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第ニ章
九話 新しいチーム
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「出てこいゴズ、こんなことをするのはお前しかいない、わかっているんだ」
周囲を警戒するレフト。
「ちっ…もうちょいで拘束できたものを…」
魔法のローブをまとった年配男性が姿を見せる。
この者は罪人の逮捕や、暴れる者を拘束したりするのが得意な糸使いゴズ。
復興機関のメンバーである。
「あんたを拘束できたら有名になれたんだろうけど…」
「相手を間違えたねゴズ。これで機関の考えがよくわかったよ。この男を連れて本部へ戻るんだね」
「…そのほうがよさそうだわな」
レフトは破片に魔力を込めた。
そしてそれを砕き、ゴズへ投げつけた。
周囲の見えない糸が一斉に切れ燃え上がった。
「変な気を起こすと…火傷するよゴズ…」
「…うぅ…」
「機関を離れるけど助けが必要な時は協力する」
そういうとレフトは集落へ戻った。
「お前が機関を離れると、この組織に恨みを持った奴らが一斉に本部やら支部を攻撃するぞ…」
ゴズはつぶやいたがレフトの耳には入らなかった。
ビルを治療しこの場を去る二人。
復興機関はレフトが離脱した事実を伏せた。ゴズの言う通り、機関が存続できない可能性も十分あり、関係者は悩んでいる。
ニナとオメガは本部に呼び戻され、レフトを説得できるのかどうかの話し合いが行われた。
「使者によるとレフトーラは機関を離脱した。証を返却したことからこれは事実である」
「うむ」
「あーあレフト…大胆ねえ…」
「レフトーラが離脱したことが公になると機関は集中攻撃を受ける可能性がある。レフトーラという抑止力を失うことは復興機関の存在そのものを揺るがすだろう」
「考え過ぎであろう。シーキヨにしばらく駐在していたが、統率がとれてよくまとまっている。レフトが派遣された頃は壊滅的で、それこそ存在する意味がなかったが、現在は見事に復活しておる」
オメガは実例からレフトが離脱しても問題ないと述べた。
「レフトの件は告知せず、我々は各自ができることをすればいいかと。世界の復興を第一に考えていくことが大切だと進言致します」
ニナが続けて正論を言う。
「…」
オメガとニナは情報が入ってくる復興機関に属し、世界を脅かす存在を探している。
「すぐに答えは出せない。レフトーラは監視しつつ、不穏な動きがあった場合は…」
幹部は今すぐ手を打つことは控えた。心変わりや協力が必要な時は駆けつけると宣言している以上、無闇に争う必要はないとのことだ。
そして穏便に議論は終わり二人は休憩室へ。
「ニナ、レフトはレフトで世界に何かを起こそうとする存在を探しているようだ」
「私が言ったことを信じてくれたのね。そして行動している。やっぱりレフトはレフトで変わらないわね」
「うむ一時は心配したが、見事に持ち直したようだな」
「さあ私たちは私たちでやることをやりましょう」
そんな二人の前に一人の男が現れる。
気配を感じないその異様さに身構える二人。
「これは失礼しました。私はソロモン、今後お二人と組むことになった治安課の者です。ソロとお呼び下さい」
「えっ」
驚く二人。
確かにレフトが離脱したことで二人はチームを組む必要があったのだが…。
ソロモンは中肉中背で背中に盾を背負う軽鎧騎士のような男性だ。
「お言葉だがソロモン殿、私たちは気軽に組んだりはしない。そこは上層部も理解しているはずだが…」
「ええ、もちろんです。だからこそ私が指名されました。どうぞ訓練場へ」
ソロモンに促され訓練場へ向かう二人。
ソロモン…。
ニナはどこかで聞いたことがあるようだ。
この時間の訓練場は人がいないため、人目を気にせず戦える。
ソロモンは剣を手に取った。
「どうぞ、実力もわからぬ者と組むのは納得できないかと思いますので」
「うむ」
オメガも剣を取り構える。
「オメガ気をつけて。あの男、どこかで見たことが…」
「…元彼か…」
「…」
「すまぬ…」
両者抜刀し一気に緊張感が漂う。
「どうぞオメガ殿、先手はお譲り致しますよ」
「うむ」
警戒しつつソロモンに斬りかかるオメガ。
だがソロモンは微動だにしない。
