水を示す草だ。ラッツ、水飲んで良いぞ」
ライオットはそう言って、自分の水筒に水を汲み出した。
ラッツ達も続き、水を浴びるように飲む。
フラウロスは水草を見て、感心したように話した。
「詳しいな」
「ふっ。狩人の必須技能だからな」
「……そうか。今は感謝だな」
フラウロスは水を飲み、川下で盾の表面を磨き出した。
「……ふぅ。ところで、この近くのはずよね? 盗賊のアジトは」
「そうだな。一息付いたら探すか。ライオット君、視線を感じたりは?」
「しません」
「そうか。では、我々のことを見張ってはいないらしいな」
騎士グラティアは冷静に周りを見回した。
すると、髪の毛のように細い糸を見つけた。川上に向かって伸びていた。
「……当たりを引いたらしいな。念の為言うが、鳴子の罠だからな。触るなよ」
「「了解」」
細い糸を辿り、山狩りを続けた。
---
「と、糸はここまでだな」
細い糸は道中で途絶えていた。
足跡や痕跡もなく、手がかりは無い。
騎士グラティアは立ち止まり、隊員に問いかけた。
「隊員諸君、奴らはどうしたと思う?」
騎士グラティアによる追跡の実践問題。
隊員達は、痕跡を探す。
ライオットが何かに気付いたように、木々の上の方を見渡す。
「……後ろめたいことをする奴ってさ、足跡を残したくないよな」
「急になんだ? まァそうだな」
「じゃあ、アレが回答になりそうだな」
ライオットが、ある木を示した。
その木には穴が空いており、付近には泥が付いていた。
「正解だ」
騎士グラティアはニヤリと笑った。
---
盗賊のアジトは川上にある洞窟に造られていた。
滴ってくる雫は簡易的な雨樋で受け、濾過する造り。
「結構良いとこじゃねェか」
ラッツが濾過装置を見ながら、指先で装置を触ると、微かに冷たい。
騎士グラティアが先頭を進む。
フラウロス、ラッツ、デネボラ、ライオットと続く。
ライオットが遅いため、デネボラが振り返る。
「あら、ライオット何しているの?」
ライオット懐からロープを取り出して、洞窟の入り口に何かの配置を始めた。
「ちょっと罠を。皆、出る時気をつけてくれ」
彼がそう言ったのに首肯すると、グラティア隊は奥へ進んだ。
少し進んだ先に木彫りの神像。
神は短剣を逆手に持つ青年だ。
祈りを捧げる部屋のようだが、ライオットは知らない神だ。
「『疾風と好色の神メルクリウス』ね。ウェスペル教国の主神よ」
ライオットの疑問を察したようで、デネボラが振り返って話す。
ウェスペル教国はまだ教化をしていない国家。
「盗賊も神様を信仰してるんだな……」
フラウロスが呟いた。
「そりゃァそうだろ。むしろ、何かを信じない奴がこの世にいんのかァ?」
ラッツが神像の土台部分を見ながら答えた。
土台部分には、裸の男女と短剣が彫られていた。
「言われてみりゃ、そうだな」
フラウロスは神像を細部まで確認してから、興味を失ったように、他の探索をはじめた。
ライオットは洞窟の奥を見据えた。
洞窟はまだまだ続く。
「なぁデネボラ。神メルクリウスは疾風の奇蹟を与えるんだよな?」
「そうよ。きっと敵は身軽ね」
木が激しく打ちつけ合う音が、洞窟内に響き渡った。
鳴子の罠だ。
「なっ……すまん!」
フラウロスの足が見えない糸を踏み締めていた。
「いや良い。構えろ」
騎士グラティアは武器を構え、隊員もそれに続く。
視線。
「見られていますッ!」
ライオットの警告と同時に風切音。
短剣が飛来した。
「来たか」
騎士グラティアは盾でそれを防ぎ、松明を奥に放った。
金属音が残響し、松明が洞窟を僅かに照らし、何者かの足が見えた。
「見えた、追うぞ!」
「「はい」」
鎧の擦れる音や足音が洞窟内に響く。
奥に進むほど、気温が下がり、空気が澱んでいた。
---
しばらく進むと、開けた場所に出た。
突如。
鋭い風が天井近くを吹き抜けた。
風の甲高い音が響き、鎧で覆われていない部分に塵芥を叩きつける。
洞窟内ではあり得ない事象。
「きゃっ!」
「動くなッ!」
デネボラが顔を黒い布で覆った盗賊と思われる男に囚われた。
首筋に冷たい鋼を突き立てられ、彼女は小さく悲鳴を上げる。
「アウロラの騎士様方……武器を捨て、跪け」
「……」
デネボラの首元の短剣。
見覚えがある。
ライオットはそれを睨みつけた。
「青髪の小僧よ。この聖剣が気になるのか?」
ライオットは脳裏に母ミセリアを思い浮かべた。
母は『魔弓』と呼ばれた元聖騎士。
クローネ領で母の短剣を見たことがなかった。母の短剣はどこに?
