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第二章
三話 本部襲撃
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「さて」
会議室のような一室にベルーナとアッカが座っている。
その横にニナたちが座る。
ベルーナたちの前には、ジダヌと話していた上層部、ヒーラーのミラ、そして本部の重鎮ラムダが座っている。
会議の進行役らしきアンドロイドが開会を宣言。
「ベルーナ殿より宝珠についてと、再三の出頭要請を拒否した説明をお願い致します」
皆がベルーナを見る。
「…まるで晒し刑ね」
「ニナ、聞こえちゃいますよ」
「二人とも、よく聞くのだ」
おしゃべりをするニナとソロモンを注意するオメガ。
ベルーナは立ち上がり説明を始めた。
「出頭に応じず申し訳ありませんでした。ただ私は宿屋を経営したかっただけです。そしてそれには宝珠という絶対的なモノが必要だったのです」
「文房具は嫌いだったのね」
「ぷぷ、ニナ、上手い」
「…」
「なるほど。ヘルゲートに宝珠が持ち込まれて悪用されよりかは平和的とは言えようか…」
その言葉を聞き、アッカが手をあげる。
発言をするようだ。
「許可する」
「は、ありがとうございます」
アッカはベルーナ同様立ち上がり発言する。
その姿を見て安堵するベルーナ。
「あの宿は復興機関の協力によりベースができ、ベルーナの願いに応えた宝珠そのものなのです」
一同静まる。
その衝撃の発言に全員が固まった。
「宝珠が…宿屋になったと?」
上層部は問う。
ニナたちの目付きが変わる。
「厳密に言うと宝珠は人になりました…」
アッカはレフトが言ったことをそのまま発言した。
そこへ遅れてスペースが入室してくる。
石が人になるなど前代未聞。
ざわつく室内。
「宝珠が人になったって…石人間の話ですか」
スペースは状況がわからず全員に問う。
「あ、あの…」
ミラが挙手し発言を求めている。
「うむ」
そして立ち上がり小声で話しました。
「石人間と交戦中に突然暴走し大変危険な状況になりました」
「なっ」
事実を知らない本部の者達は、現場にいたミラの発言に驚く。
「宝珠が暴走したと…」
「報告書には石人間の記載は無いぞ」
「なんというか…我々だけでは全滅していたので…それにこの問題を解決したのは…」
急にうつむくミラ。
「ああ、そういうことか」
「うむ」
すぐに納得するニナとオメガ。
事実を知るジダヌや上層部は納得しているが、ラムダはことの顛末がわかっていない。
「石っていってもそれが宝珠だとなるとあの戦力で砕くのは不可能でしょう…」
ソロモンが軽く話す。
「ミラよ、その石人間はどうなった?」
ラムダがミラを見つめる。
「…暴走した石人間はすぐ粉々になりました」
ミラは小声でつぶやく。
「え」
「粉々?」
「宝珠…が粉々だと?」
「ああ、あの軍人が…か」
場の空気が急変する。
ミラのその発言は破壊力抜群だ。
さすがのニナとオメガも驚いている。
「ベルーナ、説明を」
上層部はベルーナに説明を求めた。
「はい、宝珠は人へと変化しダンと名乗りました」
「…」
「宿屋のお手伝いさんとなりとても優しい性格でした。暴走してしまったのは私が選択を間違えたからです」
「選択…って」
ラムダは思わず本音が漏れてしまう。
「復興機関を……返り討ちにする選択です」
「ベルーナ…」
うつむきながら語るベルーナ。
その様子を見つめるアッカ。
「なんと…」
ラムダの表情が変わる。
「そりゃ温厚な軍人でもレフトの前でそんな選択をしたら怒るわよ」
「うむ、その宿屋、消滅していなければよいが…」
「ちょいちょい、物騒だねえ」
「つまりは我々を追い返し宿屋を継続するつもりだったと?」
険しい表情のラムダ。
周囲はある程度今回の騒動を把握している。
あとはラムダがベルーナたちをどう裁くかが問題だ。
「はい、ダンはそれに従っただけです。全ては私の自分勝手な選択が招いたことです」
「…」
