ファンタジー/ストーリー4

雪矢酢

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第一章

十話 マジックマスター

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「まとめてお相手致します」


フェイスは二本の杖を召喚する。
一本は太陽、もう一本は月を模した杖だ。


「…フラット様…後をお願いします」

「マーガレット」

「私はせいぜい一発か二発しか攻撃ができません……」


フェイスは話している二人など気にせず素早く地面に魔法陣を書く。


「さあまとめてかかってきなさい」


「戦うのは私だ、いくぞ」


フェイスの声にマーガレットが突撃をする。


…あの魔法陣はおそらく拘束系か吸収系。
ならばボロボロの身体と残りわずかな魔力、この最小限の犠牲であの魔法陣を起動させ妨害、消滅させるのみ。
魔法陣に足を踏み込んだ瞬間、身体を拘束され自身の魔力を奪われていくマーガレット。


「ふふ、卑怯者らしい、じつに汚い魔法陣ね」

「確実に仕留めると言ってほしいわね」


フェイスは太陽の杖から火炎を放つ。
魔力が吸収され暗黒を放つことができないマーガレットはその炎に耐える術がない。


「ふふ」


マーガレットは身体が炎上しつつも地面に手を当て、フェイスの炎を取り込み魔法陣を破壊した。


「なんだと…そんな」

「確信したわ…ふふ」

その瞬間を待っていた竜が後方からフェイスを爪で引き裂く。


「ぐああっ、いつの…間に…」

「……あなたの正体がわかった……だけど…ちょっと遅かったわ…」

不意をつかれ上半身を引き裂かれたフェイスはあっけなく倒れた。
何かを伝えようとしたマーガレットも魔力が尽きて身体が限界となり音もなく倒れてしまった。

「マーガレット」

叫ぶフラット。
竜はマーガレットを回収しフラットの元へ運ぶ。
だが、その竜を突如二本の杖が奇襲。
なんと胴を貫かれてしまう。


「そ、そんな…」


竜は倒れた。


「竜は危険すぎる。ドラゴンマスターよ、これでキサマの脅威は半減したぞ」


引き裂かれた上半身が再生しており涼しい顔のフェイス。
竜はフラットを見つめ静かに灰となり、そして…消滅した。

「くっ…」

フラットは膝をつき竜の消滅をかなしんでいる。

「お前の役目は終わりだ。時代に取り残されし遺物よ、ここで散るがいい」


「フラット立てっ、攻撃されるぞ」


アレサが大声でフラットに叫ぶ。
フェイスは杖の先端でフラットを突き刺そうとする。
だがフラットはアレサ声を聞きその攻撃を瞬時に避けて竜剣を抜刀、二本の杖を容易く切断した。

「…世界にドラゴンマスターは不要。それは…それは十分承知している」

竜剣にて凄まじい斬撃を放つフラット。
あっという間に身体を切断されるフェイス、そして剣を地面に打ち付けると刀身が帯電。


「終わりだ」


帯電した剣でフェイスをさらに切り刻む。
バチバチと白煙をあげながら彼女は倒れた。


「…」



何だ…。
おかしい。
手応えが全くないぞ。



フェイスが倒れているうちにオメガはマーガレットを運ぶ。
かなり重傷だが、オメガは応急手当をし何とか命は救われたようである。


「発言を訂正します。あなたは危険だ」


黒焦げの物体からレーザーのようなモノが放たれフラットの左肩を貫く。


「なっ…」


怯むフラット。
すると物体はゴニョゴニョと動きながら再びフェイスを形成する。


「竜剣、とんでもない剣だ。竜なぞとは比べ物にならない」

「貴様何者だ、何故生きていられる?」

「何故何故うるさいですね」

フェイスは左手を前に出すと三本の鋭い氷がフラットに突き刺さる。


「………属性を操る者か」

「違う、私は魔法を極めし者、マジックマスターだ。エターナル様は視力を代償に千里眼を得た。私は魔力を代償にあらゆる魔法を習得した。この矛盾こそが私たちの強さの秘密だ」

ゆっくりフラットに近づき拘束魔法を放つ。
竜剣は地に刺さり、魔法により身動きができない。

「お前らのその強さ、私は理解不能だ。それに秘密をしゃべっていいのか…」

小さな魔法の針でフラットを攻撃するフェイス。

「あが…」

無数の針が全身に刺さる。

「散りゆく者への冥土の土産だよ」

「…くっ…」

フラットは大ダメージにより意識がもうろうとしているようだ。


…こいつの器は…どこだ。
この無尽蔵な魔力はどこから供給されているんだ。
マジックマスターだか知らぬが、魔法は器が無いと使えん。それを見つけ破壊すれば…。
フラットはフェイスの身体をじっくり観察した。
気づかれぬように慎重に…。