「これはな? 生意気な聖騎士の女から奪い、我が神の奇蹟が与えられた神聖なる短剣だ」
盗賊は自慢げに短剣を見せつける。
その間、グラティア隊は活路を探そうとするが「早く武器を捨てろ! この女ぶっ殺すぞッ!」と盗賊に責め立てられ、渋々従う。
「よし」
盗賊はその様を見て、目を歪ませた。
余裕ができたためか、演説を続けた。
「お前らも改宗した方が良い。神マルスなぞ、戦いを強要するしか出来ない愚かな神だ。我が主は違う。慈愛に満ちた、人々を正しく導く大いなる神だッ!」
盗賊は戦闘中にも関わらず、悦に浸っているようで、天を仰ぐ。
騎士グラティア、フラウロスは憎々しげに睨みつけた。
「おっと、お前は良い女だな? では、我が主の教えに従うとするかな。仲間が来たらな」
デネボラの首筋を見せびらかすように舐めた。
「ひっ」
三名分の足音が聞こえた。
鎧の音がせず、軽装だとわかる。
盗賊の仲間が近づいてくる音。
拘束されれば、何をされるか分かったものでは無い。
「……」
ライオットは近くにある石礫に注目した。盗賊が少しでも気をやれば、これを目に投げつける算段。
隙を探す。
その時、デネボラがアミュレットを静かに、強く握った。
すると、白く輝いた。
南風の奇蹟がデネボラに慈悲を与えた。
暑い突風が盗賊を吹き飛ばした。
「あっ、おわっ!」
好機。
グラティア隊は素早く武器を構え、前衛は奥の三人と相対し、ライオットはデネボラに吹き飛ばされた盗賊に無手で迫る。
「シュッ! シィー!」
すかさず左拳で鼻面を打ち抜く。
肉と骨を打つ感触とともに距離を詰め、鉄で覆われた脛を正中線に打ち込む。
スピカ直伝の技。
重い衝撃が脛から伝わる。
「ぐぼっ」
盗賊を崩れ落ち、悶絶した。
凶器の憎たらしい短剣を弾き飛ばし、それをデネボラに渡した。
「ありがとう」
デネボラはそれを受け取り、構えた。
ライオットが盗賊を倒し、前衛達を見ると優勢だ。
「オラァッ!」
ラッツが聖剣ノトスの奇蹟で盗賊を壁にぶつけ、下から切りあげる。
短剣ごと切り裂き、鈍い音が響いた。
グラティアは素早く奥にいた盗賊の肩を突き刺し、無力化に成功。
武器を蹴飛ばし、組み伏せた。
フラウロスは盾で顎を打ちつけた隙に、袈裟斬りを行った。辺りに鮮血が散る。
よろけた胸元に鋼を突き刺した。
盗賊達は四名いた。
二名は絶命し、グラティアが一名を取り押さえ、一名をライオットが叩き伏せた。
「よし。拘束したのち、街へ向かうぞ」
「分かりました」
その時、ライオットが打ち倒した盗賊が風のように逃げていく。
風の行き先は、洞窟の入り口。
「あっ!」
「急いで追うぞ。二人、コイツは任せた!」
騎士グラティア、ライオット、デネボラは駆け出した。
---
「くそッ! あ"ぁちきしょうッ!」
洞窟の入り口に向かうと、金属の網で縛られた盗賊がもがいていた。
「……罠、仕掛けておいて良かった」
「今度は逃げないように、このまま街まで運ぼう」
「私、二人を呼んでくるわ」
盗賊の制圧が完了した。
グラティア隊は拠点にしている宿場町まで戻った。
