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第一章
九話 集まる偵察隊
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「お二人は夫婦なんですか」
アレサはレオとミーナの関係を聞いた。仲が良いので夫婦か兄妹だろうというのがアレサの推測だ。
「結婚したいのですが、レオがなかなかしてくれないんですよ」
「えっ」
「いや、ちゃんと結婚するから。ただどうやってするかわからないんすよ。それに、もう結婚しているようなもんじゃね?」
「…」
アレサは予測の斜め上をいくレオの発言に返す言葉を失った。
レフトは疲労からか、すやすやと眠っている。
「どうしました?」
「いえ、そういえば私たちも正式には結婚していないと思って…」
和やかな会話の最中、いきなり全体連絡なるものが始まる。拡声器を持った女性が今後について突然話し始める。
「敵の数は多いですが恐れることはありません。三十分後に状況を確認するためドアの外に出ます。そこで二名、偵察に志願して下さる方はいませんか」
広間がざわつく。
「志願者二名に私、シルク、それにジジ殿、そして案内にダグさん、あとは個人的に声掛けする一名を加え偵察にいきます」
外は静かで、本当にモンスターが屋敷を包囲しているのかはわからない。それを調べにいくわけである。
「私の個人的な要望ですが、先ほど魔法でモンスターを撃退してくれた方、ぜひ参加をお願いしたいです」
レオだ。
まあ当然そうなるだろう。
「ねえ、かっこいいとこみせてよ」
「任せとけって」
レオは行く気満々のようだ。
屈強そうな住民は何名かいるが、この偵察は強さよりスマートさが重要だろう。様子を探るといったとこだ。
「それでは志願者はこちらへお願いします。話は以上です」
連絡が終わった瞬間、志願者たちがシルクへ群がる。みんなじっとしていられないようだ。
そんな様子を見たレオは呟く。
「どうせ武器を使いたいだけだろうね。ここはずっと平和だったから」
「…」
そんな会話をしていると急ぎ足でダグとジジがやって来た。
「レフトーラさんはお休みでしたか」
「ぜひご同行願いたかったのですが…」
ジジとダグはレフトが復興機関であることを知っている。そのため声をかけてきたのだ。
「俺がいくんでレフトさんは休ませて下さい。あ、自分はレオといいます」
「ありがとうございます。レフトさんは残念ですが、よろしくお願い致します」
二人はレオに頭を下げ、正式に依頼したようだ。
「いいわ、私がレフトの代わりにいく。確か偵察だったわね」
二人の顔色が変わる。
アレサは前にダグと一触即発になったことがあり、彼にとってアレサはトラウマなのである。
「ジジさん、私は…」
「アレサさんご同行願います」
ダグは少々不満そうだが、ジジは提案を承諾した。
「三十分後でしたね」
「はい。では後程」
そう言うと二人はまた小走りで去っていった。
「レフトさんのそばにいたほうがよくないっすか」
「大丈夫よ、レフトはしばらく起きないから。どう言えば伝わるかしら……彼を想うからこそ、この状況をさっさと解決したい、だから私は偵察に参加したいのよ」
淡々と話すアレサ。
「伝わったっす。自分もこの状況はちょいストレスなんで。一緒にいきましょう」
「レオ…大丈夫なの?」
「余裕だよ、心配いらない。それよりミーナ、悪いけどレフトさんを任せてもいいかい」
「もちろんよ。アレサさん、レフトさんには私がついていますので。レオをお願いします」
「申し訳ないです。お願い致します」
そんなこんなで出発の時間となった。
銃のチェックをするダグ。
屋敷の見取り図で打ち合わせをしているシルクとジジ。
そこへ歩いていくレオ。
「行ってくるわねレフト」
レフトの手をにぎりアレサは気持ちを切り替えた。
久しぶりの軍人らしき、凛々しい表情だ。
残りの一人は住民からの志願者で、これまた只者ならぬ雰囲気がある。
スキンヘッドで強面だ。
「揃いましたね。名前だけ確認してすぐいきましょう」
この隊のまとめ役はシルクだ。
レオは銃を渡されたが受け取らず、アレサも同様だ。
