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第ニ章
七話 竜の宝珠
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「この先ですね」
ヴァンの転移魔法で目的地の手前に飛んだレフトとアレサ。
「ゲートの開発は幻獣の魔法からヒントを得たというが…」
冷静なアレサ。
初めて転移した時のレフトとはまるで違う。
すでに転移を経験していたようである。
「さて…魔物ハンターとやらがお待ちかな」
目的地へ進む三人。
集落はあの女性魔法使いらしき人物にまた襲われるだろう。
そうなるだろうと思ったキバは集落に残った。
自分なりにけじめをつけたいようだ。
やがて三人の前に清楚な服装の女性が現れる。
「ようこそ」
心地の良い声だ。
これで魔物を手懐けるのだろうか。
現れたのは一人だが、隠れるようにおびただしい数のモンスターが三人を包囲している。
「魔物ハンターっていうから、てっきりモンスターを狩る側かと思っていたけど、実際はただのペットマニアかしらね」
アレサは彼女を挑発する。
その言葉にイラっときたのかティマはアレサを睨み付ける。
「…ヴァン、アレサは本調子じゃないから回復でフォローを頼む」
「承知しました。ですが…」
「んっ、どうしたの?」
「…私達が包囲され罠にかかり窮地のはずなのですが………何故か向こうのほうが追いつめられているような……」
「ああ、アレサの圧がすごいからね」
「…」
アレサは別次元の者に思えたヴァン。
「モンスターを手懐け戦うなら魔物使いでしょう? もうセンスが無いわね」
自分を否定され侮辱されたと思ったティマは激昂した。
だがこれで勝敗は決した。
一斉にアレサへとモンスターが襲いかかる。
始まった。
アレサは闘気を解放した。
弱小モンスターはそのオーラで消し飛ぶ。
くるりと回転し全方位へ衝撃波を放つ。これによりモンスターの群れはほぼ壊滅した。一瞬でモンスターたちを失い何が起きたのか理解できないティマ。
「もう終わりかしら」
闘気を纏いゆっくりとティマに近づくアレサ。
身の危険を感じたティマはなにやら宝珠らしきものを取り出し上空へかかげた。
周囲の空気が変わり緊張感が漂う。
それを察知しアレサは身構える。
「あれは…召喚宝珠、本当に実在したんですね」
「召喚宝珠?」
ヴァンがレフトに説明をする。
「ドラゴンを召喚する宝珠で世界に四つあると伝わっております」
「なるほど…キバのような龍人ではなくドラゴンそのものを召喚する?」
「はい、召喚されるのは幻獣に近い四属性のドラゴンといわれています。そのドラゴンを操る者はドラゴンマスターとして活躍したとか…」
天から赤いドラゴンが降りてくる。
その巨体からは強烈なオーラが発せられている。
「これはずいぶんと大きなペットね。数の次はサイズで勝負かしら」
アレサはさらにティマを挑発する。
目の前には伝説の存在がいるのだが全く怯んでいない。
「黙れ、レッドドラゴンよ、かかれ」
ドラゴンに攻撃命令を出す。
レッドドラゴンはアレサに火炎の息を放った。
突然の攻撃にアレサは避ける間もなくブレスが直撃した。
「黒焦げだろう…さて次は」
アレサを仕留めてご機嫌なティマであったが…。
火炎を振り払いドラゴンを睨むアレサ。
もはやこの世のものとは思えない非現実的な光景に力が抜けるティマ。
「お呼びじゃないのよぉっ!」
レッドドラゴンの顔面にアレサの強烈なパンチが命中する。
ドラゴンは大きく後退し倒れ、宝珠もろとも粉々になり砕け散った。
「…そんな…バカな…」
召喚された神に等しきドラゴンを一撃で打ち破ったアレサ。
「ふう」
とはいえアレサはこれが限界のようだ。
ドラゴンのブレスでダメージを受けていたようである。
ふらついたところをレフトが支える。
「…ごめんなさいレフト、追い払うのが限界みたいだわ」
「ありがとうアレサ。少し休んでてね」
レフトは回復魔法をかけてアレサを休ませた。
