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第二章
二話 二つの後始末
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「やれやれ…」
防壁魔法を解除し客に事情を説明するレフト。
そんなレフトの行動に納得できないアレサ。
「結局私たちが後始末か…やれやれ」
ぶつぶつと小言というか文句を放つ。
そんなアレサの足元には粉々になって小石と化した宝珠があった。
「…まあ…少々やりすぎたわ…」
その破片を拾うアレサ。
「…ん、これは…」
わずかだが力が残っているようだ。
すぐにレフトを呼ぶアレサ。
「どうしたの?」
「幻獣の剣で宝珠を再生できるかも」
「えっ」
「宝珠とその剣は似たような性質だろうから…試してみたら?」
ニコニコ笑うアレサ。
…何考えているんだ…全くわからない…。
もしダンがまた…。
「んっ」
「何よ、早く試してみてちょうだいよ」
ああ、ダンを再生させてこの始末を…ということか…。
実に縦割り社会で生きてきた者の考えというか…。
責任をとらせるって訳ね。
「ちょっとレフト? 聞いてるの?」
「ごめんごめん」
ダンは見事に再生した。
ダンだけでなく砕いた宝珠は多くの従業員を形成。
人海戦術で宿はあっという間に建て直され、以前よりアップグレードしたような豪華な外観と内装である。
レフトたちはある程度協力した後、ダンに任せようやく静養といったところである。
「待つことね。ベルーナの帰るとこはここだから」
「そうだね、ダン、君は己をコントロールしたほうがいいよ」
「はい、あのようなことは二度しないっす」
「あんた……砕いたら性格まで砕いた感じよ…」
笑う三人。
ここは賑やかな宿になるだろう。
復興機関本部
「…この世のものとは…」
「そうか」
ジダヌは上層部へ今回の顛末を報告していた。
その内容はベルーナや宝珠の件ではなくレフトとアレサについてである。
「躊躇なく機関の者へ攻撃するとは、もはや世界の脅威と言えるでしょう」
「ふむ、だが、その攻撃は反撃であり、先にそなたが仕掛けたと報告書にある。さらに無抵抗な者への追撃だとか?」
「私は確実に任務を遂行したかっただけです」
「…」
「捕らえた二人を拷問し、裏切り者と憎きアレサとかいう人物の逮捕を…」
「よさぬか」
「はっ…申し訳ない」
「レフトーラについては審議中だ。それにレフトーラはそなたとは戦わないだろう」
「戦わない…ですか?」
「そうであろう?何故戦うのだ?レフトーラが街を破壊しておるのか?その宿の客を襲っていたのか?」
「それは…」
「ジダヌよ、今回の作戦は再構成されたシーキヨ支部との共同作戦であった」
「はっ、そのような作戦の指揮官は光栄でありました」
「アレサ殿はシーキヨ軍部の特殊部隊長であるぞ。つまり立場はそなたと同じ」
その事実を知り、ジダヌは事の重大さを理解した。
「…なんと…な、何故そのようなお方が…」
「よいかジダヌよ、あの作戦に武力は必要がなかったのだ。状況の把握ができ、冷静に対処する人選であった」
「…」
上層部はジダヌに淡々と話す。
ジダヌは拳を強く握って聞いている。
「アレサ殿が事実上、事態を解決させ、戦闘から一般人を守ったのはレフトーラではなかったのか?」
「それは…」
書類に目を通し、ジダヌに確認する。
戦闘になった場合、一般人を避難させることが復興機関ではとても重要である。
「そなたに指揮官を任命した者は自ら厳罰を願い出た」
「……」
「下がれ、休むがよい」
「…失礼します」
静かに部屋を去るジダヌ。
ため息をつく上層部。
「復興機関の底が見えた…か」
不可視の魔法を解くドナン。
上層部は水を飲み応える。
「いや、危険分子がいるのだよ。それを発見せねばならん」
「危険分子か…」
「考えたくもないが、レフトーラがいなくなり機関は荒れている」
「現場でレフトーラを見たが、あれはどう見ても機関の人間だ、動きでわかった」
「…」
