ダークライトラブストーリー

【本編】戦いの予感

北エリアで爆発。

突然の出来事に城内は混乱。
上層部は詳細を調べているが、どうやら内通者がいた模様だ。


「失礼します。アイ様、スル様ご無事ですか」

コトは二人の安全確認のため部屋へ入室。

「コトさん、この爆発は北エリア?」

アイは音の聞こえた方向から爆発現場を特定する。

「軍部が爆発されたとなると内通者がいる可能性が高いです」

「この爆発が何かの合図だとしたら…」

館のみんなの予測は正しかった。


南大門の兵士が爆発の後処理に回ったことで門は無惨にも打ち破られた。

 入国管理施設は真っ先に破壊された。
黒い雪崩のように敵兵士が城内に侵入していく。そして四将校の一人がアイたちのいる西エリアへ攻撃を開始する。

「こっちは居住区っぽいね。なるべく民間人は斬らないようにね。抵抗する者は斬ってよいわ」

怪しげな剣を左手に持つその男は兵士に号令する。


「兵士が城内に侵入しましたね。軍は後手後手で、このままだとここも荒らされます」

冷静なコト。
城内が戦地になると推測していたようでお手伝いや戦えない者は既に三階の安全な部屋へ避難していた。

「スル様、どうされますか」

「戦うよ、コトさん、武器はありますか」

「刀剣ならございます。バン、スル様へ剣を」

するとバン持っていた剣をスルに渡す。

「ありがとう。でもバンさんは丸腰になるけど…」

「大丈夫です。体術の心得があるので」

「アイ様は三階へ避難されてはどうでしょうか」

コトはいつの間にか普通に歩行しているアイを心配している。精神世界から帰還し自分を取り戻したが、身体への負担は大きいはず。


その時、突然正面入口を叩く音が響く。
皆はすぐさま正面入口へ向かった。

「ここだね、内部を捜索しよう」

館は包囲されたようだ。
入口を破壊されては困るため、コトは出迎える。四将校の一人がそれを受ける。


「ここの主ですか。私はライトといいます」

そういうと周囲を見回しアイの姿を確認したライト。

「争うつもりはありません。アイ様を迎えにきただけです」

ライトはアイを連れ帰るよう命を受けたようだ。

「できかねます。争うつもりがないのはこちらとて同じです」

「なるほど、交渉はムリみたいだね」

するとライトは武器を構えた。

「外でお相手致します」

コトに丁寧に誘導する。
その時バンたちに指示を出した。

「アイ様、スル様、ここはお任せ下さい」

「コトさん、私が戦うわ」

アイの突然の発言に敵であるライトも驚いた。
スタスタと外に出るアイを皆が追いかける。
外に出ると黒い兵士が多数で館を囲んでいた。また西エリアはほぼ真っ黒になり敵に制圧されてしまったようだ。市民は大きな施設に収容されているようだが略奪などはないようだ。

「…市民が拘束されているのか…」

スルはその様子をみてぎゅっと剣を握る。
その手をスッと優しく握り返すアイ。
アイの行動でスルは冷静になり深呼吸をした。

「心配いらないよ。クロス殿は一旦本国に戻られた。我々四将校がここを任されてね。市民に手荒なことはしないと約束しよう」

「四将校？」

「そこにいる女剣士フレイと後方で兵士の指揮しているサンダー、あと一人はこの国に潜入していたビーン。クロス殿がスカウトした精鋭だよ」


「クロスより話がわかると思うけど、攻め込まれた以上、私は戦うわ」

そういうとアイは構える。

「アイ様とは…」

躊躇するライトをみかねて、フレイが突然抜刀し、アイに襲いかかる。