「ベルーナは相当痛めつけられたっぽいわね」
「うむ」
ベルーナの凹んだ姿からニナたちは一方的な戦いだったと想像する。
「わかった」
一息つきラムダが言う。
「復興機関は全てにおいて中立であり世界を復興させる義務がある。ベルーナよ」
「はい」
「そなたの宿屋はあの地方にとって貴重な存在なのだよ。よって機関が一部介入したのである」
「は…」
「人は過ちを繰り返す者である。よいかベルーナよ。もう一度、宿を復興してみせよ。二度あることは三度ある、このことに抗ってみせよ」
「…」
周囲がざわめく。
ラムダの寛大すぎる対応に驚いている。
「あそこは荒れ地に近く、とても重要な休憩施設。再建は納得できるが…」
「とはいってもまたベルーナで大丈夫なのかしらね」
ラムダは書類に目を通しアッカを見る。
「アッカよ、そなたはベルーナの良心であるとか?」
「ぷっ」
思わず吹き出すニナ。
すぐにソロモンがラムダに謝罪する。
「だって良心って…」
「はい、今回の件、彼女を止められなかった私も同罪でございます」
「よかろう、ともに歩むことを認めよう」
上層部は冷静に場を見ている。
その様子に吹き出したニナの表情が変わる。
「オメガ?」
「うむ」
会議が終わりラムダが部屋を去ろうとした時、ミラとジダヌがラムダを拘束し人質にとる。
この緊急事態にアンドロイドはすぐに部屋を封鎖。
本部に警報が響く。
「ほう、私が狙いであったか…」
ラムダはゆっくりと二人に話す。
「ここへ侵入するのは困難だったが、ベルーナたちが役に立ったぜ」
「あんたたち、逃げられると思っているの?」
ニナは銃に手をおく。
「くっくっく、おめでたい連中だぜ。もうここは戦場なんだよ」
「なにっ」
上層部は外をみると数百名はいる戦闘部隊と本部内部ではテロ行為が始まっていた。
「うむ、ようやく尻尾を出したか」
オメガは上層部に合図する。
「これほど早く動くとは」
上層部が合図するとすぐに数台のアンドロイドが現れ容易くラムダを奪回。
「ラムダ殿を連れて避難を。ベルーナとアッカもいけ」
ソロモンが数台のアンドロイドに護衛させ三人を避難させる。
「さてさて、聞きたいことがあるのよジダヌ、教えてくれるかしら?」
ニナはパキパキと指をならしている。
「そこのお嬢ちゃんもお芝居はムダだよ。私はレフトーラさんやアレサ殿よりも甘くないよ」
ミラは観念したのか衣服を脱ぎ強化モンスターへと変異した。
そして壁を破壊しジダヌはそこから逃亡してしまった。
「ちっ…ごめん侮ったか」
すぐに追うソロモンであったがモンスターは俊敏で追跡を阻止する。
「邪魔ね」
ニナは銃を二発発泡し両足の動きを封じる。
そこへキューブを巨大ハンマーにしたオメガの一撃がモンスターの頭部を殴打。
「すいません、ジダヌを締め上げときます」
通路が確保されると疾風魔法でソロモンは追跡を開始。
ニナはモンスター化解除剤をミラに注射する。
するとミラはもとの小柄な女性へと戻る。
「う…私は…」
「あんたは利用されたのよ、起きれるかしら?」
「はい、頭痛と両足が痛いですが、なんとか…」
手を貸すオメガ。
機関の内部は最初こそ騒動となったがすぐに鎮圧。
残る戦力は外に陣取る部隊のみだ。
「うわ、あれってドルガかしら…」
「うむ、やはりあやつが一枚かんでいたか」
「正直、私はあいつに勝つ自信はないわよ…」
「心配ない、この状況で既に勝敗は決している。隙を見て逃亡するだろう」
ニナは銃を入念にチェックしオメガに準備できたと合図。
「うむ、では挨拶にいくとしよう」
すると壁を破り、部隊の陣に突撃する二人。
急襲にパニック状態の部隊は脆く数百の人数も二人により制圧。
「久しいなドルガ」
「くっ…貴様が本部に滞在していたとは…」
対峙するオメガとドルガ。
ニナは残りの二人と戦闘中だ。
剣士と武道家らしき人物はニナと互角に渡り合う。
ニナは格闘と狙撃を合わせた戦闘スタイルで二人の攻撃を躱しつつ反撃。
「ちっ…この女…何者だ…こんなのがいるなんて聞いてねえぞ」
「戦闘中におしゃべりすると怪我するわよ」
