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6. アレクとなった俺、伯爵令嬢に会う
―― エミリー嬢と俺 2 ――
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その間に魔法使いたちの外側に、輪になるように、ぽつりぽつりと人が立ち始めた。皆、枠の外から、ゆっくりと歩いてくる。
何番目かに歩いてきた数人のなかに、俺とグスタフの従者たちがいた。
焼却陣のまわりに立つ魔法使い全員が、いっせいに呪文を唱え始めた。
この世界に転生して、初めて動画の自分をみた。前世では、親や親戚たちが、入学や卒業のたびに、さかんにビデオを撮っていた。子どもの頃の動画を何本も見せられて閉口したことがある。
俺たちの見守るなか、棺が白く光った。すぐに棺の中心から炎があがり始めた。炎は、棺全体に広がり、ごうごうと音をたてて、燃え続けた。棺となかの人形を燃やしつくし、やがて、黒い灰の積み重なった小さな山を残し、炎は消えた。
しばらく、俺は黙っていた。エミリー嬢も何もいわなかった。
エミリー嬢は、何かを決めたようにうなずいて、立ち上がった。
「アレク殿下。あそこにいたのは、あなたですね?」
俺は、ニコライ殿下に教わった通りの言い訳をした。
「ああ。視察でレンゲルに行っていたんだ。たまたま、知り合いから、グスタフ殿が亡くなられたのを聞いて、辺境伯の息子さんだということだし、王族のひとりとして、冥福を祈らせてもらった」
「……」
エミリー嬢は、次の言葉に迷ったらしい。
後ろに控えていた侍女が、エミリー嬢の肩に手をかけた。それだけでも、この侍女とエミリー嬢が、主人と使用人いう関係以上に親しいことがわかる。
「知り合いというのは、誰ですか?」
「さあ。視察の世話をしてくれた誰かだったかな……。あのときは、毎日、たくさんの民間人に会っていたから……覚えていないな」
エミリー嬢は、歯を食いしばっている。全身に力を入れているのが、身体の小刻みなゆれで、よくわかある。
「殿下は、面識のない人物の火葬に参加するような人物ではなかったはずです」
俺は、青ざめた。
――まずい……ばれそうだ。というか、もうばれているのかもしれない。
何番目かに歩いてきた数人のなかに、俺とグスタフの従者たちがいた。
焼却陣のまわりに立つ魔法使い全員が、いっせいに呪文を唱え始めた。
この世界に転生して、初めて動画の自分をみた。前世では、親や親戚たちが、入学や卒業のたびに、さかんにビデオを撮っていた。子どもの頃の動画を何本も見せられて閉口したことがある。
俺たちの見守るなか、棺が白く光った。すぐに棺の中心から炎があがり始めた。炎は、棺全体に広がり、ごうごうと音をたてて、燃え続けた。棺となかの人形を燃やしつくし、やがて、黒い灰の積み重なった小さな山を残し、炎は消えた。
しばらく、俺は黙っていた。エミリー嬢も何もいわなかった。
エミリー嬢は、何かを決めたようにうなずいて、立ち上がった。
「アレク殿下。あそこにいたのは、あなたですね?」
俺は、ニコライ殿下に教わった通りの言い訳をした。
「ああ。視察でレンゲルに行っていたんだ。たまたま、知り合いから、グスタフ殿が亡くなられたのを聞いて、辺境伯の息子さんだということだし、王族のひとりとして、冥福を祈らせてもらった」
「……」
エミリー嬢は、次の言葉に迷ったらしい。
後ろに控えていた侍女が、エミリー嬢の肩に手をかけた。それだけでも、この侍女とエミリー嬢が、主人と使用人いう関係以上に親しいことがわかる。
「知り合いというのは、誰ですか?」
「さあ。視察の世話をしてくれた誰かだったかな……。あのときは、毎日、たくさんの民間人に会っていたから……覚えていないな」
エミリー嬢は、歯を食いしばっている。全身に力を入れているのが、身体の小刻みなゆれで、よくわかある。
「殿下は、面識のない人物の火葬に参加するような人物ではなかったはずです」
俺は、青ざめた。
――まずい……ばれそうだ。というか、もうばれているのかもしれない。
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