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第ニ章
二話 愛と宿命と…
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ヘルゲートが一大作戦へ向け動き出す。
その時、オメガはフラットから衝撃の事実を聞かされる。
だが、オメガにも秘めたる真実があった。
「私の役目は大陸の管理、そしてもう一人、エンデから大陸を監視する役目で遣わされた者がいるんだ」
「………機関のオール最高司令か」
「そうだ」
復興機関の目的は大陸を監視すべきことだった。
そしてドラゴンマスターは大陸を管理する者。
つまりエンデ国はこの大陸全土を掌握しており、事実、世界はエンデの手のひらにいるということになる。
「…何故この話を?」
「エンデはもう終わりだからだ……」
「終わり?」
「ダルガ教四天王の一部はエンデの力を持つ私ですら苦戦する強者だった」
「うむ」
「エンデは確かに多くの生物たちを導いた。だが悪魔襲来の危機を人は共存という形にて答えを出し、そして見事に乗り越えた。生物たちは良くも悪くも自分たちで選択して歴史をつくっていくべきなのだ。命の芽吹き、生命力、それを失ったエンデは滅ぶほかないだろう」
「うむ、興味深い話だが……」
オメガはフラットの手に触れる。
「あ…」
「不安なのだな…」
「オールが倒れ私は力を失った。そんな状況でよくわからん邪神なる存在が降臨し、暴徒化した信者が大陸に一斉攻撃を仕掛けたら……この大陸は……消滅してしまうんだ」
「消滅……何故だ?」
「管理と監視が失敗したとエンデに知れると大陸に脅威が発生したと認識される。そしてエンデは平和を保とうと脅威への攻撃を開始するんだ……そうなれば今度こそ世界は終わる…ミサイルが大陸全土に発射され文明は跡形もなく消滅する…これが世界終焉のシナリオなんだ」
声が震えるフラット。
彼女はカイト国への爆撃も知っている。
「大丈夫だフラット殿」
「ダルガ教の戦力は侮れない、残る敵はエターナルやフェイト以上の強者かもしれない。レフトーラやアレサ以上の者が存在していたら……」
震えて取り乱すフラットをオメガは優しく抱きしめる。
「えっ」
「落ち着くんだフラット。我々はダルガ教には負けない。大陸は今、ひとつにまとまりつつある。大丈夫だ。教団を倒しエンデ国へ行こう」
不器用ながらも必死に落ち着かせようとするオメガ。
その優しさに触れるフラット。
感じたことのないあたたかい気持ちに身をゆだねる。
「もしエンデが世界を再び滅ぼす選択をしたなら……」
「エンデを…滅ぼすの?」
「今その決断をする時ではない、レフトやガイア、各国の意見を聞くべきだろう。それにエンデに住まう者とも話すべきだろう」
「私は…あなたと共に……エンデと戦うことになっても…一緒に…」
フラットは繋いでいるオメガの手を強く握り返した。
「一緒だ、一緒だよフラット」
愛を確認する二人。
その様子をアレサとマーガレットは見逃さなかった。
「…エンデとかミサイルとか……あげくには世界の終焉だ?」
「ふふ、大陸にミサイルが降り注ぐなんて…ゾクゾクしますわ」
「気に入らないけど……今はダルガ教が優先でしょう」
「フラット様の話だとエンデ国はまるで神の国みたいですわね、ふふ」
「その神様の使いフラットがオメガとくっつくとはねえ…なんかお互いたどたどしいというか…」
「ふふ、奥様、二人はまるで機械仕掛けのアダムとイブみたいですわ」
「…ならさっさとリンゴを食べなさいよ…」
「ふふ」
その頃、何も知らないレフトは復興機関支部を訪れていた。
「あれレフト?お前パレスに行かなくていいのか」
ガルシアは相変わらず門番というか…入り口にいた。
状態がわからないレフトは戸惑っている。
「ガイって学者みたいな人が老人とパレスに向かっていたね」
「老人?」
「うふふ、その方はゼノンブール大老ですね」
バイオが奥から出てくる。
体調は無事回復したようである。
「ゼノンブールって…以前ヘルゲートの参謀だった賢者のことですか?」
…そうだ、ガルシアの言葉で思い出したわ。
ゼノンブール、実力はわからないけどかなりの知恵者で、ガイアの前任者に愛想をつかせて去ったあの老人だわ。
「姿を消してから、ひっそりと亡くなったかと思いましたが…うふふ」
「……しかしあの頑固じいさんを一体誰が説得したのでしょうかね…」
「うふふ、目の前にいますよ、その方は」
「えっ」
周囲を見渡すガルシア。
レフトはヘルゲートを爆撃や奇襲から守った。
強大な力で街を破壊する機械竜を倒したその姿は、苦しむ市民や兵士たちからみたら救世主そのものであった。
バイオは理解していた。
レフトの行動がこの謎の老人を動かしたことを。
「うふふ、そんなことよりもレフトーラ様」
「はい?」
「ダルガ教から、レフトーラ様とテラーを引き渡せとの要求がありましたが…うふふ、ご存知でしたか?」
「そ、そうなのですか…はじめて聞いたよ…」
「あらまぁ、今その件でミミズクさんがダークパレスでの話し合いに参加しております。奥様の姿がないところをみると……うふふ」
「す、凄い話し合いですね、当事者が不在とは…」
むちゃくちゃな話し合いに困惑するガルシア。
「レフト、お前大変だな…こっちにいた頃のほうがのびのびできただろう」
「うふふ、ガルシアさん、幸せとは人それぞれですからね」
「…」
「引き渡しは…罠っぽいですね…」
…またかよこの教団、餌をまいて獲物を釣るのがよほど好きなんだね…。
「だろうな」
「うふふ、清々しいくらいの罠ですわね」
二人はレフトの質問に即答する。
「パレスではどうせ罠だろうが突っ込むとか言ってるんでしょう」
「うふふ、レフトーラ様とてその方が楽かと?」
「まあ、そうですが…」
「…お前、機関を辞めてから性格が変わっただろ…」
「うふふ、ガルシアさん、レフトーラ様は結婚されましたからね。素敵な奥様と幸せいっぱいなのでしょう」
「結婚ですか…自分には無縁です」
「ガルシア、いつ出会いがあるかわからないよ。その時がきたら応援するからね」
「うふふ、ガルシアさんが結婚したら新婚旅行の申請をミミズクさんにしておきますわ」
「…」
そんな話をしている三人の前に、なんと鳥人アローが飛んでやって来る。
ガルシアは襲撃とみて身構える。
「バイオ様はお下がり下さい。ここはレフトと自分が…」
「うふふ、ガルシアさん大丈夫。あの鳥に戦意は無さそうですよ」
「早まるな、あれは使者だよ」
バサバサと羽ばたかせ着地したアローは膝をつき話を始めた。
「復興機関の方々突然の訪問失礼。私はアローと申します」
「うふふ、ずいぶんと礼儀正しい方ですね」
「アロー殿、私はガルシア、こちらはバイオ様、そしてレフトーラ。何用か」
二人の前に出てアローの対応をするガルシア。
「ガルシア殿恐れ入る。ダークパレスでの話し合いの結果、明後日にレフトーラ殿とテラーをダルガ教に引き合わせ、この教団を一網打尽にするとのことが決定しました」
「うふふ」
「あら…」
「一網打尽って…」
「後方にはゼノンブール様、レフトーラ殿の妻、アレサ殿、そしてマーガレット様が待機、気をみて総攻撃を仕掛けるとのことです」
スラスラと文章を読み上げるアロー。
「アレサって……おいレフト、大丈夫なのか?」
「…決定事項なら…仕方ないよね」
「うふふ」
「復興機関にはダークパレスの警備をお願いしたいとの要請がありました。ミミズク様はここにいるバイオ様の許可を、とのことで…」
「うふふ、許可しましょう。ミミズクさんはこちらに戻ってもらい、私とガルシアさんで引き受けましょう」
「えっ…バイオ様自らですか?」
「返答ありがとうございました。それではこれにて」
羽ばたこうとするアロー。
「ガルシアさん、中にいるケージさんへしばらく外すと伝えダークパレスに来て下さい。私はアローさんと一足先に行きますので」
「はっ」
ガルシアは内部に入り指示通り動き始めた。
アローは困惑しているが浮上しパレスへ向けて飛び去った。
「あの鳥はなかなか使えそうだわ、うふふ」
「引き抜きですか。相変わらずですねバイオさん」
「うふふ、レフトーラ様、お手伝いできず申し訳ないですが…こちらもちょっと気になることが…」
「はい、きっと教団はパレスにも何かを仕掛けてきます。パレスにはニナとオメガもいますが共に戦闘不能です」
「うふふ、お任せ下さい。それではまた三人でお話しましょうね」
そう言うと、バイオは魔力で浮上し、ものすごいスピードでアローを追った。
「さて、明後日だっけか…ならもうちょい街をみて回るかな」
次回へ続く。
その時、オメガはフラットから衝撃の事実を聞かされる。
だが、オメガにも秘めたる真実があった。
「私の役目は大陸の管理、そしてもう一人、エンデから大陸を監視する役目で遣わされた者がいるんだ」
「………機関のオール最高司令か」
「そうだ」
復興機関の目的は大陸を監視すべきことだった。
そしてドラゴンマスターは大陸を管理する者。
つまりエンデ国はこの大陸全土を掌握しており、事実、世界はエンデの手のひらにいるということになる。
「…何故この話を?」
「エンデはもう終わりだからだ……」
「終わり?」
「ダルガ教四天王の一部はエンデの力を持つ私ですら苦戦する強者だった」
「うむ」
「エンデは確かに多くの生物たちを導いた。だが悪魔襲来の危機を人は共存という形にて答えを出し、そして見事に乗り越えた。生物たちは良くも悪くも自分たちで選択して歴史をつくっていくべきなのだ。命の芽吹き、生命力、それを失ったエンデは滅ぶほかないだろう」
「うむ、興味深い話だが……」
オメガはフラットの手に触れる。
「あ…」
「不安なのだな…」
「オールが倒れ私は力を失った。そんな状況でよくわからん邪神なる存在が降臨し、暴徒化した信者が大陸に一斉攻撃を仕掛けたら……この大陸は……消滅してしまうんだ」
「消滅……何故だ?」
「管理と監視が失敗したとエンデに知れると大陸に脅威が発生したと認識される。そしてエンデは平和を保とうと脅威への攻撃を開始するんだ……そうなれば今度こそ世界は終わる…ミサイルが大陸全土に発射され文明は跡形もなく消滅する…これが世界終焉のシナリオなんだ」
声が震えるフラット。
彼女はカイト国への爆撃も知っている。
「大丈夫だフラット殿」
「ダルガ教の戦力は侮れない、残る敵はエターナルやフェイト以上の強者かもしれない。レフトーラやアレサ以上の者が存在していたら……」
震えて取り乱すフラットをオメガは優しく抱きしめる。
「えっ」
「落ち着くんだフラット。我々はダルガ教には負けない。大陸は今、ひとつにまとまりつつある。大丈夫だ。教団を倒しエンデ国へ行こう」
不器用ながらも必死に落ち着かせようとするオメガ。
その優しさに触れるフラット。
感じたことのないあたたかい気持ちに身をゆだねる。
「もしエンデが世界を再び滅ぼす選択をしたなら……」
「エンデを…滅ぼすの?」
「今その決断をする時ではない、レフトやガイア、各国の意見を聞くべきだろう。それにエンデに住まう者とも話すべきだろう」
「私は…あなたと共に……エンデと戦うことになっても…一緒に…」
フラットは繋いでいるオメガの手を強く握り返した。
「一緒だ、一緒だよフラット」
愛を確認する二人。
その様子をアレサとマーガレットは見逃さなかった。
「…エンデとかミサイルとか……あげくには世界の終焉だ?」
「ふふ、大陸にミサイルが降り注ぐなんて…ゾクゾクしますわ」
「気に入らないけど……今はダルガ教が優先でしょう」
「フラット様の話だとエンデ国はまるで神の国みたいですわね、ふふ」
「その神様の使いフラットがオメガとくっつくとはねえ…なんかお互いたどたどしいというか…」
「ふふ、奥様、二人はまるで機械仕掛けのアダムとイブみたいですわ」
「…ならさっさとリンゴを食べなさいよ…」
「ふふ」
その頃、何も知らないレフトは復興機関支部を訪れていた。
「あれレフト?お前パレスに行かなくていいのか」
ガルシアは相変わらず門番というか…入り口にいた。
状態がわからないレフトは戸惑っている。
「ガイって学者みたいな人が老人とパレスに向かっていたね」
「老人?」
「うふふ、その方はゼノンブール大老ですね」
バイオが奥から出てくる。
体調は無事回復したようである。
「ゼノンブールって…以前ヘルゲートの参謀だった賢者のことですか?」
…そうだ、ガルシアの言葉で思い出したわ。
ゼノンブール、実力はわからないけどかなりの知恵者で、ガイアの前任者に愛想をつかせて去ったあの老人だわ。
「姿を消してから、ひっそりと亡くなったかと思いましたが…うふふ」
「……しかしあの頑固じいさんを一体誰が説得したのでしょうかね…」
「うふふ、目の前にいますよ、その方は」
「えっ」
周囲を見渡すガルシア。
レフトはヘルゲートを爆撃や奇襲から守った。
強大な力で街を破壊する機械竜を倒したその姿は、苦しむ市民や兵士たちからみたら救世主そのものであった。
バイオは理解していた。
レフトの行動がこの謎の老人を動かしたことを。
「うふふ、そんなことよりもレフトーラ様」
「はい?」
「ダルガ教から、レフトーラ様とテラーを引き渡せとの要求がありましたが…うふふ、ご存知でしたか?」
「そ、そうなのですか…はじめて聞いたよ…」
「あらまぁ、今その件でミミズクさんがダークパレスでの話し合いに参加しております。奥様の姿がないところをみると……うふふ」
「す、凄い話し合いですね、当事者が不在とは…」
むちゃくちゃな話し合いに困惑するガルシア。
「レフト、お前大変だな…こっちにいた頃のほうがのびのびできただろう」
「うふふ、ガルシアさん、幸せとは人それぞれですからね」
「…」
「引き渡しは…罠っぽいですね…」
…またかよこの教団、餌をまいて獲物を釣るのがよほど好きなんだね…。
「だろうな」
「うふふ、清々しいくらいの罠ですわね」
二人はレフトの質問に即答する。
「パレスではどうせ罠だろうが突っ込むとか言ってるんでしょう」
「うふふ、レフトーラ様とてその方が楽かと?」
「まあ、そうですが…」
「…お前、機関を辞めてから性格が変わっただろ…」
「うふふ、ガルシアさん、レフトーラ様は結婚されましたからね。素敵な奥様と幸せいっぱいなのでしょう」
「結婚ですか…自分には無縁です」
「ガルシア、いつ出会いがあるかわからないよ。その時がきたら応援するからね」
「うふふ、ガルシアさんが結婚したら新婚旅行の申請をミミズクさんにしておきますわ」
「…」
そんな話をしている三人の前に、なんと鳥人アローが飛んでやって来る。
ガルシアは襲撃とみて身構える。
「バイオ様はお下がり下さい。ここはレフトと自分が…」
「うふふ、ガルシアさん大丈夫。あの鳥に戦意は無さそうですよ」
「早まるな、あれは使者だよ」
バサバサと羽ばたかせ着地したアローは膝をつき話を始めた。
「復興機関の方々突然の訪問失礼。私はアローと申します」
「うふふ、ずいぶんと礼儀正しい方ですね」
「アロー殿、私はガルシア、こちらはバイオ様、そしてレフトーラ。何用か」
二人の前に出てアローの対応をするガルシア。
「ガルシア殿恐れ入る。ダークパレスでの話し合いの結果、明後日にレフトーラ殿とテラーをダルガ教に引き合わせ、この教団を一網打尽にするとのことが決定しました」
「うふふ」
「あら…」
「一網打尽って…」
「後方にはゼノンブール様、レフトーラ殿の妻、アレサ殿、そしてマーガレット様が待機、気をみて総攻撃を仕掛けるとのことです」
スラスラと文章を読み上げるアロー。
「アレサって……おいレフト、大丈夫なのか?」
「…決定事項なら…仕方ないよね」
「うふふ」
「復興機関にはダークパレスの警備をお願いしたいとの要請がありました。ミミズク様はここにいるバイオ様の許可を、とのことで…」
「うふふ、許可しましょう。ミミズクさんはこちらに戻ってもらい、私とガルシアさんで引き受けましょう」
「えっ…バイオ様自らですか?」
「返答ありがとうございました。それではこれにて」
羽ばたこうとするアロー。
「ガルシアさん、中にいるケージさんへしばらく外すと伝えダークパレスに来て下さい。私はアローさんと一足先に行きますので」
「はっ」
ガルシアは内部に入り指示通り動き始めた。
アローは困惑しているが浮上しパレスへ向けて飛び去った。
「あの鳥はなかなか使えそうだわ、うふふ」
「引き抜きですか。相変わらずですねバイオさん」
「うふふ、レフトーラ様、お手伝いできず申し訳ないですが…こちらもちょっと気になることが…」
「はい、きっと教団はパレスにも何かを仕掛けてきます。パレスにはニナとオメガもいますが共に戦闘不能です」
「うふふ、お任せ下さい。それではまた三人でお話しましょうね」
そう言うと、バイオは魔力で浮上し、ものすごいスピードでアローを追った。
「さて、明後日だっけか…ならもうちょい街をみて回るかな」
次回へ続く。
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