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静寂の空間 音が消える部屋へ
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風鳴りの道を突破した小太郎とシェリーは、薄暗い通路の先にぽっかりと空いた丸い扉を見つけた。
静かすぎて、逆に気味が悪い。
「ここ……なんか変な感じせん?」
「うん、風の音まで急に止まったな」
二人がそっと中へ入ると、
スルリ…… と背後の扉が勝手に閉まった。
「ちょ、小太郎!? 扉、閉まったで!」
「大丈夫や。まだ何も起きてへん……はずや」
そう言った小太郎の声が、
消えた。
シェリーがハッとする。
「小太郎、今なんか言うた? 聞こえへん……!」
自分の声を出してみる。
「小太郎、小太郎っ!!」
口は動いている。
鼓膜も震えている……はずなのに、一切自分の声が聞こえない。
「……音が……消えてるんけ……?」
小太郎は唇を読み取って頷く。
二人は互いの呼吸さえ聞こえない異様な状況に、思わず喉がひゅっとなる。
部屋の中央には、黒い箱がひとつだけ置かれていた。
真四角で、光沢のない石のような質感。
まるで底なしの闇を固めたような不気味さ。
シェリーがそっと近づくと、箱の前に小さな文字が浮かび上がる。
【音を取り戻したければ、沈黙の理由を探せ】
「沈黙の理由……?」
(声は出ているが、シェリーの耳には届かない)
小太郎はハーモニカを手に取る。
吹こうと口に当てたその瞬間――
ゴッ……!
床が軽く震えた。
箱の影が、“生き物”のようにうごめいた。
シェリーが目を見開く。
「今、動いた……? 小太郎、見た!?」
音のない世界なので叫び声は無音。
しかし表情だけで恐怖が伝わる。
小太郎は指で「待て」の合図を出し、
ハーモニカをわずかにずらして軽く吹き込んだ。
もちろん、二人には何も聞こえない。
だが――
箱の影だけ が、明らかに“揺れた”。
「……ハーモニカに反応しとるんや」
小太郎は相手に伝わるよう、ゆっくり身振り手振りで示す。
音は聞こえなくても、
発生した“音波”だけは感知して動く罠 らしい。
シェリーが息をのむ。
「なるほど……逆に利用できるやつや!」
二人は無言で頷き合い、
小太郎が静かにハーモニカを吹くと同時に、
シェリーが影の逆方向へ“スルッ”と移動する。
影は音の“方向”へ無差別に吸い寄せられるように、壁へ突っ込み――
スッ…… と壁に吸い込まれ、消えた。
その刹那。
パァンッ!
音が一気に戻ってきた。
「っ!? うわぁぁ! 音戻った!!」
「やったな、シェリー!」
部屋全体が震え、天井に文字が浮かぶ。
【静寂を越えた者へ、次の間への扉を開く】
背後の壁に、再びスルリ……と新たな扉が現れた。
小太郎が肩で息をしながら微笑む。
「ここ……まだまだ何か隠しとるで」
「当たり前や! 次、どんな罠きても二人で行くで!」
二人は新しい扉へ歩き出す。
しかしその背後で、完全に消えたはずの“黒い影”の一部が
わずかに、うごめいた。
まるで二人を追う準備をしているかのように。
静かすぎて、逆に気味が悪い。
「ここ……なんか変な感じせん?」
「うん、風の音まで急に止まったな」
二人がそっと中へ入ると、
スルリ…… と背後の扉が勝手に閉まった。
「ちょ、小太郎!? 扉、閉まったで!」
「大丈夫や。まだ何も起きてへん……はずや」
そう言った小太郎の声が、
消えた。
シェリーがハッとする。
「小太郎、今なんか言うた? 聞こえへん……!」
自分の声を出してみる。
「小太郎、小太郎っ!!」
口は動いている。
鼓膜も震えている……はずなのに、一切自分の声が聞こえない。
「……音が……消えてるんけ……?」
小太郎は唇を読み取って頷く。
二人は互いの呼吸さえ聞こえない異様な状況に、思わず喉がひゅっとなる。
部屋の中央には、黒い箱がひとつだけ置かれていた。
真四角で、光沢のない石のような質感。
まるで底なしの闇を固めたような不気味さ。
シェリーがそっと近づくと、箱の前に小さな文字が浮かび上がる。
【音を取り戻したければ、沈黙の理由を探せ】
「沈黙の理由……?」
(声は出ているが、シェリーの耳には届かない)
小太郎はハーモニカを手に取る。
吹こうと口に当てたその瞬間――
ゴッ……!
床が軽く震えた。
箱の影が、“生き物”のようにうごめいた。
シェリーが目を見開く。
「今、動いた……? 小太郎、見た!?」
音のない世界なので叫び声は無音。
しかし表情だけで恐怖が伝わる。
小太郎は指で「待て」の合図を出し、
ハーモニカをわずかにずらして軽く吹き込んだ。
もちろん、二人には何も聞こえない。
だが――
箱の影だけ が、明らかに“揺れた”。
「……ハーモニカに反応しとるんや」
小太郎は相手に伝わるよう、ゆっくり身振り手振りで示す。
音は聞こえなくても、
発生した“音波”だけは感知して動く罠 らしい。
シェリーが息をのむ。
「なるほど……逆に利用できるやつや!」
二人は無言で頷き合い、
小太郎が静かにハーモニカを吹くと同時に、
シェリーが影の逆方向へ“スルッ”と移動する。
影は音の“方向”へ無差別に吸い寄せられるように、壁へ突っ込み――
スッ…… と壁に吸い込まれ、消えた。
その刹那。
パァンッ!
音が一気に戻ってきた。
「っ!? うわぁぁ! 音戻った!!」
「やったな、シェリー!」
部屋全体が震え、天井に文字が浮かぶ。
【静寂を越えた者へ、次の間への扉を開く】
背後の壁に、再びスルリ……と新たな扉が現れた。
小太郎が肩で息をしながら微笑む。
「ここ……まだまだ何か隠しとるで」
「当たり前や! 次、どんな罠きても二人で行くで!」
二人は新しい扉へ歩き出す。
しかしその背後で、完全に消えたはずの“黒い影”の一部が
わずかに、うごめいた。
まるで二人を追う準備をしているかのように。
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