ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

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第一章

一話 対峙

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私を探してほしい。
アレサはそう言った。


ここがどこなのか…。
どうすればここから脱出できるのか。
後方が気になり後ろを振り返るがネズミは追ってこない。
かなりの距離を走りながらも途中からは歩いている。
だが白い炎に近づいている感じが全くしない。
歩きながらレフトはふと思った。


「ホープさんの雰囲気は…悪魔っぽかった」


ホープは悪魔なのだろうか。
アレサがとっさに感じた気配は悪魔のそれであったのだろうか。瞬時に悪魔を察知し警戒をしてくれたのだろう。見た目ではわからないが、オーラというか、悪魔は特有の何かがあると確信したレフト。

「…このままだと悪魔になるのかねえ…」

レフトの気になることはこれだ。
やがて自分も悪魔となるのだろうか。
そして長寿となり…。
考え込んでいたため下を向いていたレフトだが、ふと正面に誰かいることに気づく。


「…そんな…バカな……」


視線の先にいたそれはレフト自身である。
自分の進む道を遮るかのように立ち塞がる自分。
そっちへは行くなという事だろうか。
もう一人の自分は突然、刺突剣を手に取りレフトに襲いかかった。一瞬驚いたレフトだったが、突き刺しが主体の攻撃は見切り易く、難なく躱す。だがもう一人の自分は突如魔法剣を展開し刀身に火炎を纏いレフトを切りつけた。

「…なるほど…」

切られたのは右腕だが不思議なことにダメージは無い。
突き刺しだけでなく刀身に魔法を纏うことで斬撃が可能となる。魔法剣士らしい、攻撃のバリエーションが豊富な立ち回りだ。

「…」

対峙する二人。
レフトは武器が無く、まともに戦えないため相手の攻撃に合わせるカウンターを狙う。それを察知したもう一人の自分はジリジリと距離をつめては引き、一歩を踏み出せないでいた。
丸腰だが油断はしない。
実にレフトらしい考えだ。

「…」

音もなく、お互いが出方を待つ緊迫した状況だ。

その時、レフトは何かを悟った。
突然、全身の力を抜き、ぐたっとし完全無防備状態になった。もう一人の自分はそれを見逃さず魔法剣でレフトに斬りかかった。
全く避けようとしないレフトに戸惑うことなく剣を振り下ろす。

右肩から左の脇腹にかけて、火炎斬りが命中した。

「…やはり…」

斬撃に手応えがないもう一人のレフトはその後も攻撃を繰り返す。
だが、ホログラムを相手にしているで本体をとらえることができない。

「仕組みや理屈はわからないけど、我々どちらも実体ではないみたいだね」

レフトのその言葉を理解したらしく剣を地に刺し武装を解く。
そして白い炎の方向を指差し消えた。


「…現実の世界ではおそらく気を失っているんだろうね…」

何かを伝えようとしていたのか。
それは不明だが、レフトに冷静さを思い出させたのは確かだ。

焦り。

アレサもレフトから感じていただろうそれは、制御が難しいが注意しないと重大な問題を発生させることもある。
もう一人の自分と対峙し冷静さを思い出したレフト。
再び白い炎へ向けて歩き出した。


次回へ続く
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