ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

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第ニ章

番外編 裏切りと憎悪の先に…

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「あなたが婚約とはね…」

「戦闘服をつくる技師…だったかしら」

「してアレサはその婚約をどう受けとめた?」

「それが私の運命なら受け入れるしかないわ…」

「…運命か」

「うむ」

「とはいえ私は戦いの中でこそ輝くと思っている。そこは夫にも話すつもりだけどね」

「…あなたらしいというか…」

「戦闘あるところに我らあり、さすがリーダーだ」

「…バトルマニア二人に付き合う私の身にもなってちょうだいよ…」

アレサ、ホープ、オメガ。
この三人はカイト国に身を寄せていた。
機械墓地の場所にあった当時大陸最大の国である。
カイト国は軍部がなく争いとは無縁の国であった。そのため悪魔の侵略に抗うことができず呆気なく支配されてしまった。
悪魔は最初こそ洗脳や恐怖での支配を実行していたが、この国の高い技術力に感心しその方針を変更。
考えられないかもしれないが人間との共存に成功した唯一の国である。
勢いに乗る悪魔たちだがエンデへの侵略に大敗する。そしてその後の方向性をめぐり悪魔たちはついに分断することになる。比較的温和な悪魔はお互いに歩みより、弱みを補うことを敗走から学び、カイト国をさらに発展させていった。
その高度で優れた技術力により大戦で負傷したオメガはアンドロイドとして蘇生。
粗暴な性格から礼儀正しい性格になり周囲は驚いていた。
武力を極力持たない方針のカイト国の防衛や治安維持には厳格な傭兵を募集し依頼していた。
モンスターの脅威や邪な悪魔に支配された人間の犯罪者などを厳しく取り締まっていた。
戦うことが生きがいであるオメガ、アレサと付き添いの医者ホープの三人はそれら傭兵の仕事に就いていた。


「ねえアレサ、あなた本当にこのまま戦い続けるの?」

「えっ、急にどうしたの?」

「私は医者だから戦うことが終わっても生きていける。オメガは人からアンドロイド化したということで貴重な存在でしょう」

「それで何か?私は戦闘マシーンだと?」

「…そうは言わない。防衛や戦うことで救われることもあるから…だけど…」

「私は強者との戦いを強く望んでいるわ。戦いこそ生きがいなのよ?」

「うむ、とても婚約した花嫁の発言とは思えんが…」

アレサの発言に心底呆れる二人。

「ホープは医学、私は戦闘。それの何がいけないの?」

「…わかったわ…あなたに意見した私が悪かったわ」

「二人ともそこまでだ、ウィルが戻った」

オメガが合図すると高貴な服装の男が向かってくる。

「待たせてすまない。いこうか」

「承知」

「はい」

「わかったわ」

この男はウィル。
アレサたちと組む唯一の人間だ。
優れた戦闘力、清楚な身形、心地よい声と死角のないスペックの男。
ついた二つ名は完璧。


今回は異常に変貌した怪物討伐が任務だ。


「緊急要請でかなり危険な状況らしい」

「承知した」

「じゃあ私は後方で待機させてもらうわ」

「そうだね、ホープは状況を見極めて下さい。アレサ、君はオメガと敵を迎撃してくれ」

「わかったわ」

軽い作戦を立案し怪物と対峙する四人。

「なるほど」

モンスターの合成実験に失敗かのような獣がベースの二足歩行巨人。
毒々しいトゲが特長の自然界に存在しない異形の化け物である。
指示通りアレサとオメガは前に出て化け物と交戦。

「弱点は…腹か」

ウィルの鋭い眼光がこの化け物の急所を見抜く。
アレサの拳が化け物に連続でヒットする。怯んだところを手持ちの槍で攻撃するオメガ。
二人の包囲するような攻撃に反撃ができない化け物。