帰りの山道は暴れる盗賊を抱えていたが、隊員達の足取りは軽い。
「……」
ライオットは騎士グラティアの懐を横目でみた。あの短剣は騎士グラティアに回収されてしまったのだ。
母の仇のひとかけら。
調べても今だに上手く掴めないものに焦がれていた。
セプトモンス地方 無主地
山間部
グラティア隊はライオットを先頭に進んでいた。山刀で木々を蹴散らし、後進を助ける。
「ライオット」
「フラウロス、なんだ?」
「お前、弓兵だろ。後ろに居た方がいいんじゃねえか?」
「山岳地帯を歩くには、少々コツがいる。お前は、もう少し歩幅を狭くしておけ」
ライオットはフラウロスの足元を指差す。彼の歩幅は幾分か広い。
「ん? こうか」
フラウロスはライオットの足跡をそのまま辿り出した。
「そうだ。その方が疲れない」
「わかった。敵が来たら直ぐに下がれよ」
「あぁ。頼りにしているよ。盾を」
「俺を頼れ、俺を」
「ふっ」
「なんでカッコつけたんだよ、今」
フラウロスは三白眼をより吊り上げた。
隊員の緊張がゆるむ。
「はははは」
「ふふふ」
「はははは。ライオット君、そろそろ休憩にしないか?」
騎士グラティアは頬を緩ませ、近くの水場を指差す。
「分かりました」
---
隊員達は、水場の岩に腰掛けた。
「あ"ぁ……疲れた」
「ラッツあんた、身体が大きいのにだらしないわね」
「うるせえよ。それより水水」
ラッツは空になった水筒に水を汲もうとする。
「ラッツ、ちょっと待て」
「あン?」
ライオットは水場の淵を探り出すと、アウロラガラシを見つけた。
「あ、あった」
「ん? なんだそれ」
「清涼な水を示す草だ。ラッツ、水飲んで良いぞ」
ライオットはそう言って、自分の水筒に水を汲み出した。
ラッツ達も続き、水を浴びるように飲む。
フラウロスは水草を見て、感心したように話した。
「詳しいな」
「ふっ。狩人の必須技能だからな」
「……そうか。今は感謝だな」
フラウロスは水を飲み、川下で盾の表面を磨き出した。
「……ふぅ。ところで、この近くのはずよね? 盗賊のアジトは」
「そうだな。一息付いたら探すか。ライオット君、視線を感じたりは?」
「しません」
「そうか。では、我々のことを見張ってはいないらしいな」
騎士グラティアは冷静に周りを見回した。
すると、髪の毛のように細い糸を見つけた。川上に向かって伸びていた。
「……当たりを引いたらしいな。念の為言うが、鳴子の罠だからな。触るなよ」
「「了解」」
細い糸を辿り、山狩りを続けた。
---
「と、糸はここまでだな」
細い糸は道中で途絶えていた。
足跡や痕跡もなく、手がかりは無い。
騎士グラティアは立ち止まり、隊員に問いかけた。
「隊員諸君、奴らはどうしたと思う?」
騎士グラティアによる追跡の実践問題。
隊員達は、痕跡を探す。
ライオットが何かに気付いたように、木々の上の方を見渡す。
「……後ろめたいことをする奴ってさ、足跡を残したくないよな」
「急になんだ? まァそうだな」
「じゃあ、アレが回答になりそうだな」
ライオットが、ある木を示した。
