探偵尾賀叉反『翼とヒナゲシと赤き心臓』

安田 景壹

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『翼とヒナゲシと赤き心臓』21

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21


――焼け焦げた街を遠くに見る。いつもと変わらない光景。生まれてから、ずっと。
「馬鹿野郎! 何してやがる!」
 白髪の工場長が間近で怒鳴った。小柄で皺だらけ。目は鋭いというよりは始終怒気が漲っているようで、身内はおろか客でさえ萎縮させる。歳はもう七十半ばのはずだが衰える様子はない。誰も逆らえないし、逆らわない。
「すんません!」
 条件反射のように俺は頭を下げる。この動作は体に染みついているかのようだ。怒鳴られたら、まず謝る。そうすれば相手の機嫌を損ねる事はない。
 良くなる事もないが。
 注文書を挟んだボードが勢いよく俺の頭を叩く。容赦はない。頭皮の痛みに涙が出てくる。


「塗装の時は下地作りからしっかりやれって言ったろうが。お前、同じ事何べん言わせんだ!」
 怒声が工場に響き渡る。だが、周りの作業が止まる様子はない。誰も気にしちゃいないのだ。頭を下げたまま、俺はもう一度、すんませんと言う。
「もういい。これは他の奴に任せる。裏行ってタイヤの片付けでもしてろ、馬鹿野郎が!」
 怒り心頭といった罵声。俺は道具を手早く置き、再度頭を軽く下げて素早く歩き出す。誰とも顔を合わせないように。先輩の工員とすれ違う。俺は自然足早になる。



 夏を目前に控えた午後の空は晴れていた。雲と、青い空。それだけだ。他には何もない。飛行機はこの辺りを通らないし、鳥もほとんど見かけない。
工場の裏側にはパーツが外れたままの車体や、捨てられたように放置されたタイヤがいくつも転がっている。片付けても意味はない。ようするに邪魔だったのだ。仕事が出来ない俺が。
別に手を抜いているつもりはない。だが、ミスは起きる。
 出来ないわけじゃないと、苛立ちが腹の底から湧き上がる。


 ただ、向きじゃない。いわば『ヒトの手で行う』作業って奴は。俺の右手は人間の物じゃない。不必要に大きな鳶のそれだ。俺はこいつを器用に使っている。十分器用に。工場長だろうが誰だろうが、最初からまともに生まれついた奴に、本来俺を叱る資格はない。怒鳴り声や嘲笑を聞く度、いつもそう言ってやろうと思う。
 条件が違うんだ。生きる上での条件が。壁にもたれかかり、俺はアシユビの関節で何度も膝を叩く。苛々する。耐えられない。
『だからお前は――』
 あいつの言葉が脳裏によぎる。くそ野郎。生まれた時から俺を嫌って、見下していた男。
「俺は……」
 こんなままで人生終わりはしねえ。あいつの言う通りになんてなりはしねえ。
 俺は、俺は……。
「何してやがる」


 不機嫌そのものの声が、思考の連なりを断ち切った。顔を上げる。声を聞けば誰が来たかはわかる。工場長だ。
「片付けとけって言ったろうが」
「……すんません」
 頭を下げて、俺は三度謝罪する。本当に、体が覚え込んでしまっている。
「……ったく、お前はよ」
 工場長は呆れたような口ぶりで言い、戸口の前の小さな段差に腰掛けると、ポケットから赤いパッケージの煙草を取り出して一本口に銜える。 深々と吸い込んだ紫煙を吐き出しながら、工場長は言った。
「もうちょっと集中しろや。仕事なんだからよ」
「すんません」
「いや謝んなくていいからよ」


 顔をしかめながら、工場長は煙を吸い込む。
「そんなんじゃお前、どこ行っても通用しねえぞ。まあ確かに、つまんねえ仕事かもしんねえけどさ。自分でやりてえって言ったんだから」
「……すんません」
 腹の中で苛立ちが煮えている。あんたにそんな説教をされる謂れはねえ。俺は、これでも立派にやっている。俺と同い年の他の奴なんかは働きもしねえで、大学に行きやがった。親の金で。綺麗な服を着て。そのくせ勉強はしねえで酒ばっか呑んで。あんな奴等に比べたら、俺は十分立派にやっている。こんな体だっていうのに。
 ああ、くそ!
「……まあ、お前もよ、言いたい事もあるだろうがな」
 吐き出された紫煙が、瞬く間に空へと消えていく。


「まずは頑張ってみろよ。何でもいいんだ、頑張れるなら。頑張れなきゃ人生終りだ。一つの事を、力入れてやり切る。それが出来りゃ上等よ」
「……はあ」
 何でもいいんなら、別にこの仕事じゃなくたっていいわけだ。苛立ちがそんな言葉を浮かばせる。
「別に失敗したっていい。同じ失敗を繰り返さなきゃいいんだから。やり直すってのも手の一つだし……つまり、あー何だな」
 老人は頭を掻いた。何が言いたいのか、さっぱりわからない。
「大事なのは、自分が『逃げた』と思わない事だ。自分が、こいつは『逃げ』だ、と思うような事をしない事だ。いいか、誤解のないように言っておくが、別に危ない事や辛い事を無理して続けろって意味じゃねえぞ。戦略的撤退ってのは常に重要だ。自分の人生を大切に出来る奴は、結局のところ自分しかいねえ。自分の命や人生が危なくなるのに、頑張り続ける必要は全くない」