「いくぞ…」

タイミングを狙っていたウィルが切り込み急所をとらえた。
化け物は叫びながら倒れた。

圧勝である。

「まあ三人がかりだし…」

冷静なホープ。

すぐに処理班を呼ぶウィル。
戦闘以外でも手順にムダがない。

「アレサ、大丈夫かい?」

「ええ。それより見事な突きだわ」

「君が隙をつくってくれたおかげさ」

アレサとウィルはまるで仲の良いカップルのようである。
アレサはウィルに惹かれている。
そんなアレサの心情を二人は見逃さず心配していた。

なぜならこの三人にはある任務があったからである。

一段落し国に戻った四人。
ウィルはみんなに挨拶してから悪魔たちにこの件を報告しにいった。

「アレサ、婚約者のところへ帰るとよい」

「えっ…そ…そうね」

「ん?なにどうしたの怪我でもしたかしら?」

「大丈夫よ…ちょっと考え事を…」

「えっ…」

「戦闘の反省か」

「ちょっとオメガっ」

「すまない」

「本当に大丈夫…それじゃあ…」


アレサと別れたオメガとホープ。

「アレサは本来の目的を見失っている可能性がある」

「戦い戦いって言うけど……あれは嘘だわ…婚約よりもウィルに……」

「うむ」

ウィルは人間たちに絶大な影響力のある偉人。その正体は人類を率いて悪魔を打倒すべく暗躍する国家の裏切り者である。そんな彼が望むものはオメガが所有するキューブである。
キューブを強奪するためアレサに近づきチームへ入ってきた。
だがこのチームは国家の裏切り者を討伐するため結成されたものであった。
アレサは餌としてウィルを監視する任務を受けていたのだが…。

「もしアレサがウィルに…人類側についたら…」

「うむ、ウィルに要注意だ。あれを征しておかないと本当に人類が謀反するやもしれん。今はそんな争いをしている場合ではない。人間も悪魔も助け合わねばなるまい」


「その通りだわ。カイト国ならきっとできる。だからこそウィルのような武力行使する者を止めなくてね」

「戦いは好むが欲望にまみれた争いはもうこりごりである」

「ふふ、人間からアンドロイドに改造手術して、すぐに人間に破壊されちゃうってのは皮肉よね」

「あの男ならやりかねん」

「…まあ確かにね」



二人と別れたアレサは苦悩していた。

「…はぁ…私はどうしちゃったのかしら」

深いため息をつく。
アレサは任務のことが頭にあったのだが、それと同じくらいウィルという人間のことも頭にあった。
入ってきたのだ。

「この気持ちは…何? 苦しく…胸を締めつける想いは…一体…」

強く拳を握る。
拳から血がにじむ。
アレサは経験したことのない気持ちに戸惑っていた。
理解できなかった。

「結婚とは戦いを失うことなのだろうか……結婚したとして本当に戦い続けられるのだろうか…夫は私を受けとめてくれるだろうか…ウィルと一緒だとずっと戦える気がする……私をわかってくれる…あの人のそばなら……ずっと」

