ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

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第一章

十話 真実と決着

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ギィィッ

ゆっくりと広間の扉は開けられた。
人もモンスターもいない。
六人は外に出て、すぐに扉を閉めるように指示した。

「さて…」

「真っ直ぐ進みましょう。すぐ近くに警備モニタールームがあり、屋敷の全体を把握できます」

ダグの言葉を聞き、皆、周囲を警戒しつつ歩き始めた。
だがモンスターというか人の気配すらない。

「…妙だぜ…」

「えっ」

レオは歩きながら考えていた。

歩いてすぐに鳥が窓をぶち破った場所に到着した。
レオとアレサはその現場を調べた。

「ちょっとお二人さん、離れないで下さい」

ジジがそんな二人を注意する。

だが…。

「これは…」

その現場をみて絶句するジジ。

「…内側から破壊されている…」

「そうだ。あの襲撃は屋敷の誰かが外部から攻撃してきたかのように見せた芝居だったんだよ」

レオは推理ものの探偵並みに謎解きをした。

その瞬間、ゲイルは突然銃口を他の五人に向けた。
急展開に驚くレオやダグたちだったが、アレサは氷のように冷たい視線で冷静だった。

「おい、誰なんだ」

「落ち着いて下さいゲイルさん」

ジジがなだめるが興奮状態のゲイルは息づかいが荒く今にも発泡しそうだ。

「芝居はやめろ、犯人はお前だろ」

興奮状態の者をさらに刺激するダグ。
なんと懐から拳銃を取り出し銃口をゲイルに向けた。

「おいおいおいおい」

レオは更なる急展開に身構えた。

「お二人ともお止めください」

ジジも身構えて二人を制止する。
シルクは腰を抜かし言葉を発せぬようだ。

「黙れっ、だいたいこの執事は前々から胡散臭かったんだ。この場で消してやる」

ゲイルは引き金に指をおく。


「やめろっ」


レオは床を殴り皆の視界を奪った。
そして、その隙に二人を抑え込もうとしたが、なんと二人はおろか、ジジやシルクまでもが地にひれ伏してた。

その光景にガタガタと震えるレオ。
その後ろにはアレサがいた。

「良い判断ね。お見事」

トンとレオの首に一撃をみまい気絶させた。
これでアレサ以外は皆行動不能となった。

「ふう、さっさと終らせて休みたいわよ。後は外ね」


アレサは窓を破り外に出た。


外にはなんと多数のモンスターに囲まれた大蛇がいた。


「この地が小さいながらも発展していた理由がわかったわ。幻獣の加護ね」


「ほぅ、お主、人ではないな」


「事を荒立てるつもりはないわ。私たちは静養したいだけ。あなたの狙いはダグでしょう」


「ふむ、なかなか話がわかるな。我はこの地の人間たちに救われたのだ」


すると後方より人が駆けつける。
その人物はジジだ。


「お止めください奥様。ゾルム様はこの集落の守り神。ここは幻獣と人が共存する地なのです」


必死にアレサを説得するジジ。


「大戦で負傷でもしたのかしら。そこを人間に救われたといったところかしらね」


「なるほどお主の正体がわかったわ」


二人はお互いに干渉は避け構えを解き和解した。
戦いにならずほっとしたジジ。


「ジジは好きにするといいわ。私とレフトはほっといてちょうだい。さすれば何もしないし、手が必要な時は全面的に協力を約束するわ」

「ありがとうございます奥様」

「よかろう。なら我も世が乱れた時は助力を約束しよう。ここに住むもよし。好きにするがいい」

ゾルムは白銀の腕輪をアレサに投げた。サイズ的にレフトがはめるのはムリそうだ。

「ゾルム様、わざわざありがとうございます」

ジジは深くお辞儀をし見送った。

「奥様、これからすべきことは…」

「幻獣は物分かりがいいから楽だけど人はそうはいかないわ」

「と言いますと?」

「あの鳥は幻獣が引き連れたモンスターではないでしょう」

「…それは……」

「あれは魔術師が召喚したモンスターよ」

「…」

沈黙してしまうジジ。
アレサはやれやれと言った表情で続ける。

「ダグは幻獣を追い出して人だけの集落にしたかった。だけど幻獣と共存してこその集落と思っていたあなたはそれを阻止したかった」

「…はい」

「だけどそのタイミングで目的はわからないけど魔術師が紛れ込んだ」

「住民に危害は加えたくなかった。あの襲撃は予想外でした」

「魔術師はおそらくレオよ」

「レオさんが…しかし…」

「ええ、自作自演だったのよ」


その時屋敷の壁を破りレオが外に出てきた。


「あら、もう騒動は解決したわよ」

「アレサさん、あなたとは戦いたくない。俺の望みは大蛇の血だけだ」

「なんとっ」

「またえらく懐かしい言葉ね」

「まずここの住民を襲撃して申し訳ない。あの召喚は魔力の誤作動でした」

「ふっ、襲撃現場で器をすぐに回収してわね。それがあなたを魔術師と思った理由よ」

「お見事です。俺はあなたやレフトさんが優しく強いことがすぐ分かりました。だからここは引いて下さい」

「引くって私たちは何もしないわよ。あなたは大蛇の血で難病を治したいのでしょう?」

「はい、ミーナが…後一年で…」

「なるほどね。ジジさんゾルムさんに頼んでみたら?」

「ええ。消えゆく命をきっと救済してくれるでしょう」

それを聞くと泣き崩れるレオ。
チャラチャラしていた印象はそこにはない。


「これで一件落着だね。ようやく休めるわ」


「まだだ」


その時、ゲイルとシルクを抱えたダグが現れた。
注射針が腕に刺さり目は血走っている。


「あらら、モンスター化しちゃってどういうつもりかしら」

「黙れ、マスターはお前とレフトーラには手を出すなと仰っていたが、もう我慢ならん」

「やめんかジジ。そのマスターは私だ。表は住居案内人として、裏では人知れずこの集落を取りまとめていたのだ」

「なんだと、マスターが…」

「ダグ、お前の能力は十分評価している。だから冷静になるのだ」

「くっ、だまれ、今さらひけるか。覚悟」

ジジの説得を振り切りアレサに襲いかかるダグ。


「もういい加減にしなさいっ」


アレサは闘気を解放した。
久しぶりだったので手加減ができず、衝撃波で屋敷の壁や窓が破損。アレサの立つ地面は激しく陥没し、エネルギーの凄まじさがわかる。


レオは多少魔力が使えるためその闘気の質を理解し腰が抜けたようだ。
ダグは吹き飛び屋敷の壁に激突。

「なんと…幻獣を…上回るその力」

ジジもレオ同様に腰が抜けて立てない。


「もう私はレフトと休ませてもらうわ」


すぐに闘気を払い屋敷に戻るアレサ。
その様子をみてレオは呟く。

「恐妻家だろうか…」


次回へ続く





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