その木には穴が空いており、付近には泥が付いていた。
「正解だ」
騎士グラティアはニヤリと笑った。
---
盗賊のアジトは川上にある洞窟に造られていた。
滴ってくる雫は簡易的な雨樋で受け、濾過する造り。
「結構良いとこじゃねェか」
ラッツが濾過装置を見ながら、指先で装置を触ると、微かに冷たい。
騎士グラティアが先頭を進む。
フラウロス、ラッツ、デネボラ、ライオットと続く。
ライオットが遅いため、デネボラが振り返る。
「あら、ライオット何しているの?」
ライオット懐からロープを取り出して、洞窟の入り口に何かの配置を始めた。
「ちょっと罠を。皆、出る時気をつけてくれ」
彼がそう言ったのに首肯すると、グラティア隊は奥へ進んだ。
少し進んだ先に木彫りの神像。
神は短剣を逆手に持つ青年だ。
祈りを捧げる部屋のようだが、ライオットは知らない神だ。
「『疾風と好色の神メルクリウス』ね。ウェスペル教国の主神よ」
ライオットの疑問を察したようで、デネボラが振り返って話す。
ウェスペル教国はまだ教化をしていない国家。
「盗賊も神様を信仰してるんだな……」
フラウロスが呟いた。
「そりゃァそうだろ。むしろ、何かを信じない奴がこの世にいんのかァ?」
ラッツが神像の土台部分を見ながら答えた。
土台部分には、裸の男女と短剣が彫られていた。
「言われてみりゃ、そうだな」
フラウロスは神像を細部まで確認してから、興味を失ったように、他の探索をはじめた。
ライオットは洞窟の奥を見据えた。
洞窟はまだまだ続く。
「なぁデネボラ。神メルクリウスは疾風の奇蹟を与えるんだよな?」
「そうよ。きっと敵は身軽ね」
木が激しく打ちつけ合う音が、洞窟内に響き渡った。
鳴子の罠だ。
「なっ……すまん!」
フラウロスの足が見えない糸を踏み締めていた。
「いや良い。構えろ」
騎士グラティアは武器を構え、隊員もそれに続く。
視線。
「見られていますッ!」
ライオットの警告と同時に風切音。
短剣が飛来した。
「来たか」
騎士グラティアは盾でそれを防ぎ、松明を奥に放った。
金属音が残響し、松明が洞窟を僅かに照らし、何者かの足が見えた。
「見えた、追うぞ!」
「「はい」」
鎧の擦れる音や足音が洞窟内に響く。
奥に進むほど、気温が下がり、空気が澱んでいた。
---
しばらく進むと、開けた場所に出た。
突如。
鋭い風が天井近くを吹き抜けた。
風の甲高い音が響き、鎧で覆われていない部分に塵芥を叩きつける。
洞窟内ではあり得ない事象。
「きゃっ!」
「動くなッ!」
デネボラが顔を黒い布で覆った盗賊と思われる男に囚われた。
首筋に冷たい鋼を突き立てられ、彼女は小さく悲鳴を上げる。
「アウロラの騎士様方……武器を捨て、跪け」
「……」
デネボラの首元の短剣。
見覚えがある。
ライオットはそれを睨みつけた。
「青髪の小僧よ。この聖剣が気になるのか?」
ライオットは脳裏に母ミセリアを思い浮かべた。
母は『魔弓』と呼ばれた元聖騎士。
クローネ領で母の短剣を見たことがなかった。母の短剣はどこに?