剣士がしゃべった一瞬の隙にニナは手刀で剣を破壊し回し蹴りで剣士を戦闘不能にする。
「スライス…大丈夫か」
ニナと武道家は一旦距離をとる。
息が荒い武道家だが、ニナの呼吸は安定しており勝敗は明らかである。
「どこの者か知らないけど本部を襲撃とは復興機関も舐められたものね」
「レフトーラがいない機関など烏合の衆かと思ったが…違ったようだな」
ニナは銃を構え武道家の右腕を狙撃する。
「ぎゃああっ腕がっ…」
「ふふっ今度レフトのことを話したら足を狙撃して武道家の人生を終わらすわよ」
「こ、この異常者め…」
「さっさとその男を連れて行きなさい。私は弱い男には興味ないのよ」
部隊は負傷以外は既に逃亡しており残るはドルガのみとなっていた。
「で…残りはあんただけよ」
オメガに合流するニナ。
「ほう、ニナまでおったか…」
「うむ、ここで争えばどうなるか…わかるな?」
「…ここはお互いに穏便にいきましょう。あんたはリスクを嫌うでしょう…」
珍しくニナの額から汗がたれる。
「わかった。ここは引こう」
武装を解く三人。
オメガの側にいくニナ。
「近いうちに悪魔が集結すると伝えておこう。人が滅ぶ時は近いかもしれぬぞ。ふっふっふ」
「人が滅ぶことはない。ドルガよ、お前の時代は終わったのだ。笑っていられるのも今のうちである」
「ふ」
不気味笑みで姿を消すドルガ。
アレサと並び戦闘に特化した邪悪な存在が水面下で動いた。
「ふう…アイツの瘴気はどうも苦手だわ…申し訳ないけど私は勝てる気がしないわ」
「うむ、だが昔の荒々しさは消えていた。ドルガすらも操る存在がひょっとしたらいるやもしれぬ」
「もーそんなのパスよ。レフトとアレサに任せて私は支援に徹するわ」
「そうであるな。動きには注意しておこう」
「とりあえずソロモンがジダヌを拘束しているか確認しましょう」
まさかの復興機関本部襲撃ではあったが、危険分子を発見でき、被害は少なかった。
邪悪な存在の動きが確認され、復興機関は今後の対策を考えることが急務となった。
ベルーナたちは解放され、再建された宿屋を目指していた。
次回へ続く
会議室のような一室にベルーナとアッカが座っている。
その横にニナたちが座る。
ベルーナたちの前には、ジダヌと話していた上層部、ヒーラーのミラ、そして本部の重鎮ラムダが座っている。
会議の進行役らしきアンドロイドが開会を宣言。
「ベルーナ殿より宝珠についてと、再三の出頭要請を拒否した説明をお願い致します」
皆がベルーナを見る。
「…まるで晒し刑ね」
「ニナ、聞こえちゃいますよ」
「二人とも、よく聞くのだ」
おしゃべりをするニナとソロモンを注意するオメガ。
ベルーナは立ち上がり説明を始めた。
「出頭に応じず申し訳ありませんでした。ただ私は宿屋を経営したかっただけです。そしてそれには宝珠という絶対的なモノが必要だったのです」
「文房具は嫌いだったのね」
「ぷぷ、ニナ、上手い」
「…」
「なるほど。ヘルゲートに宝珠が持ち込まれて悪用されよりかは平和的とは言えようか…」
その言葉を聞き、アッカが手をあげる。
発言をするようだ。
「許可する」
「は、ありがとうございます」
アッカはベルーナ同様立ち上がり発言する。
その姿を見て安堵するベルーナ。
「あの宿は復興機関の協力によりベースができ、ベルーナの願いに応えた宝珠そのものなのです」
一同静まる。
その衝撃の発言に全員が固まった。
「宝珠が…宿屋になったと?」
上層部は問う。
ニナたちの目付きが変わる。
「厳密に言うと宝珠は人になりました…」
アッカはレフトが言ったことをそのまま発言した。
そこへ遅れてスペースが入室してくる。
石が人になるなど前代未聞。
ざわつく室内。
「宝珠が人になったって…石人間の話ですか」
スペースは状況がわからず全員に問う。
「あ、あの…」
ミラが挙手し発言を求めている。
「うむ」
そして立ち上がり小声で話しました。
「石人間と交戦中に突然暴走し大変危険な状況になりました」
「なっ」
事実を知らない本部の者達は、現場にいたミラの発言に驚く。