スキンヘッドはゲイルと言い、彼は銃を受け取った。
「ではいきましょう」
次回へ続く
アレサはレオとミーナの関係を聞いた。仲が良いので夫婦か兄妹だろうというのがアレサの推測だ。
「結婚したいのですが、レオがなかなかしてくれないんですよ」
「えっ」
「いや、ちゃんと結婚するから。ただどうやってするかわからないんすよ。それに、もう結婚しているようなもんじゃね?」
「…」
アレサは予測の斜め上をいくレオの発言に返す言葉を失った。
レフトは疲労からか、すやすやと眠っている。
「どうしました?」
「いえ、そういえば私たちも正式には結婚していないと思って…」
和やかな会話の最中、いきなり全体連絡なるものが始まる。拡声器を持った女性が今後について突然話し始める。
「敵の数は多いですが恐れることはありません。三十分後に状況を確認するためドアの外に出ます。そこで二名、偵察に志願して下さる方はいませんか」
広間がざわつく。
「志願者二名に私、シルク、それにジジ殿、そして案内にダグさん、あとは個人的に声掛けする一名を加え偵察にいきます」
外は静かで、本当にモンスターが屋敷を包囲しているのかはわからない。それを調べにいくわけである。
「私の個人的な要望ですが、先ほど魔法でモンスターを撃退してくれた方、ぜひ参加をお願いしたいです」
レオだ。
まあ当然そうなるだろう。
「ねえ、かっこいいとこみせてよ」
「任せとけって」
レオは行く気満々のようだ。
屈強そうな住民は何名かいるが、この偵察は強さよりスマートさが重要だろう。様子を探るといったとこだ。
「それでは志願者はこちらへお願いします。話は以上です」
連絡が終わった瞬間、志願者たちがシルクへ群がる。みんなじっとしていられないようだ。
そんな様子を見たレオは呟く。
「どうせ武器を使いたいだけだろうね。ここはずっと平和だったから」
「…」
そんな会話をしていると急ぎ足でダグとジジがやって来た。
「レフトーラさんはお休みでしたか」
「ぜひご同行願いたかったのですが…」
ジジとダグはレフトが復興機関であることを知っている。そのため声をかけてきたのだ。
「俺がいくんでレフトさんは休ませて下さい。あ、自分はレオといいます」
「ありがとうございます。レフトさんは残念ですが、よろしくお願い致します」
二人はレオに頭を下げ、正式に依頼したようだ。
「いいわ、私がレフトの代わりにいく。確か偵察だったわね」
二人の顔色が変わる。
アレサは前にダグと一触即発になったことがあり、彼にとってアレサはトラウマなのである。
「ジジさん、私は…」
「アレサさんご同行願います」
ダグは少々不満そうだが、ジジは提案を承諾した。
「三十分後でしたね」
「はい。では後程」
そう言うと二人はまた小走りで去っていった。
「レフトさんのそばにいたほうがよくないっすか」
「大丈夫よ、レフトはしばらく起きないから。どう言えば伝わるかしら……彼を想うからこそ、この状況をさっさと解決したい、だから私は偵察に参加したいのよ」
淡々と話すアレサ。
「伝わったっす。自分もこの状況はちょいストレスなんで。一緒にいきましょう」
「レオ…大丈夫なの?」
「余裕だよ、心配いらない。それよりミーナ、悪いけどレフトさんを任せてもいいかい」
「もちろんよ。アレサさん、レフトさんには私がついていますので。レオをお願いします」
「申し訳ないです。お願い致します」
そんなこんなで出発の時間となった。
銃のチェックをするダグ。
屋敷の見取り図で打ち合わせをしているシルクとジジ。
そこへ歩いていくレオ。
「行ってくるわねレフト」
レフトの手をにぎりアレサは気持ちを切り替えた。
久しぶりの軍人らしき、凛々しい表情だ。
残りの一人は住民からの志願者で、これまた只者ならぬ雰囲気がある。
スキンヘッドで強面だ。
「揃いましたね。名前だけ確認してすぐいきましょう」
この隊のまとめ役はシルクだ。
レオは銃を渡されたが受け取らず、アレサも同様だ。
スキンヘッドはゲイルと言い、彼は銃を受け取った。
「ではいきましょう」
次回へ続く
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