ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

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第一章

九話 集まる偵察隊

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「お二人は夫婦なんですか」

アレサはレオとミーナの関係を聞いた。仲が良いので夫婦か兄妹だろうというのがアレサの推測だ。

「結婚したいのですが、レオがなかなかしてくれないんですよ」

「えっ」

「いや、ちゃんと結婚するから。ただどうやってするかわからないんすよ。それに、もう結婚しているようなもんじゃね?」

「…」

アレサは予測の斜め上をいくレオの発言に返す言葉を失った。
レフトは疲労からか、すやすやと眠っている。

「どうしました?」

「いえ、そういえば私たちも正式には結婚していないと思って…」


和やかな会話の最中、いきなり全体連絡なるものが始まる。拡声器を持った女性が今後について突然話し始める。

「敵の数は多いですが恐れることはありません。三十分後に状況を確認するためドアの外に出ます。そこで二名、偵察に志願して下さる方はいませんか」

広間がざわつく。

「志願者二名に私、シルク、それにジジ殿、そして案内にダグさん、あとは個人的に声掛けする一名を加え偵察にいきます」

外は静かで、本当にモンスターが屋敷を包囲しているのかはわからない。それを調べにいくわけである。

「私の個人的な要望ですが、先ほど魔法でモンスターを撃退してくれた方、ぜひ参加をお願いしたいです」

レオだ。
まあ当然そうなるだろう。

「ねえ、かっこいいとこみせてよ」

「任せとけって」

レオは行く気満々のようだ。
屈強そうな住民は何名かいるが、この偵察は強さよりスマートさが重要だろう。様子を探るといったとこだ。

「それでは志願者はこちらへお願いします。話は以上です」

連絡が終わった瞬間、志願者たちがシルクへ群がる。みんなじっとしていられないようだ。

そんな様子を見たレオは呟く。

「どうせ武器を使いたいだけだろうね。ここはずっと平和だったから」

「…」

そんな会話をしていると急ぎ足でダグとジジがやって来た。

「レフトーラさんはお休みでしたか」

「ぜひご同行願いたかったのですが…」

ジジとダグはレフトが復興機関であることを知っている。そのため声をかけてきたのだ。

「俺がいくんでレフトさんは休ませて下さい。あ、自分はレオといいます」

「ありがとうございます。レフトさんは残念ですが、よろしくお願い致します」

二人はレオに頭を下げ、正式に依頼したようだ。

「いいわ、私がレフトの代わりにいく。確か偵察だったわね」

二人の顔色が変わる。
アレサは前にダグと一触即発になったことがあり、彼にとってアレサはトラウマなのである。

「ジジさん、私は…」

「アレサさんご同行願います」

ダグは少々不満そうだが、ジジは提案を承諾した。

「三十分後でしたね」

「はい。では後程」

そう言うと二人はまた小走りで去っていった。

「レフトさんのそばにいたほうがよくないっすか」

「大丈夫よ、レフトはしばらく起きないから。どう言えば伝わるかしら……彼を想うからこそ、この状況をさっさと解決したい、だから私は偵察に参加したいのよ」

淡々と話すアレサ。

「伝わったっす。自分もこの状況はちょいストレスなんで。一緒にいきましょう」

「レオ…大丈夫なの?」

「余裕だよ、心配いらない。それよりミーナ、悪いけどレフトさんを任せてもいいかい」

「もちろんよ。アレサさん、レフトさんには私がついていますので。レオをお願いします」

「申し訳ないです。お願い致します」

そんなこんなで出発の時間となった。
銃のチェックをするダグ。
屋敷の見取り図で打ち合わせをしているシルクとジジ。
そこへ歩いていくレオ。

「行ってくるわねレフト」

レフトの手をにぎりアレサは気持ちを切り替えた。
久しぶりの軍人らしき、凛々しい表情だ。

残りの一人は住民からの志願者で、これまた只者ならぬ雰囲気がある。
スキンヘッドで強面だ。


「揃いましたね。名前だけ確認してすぐいきましょう」

この隊のまとめ役はシルクだ。
レオは銃を渡されたが受け取らず、アレサも同様だ。
スキンヘッドはゲイルと言い、彼は銃を受け取った。

「ではいきましょう」


次回へ続く

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