 センリャクテキテッタイとは、ずいぶん似合わない言葉を使うもんだ。ただの、自動車工のくせに。
「そういうところとは別にして、生きていく上で、生きている実感の中で、自分が『逃げ』だと思うような事をしない。そういう『逃げ』は一回ごとに積み重なっていって、いずれは戦う気概さえなくしちまう」
 短くなった煙草を工場長は段差に押し付ける。
「そういう『逃げ』のツケはでかい。行き着く先は今の新宿にいるような連中と同じだよ。チンピラ、ゴロツキ、またはろくでなしだ」
 最後の言葉が、否応なく心を掠める。耳障りだ。その言葉が。


「……失礼します」
 頭を下げて、俺は転がったタイヤのほうへ足を向ける。やれと言ったのは工場長だ。
 後ろからため息が聞こえた。それがまた、俺を苛つかせる。
「『逃げ』を繰り返すなよ。多少無茶に見えても、頑張れそうならやってみろ。何一つ頑張れなきゃ、結局辛いのはお前だよ、陣内」
 あんたに言われるまでもない。あんたらからはそう見えていないだけで、俺は本来、頑張れる奴なんだから。
 遠くに、黒焦げになった街が見える。青空の下に広がる過去の爪痕。内戦によって破壊された、かつて関東で最も賑わいを見せた街、新宿。


 そして、あの焼野原の先には、新しい世界が広がっている。
 俺は行く。いずれ、そう遠くないうちにそこに行く。この仕事で金を溜めて、新しい街でやり直す。そこで初めて、俺は俺の人生を生きる事になるだろう。もう誰にも、俺の事を馬鹿にさせたりなんかしない。俺の力を、世の中に見せつけてやる。
 ――俺は、飛ぶんだ。



 物凄い力で灰の中へ引きずり込まれた拍子に、どこかでひどく頭を打った気がする。だが、そんな事に頓着する暇もなく、灰が口と鼻とに流れ込み息が出来なくなる。灰の流れの中へ押し込まれ、意識が遠のいていく。体が、ジェットコースターに乗ったように勢いに乗ったまま滑って行き、苦しみが頂点に達する瞬間、俺は流れから解放された。
 同時に落ちた。水の中へ。
「……がはッ!!」
 慌てて顔を上げた拍子に口の中の灰を吐き出す。目が開く。岸が見えて、俺はそこへ向かって必死に泳いだ。何かを考える余裕はなく、ただ無我夢中に。水には流れがあって、気を抜くと流されそうだ。鼻に詰まった灰と水とがせり返って苦しい。
力を振り絞って岸に上がった途端、水を吐き出す。息が苦しい。まだ灰が詰まってやがる。たまらず背後の水を掬い、鼻を洗う。薬臭い。絶対に体には良くないだろうが、このままではいられない。
 灰を洗い流すと、ようやく息が楽になってきた。寒気がする。全身ずぶ濡れだ。
「勘弁してくれよ……」


 何度落ちりゃいいんだよ。もう。
辺りを見回す。薄暗く大きな部屋の中心で、つい今俺が落ちたプールの水が青く光っている。底にスクリューらしい物があり、緩やかではあるが水とその中に混じった灰が回流している。対岸の壁際には、泡立って音を立てるタンクが六つあり、その中には黒い粉のような物が見える。ここが探偵の言っていた洗浄槽だろう。
ここから出口まで、どれくらいあるのかは見当もつかない。そもそもここから出られるのかさえも。
ああ。
ああ、くそ。
もう、いっその事早く終わりに――。
「――っ、びゃっくしょん!」
 くしゃみが出て、悪寒がする。
 ……くそったれ。


 いっその事ぶっ倒れてしまいたいくらいに体は疲弊しているが、寒いのには耐えられない。とりあえずは着替えがほしいところだが、そう都合よく手に入るだろうか。
 左手には何もない。行き止まりだ。振り返って反対側を見ると、出入り口らしい自動ドアが見えた。進むならあそこしかないらしい。だが俺は、さらに何かないか探す事にした。何度も殺されそうになったっていうのに、このまま丸腰でいるのは考えられない。
 と、行き止まりの壁に、用具入れらしいロッカーと工具箱を見つけた。滑らないように気を付けながら、俺はそれらの傍へと近付く。
 ロッカーの中にあったのはモップ、バケツ、洗剤らしい物と、ビニールに入った未使用の真っ白な雑巾だ。ひとまずそれで足や顔を拭く。