「さて…ティマだったね」
戦意喪失のティマから事情を聞く二人。
「君はドラゴンマスターには見えない。宝珠はどこで手に入れたのですか」
「…ヘルゲートで…」
「…誰から譲り受けたのですか」
ヴァンはさらに踏み込んで質問する。
怯えて口を噤むティマだったが、逃げられないことを悟り、急に話を始めた。
「…名前はわかりませんが三人組の…」
とその時、ティマは突然拘束魔法を受ける。
話すことを奪われ悶絶している。
「レフト様、この気配は危険です」
「そうだね…この気配は…おそらく…」
レフトたちはアレサを守りながら身構えている。
するとティマは突如出現した黒い物体に潰されてしまう。
「やはり…この気配」
レフトは再生会との衝突時に出会った謎の女性だろうと思った。
「あらいつかの時とは全く違うわね。それに…」
やはりそうであった。
あの圧倒的な力を持つ謎の女性。
女性はレフトを見て驚いているようだ。
「ややこしいことになっているわね…」
あの時とは状況が違う。
圧倒的力だったこの女性さえも今のレフトには小さく見えるのだ。
「ティマをどうしたのですか…返答次第では…」
身構えるレフト。
女性は難しい顔をしている。
「レフト様、あれは人工魔石を埋め込んだ戦闘兵器です」
「…兵器?」
「はい、原生林の東南部でよく目撃されています」
ヴァンと話す姿を見て女性は告げる。
「私はアウトサイド、アウトと呼んでもらって結構よ」
「ティマを何故消したのですか」
ヴァンが鋭く攻める。
友好的ではあるが彼女は情報を一切話さない。
いきなりティマを消し去り口封じをしたとさえ思える。
「それは集落を襲ったからよ」
召喚宝珠の経緯はわからないが、ティマはモンスターを使い集落を襲った。平和な集落を攻撃する者を誅した、それだけだ。
「…」
お互いにすべき方向性は似ている。
「もう一度リバスに会いたいのなら原生林東南部にある翠の宿へどうぞ」
そう告げるとアウトはゆっくり後退する。
「翠の宿?」
「幻獣やその奥様も歓迎するわよ、では」
「…」
次回へ続く
ヴァンの転移魔法で目的地の手前に飛んだレフトとアレサ。
「ゲートの開発は幻獣の魔法からヒントを得たというが…」
冷静なアレサ。
初めて転移した時のレフトとはまるで違う。
すでに転移を経験していたようである。
「さて…魔物ハンターとやらがお待ちかな」
目的地へ進む三人。
集落はあの女性魔法使いらしき人物にまた襲われるだろう。
そうなるだろうと思ったキバは集落に残った。
自分なりにけじめをつけたいようだ。
やがて三人の前に清楚な服装の女性が現れる。
「ようこそ」
心地の良い声だ。
これで魔物を手懐けるのだろうか。
現れたのは一人だが、隠れるようにおびただしい数のモンスターが三人を包囲している。
「魔物ハンターっていうから、てっきりモンスターを狩る側かと思っていたけど、実際はただのペットマニアかしらね」
アレサは彼女を挑発する。
その言葉にイラっときたのかティマはアレサを睨み付ける。
「…ヴァン、アレサは本調子じゃないから回復でフォローを頼む」
「承知しました。ですが…」
「んっ、どうしたの?」
「…私達が包囲され罠にかかり窮地のはずなのですが………何故か向こうのほうが追いつめられているような……」
「ああ、アレサの圧がすごいからね」
「…」
アレサは別次元の者に思えたヴァン。
「モンスターを手懐け戦うなら魔物使いでしょう? もうセンスが無いわね」
自分を否定され侮辱されたと思ったティマは激昂した。
だがこれで勝敗は決した。
一斉にアレサへとモンスターが襲いかかる。
始まった。
アレサは闘気を解放した。
弱小モンスターはそのオーラで消し飛ぶ。
くるりと回転し全方位へ衝撃波を放つ。これによりモンスターの群れはほぼ壊滅した。一瞬でモンスターたちを失い何が起きたのか理解できないティマ。
「もう終わりかしら」
闘気を纏いゆっくりとティマに近づくアレサ。
身の危険を感じたティマはなにやら宝珠らしきものを取り出し上空へかかげた。