拳を地面にぶつけるアレサ。
任務と自分の気持ち。
やり場のない想いが彼女を苦悩させる。


「私は……」




一夜明け、四人は城門を出た近所の洞窟に集合していた。

「ここにあの化け物をつくった科学者が潜伏しているらしい」

「暗くて…私はちょっとパス…かな」

身震いするホープ。

「ウィル、ここを進むのは危険すぎる」

洞窟の狭さや崩落の危険性を指摘するオメガ。
アレサに目を向けるが彼女は表情がなく沈黙。
明らかにおかしい。
その様子はホープも気づいていた。

「危険なのはわかっているっだが、あのような異形を野放しにはできないだろっ!」

珍しく熱くなるウィル。
いつもと違う様子に驚くオメガとホープ。


「どうしたのだウィル?」

「急に大声出してびっくりするじゃないの、もう何なのよ」

「す…すまない…なんだかあの異形の化け物と戦ってからちょっと具合が…」

ホープはすぐにウィルの身体チェックをする。

…。


「少し熱っぽいわね…」

「熱? 風邪か」

「大丈夫だ…さあ進もう」

二人を振り払い前進するウィル。


…。



「…昨日の化け物のトゲが刺さり変異が始まっている…小さな
トゲだからわからなかったのだと思う」

小声でオメガに伝えるホープ。

「ならば耐久が低下していよう。今なら薬で支配が可能と判断する…やれるか」

「もちろん、だけどあの様子だと薬が効くまで相当暴れるわよ、それを抑えられるかしら?」

「問題ない。この身体のフルパワーを試すのに良い機会だ」

「どうした?行かないのならここで待機していてくれ…アレサいこう」

「待って、ならこれを飲んでからいって」

ホープはウィルに薬を渡す。
その様子にアレサが反応する。

「これは?」

「耐久力を向上させる薬、あなた…耐久が下がっているわよ」

「うぅ…なぜそれを…」

「私は医者よ。少し調べればすぐにわかる。さあ飲んでちょうだい」

「…すみません助かります」

ウィルは疑うことなく蓋を開けた。
だがその時アレサがウィルを止める。


「それを飲んではダメ…」


「えっ」

ウィル、ホープ、オメガの三人は一斉にアレサを見る。


「ど…どういうことだい?」

薬を見てウィルは問う。




失敗した…。




オメガはそっぽを向きウィルと目線を合わせない。
ウィルは状況がわからずどぎまぎする。
アレサの視線がホープにささる。



私は…逆行に強いのよっ!




窮地のホープはこの状況を冷静に対応する。

「アレサ…正直に言うわ、ウィル、
アレサに伝えてもよいかしら?」

額に汗をかきながらもホープはゆっくり事を進める。
ホープの言葉に頷くウィル。
えっ、一体どういうことなの?
という表情のアレサ。
その表情を確認するホープは勝利を確信する。

「ウィルは毒に感染している。もうすぐ化け物に変異するわ。そうね?ウィル」

「…嘘…よ…まさか…昨日の……」

ウィルが頷くのを見たアレサは膝をつき崩れる。


抑え込み成功。


予期せぬアレサの反撃を見事に封じたホープ。
そしてオメガはゆっくりとキューブに手をかける。

「さあ時間がないわ、薬をっ」

だがその時、急に吐血するウィル。
思った以上に毒は進行しているようだ。

「仕方ない。ちょっと我慢してちょうだいっ」

ホープは弱っているウィルに飛び蹴りをあびせダウンさせる。
そして薬を奪い強引に飲ませようとする。
だがそれをアレサが阻止する。

「間違っているわ。こんなの絶対間違っているわよっー!」

アレサは涙を流しながらも闘気を解放しウィルをかばった。
暴走した、もう自分でも何をしているかわからないのだろう。

「ちょっとアレサっ!」

「やむを得ん。やるぞホープ」

オメガはキューブを展開しアレサと対峙した。

「私はウィルと生きると決めた…邪魔をするなら…」

アレサはウィルをかばいながら衝撃波で二人を牽制した。
ホープはすぐにオメガの後ろへ退避。

「アレサ、どのみちそのままだとウィルは化け物になるわ、あなたがやっていることは…」


その時、薬は砕けウィルはついに化け物へ変異。
そして鋭いブレードと化した腕がアレサの胴を貫通する。

「……ウィル…」

予期せぬ強烈な一撃にアレサは何が起きたのかわからず大ダメージを受けてしまう。肉体は巨大化し突き刺さったアレサの身体は宙に浮く。
ブレードにしがみつくアレサだったが出血が酷くぐったりとしている。

「素晴らしい力だ。これにオメガ、お前が持つキューブがあれば人類は悪魔を征することができる。人類解放が実現するのだ」

ウィルはついに本心を現した。
怪物化したことで抑圧ができなくなり裏の顔が露になったのだ。だがそんな精神状態でも自我を保ち、オメガのキューブを狙っている。

そんなウィルを見てアレサは絶望した。

自分もスパイではあったのだがその任を捨ててでもウィルと生きようと決意していたのだった。
その瞳にはうっすらと涙がにじむ。

「…ウィル……嘘よね……私は…あなたを…あなたと…一緒に…」

言葉にならない声を出すが身体に突き刺さっているブレードをさらに深く刺すウィル。
身体が反り返り激しく吐血する。

「人類は悪魔に屈したりはしない。絶望を嘆き憎悪とともに散れっ」

ブレードを引き抜き落下したアレサの首にウィルのブレードが迫る。

「姉さんーーっ」

泣き叫ぶホープ。
オメガはキューブを円月輪に変換し凄まじい速さでウィルに投げつけた。


だが…。



「…間に…合わん…」



オメガは手遅れを嘆いたが、
その時奇妙な現象が起こる。アレサは身動きがとれない状態かつ、攻撃を防ぐことなどできないはずなのだが、ブレードは不自然なことにアレサの首の手前で静止している。
ウィルは何かで受け止められてる感覚があった。