「うむ、このままでは…」

「ダメよオメガ、あいつを信じて…」

目の前で痛めつけられるフラットを見て怒りが爆発寸前のオメガ。

「うぅぅ…私は…」

その時マーガレットが目を覚ます。

「うむ、目が覚めたかマーガレット殿、だがまだ横になっていてくだされ」

「オメガ殿、フラット様は?」

「うむ、交戦中だ」

「……フェイスの弱点は両腕両足にある四つの魔石です。その器を破壊すれば…」

「うむ、やはり器があったか」

オメガはフラットに四肢に弱点であるとポーズで伝えた。
滑稽でへんてこな行動をするオメガだがフラットには無事伝わったようである。


…両手、両足…か。
そうか…。



「ずっと黙りですか…ならばそろそろ…」

フェイスは右手に氷の刃を形成しフラットの首に狙いをつける。
ヒヤリとした感触に意識が戻るフラット。


「終わりだっ」


氷の刃を振り下ろすフェイスだが、突如竜剣が動き出し刃を破壊する。

「なにぃっ」

不気味な動きをする竜剣に恐怖するフェイス。
フラットにかかっていた拘束さえも容易く解呪する。
剣を持ったフラットは怯えているフェイスの四肢にある魔石を発見しそれを斬撃にて破壊。


「しまった…」


「さらばだ」


構えた竜剣は炎を宿し切つけた後にフェイスの身体は激しく炎上する。
フェイスは倒れた、しかしフラットは今ので力を使い果たした。
酷使したことにより竜剣は折れてしまった。
竜は消滅し竜剣は折れた。
これによりドラゴンマスターはこの世から消えた。

 
「がああぁあ」


突然魔力の供給が絶たれたフェイスの肉体は暴走し肥大化。
フラットの炎を払い、もはや人の原型がない巨大な肉塊の化け物へと変貌した。


「…」


目の前の巨大生物になす術のないフラットは膝をつき敗北を悟る。


「…許してくれオメガ殿…私は…約束を…」


肉塊は大きな手を形成しフラットを押し潰すつもりだ。
オメガは彼女の危機に飛び出す。
だがとても間に合わない。


「フラット殿」

「フラット様」

「バカ、避けろーっ」


三人に笑顔を見せたフラット。
その彼女は肉塊の手によって潰された。



「ああぁ…そん…な」

「フラット…殿…」

「………バカ…が」



オメガは両手をつきうなだれる。
フラットは暴走したフェイスの前に倒れた。






だが肉塊の様子がおかしい。






「待たせたわね、みんな」


「んっ」

「うむ、間に合ったか」



飛空艇だ。
そしてデッキにはニナ、レフトそしてザギがいた。


「レフト、ヤバいわ。オメガ以外、皆負傷している。急いで降りよう」

「わかった」


レフトは魔法で巨体フェイスを拘束している。
フラットは状況が分からず混乱している。
おどおどする彼女をオメガが救出する。


それを確認したレフトは肉塊の拘束を解除する。


「ご、ごめんなさい…私は…」

「もう大丈夫だ。レフトとニナが到着した」

救出されたフラットは涙を流しオメガに抱きつく。
デッキから飛んだ二人は着地前に以前もらったぬいぐるみ型衝撃吸収を使った。


「うわこれ」

「なになにこれ」


巨大な猫のぬいぐるみが二人をキャッチする。


「…」


「ふふ、可愛い」


ぬいぐるみに興味があるマーガレット。
肉塊の様子が気になるアレサ。
二人の世界にいるオメガとフラット。
着地地点を探すザギ。

「うが」

かなり衝撃があり咳き込むレフト。
ニナは華麗な身体能力で見事に着地。

「アレサ、これを」

ニナは負傷しているアレサに回復薬を投げる。

「お帰りなさいニナ。帰ってきてくれて嬉しいわ」

「えっ…」

「本当によく戻ってきてくれたわ……ねえ、よく顔をみせてちょうだい」

アレサの言葉を聞き涙が溢れるニナ。
そんな彼女を抱きしめるアレサ。

「私…ごめんなさい…本当に…ごめ…」

頭を撫でてて落ち着かせるアレサ。
その様子をみたレフトは静かにマーガレットのところへ。

「お待ちしておりましたレフトーラさん」


レフトはマーガレットに回復魔法を放つ。


「遅くなり申し訳ないです」


「ありがとうございます。では肉塊にとどめを」


「…」


肉塊はレフトを敵と認識し鋭い触手で攻撃してきた。レフトは左手を前に出し炎を召喚。

「仕方ない…」

そして左手を払うと炎は肉塊に燃え移り触手含め大炎上。


「魔力が込められた炎は簡単に消えない」



肉塊フェイスは炎に焼かれダルガ教の四天王は静かに滅んだ。




…容易にあっけなく燃やしたけど…あの炎は異常だわ。
そんな強烈な炎を召喚しても息一つ切らしていない……。
レフトーラさん。
神に匹敵する者…でしょうか…ふふ。


マーガレットはレフトの魔力を間近で見た。
その圧倒的な魔力を…。




次回へ続く。
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