完全にソロモンをとらえたが、オメガの剣は空を斬る。
「なんとっ」
それどころかソロモンはオメガの後ろに移動しており、その光景はまさしくチェックメイト。
「…これは一体…」
「お見事な一撃でしたね」
そう言うとソロモンは剣を下げた。
もし真剣勝負であったら命が危なかっただろう。
「…ソロモン…思い出したわ」
「おや、私をご存知でしたか」
よくわからぬまま交替するオメガ。
「ニナ…なんと言うか…すまぬ」
ニナは身構えソロモンの剣を見る。
再び緊張感が漂う。
「では今度は私からいきます」
ソロモンの剣技は見事である。
隙のない連続攻撃で一定の距離を保ちつつ、ニナの動きを翻弄する。
強い
だがニナには攻撃が当たらない。
無駄のない動きで攻撃を躱している。
ムダな動きが多くなり疲労してきたソロモン。
「ニナさん、やはりあなたとオメガ殿はとても強い。少しだけ本気でいきます」
するとソロモンがニナの視界から突然消えた。
「なっ…」
驚くオメガだったが、ニナは姿を消すのを待っていたようだ。
目を閉じて右足を踏み込んだ。
すると正面、向かって右側よりソロモンの剣がニナを襲う。だがニナはそれを回避し左ストレートで反撃。
「おっと…」
顔面に直撃寸前だった。
「…」
この状況にソロモンは言葉を失った。
ニナはソロモンを破った。
「優れた剣技だったわ。だけど世界は広いのよソロモン」
「…ええ、心得ました」
「上から目線で悪いけど組むこと認めるわ、オメガもそれでよいかしら?」
「うむ承知した」
「私の戦い方を知っていたとて、勝利は難しい。ニナさん、あなたは何者だ」
「うるさいわね、あんたは本気とか言った瞬間に殺気を放った、それが敗因よ。実戦だったら危なかったわね。まあそれはオメガにも言えることだけどね」
「なるほど…冷静さが必要でしたね」
なんとも微妙な空気ではあるが、ソロモンは強者である二人に臆することなく挑んだ。
そこはニナ、オメガ共に認めているようだ。
「それじゃあ早速依頼を受けてちょうだいソロ」
「うむ、よろしく頼む」
こうしてオメガたちは新たなるチームを組んだ。
ソロモンの実力は不明で、レフトとは違ったチームになることは間違いない。
次回へ続く
周囲を警戒するレフト。
「ちっ…もうちょいで拘束できたものを…」
魔法のローブをまとった年配男性が姿を見せる。
この者は罪人の逮捕や、暴れる者を拘束したりするのが得意な糸使いゴズ。
復興機関のメンバーである。
「あんたを拘束できたら有名になれたんだろうけど…」
「相手を間違えたねゴズ。これで機関の考えがよくわかったよ。この男を連れて本部へ戻るんだね」
「…そのほうがよさそうだわな」
レフトは破片に魔力を込めた。
そしてそれを砕き、ゴズへ投げつけた。
周囲の見えない糸が一斉に切れ燃え上がった。
「変な気を起こすと…火傷するよゴズ…」
「…うぅ…」
「機関を離れるけど助けが必要な時は協力する」
そういうとレフトは集落へ戻った。
「お前が機関を離れると、この組織に恨みを持った奴らが一斉に本部やら支部を攻撃するぞ…」
ゴズはつぶやいたがレフトの耳には入らなかった。
ビルを治療しこの場を去る二人。
復興機関はレフトが離脱した事実を伏せた。ゴズの言う通り、機関が存続できない可能性も十分あり、関係者は悩んでいる。
ニナとオメガは本部に呼び戻され、レフトを説得できるのかどうかの話し合いが行われた。
「使者によるとレフトーラは機関を離脱した。証を返却したことからこれは事実である」
「うむ」
「あーあレフト…大胆ねえ…」
「レフトーラが離脱したことが公になると機関は集中攻撃を受ける可能性がある。レフトーラという抑止力を失うことは復興機関の存在そのものを揺るがすだろう」
「考え過ぎであろう。シーキヨにしばらく駐在していたが、統率がとれてよくまとまっている。レフトが派遣された頃は壊滅的で、それこそ存在する意味がなかったが、現在は見事に復活しておる」
オメガは実例からレフトが離脱しても問題ないと述べた。
「レフトの件は告知せず、我々は各自ができることをすればいいかと。世界の復興を第一に考えていくことが大切だと進言致します」
ニナが続けて正論を言う。
「…」
オメガとニナは情報が入ってくる復興機関に属し、世界を脅かす存在を探している。