 工具箱を開ける。こちらも中身は少ない。数種の特殊ネジ用ドライバー、バール。主に武器として使えそうなのはそれくらいだ。俺はドライバーを全てポケットに入れ、バールを手に取る。銃や、俺を屋上から落とした白虎のガキみたいなのに太刀打ち出来るとは思わないが、何もないよりマシだ。
 タンクの中で泡立つ音が聞こえる。意を決し、俺は足を出入り口のほうへと向ける。
体が冷える。早く着替えてしまいたい。俺は無理矢理にでも足を進める。早く、早く。
 ドアが開く。
 足を踏み入れたのは、それなりに大きな空間だった。工場の生産ラインのような。うるさいくらいの駆動音が聞こえてきた。大型の機械がスペースのほとんどを埋め尽くしているため、通路は異様に狭い。右手側にあるベルトコンベヤーが濡れた灰の塊を運んでいく。そうして灰は、がたがたと震える大きなコンテナの中へと入る。灰は長くコンテナの中を進み、やがて震えとともに煉瓦のように整ったブロックとなって吐き出される。


 俺は流れていくブロックに触ってみる。薄い膜のようなものでコーティングされブロックとなった灰。固いようで思ったより柔らかい。ある程度力を掛ければ潰れそうだ。
 辺りを見回してみるが、役に立ちそうなものは見当たらない。服も、館内図もない。当たり前だ。気分が悪い。冷えたせいで、次第に体調が悪くなってきている気がする。
 ふと駆動音に混じって、小さな音がした。どこかで聞いたような音だ。たぶん、つい今。
 ――ドアの開閉音だ。
 音がしたほうを見る。マシンガンを構えた男が二人、遠くに見えた。どちらも揃いの黒服を着ている。一人は俺くらい、もう一人は二メートルくらいの大男だ。俺は慌ててしゃがみ、コンテナの影に隠れる。たっぷりと水分を吸った服が重たい。


 黒服の男達がゆっくりと通路を進んでくる。俺に気付いた様子はないが、姿を見せれば終わりだ。二挺の銃から発射された銃弾が俺の体をズタボロにするだろう。
 男達は何も喋らない。この空間の通路は、俺から見れば逆Lの形で、奴等は今横棒の中を歩いている。順調に歩けば縦棒の終点間際にいる俺に出くわす。動かなければ。
 幸い、コンテナ型機械へと続くコンベヤーの下は、這えば何とか通れそうなだけのスペースがある。音を立てないように左手のバールを置き、慎重に腹這いになる。ポケットに仕舞ったドライバーはぎりぎり床に触れていない。
 さながら匍匐前進のように、俺はコンベヤーの下へと潜る。腕の力だけで、何とか前に進む。


「おい」
 唐突な声に、俺はその場で身を竦ませる。体はコンベヤーの下に入り切っているから、向こうからは見えていないはずだが。
「何か聞こえなかった?」
「機械の音じゃないのか」
 片方は勘が鋭いらしいが、片方はそうでもないらしい。
「どうだろうな。お前はそのまま進め。俺は機械のほうを見る」
「わかった」
 機械のほう見る、だって? 確かに機械やコンベヤーの間にも隙間はあるから、L字通路以外にも道はあるようだ。


 やばい。
 バールは手を伸ばせばすぐ届く位置にある。同様に、男達の様子も見えた。黒服の一人、巨漢のほうは足早に入り組んだ機械へとやってくる。コンベヤーを跨ぎ、辺りを見回している。
 下手な移動は危険だ。ポケットからドライバーを取り出し、影から顔を出すか出さないかまで体勢を変え、俺は息を潜める。黒服の片方、L字を進んでいる奴の足音が徐々に近づいてくる。心臓が高鳴っている。緊張でどうにかなりそうだ。
「うん?」
 L字を進んでいた黒服が小さく唸り、小走りにすぐ傍までやってきて止まった。足がすぐそこにある。まだ俺に気付いてはいない。だが、立ち止まって何かを考えている。
「……濡れている?」
 微かな呟き。


「どうした。何かあったか」
 黒服の雰囲気が一変した。
「近くにいるぞ!」
 瞬間、鳶の手で俺は相手の足を掴み、爪を食い込ませながら力尽くに引っ張った。
 男が悲鳴を上げた。無理矢理狭い隙間に入ったせいで、その足が奇妙に曲がる。バランスを崩しざま男の銃が乱射される。が、そんな事に構ってはいられない。相手の足の甲にドライバーを突き刺し、俺は隙間から転がり出ながらバールを掴む。コンベヤー越しに目の前の黒服を殴りつけた時、けたたましい銃声が後ろから響いた。
 思わずコンベヤーを転がった俺の上をいくつもの銃弾が通過していく。ぶん殴った黒服が呻きながら身を起こす。銃弾は飛んでこない。俺は銃に詳しくないがもう片方が撃つのをやめた理由はわかる。目の前のこいつに当たるからだ。
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