周囲の空気が変わり緊張感が漂う。
それを察知しアレサは身構える。
「あれは…召喚宝珠、本当に実在したんですね」
「召喚宝珠?」
ヴァンがレフトに説明をする。
「ドラゴンを召喚する宝珠で世界に四つあると伝わっております」
「なるほど…キバのような龍人ではなくドラゴンそのものを召喚する?」
「はい、召喚されるのは幻獣に近い四属性のドラゴンといわれています。そのドラゴンを操る者はドラゴンマスターとして活躍したとか…」
天から赤いドラゴンが降りてくる。
その巨体からは強烈なオーラが発せられている。
「これはずいぶんと大きなペットね。数の次はサイズで勝負かしら」
アレサはさらにティマを挑発する。
目の前には伝説の存在がいるのだが全く怯んでいない。
「黙れ、レッドドラゴンよ、かかれ」
ドラゴンに攻撃命令を出す。
レッドドラゴンはアレサに火炎の息を放った。
突然の攻撃にアレサは避ける間もなくブレスが直撃した。
「黒焦げだろう…さて次は」
アレサを仕留めてご機嫌なティマであったが…。
火炎を振り払いドラゴンを睨むアレサ。
もはやこの世のものとは思えない非現実的な光景に力が抜けるティマ。
「お呼びじゃないのよぉっ!」
レッドドラゴンの顔面にアレサの強烈なパンチが命中する。
ドラゴンは大きく後退し倒れ、宝珠もろとも粉々になり砕け散った。
「…そんな…バカな…」
召喚された神に等しきドラゴンを一撃で打ち破ったアレサ。
「ふう」
とはいえアレサはこれが限界のようだ。
ドラゴンのブレスでダメージを受けていたようである。
ふらついたところをレフトが支える。
「…ごめんなさいレフト、追い払うのが限界みたいだわ」
「ありがとうアレサ。少し休んでてね」
レフトは回復魔法をかけてアレサを休ませた。
「さて…ティマだったね」
戦意喪失のティマから事情を聞く二人。
「君はドラゴンマスターには見えない。宝珠はどこで手に入れたのですか」
「…ヘルゲートで…」
「…誰から譲り受けたのですか」
ヴァンはさらに踏み込んで質問する。
怯えて口を噤むティマだったが、逃げられないことを悟り、急に話を始めた。
「…名前はわかりませんが三人組の…」
とその時、ティマは突然拘束魔法を受ける。
話すことを奪われ悶絶している。
「レフト様、この気配は危険です」
「そうだね…この気配は…おそらく…」
レフトたちはアレサを守りながら身構えている。
するとティマは突如出現した黒い物体に潰されてしまう。
「やはり…この気配」
レフトは再生会との衝突時に出会った謎の女性だろうと思った。
「あらいつかの時とは全く違うわね。それに…」
やはりそうであった。
あの圧倒的な力を持つ謎の女性。
女性はレフトを見て驚いているようだ。
「ややこしいことになっているわね…」
あの時とは状況が違う。
圧倒的力だったこの女性さえも今のレフトには小さく見えるのだ。
「ティマをどうしたのですか…返答次第では…」
身構えるレフト。
女性は難しい顔をしている。
「レフト様、あれは人工魔石を埋め込んだ戦闘兵器です」
「…兵器?」
「はい、原生林の東南部でよく目撃されています」
ヴァンと話す姿を見て女性は告げる。
「私はアウトサイド、アウトと呼んでもらって結構よ」
「ティマを何故消したのですか」
ヴァンが鋭く攻める。
友好的ではあるが彼女は情報を一切話さない。
いきなりティマを消し去り口封じをしたとさえ思える。
「それは集落を襲ったからよ」
召喚宝珠の経緯はわからないが、ティマはモンスターを使い集落を襲った。平和な集落を攻撃する者を誅した、それだけだ。
「…」
お互いにすべき方向性は似ている。
「もう一度リバスに会いたいのなら原生林東南部にある翠の宿へどうぞ」
そう告げるとアウトはゆっくり後退する。
「翠の宿?」
「幻獣やその奥様も歓迎するわよ、では」
「…」
次回へ続く
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