「すぐに答えは出せない。レフトーラは監視しつつ、不穏な動きがあった場合は…」
幹部は今すぐ手を打つことは控えた。心変わりや協力が必要な時は駆けつけると宣言している以上、無闇に争う必要はないとのことだ。
そして穏便に議論は終わり二人は休憩室へ。
「ニナ、レフトはレフトで世界に何かを起こそうとする存在を探しているようだ」
「私が言ったことを信じてくれたのね。そして行動している。やっぱりレフトはレフトで変わらないわね」
「うむ一時は心配したが、見事に持ち直したようだな」
「さあ私たちは私たちでやることをやりましょう」
そんな二人の前に一人の男が現れる。
気配を感じないその異様さに身構える二人。
「これは失礼しました。私はソロモン、今後お二人と組むことになった治安課の者です。ソロとお呼び下さい」
「えっ」
驚く二人。
確かにレフトが離脱したことで二人はチームを組む必要があったのだが…。
ソロモンは中肉中背で背中に盾を背負う軽鎧騎士のような男性だ。
「お言葉だがソロモン殿、私たちは気軽に組んだりはしない。そこは上層部も理解しているはずだが…」
「ええ、もちろんです。だからこそ私が指名されました。どうぞ訓練場へ」
ソロモンに促され訓練場へ向かう二人。
ソロモン…。
ニナはどこかで聞いたことがあるようだ。
この時間の訓練場は人がいないため、人目を気にせず戦える。
ソロモンは剣を手に取った。
「どうぞ、実力もわからぬ者と組むのは納得できないかと思いますので」
「うむ」
オメガも剣を取り構える。
「オメガ気をつけて。あの男、どこかで見たことが…」
「…元彼か…」
「…」
「すまぬ…」
両者抜刀し一気に緊張感が漂う。
「どうぞオメガ殿、先手はお譲り致しますよ」
「うむ」
警戒しつつソロモンに斬りかかるオメガ。
だがソロモンは微動だにしない。
完全にソロモンをとらえたが、オメガの剣は空を斬る。
「なんとっ」
それどころかソロモンはオメガの後ろに移動しており、その光景はまさしくチェックメイト。
「…これは一体…」
「お見事な一撃でしたね」
そう言うとソロモンは剣を下げた。
もし真剣勝負であったら命が危なかっただろう。
「…ソロモン…思い出したわ」
「おや、私をご存知でしたか」
よくわからぬまま交替するオメガ。
「ニナ…なんと言うか…すまぬ」
ニナは身構えソロモンの剣を見る。
再び緊張感が漂う。
「では今度は私からいきます」
ソロモンの剣技は見事である。
隙のない連続攻撃で一定の距離を保ちつつ、ニナの動きを翻弄する。
強い
だがニナには攻撃が当たらない。
無駄のない動きで攻撃を躱している。
ムダな動きが多くなり疲労してきたソロモン。
「ニナさん、やはりあなたとオメガ殿はとても強い。少しだけ本気でいきます」
するとソロモンがニナの視界から突然消えた。
「なっ…」
驚くオメガだったが、ニナは姿を消すのを待っていたようだ。
目を閉じて右足を踏み込んだ。
すると正面、向かって右側よりソロモンの剣がニナを襲う。だがニナはそれを回避し左ストレートで反撃。
「おっと…」
顔面に直撃寸前だった。
「…」
この状況にソロモンは言葉を失った。
ニナはソロモンを破った。
「優れた剣技だったわ。だけど世界は広いのよソロモン」
「…ええ、心得ました」
「上から目線で悪いけど組むこと認めるわ、オメガもそれでよいかしら?」
「うむ承知した」
「私の戦い方を知っていたとて、勝利は難しい。ニナさん、あなたは何者だ」
「うるさいわね、あんたは本気とか言った瞬間に殺気を放った、それが敗因よ。実戦だったら危なかったわね。まあそれはオメガにも言えることだけどね」
「なるほど…冷静さが必要でしたね」
なんとも微妙な空気ではあるが、ソロモンは強者である二人に臆することなく挑んだ。
そこはニナ、オメガ共に認めているようだ。
「それじゃあ早速依頼を受けてちょうだいソロ」
「うむ、よろしく頼む」
こうしてオメガたちは新たなるチームを組んだ。
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次回へ続く
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