「我々九人の誰よりも復興機関の人間って感じがした。正直あの人と組みたいとすら思った」
「なるほど…」
「アレサ殿は申し訳ないが…二度と会いたく…」
「ほう」
「詳しくはミラに聞いて下さい」
一礼して部屋を出るドナン。
部屋の外にはソロモンとニナ、オメガがいた。
「やあドナン、珍しいね上層部のところにいるとは」
陽気に話すソロモン。
立ち止まり腕組みするニナ。
手で挨拶するオメガ。
「お疲れ様です、お三方」
そんな三人に頭を下げるドナン。
「あんたも大変ね」
そんなドナンの顔を上げるニナ。
「うむ、だがカラーズの二人を逮捕したことは見事である」
「オメガ、カラーズはもう存在しないよ、ベルーナとアッカだっけ?」
ソロモンはニナに確認する。
「ええ、あの狂人アッカを抑え込むとは…やるじゃないの」
パチパチと手をたたくニナ。
「はい…なんというかあの二人は真逆でして…」
「え」
ドナンの言葉に戸惑う三人。
もともとアッカは実力者であるが狂人。
優しく温厚なベルーナ。
カラーズから情報を得ていた機関の人間はそういう認識であった。事実、レフトもそうであった。
だが事実は逆であった。
「それにあの二人はアレサ殿が…」
「アレサ?なんであの軍人が…」
「うむ、宿で休んでいたか」
「ならレフトーラさんもいたとか」
「レフトーラ殿は…誰よりも復興機関の人間でした」
その言葉に反応する三人。
「というと?」
「はい、真っ先に一般人の安全を確保しており、一切戦っていませんでした」
「うむ」
「さすがですね」
「ならばあの軍人が場を制圧したんでしょ」
オメガとソロモンは変わらぬレフトに安心したようだが、ニナは一瞬で状況を理解した。
「その通りです」
話し込むのが悪いと察したドナンは一礼し走り去っていった。
「アレサと魔術師の相性は最悪だ」
「指揮官がポンコツだったのよ。レフトがいたなら事情を聞くべきだった」
「うむ、協力は難しいが情報さえあれば任務はスムーズであろう」
「レフトーラさんは優しいですものね」
「二人とも、ベルーナと結界士のところへ行くわよ」
次回へ続く。
防壁魔法を解除し客に事情を説明するレフト。
そんなレフトの行動に納得できないアレサ。
「結局私たちが後始末か…やれやれ」
ぶつぶつと小言というか文句を放つ。
そんなアレサの足元には粉々になって小石と化した宝珠があった。
「…まあ…少々やりすぎたわ…」
その破片を拾うアレサ。
「…ん、これは…」
わずかだが力が残っているようだ。
すぐにレフトを呼ぶアレサ。
「どうしたの?」
「幻獣の剣で宝珠を再生できるかも」
「えっ」
「宝珠とその剣は似たような性質だろうから…試してみたら?」
ニコニコ笑うアレサ。
…何考えているんだ…全くわからない…。
もしダンがまた…。
「んっ」
「何よ、早く試してみてちょうだいよ」
ああ、ダンを再生させてこの始末を…ということか…。
実に縦割り社会で生きてきた者の考えというか…。
責任をとらせるって訳ね。
「ちょっとレフト? 聞いてるの?」
「ごめんごめん」
ダンは見事に再生した。
ダンだけでなく砕いた宝珠は多くの従業員を形成。
人海戦術で宿はあっという間に建て直され、以前よりアップグレードしたような豪華な外観と内装である。
レフトたちはある程度協力した後、ダンに任せようやく静養といったところである。
「待つことね。ベルーナの帰るとこはここだから」
「そうだね、ダン、君は己をコントロールしたほうがいいよ」
「はい、あのようなことは二度しないっす」
「あんた……砕いたら性格まで砕いた感じよ…」
笑う三人。
ここは賑やかな宿になるだろう。
復興機関本部
「…この世のものとは…」
「そうか」
ジダヌは上層部へ今回の顛末を報告していた。
その内容はベルーナや宝珠の件ではなくレフトとアレサについてである。
「躊躇なく機関の者へ攻撃するとは、もはや世界の脅威と言えるでしょう」
「ふむ、だが、その攻撃は反撃であり、先にそなたが仕掛けたと報告書にある。さらに無抵抗な者への追撃だとか?」