「宝珠が暴走したと…」
「報告書には石人間の記載は無いぞ」
「なんというか…我々だけでは全滅していたので…それにこの問題を解決したのは…」
急にうつむくミラ。
「ああ、そういうことか」
「うむ」
すぐに納得するニナとオメガ。
事実を知るジダヌや上層部は納得しているが、ラムダはことの顛末がわかっていない。
「石っていってもそれが宝珠だとなるとあの戦力で砕くのは不可能でしょう…」
ソロモンが軽く話す。
「ミラよ、その石人間はどうなった?」
ラムダがミラを見つめる。
「…暴走した石人間はすぐ粉々になりました」
ミラは小声でつぶやく。
「え」
「粉々?」
「宝珠…が粉々だと?」
「ああ、あの軍人が…か」
場の空気が急変する。
ミラのその発言は破壊力抜群だ。
さすがのニナとオメガも驚いている。
「ベルーナ、説明を」
上層部はベルーナに説明を求めた。
「はい、宝珠は人へと変化しダンと名乗りました」
「…」
「宿屋のお手伝いさんとなりとても優しい性格でした。暴走してしまったのは私が選択を間違えたからです」
「選択…って」
ラムダは思わず本音が漏れてしまう。
「復興機関を……返り討ちにする選択です」
「ベルーナ…」
うつむきながら語るベルーナ。
その様子を見つめるアッカ。
「なんと…」
ラムダの表情が変わる。
「そりゃ温厚な軍人でもレフトの前でそんな選択をしたら怒るわよ」
「うむ、その宿屋、消滅していなければよいが…」
「ちょいちょい、物騒だねえ」
「つまりは我々を追い返し宿屋を継続するつもりだったと?」
険しい表情のラムダ。
周囲はある程度今回の騒動を把握している。
あとはラムダがベルーナたちをどう裁くかが問題だ。
「はい、ダンはそれに従っただけです。全ては私の自分勝手な選択が招いたことです」
「…」
「ベルーナは相当痛めつけられたっぽいわね」
「うむ」
ベルーナの凹んだ姿からニナたちは一方的な戦いだったと想像する。
「わかった」
一息つきラムダが言う。
「復興機関は全てにおいて中立であり世界を復興させる義務がある。ベルーナよ」
「はい」
「そなたの宿屋はあの地方にとって貴重な存在なのだよ。よって機関が一部介入したのである」
「は…」
「人は過ちを繰り返す者である。よいかベルーナよ。もう一度、宿を復興してみせよ。二度あることは三度ある、このことに抗ってみせよ」
「…」
周囲がざわめく。
ラムダの寛大すぎる対応に驚いている。
「あそこは荒れ地に近く、とても重要な休憩施設。再建は納得できるが…」
「とはいってもまたベルーナで大丈夫なのかしらね」
ラムダは書類に目を通しアッカを見る。
「アッカよ、そなたはベルーナの良心であるとか?」
「ぷっ」
思わず吹き出すニナ。
すぐにソロモンがラムダに謝罪する。
「だって良心って…」
「はい、今回の件、彼女を止められなかった私も同罪でございます」
「よかろう、ともに歩むことを認めよう」
上層部は冷静に場を見ている。
その様子に吹き出したニナの表情が変わる。
「オメガ?」
「うむ」
会議が終わりラムダが部屋を去ろうとした時、ミラとジダヌがラムダを拘束し人質にとる。
この緊急事態にアンドロイドはすぐに部屋を封鎖。
本部に警報が響く。
「ほう、私が狙いであったか…」
ラムダはゆっくりと二人に話す。
「ここへ侵入するのは困難だったが、ベルーナたちが役に立ったぜ」
「あんたたち、逃げられると思っているの?」
ニナは銃に手をおく。
「くっくっく、おめでたい連中だぜ。もうここは戦場なんだよ」
「なにっ」
上層部は外をみると数百名はいる戦闘部隊と本部内部ではテロ行為が始まっていた。
「うむ、ようやく尻尾を出したか」
オメガは上層部に合図する。
「これほど早く動くとは」
上層部が合図するとすぐに数台のアンドロイドが現れ容易くラムダを奪回。
「ラムダ殿を連れて避難を。ベルーナとアッカもいけ」
ソロモンが数台のアンドロイドに護衛させ三人を避難させる。
「さてさて、聞きたいことがあるのよジダヌ、教えてくれるかしら?」
ニナはパキパキと指をならしている。