「これはな? 生意気な聖騎士の女から奪い、我が神の奇蹟が与えられた神聖なる短剣だ」
盗賊は自慢げに短剣を見せつける。
その間、グラティア隊は活路を探そうとするが「早く武器を捨てろ! この女ぶっ殺すぞッ!」と盗賊に責め立てられ、渋々従う。
「よし」
盗賊はその様を見て、目を歪ませた。
余裕ができたためか、演説を続けた。
「お前らも改宗した方が良い。神マルスなぞ、戦いを強要するしか出来ない愚かな神だ。我が主は違う。慈愛に満ちた、人々を正しく導く大いなる神だッ!」
盗賊は戦闘中にも関わらず、悦に浸っているようで、天を仰ぐ。
騎士グラティア、フラウロスは憎々しげに睨みつけた。
「おっと、お前は良い女だな? では、我が主の教えに従うとするかな。仲間が来たらな」
デネボラの首筋を見せびらかすように舐めた。
「ひっ」
三名分の足音が聞こえた。
鎧の音がせず、軽装だとわかる。
盗賊の仲間が近づいてくる音。
拘束されれば、何をされるか分かったものでは無い。
「……」
ライオットは近くにある石礫に注目した。盗賊が少しでも気をやれば、これを目に投げつける算段。
隙を探す。
その時、デネボラがアミュレットを静かに、強く握った。
すると、白く輝いた。
南風の奇蹟がデネボラに慈悲を与えた。
暑い突風が盗賊を吹き飛ばした。
「あっ、おわっ!」
好機。
グラティア隊は素早く武器を構え、前衛は奥の三人と相対し、ライオットはデネボラに吹き飛ばされた盗賊に無手で迫る。
「シュッ! シィー!」
すかさず左拳で鼻面を打ち抜く。
肉と骨を打つ感触とともに距離を詰め、鉄で覆われた脛を正中線に打ち込む。
スピカ直伝の技。
重い衝撃が脛から伝わる。
「ぐぼっ」
盗賊を崩れ落ち、悶絶した。
凶器の憎たらしい短剣を弾き飛ばし、それをデネボラに渡した。
「ありがとう」
デネボラはそれを受け取り、構えた。
ライオットが盗賊を倒し、前衛達を見ると優勢だ。
「オラァッ!」
ラッツが聖剣ノトスの奇蹟で盗賊を壁にぶつけ、下から切りあげる。
短剣ごと切り裂き、鈍い音が響いた。
グラティアは素早く奥にいた盗賊の肩を突き刺し、無力化に成功。
武器を蹴飛ばし、組み伏せた。
フラウロスは盾で顎を打ちつけた隙に、袈裟斬りを行った。辺りに鮮血が散る。
よろけた胸元に鋼を突き刺した。
盗賊達は四名いた。
二名は絶命し、グラティアが一名を取り押さえ、一名をライオットが叩き伏せた。
「よし。拘束したのち、街へ向かうぞ」
「分かりました」
その時、ライオットが打ち倒した盗賊が風のように逃げていく。
風の行き先は、洞窟の入り口。
「あっ!」
「急いで追うぞ。二人、コイツは任せた!」
騎士グラティア、ライオット、デネボラは駆け出した。
---
「くそッ! あ"ぁちきしょうッ!」
洞窟の入り口に向かうと、金属の網で縛られた盗賊がもがいていた。
「……罠、仕掛けておいて良かった」
「今度は逃げないように、このまま街まで運ぼう」
「私、二人を呼んでくるわ」
盗賊の制圧が完了した。
グラティア隊は拠点にしている宿場町まで戻った。
帰りの山道は暴れる盗賊を抱えていたが、隊員達の足取りは軽い。
「……」
ライオットは騎士グラティアの懐を横目でみた。あの短剣は騎士グラティアに回収されてしまったのだ。
母の仇のひとかけら。
調べても今だに上手く掴めないものに焦がれていた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる