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第ニ章
四話 立ち上がる竜
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「また会ったのぉ、レフトーラや」
話がある程度まとまり、レフトはパレスに呼び出されていた。
そして会議室にてゼノンブール、マーガレット、アレサとの話し合いに加わった。
「大老ゼノンブール、かつてのヘルゲートの頭脳、こんなかたちでお会いするとは…」
「そんな昔話はいらん。よく聞け、この引き渡しには裏がある」
「ふふ」
本題に入るゼノンブール。
「裏ねえ…なんかもううんざりだわ…」
「テラーさんも結構な性格だったものね、この教団の底がみえたような…」
アレサとレフトはぶつぶつと教団の文句をたれる。
その様子をニッコリ笑うマーガレット。
「ぼやく気持ちは分かるが、それも今回で終わりじゃろう」
「そうですね」
「どうだか…」
「ふふ」
「今回もアレサ殿にはちと頑張ってもらわねばならんからな」
「わかっているわよ」
「…頑張る?」
「ふふ、大老、話をお進め下さいませ」
「お、おう、すまんマーガレット」
マーガレットの言葉に作戦の説明をするゼノンブール。
「作戦は単純じゃ、レフトーラ、お前は動いちゃいかん」
「えっ」
「申し訳ないのですが手出しは無用ですが、ふふ」
「レフト、今回の作戦はあなたが囮なのよ」
「ふぉうふぉう、その通りじゃ」
なんだ…どういうことだ。
わからん。
「指定の場所へいくとあなたの魔力は封印されるわ」
「封印?」
「ふふ、結界か幻獣お得意のフィールド封印か……ともかく敵はレフトーラ様に何かを仕掛けてきます」
「…怖いですね…」
「心配いらん、わしらがおれば問題ないわ。だからお主はムリをするでないぞ」
「わかりました…」
「奥様も動かぬように耐えてもらいます。きびしい状況になるでしょうが…ふふ、タイミングをみて反撃しますのでそれまでは」
「レフト、敵地でまた卑怯な罠とかありそうだけど…ドルガを討ち平和を取り戻そう」
「皆がそれぞれやるべきことをすればきっと勝てるぞよ」
レフトを囮としてどう動くのか。
ゼノンブールは多くを語らなかった。
今回の作戦は彼とマーガレットが主となるようだが、たった二人でドルガや残存するダルガ教の強者を討てるのだろうか。
ゼノンブールとマーガレットは部屋を後にし、久しぶりにアレサと二人きりになったレフト。
「ねえ、レフト…」
アレサがレフトに何かを伝えようとしたが、部屋がノックされ突如フラットが入室してくる。
「失礼、二人とも、今大丈夫か?」
「フラットさん、はいどうぞ」
「大丈夫じゃないけど、あんたがどうしてもというなら…」
「ふふふ、相変わらずだなアレサ。どうしても話がしたくて来たのだ、すまぬ時間をくれぬか?」
「…」
フラットの変化に言葉を失うアレサ。
「レフトーラ、表に出てある人物に会ってくれぬか?」
「はい、いいですよ」
「…」
「ありがとう、どうしたアレサ? 表にいくぞ?」
「え、ええ」
広場に出た三人。
そこには一人の美しい女性が立っていた。
「…ちょっとフラット、どういうつもりよ」
「落ち着いてくれアレサ。順番に話す」
「ダリアさん…」
レフトの言葉に振り向くダリア。
武装していないダリアは街のキレイなお姉さんといったところだ。
「レフトーラ、アレサ、久しぶりね、ヘルゲートを守ってくれて、フラット様を助けてくれてありがとう」
ダリアはいきなり二人に頭を下げる。
「…」
何かあると身構えるアレサ。
そのアレサの様子に一息つきフラットが話す。
「レフトーラ、すまぬが彼女と勝負をしてくれ」
「えっ」
「お願いだ、私と勝負を」
すると兵士が現れ二本の剣を二人に渡す。
広場はいつの間にか人が集まり、異様な緊張感がある。
それはまるでガイアとの一騎討ちのようだ。
「用意周到ね、だけどどうなっても知らないわよ」
アレサは下がり勝負を許可したようだ。
フラットも同じように身を引く。
「どういうつもり?」
「ダリアは私を引き継いだ。そしてレフトーラのことを話したら一騎討ちがしたいと言ってきたのだ」
「ガイアといい、ダリアといい、何でレフトと戦いたがるのよ」
「さあな、だがお前も思い当たるだろう?レフトーラには相手を奮い起たせる何かがあるのだ。私は…彼となら……いや、やめておこう…」
「ふん…あんたはオメガと仲良くやんなさいよ」
「オメガ殿は一直線だ。レフトーラと共通する部分はあるだろう?私は…真っ直ぐな人格に弱いのだ」
「……知るか、あんたの好みなぞ興味がないわよ」
「それは残念だ。お前とは良い友になれると思ったのだがな」
「腐れ縁だ…それにしてもダリアが戻ってくるとはね」
…なんだかよくわからないけどダリアってあの竜剣のダリアだよね…。
フラットさんは引退したら彼女にドラゴンマスターを引き継ぐつもりだったみたいだわ。
「感謝するレフトーラ」
ダリアは一礼すると凄まじい勢いでレフトに斬りかかってきた。
「はやいっ」
レフトはとっさに剣を構え猛攻を受け流す。
「なるほど…魔法も剣術も一流。完成されたその動き、魔法剣士と言われることはありますね」
「…」
…前にアレサが言ってた通りだ。
この人は一撃で行動不能にするか、徹底的に攻撃して行動不能にしないと…危険だ。
手加減してどうにかなる相手ではない…。
レフトは剣を構え足を踏み込む。
その様子を見たダリアはくすりと微笑む。
「やる気になったようですね」
「…」
レフトは無言だ。
その様子から本気だと感じたダリアは剣を強く握り、ゆっくりと距離を縮める。
「レフトーラの勝ちだ…空気が変わった」
「ふん」
アレサとフラットはレフトの勝利を確信した。
「こちらからいきます、かくご…」
ダリアは自分の射程範囲に達したのでレフトに攻撃を宣言する。
「なっ」
一瞬だった。
ダリアがしゃべったその一瞬の隙にレフトは居合いとも抜刀術ともいえる神速の斬撃を彼女の右手に放った。
傷は軽いが一瞬の出来事に剣を落としてしまうダリア。何が起きたのかわからずキョロキョロする彼女の首に剣を突き付け勝敗は決した。
「ダリアさん、勝負ありですよ」
「…ふふふ…」
膝をつくダリア。
「アレサに負けて私は戦うことをやめようと思いました。ですが今回の騒動で自分のすべきことがあると決起しヘルゲートに戻ってきた」
「君は強い…とても強いよ」
「……あなたと戦えば何かがわかると思い挑戦したんです」
彼女の唇が震えている。
「ダリアさん、立って下さい。あなたにはやるべきことがあります」
「私は…」
ダリアの手をとり彼女を起こすレフト。
「これから大陸の命運をかけた戦いが始まります。残念ですがフラットさんはもう戦うことができません。あなたはそれを感じて戻ってきたのでは?」
「…」
「これを…」
レフトは以前に彼女からもらった宝珠を差し出す。
その宝珠を見て驚くダリア。
粉々になった竜剣に、深くはまっていたこの宝珠は取り出した際に黒くなり機能を停止していた。
だが今は青く輝きを取り戻している。
「レフトーラ、あなたの魔力…なのか?」
「わかりません。この宝珠をあなたから譲り受けた後、たくさんの戦いを経験してきました。仕組みや原理は不明ですが、魔力やらを吸収し復活したのか
もしれないですね」
レフトはダリアに宝珠を渡す。
すると宝珠はフラットの竜剣とかつての自分の竜剣が混ざったような新たなる竜剣となる。そして彼女を再び青い鎧に武装させた。
「レフトーラ、ありがとう」
新たな力を得たダリアを見ているアレサとフラット。
二人にはそれぞれの思いがあった。
「ふん、新たな竜剣、新竜剣ってとこかしらね。まあ味方でひと安心だわ」
「…」
…宝珠は本来、龍人が竜を召喚するのに使用していた魔力の器。それを改良し、珠に認められた者の願いを叶える願い珠としたのはエンデの技術だ。
ダリアは確かに珠に認められた存在ではあったが…一度砕かれた剣が再生するなど聞いたことがないぞ…。
これはレフトーラの魔力で再生したのか…。
「あんた…」
無言で難しい顔のフラットにアレサが話す。
「なんだ?」
「後継者がいてよかったわね」
「…」
…わからん…エンデのことは後だ。オメガ殿の言う通り、まずはダルガ教を…。
ヘルゲートは失ったものあれば来るものあり。
ダリアがドラゴンマスターと言えるのかはわからないが、国にとっては強力な戦力となり、敵には脅威となるだろう。
次回へ続く。
話がある程度まとまり、レフトはパレスに呼び出されていた。
そして会議室にてゼノンブール、マーガレット、アレサとの話し合いに加わった。
「大老ゼノンブール、かつてのヘルゲートの頭脳、こんなかたちでお会いするとは…」
「そんな昔話はいらん。よく聞け、この引き渡しには裏がある」
「ふふ」
本題に入るゼノンブール。
「裏ねえ…なんかもううんざりだわ…」
「テラーさんも結構な性格だったものね、この教団の底がみえたような…」
アレサとレフトはぶつぶつと教団の文句をたれる。
その様子をニッコリ笑うマーガレット。
「ぼやく気持ちは分かるが、それも今回で終わりじゃろう」
「そうですね」
「どうだか…」
「ふふ」
「今回もアレサ殿にはちと頑張ってもらわねばならんからな」
「わかっているわよ」
「…頑張る?」
「ふふ、大老、話をお進め下さいませ」
「お、おう、すまんマーガレット」
マーガレットの言葉に作戦の説明をするゼノンブール。
「作戦は単純じゃ、レフトーラ、お前は動いちゃいかん」
「えっ」
「申し訳ないのですが手出しは無用ですが、ふふ」
「レフト、今回の作戦はあなたが囮なのよ」
「ふぉうふぉう、その通りじゃ」
なんだ…どういうことだ。
わからん。
「指定の場所へいくとあなたの魔力は封印されるわ」
「封印?」
「ふふ、結界か幻獣お得意のフィールド封印か……ともかく敵はレフトーラ様に何かを仕掛けてきます」
「…怖いですね…」
「心配いらん、わしらがおれば問題ないわ。だからお主はムリをするでないぞ」
「わかりました…」
「奥様も動かぬように耐えてもらいます。きびしい状況になるでしょうが…ふふ、タイミングをみて反撃しますのでそれまでは」
「レフト、敵地でまた卑怯な罠とかありそうだけど…ドルガを討ち平和を取り戻そう」
「皆がそれぞれやるべきことをすればきっと勝てるぞよ」
レフトを囮としてどう動くのか。
ゼノンブールは多くを語らなかった。
今回の作戦は彼とマーガレットが主となるようだが、たった二人でドルガや残存するダルガ教の強者を討てるのだろうか。
ゼノンブールとマーガレットは部屋を後にし、久しぶりにアレサと二人きりになったレフト。
「ねえ、レフト…」
アレサがレフトに何かを伝えようとしたが、部屋がノックされ突如フラットが入室してくる。
「失礼、二人とも、今大丈夫か?」
「フラットさん、はいどうぞ」
「大丈夫じゃないけど、あんたがどうしてもというなら…」
「ふふふ、相変わらずだなアレサ。どうしても話がしたくて来たのだ、すまぬ時間をくれぬか?」
「…」
フラットの変化に言葉を失うアレサ。
「レフトーラ、表に出てある人物に会ってくれぬか?」
「はい、いいですよ」
「…」
「ありがとう、どうしたアレサ? 表にいくぞ?」
「え、ええ」
広場に出た三人。
そこには一人の美しい女性が立っていた。
「…ちょっとフラット、どういうつもりよ」
「落ち着いてくれアレサ。順番に話す」
「ダリアさん…」
レフトの言葉に振り向くダリア。
武装していないダリアは街のキレイなお姉さんといったところだ。
「レフトーラ、アレサ、久しぶりね、ヘルゲートを守ってくれて、フラット様を助けてくれてありがとう」
ダリアはいきなり二人に頭を下げる。
「…」
何かあると身構えるアレサ。
そのアレサの様子に一息つきフラットが話す。
「レフトーラ、すまぬが彼女と勝負をしてくれ」
「えっ」
「お願いだ、私と勝負を」
すると兵士が現れ二本の剣を二人に渡す。
広場はいつの間にか人が集まり、異様な緊張感がある。
それはまるでガイアとの一騎討ちのようだ。
「用意周到ね、だけどどうなっても知らないわよ」
アレサは下がり勝負を許可したようだ。
フラットも同じように身を引く。
「どういうつもり?」
「ダリアは私を引き継いだ。そしてレフトーラのことを話したら一騎討ちがしたいと言ってきたのだ」
「ガイアといい、ダリアといい、何でレフトと戦いたがるのよ」
「さあな、だがお前も思い当たるだろう?レフトーラには相手を奮い起たせる何かがあるのだ。私は…彼となら……いや、やめておこう…」
「ふん…あんたはオメガと仲良くやんなさいよ」
「オメガ殿は一直線だ。レフトーラと共通する部分はあるだろう?私は…真っ直ぐな人格に弱いのだ」
「……知るか、あんたの好みなぞ興味がないわよ」
「それは残念だ。お前とは良い友になれると思ったのだがな」
「腐れ縁だ…それにしてもダリアが戻ってくるとはね」
…なんだかよくわからないけどダリアってあの竜剣のダリアだよね…。
フラットさんは引退したら彼女にドラゴンマスターを引き継ぐつもりだったみたいだわ。
「感謝するレフトーラ」
ダリアは一礼すると凄まじい勢いでレフトに斬りかかってきた。
「はやいっ」
レフトはとっさに剣を構え猛攻を受け流す。
「なるほど…魔法も剣術も一流。完成されたその動き、魔法剣士と言われることはありますね」
「…」
…前にアレサが言ってた通りだ。
この人は一撃で行動不能にするか、徹底的に攻撃して行動不能にしないと…危険だ。
手加減してどうにかなる相手ではない…。
レフトは剣を構え足を踏み込む。
その様子を見たダリアはくすりと微笑む。
「やる気になったようですね」
「…」
レフトは無言だ。
その様子から本気だと感じたダリアは剣を強く握り、ゆっくりと距離を縮める。
「レフトーラの勝ちだ…空気が変わった」
「ふん」
アレサとフラットはレフトの勝利を確信した。
「こちらからいきます、かくご…」
ダリアは自分の射程範囲に達したのでレフトに攻撃を宣言する。
「なっ」
一瞬だった。
ダリアがしゃべったその一瞬の隙にレフトは居合いとも抜刀術ともいえる神速の斬撃を彼女の右手に放った。
傷は軽いが一瞬の出来事に剣を落としてしまうダリア。何が起きたのかわからずキョロキョロする彼女の首に剣を突き付け勝敗は決した。
「ダリアさん、勝負ありですよ」
「…ふふふ…」
膝をつくダリア。
「アレサに負けて私は戦うことをやめようと思いました。ですが今回の騒動で自分のすべきことがあると決起しヘルゲートに戻ってきた」
「君は強い…とても強いよ」
「……あなたと戦えば何かがわかると思い挑戦したんです」
彼女の唇が震えている。
「ダリアさん、立って下さい。あなたにはやるべきことがあります」
「私は…」
ダリアの手をとり彼女を起こすレフト。
「これから大陸の命運をかけた戦いが始まります。残念ですがフラットさんはもう戦うことができません。あなたはそれを感じて戻ってきたのでは?」
「…」
「これを…」
レフトは以前に彼女からもらった宝珠を差し出す。
その宝珠を見て驚くダリア。
粉々になった竜剣に、深くはまっていたこの宝珠は取り出した際に黒くなり機能を停止していた。
だが今は青く輝きを取り戻している。
「レフトーラ、あなたの魔力…なのか?」
「わかりません。この宝珠をあなたから譲り受けた後、たくさんの戦いを経験してきました。仕組みや原理は不明ですが、魔力やらを吸収し復活したのか
もしれないですね」
レフトはダリアに宝珠を渡す。
すると宝珠はフラットの竜剣とかつての自分の竜剣が混ざったような新たなる竜剣となる。そして彼女を再び青い鎧に武装させた。
「レフトーラ、ありがとう」
新たな力を得たダリアを見ているアレサとフラット。
二人にはそれぞれの思いがあった。
「ふん、新たな竜剣、新竜剣ってとこかしらね。まあ味方でひと安心だわ」
「…」
…宝珠は本来、龍人が竜を召喚するのに使用していた魔力の器。それを改良し、珠に認められた者の願いを叶える願い珠としたのはエンデの技術だ。
ダリアは確かに珠に認められた存在ではあったが…一度砕かれた剣が再生するなど聞いたことがないぞ…。
これはレフトーラの魔力で再生したのか…。
「あんた…」
無言で難しい顔のフラットにアレサが話す。
「なんだ?」
「後継者がいてよかったわね」
「…」
…わからん…エンデのことは後だ。オメガ殿の言う通り、まずはダルガ教を…。
ヘルゲートは失ったものあれば来るものあり。
ダリアがドラゴンマスターと言えるのかはわからないが、国にとっては強力な戦力となり、敵には脅威となるだろう。
次回へ続く。
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