迷宮のサバイバル

新雪小太郎

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変化へんげする罠

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扉をくぐると、そこは一直線の細い通路。
天井には蛍光灯のような光源が等間隔で並んでいるが、どこか人工的で気味が悪い。
シェリーが慎重に前へ進みながら言う。
「なんか……静かすぎひん?」
「逆に怖いな。罠があってくれって言わんばかりや」
そう呟いた瞬間だった。
カチッ――。
小さなスイッチ音。
光源が一斉に赤く染まり、通路の床が波打つようにうごめき始める。
「うわっ……! 動いとる!?」
「シェリー、こっち寄れ!」
床のタイルがひとつ、ズボッ と沈み込んだ。
代わりに、隣のタイルが浮き上がり、波のように動いて追いかけてくる。
「床が……“生きとる”みたいやな!」
「踏んだら落ちるやつや! 小太郎、気ぃつけ!」
二人は波打つ床を縫うように走り抜ける。
一歩踏み外せば、下はどうなっているか分からない。
小太郎は息を切らしながら言う。
「これ、“踏んだ瞬間に”罠が変化しとる……予測むずいわ」
「てことは、迷路の仕掛け、全部“変わるタイプ”か……」
ようやく波打つ床の終わりまで到達すると、通路は十字路になっていた。
壁には三つの矢印が表示される。
【左:静寂の道】
【右:風鳴りの道】
【前:未知数の道】
シェリーが眉をひそめる。
「なんなんこれ。選ばせる気まんまんやん……」
「いや違う、これ“誘導”や。罠の性質が変わるってことやろ」
その時――
どの道も“カタカタカタ……”と音がし始めた。
まるで、これから罠が組み替えられているかのような、金属が擦れる音。
「小太郎……迷路そのものが生き物みたいやなぁ」
「せやけど、こっちもやられるわけにいかん」
小太郎はハーモニカを取り出し、軽く吹いてみた。
短い音色が通路中に反響する。
すると――
【静寂の道】だけ、音が“吸い込まれた”ように、無音に変わった。
「今の……何や……?」
「ハーモニカの音にだけ反応してる? もしかしたら、これヒントちゃう?」
迷路は、ただの罠ではない。
“音”に反応し、罠が形を変えていく――そんな可能性が浮上する。
シェリーは拳を握りしめ、関西イントネーションで決意をこめて言う。
「よし、小太郎。もう怖がってる場合やあらへん。
罠が変わるなら、うちらも変わって対応したる!」
「おう。二人で絶対抜け出すで」
十字路の向こうでは、まだ金属音が続いている。
迷宮は、次なる罠を“組み立てている”のだ。
二人は慎重に足を踏み出し、次のエリアへ向かった
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