「私は確実に任務を遂行したかっただけです」
「…」
「捕らえた二人を拷問し、裏切り者と憎きアレサとかいう人物の逮捕を…」
「よさぬか」
「はっ…申し訳ない」
「レフトーラについては審議中だ。それにレフトーラはそなたとは戦わないだろう」
「戦わない…ですか?」
「そうであろう?何故戦うのだ?レフトーラが街を破壊しておるのか?その宿の客を襲っていたのか?」
「それは…」
「ジダヌよ、今回の作戦は再構成されたシーキヨ支部との共同作戦であった」
「はっ、そのような作戦の指揮官は光栄でありました」
「アレサ殿はシーキヨ軍部の特殊部隊長であるぞ。つまり立場はそなたと同じ」
その事実を知り、ジダヌは事の重大さを理解した。
「…なんと…な、何故そのようなお方が…」
「よいかジダヌよ、あの作戦に武力は必要がなかったのだ。状況の把握ができ、冷静に対処する人選であった」
「…」
上層部はジダヌに淡々と話す。
ジダヌは拳を強く握って聞いている。
「アレサ殿が事実上、事態を解決させ、戦闘から一般人を守ったのはレフトーラではなかったのか?」
「それは…」
書類に目を通し、ジダヌに確認する。
戦闘になった場合、一般人を避難させることが復興機関ではとても重要である。
「そなたに指揮官を任命した者は自ら厳罰を願い出た」
「……」
「下がれ、休むがよい」
「…失礼します」
静かに部屋を去るジダヌ。
ため息をつく上層部。
「復興機関の底が見えた…か」
不可視の魔法を解くドナン。
上層部は水を飲み応える。
「いや、危険分子がいるのだよ。それを発見せねばならん」
「危険分子か…」
「考えたくもないが、レフトーラがいなくなり機関は荒れている」
「現場でレフトーラを見たが、あれはどう見ても機関の人間だ、動きでわかった」
「…」
「我々九人の誰よりも復興機関の人間って感じがした。正直あの人と組みたいとすら思った」
「なるほど…」
「アレサ殿は申し訳ないが…二度と会いたく…」
「ほう」
「詳しくはミラに聞いて下さい」
一礼して部屋を出るドナン。
部屋の外にはソロモンとニナ、オメガがいた。
「やあドナン、珍しいね上層部のところにいるとは」
陽気に話すソロモン。
立ち止まり腕組みするニナ。
手で挨拶するオメガ。
「お疲れ様です、お三方」
そんな三人に頭を下げるドナン。
「あんたも大変ね」
そんなドナンの顔を上げるニナ。
「うむ、だがカラーズの二人を逮捕したことは見事である」
「オメガ、カラーズはもう存在しないよ、ベルーナとアッカだっけ?」
ソロモンはニナに確認する。
「ええ、あの狂人アッカを抑え込むとは…やるじゃないの」
パチパチと手をたたくニナ。
「はい…なんというかあの二人は真逆でして…」
「え」
ドナンの言葉に戸惑う三人。
もともとアッカは実力者であるが狂人。
優しく温厚なベルーナ。
カラーズから情報を得ていた機関の人間はそういう認識であった。事実、レフトもそうであった。
だが事実は逆であった。
「それにあの二人はアレサ殿が…」
「アレサ?なんであの軍人が…」
「うむ、宿で休んでいたか」
「ならレフトーラさんもいたとか」
「レフトーラ殿は…誰よりも復興機関の人間でした」
その言葉に反応する三人。
「というと?」
「はい、真っ先に一般人の安全を確保しており、一切戦っていませんでした」
「うむ」
「さすがですね」
「ならばあの軍人が場を制圧したんでしょ」
オメガとソロモンは変わらぬレフトに安心したようだが、ニナは一瞬で状況を理解した。
「その通りです」
話し込むのが悪いと察したドナンは一礼し走り去っていった。
「アレサと魔術師の相性は最悪だ」
「指揮官がポンコツだったのよ。レフトがいたなら事情を聞くべきだった」
「うむ、協力は難しいが情報さえあれば任務はスムーズであろう」
「レフトーラさんは優しいですものね」
「二人とも、ベルーナと結界士のところへ行くわよ」
次回へ続く。
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