「人間よ…ならば憎悪の化身をみるがいい…」


その時周囲の空気が一変する。
事態の異変に気づいたオメガはすぐさまキューブを仕舞いホープを抱え全力でその場から退避した。


「オメガ…姉さんが…姉さんがーーっ」

「…」


ひたすら走り続けるオメガ。
カイト国の城門に到着するとすぐに緊急事態用の防壁を発動させる。

「オメガさんこれは一体?」

「ここは襲撃される。動ける者は市民を避難させよ」

「…まさか姉さんが…ここを襲撃する…?」

「うむ…致命傷を受けていたから長くはもたないと思うが……あの場に留まっていたら我々も消される可能性が高かった」





カイト国周辺は暗雲がたちこめ異様な雰囲気となる。

「くっ…化け物がついに正体を……」

ブレードを受け止めゆっくりと起き上がるアレサ。
邪悪なオーラが身体を包みその顔には紫の妖しい瞳、大きな耳と二本の角が生えている。瘴気が漂い桁違いの戦闘力にウィルは震えている。

「愚か者が、人間が悪魔に勝てるとでも思ったのか」

「が…がが」

ウィルの震えは次第に激しくなりついには顔面から出血する。
瘴気に晒された人間は精神を攻撃される。屈強な人物なら魔力の源に触れることができる。これを克服すれば魔力を授かることができ魔法が使えるようになるのだが…。
ウィルは精神汚染を克服できなかった。
ブレードをたやすく砕きその破片で左右の腕を切り刻むアレサ。
ウィルはすでに精神が崩壊しており、廃人のようになっていた。痛みに反応できないそんなボロボロのウィルを上空に投げ易々と消滅させる。


「…人間め……」


巨大な羽を広げカイト国へ向かうアレサ。
おぞましい姿にまず目をひかれるが、よく見ると負傷しているのがわかり、胴からは大量に出血している。オメガの言う通り満身創痍であるようだ。


「…きたか」


強力な防壁が展開している城門で迎撃するオメガとロード。

「これは我々の問題だ…お前が手を貸す必要はないぞ」

ロードは土壇場でオメガに噛みつく。

「悪魔の問題など知らない、アレサは仲間だ、だから助ける。それだけだ」

二人は会話を終えると武器を構える。
キューブは多くの矢が放てる弓となり対空攻撃に特化。
ロードは魔法の杖で魔力を溜めている。

「アレサまだ間に合う。頼むっ人間をっ人間を許してくれーーっ」

オメガは必死に説得をする。

「人類を滅ぼすならまず私を討て。市街地の者に手を出すでない」

ロードが続く。

「私は……愛を知りたかっただけなの……」

アレサの動きが止まる。
ロードが拘束するため近づく。
ひと息つくオメガであったが…。
一発の銃弾がアレサに命中してしまう。
アレサは体勢を崩しながらも反撃した。超圧縮した闘気で国内を凪払ったのだ。
近代兵器のレーザービームのような攻撃に防壁は貫かれ逃げ遅れた市民が犠牲になってしまった。
アレサは変身が解除されゆらゆらと市街地へ落下した。


「すぐ被害地に医療班を回せ」


オメガは大声で指示を出す。
ロードは炎上し破壊された市街地を見て愕然とした。自分たち戦闘タイプの悪魔は世界にとって脅威の存在であることを理解した。そしてその力を律することを決断した。
アレサはすぐに拘束され連行された。
オメガ、ホープも投獄され事態は終息した。
アレサを射ったのは若き狙撃手。
のちにオメガがその者の実力と決断力を見込み保護。


その子孫の名は…ニナ。


この惨事は兵器の実験が失敗したと発表されその責任者はアレサとし、のちに彼女は厳罰となる辺地での勤務を命じられた。
人間を激しく憎み人類と生きることを拒んだ彼女は斬首を願い出た。だがオメガとホープがそれを全力で阻止した。
ウィルの家系は跡継ぎが消滅したことで表舞台から姿を消した。
この出来事はアレサやオメガ、ニナ、さらにはロードなど多くの人物の運命を変えることとなった。
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