「そこのお嬢ちゃんもお芝居はムダだよ。私はレフトーラさんやアレサ殿よりも甘くないよ」
ミラは観念したのか衣服を脱ぎ強化モンスターへと変異した。
そして壁を破壊しジダヌはそこから逃亡してしまった。
「ちっ…ごめん侮ったか」
すぐに追うソロモンであったがモンスターは俊敏で追跡を阻止する。
「邪魔ね」
ニナは銃を二発発泡し両足の動きを封じる。
そこへキューブを巨大ハンマーにしたオメガの一撃がモンスターの頭部を殴打。
「すいません、ジダヌを締め上げときます」
通路が確保されると疾風魔法でソロモンは追跡を開始。
ニナはモンスター化解除剤をミラに注射する。
するとミラはもとの小柄な女性へと戻る。
「う…私は…」
「あんたは利用されたのよ、起きれるかしら?」
「はい、頭痛と両足が痛いですが、なんとか…」
手を貸すオメガ。
機関の内部は最初こそ騒動となったがすぐに鎮圧。
残る戦力は外に陣取る部隊のみだ。
「うわ、あれってドルガかしら…」
「うむ、やはりあやつが一枚かんでいたか」
「正直、私はあいつに勝つ自信はないわよ…」
「心配ない、この状況で既に勝敗は決している。隙を見て逃亡するだろう」
ニナは銃を入念にチェックしオメガに準備できたと合図。
「うむ、では挨拶にいくとしよう」
すると壁を破り、部隊の陣に突撃する二人。
急襲にパニック状態の部隊は脆く数百の人数も二人により制圧。
「久しいなドルガ」
「くっ…貴様が本部に滞在していたとは…」
対峙するオメガとドルガ。
ニナは残りの二人と戦闘中だ。
剣士と武道家らしき人物はニナと互角に渡り合う。
ニナは格闘と狙撃を合わせた戦闘スタイルで二人の攻撃を躱しつつ反撃。
「ちっ…この女…何者だ…こんなのがいるなんて聞いてねえぞ」
「戦闘中におしゃべりすると怪我するわよ」
剣士がしゃべった一瞬の隙にニナは手刀で剣を破壊し回し蹴りで剣士を戦闘不能にする。
「スライス…大丈夫か」
ニナと武道家は一旦距離をとる。
息が荒い武道家だが、ニナの呼吸は安定しており勝敗は明らかである。
「どこの者か知らないけど本部を襲撃とは復興機関も舐められたものね」
「レフトーラがいない機関など烏合の衆かと思ったが…違ったようだな」
ニナは銃を構え武道家の右腕を狙撃する。
「ぎゃああっ腕がっ…」
「ふふっ今度レフトのことを話したら足を狙撃して武道家の人生を終わらすわよ」
「こ、この異常者め…」
「さっさとその男を連れて行きなさい。私は弱い男には興味ないのよ」
部隊は負傷以外は既に逃亡しており残るはドルガのみとなっていた。
「で…残りはあんただけよ」
オメガに合流するニナ。
「ほう、ニナまでおったか…」
「うむ、ここで争えばどうなるか…わかるな?」
「…ここはお互いに穏便にいきましょう。あんたはリスクを嫌うでしょう…」
珍しくニナの額から汗がたれる。
「わかった。ここは引こう」
武装を解く三人。
オメガの側にいくニナ。
「近いうちに悪魔が集結すると伝えておこう。人が滅ぶ時は近いかもしれぬぞ。ふっふっふ」
「人が滅ぶことはない。ドルガよ、お前の時代は終わったのだ。笑っていられるのも今のうちである」
「ふ」
不気味笑みで姿を消すドルガ。
アレサと並び戦闘に特化した邪悪な存在が水面下で動いた。
「ふう…アイツの瘴気はどうも苦手だわ…申し訳ないけど私は勝てる気がしないわ」
「うむ、だが昔の荒々しさは消えていた。ドルガすらも操る存在がひょっとしたらいるやもしれぬ」
「もーそんなのパスよ。レフトとアレサに任せて私は支援に徹するわ」
「そうであるな。動きには注意しておこう」
「とりあえずソロモンがジダヌを拘束しているか確認しましょう」
まさかの復興機関本部襲撃ではあったが、危険分子を発見でき、被害は少なかった。
邪悪な存在の動きが確認され、復興機関は今後の対策を考えることが急務となった。
ベルーナたちは解放され、再建された宿屋を目指していた。
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