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第1章 魔女になりたくて
第2話(1) 魔女 アルマ
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「はい、これ依頼料ね」
私はヤフナ師匠から予定通り2枚の金貨を受け取りました。
「でも本当にいいの?今後も2枚しか出す気ないけど」
「えぇ…今後は少しは増やしてくださいよ」
「んー…まぁ考えとくわ」
「考えとくって言われて実際に変わったこと、ありましたっけ?ないですよね?」
「そうだったかしら」
師匠を軽く睨みつけるといつものように微笑んでいました。まるで「今後も2枚でよろしく」と表情で伝えてこようとしてるようでした。
「まあいいんですけど。でもどうするんですか?」
私は昨日の出来事だけでは、判断材料に欠けるのではと思い、尋ねます。
「特に心配しなくても大丈夫だと思いますよ。なにせあの子は私の自慢の子です。魔力だって十分すぎるほどにありますし、やる気になればやれる子ですから」
「そうですか」
そんな会話をして私は師匠と別れました。師匠は相変わらずですね。さて私はこれからもしばらくはこの街にいないといけないようです。まあ観光でもしつつ、宿屋に泊まりますか。
あの日以降、私はあの魔女のことしか考えられなくなっていました。自分の気が付かないところで救ってくれる。こんな素晴らしい職業はありません。
私はお母さんに言いました。
「お母さん!魔女になりたい!」
するとお母さんは言いました。
「そうですか。魔女ですか。じゃああなたに学費は払えませんね」
え?学費払えないってどういうこと?
その疑問が口から出る前にお母さんは言いました。
「あなたが魔法学校へ行っても学べることはありませんから」
なんだかどんどん私の分からない方向へと話が進んでいきます。学べることがないというのはどういうことでしょうか。
「こういうのは信頼のおける魔女に、良い魔女に、素晴らしい魔女に教えてもらう方が良いのですよ」
よく分かりませんが、学校には行かずに魔女に教われ、ということなのでしょう。
なんででしょう?
私は不思議に思いながらも、どうすれば魔女に教われるのか、どうすれば魔女になれるのかなどを教えてもらいました。教えてもらう時のお母さん、ものすごく詳しくて専門家みたいでした。
私は街に出ていました。お母さんによれば、魔女の家に突撃して「弟子にしてください」と言えば良いらしいのです。
そこでいくつか質問をされて、素質ありと思われれば弟子にしてもらえるということでした。なので私は片っ端から魔女の家を訪問して、弟子の交渉をすることにしました。
しかしいざやってみると分かったことが2つあります。まずこの街には魔女が少なすぎるのです。この街はこの国第3の都市ではあるものの、そこまで人口は多く無く、そのため必然的に魔女の数も少ないのです。あともう一つ。こっちの方が一大事でした。何か。
雇ってくれないのです。門前払いというやつです。どんな感じかというと
「弟子にしてください」
「あなたは…ヤフナさんとこの娘さん?」
「そうです。フロンタと申します」
「んー…他をあたってくれるかしら?」
「え?なんでですか?」
もうこの時点で拒否されています。
「ヤフナさんの娘だもの」
そう言ってどの魔女もドアを閉めてしまいます。そしてどの人も
「ヤフナさんの娘だもの」とか
「ヤフナのとこの娘さんなのね」
みたいなことを言ってドアを閉められてしまいます。あげく
「むかつく」とか
「適任者ならすぐそばにいるじゃない」とか
よく分からないことを言う人もいるのです。
そしてあっという間に街の北の門まで来てしまいました。そこには1軒の宿屋があります。年季の入った宿屋ですが、門の目の前かつ中心街にも近く、旅人には人気な宿屋です。
今日もその宿屋はたくさんの人で賑わっていました。その時、その宿屋から出てくる1人の人物が私の目を釘付けにしました。
それはあの魔女だったのです。
ほうきや杖は持っておらず、黒いローブを着ており、黒くて長い髪の毛を風になびかせながら歩いて行きました。私は無意識にその後を追いました。そして話しかけるチャンスを伺っていると。その魔女は前を向いたまま、なんなら歩いたままこう言いました。
「私の後ろに誰かいるんでしょう?」
私はぎくりと思い、唾を飲み込みましたが、まだ黙っていました。
「いるなら返事をしなさい」
「はい…」すっかりその言葉に萎縮して返事をしてしまいました。もしかしてお咎めを喰らってしまうのではとこの時思いました。
「あなたは私に何か用事があるんですか?」
要件を尋ねてきました。ただ肝心の魔女は前を向いたままで顔を見せてはくれません。
「あの時の魔女さんです…か?」
「あの時ってどの時ですか?」
「昨日のひまわり畑の時の…」
「あぁ、見に行きましたよ。この街には大層美しいひまわり畑があるという話を聞いていたのでね。見に行きたくてしょうがなかったんです」その魔女は立ち止まってはくれましたが、後ろを向いてはくれません。
「えっと…その、あの、、」
「なにか要件があるなら早めに言ってもらっても良いですか?」
そう言われてもまだ心の準備ができていないというか、なんと言えば良いのか分からないというか、そんな感じなのです。
そりゃそうです。まさかこの魔女さんに出会えるとは思っていなかっのですから。
「あの、私を、私を…」
息を吸い込んで
「弟子にしてください!」
私はヤフナ師匠から予定通り2枚の金貨を受け取りました。
「でも本当にいいの?今後も2枚しか出す気ないけど」
「えぇ…今後は少しは増やしてくださいよ」
「んー…まぁ考えとくわ」
「考えとくって言われて実際に変わったこと、ありましたっけ?ないですよね?」
「そうだったかしら」
師匠を軽く睨みつけるといつものように微笑んでいました。まるで「今後も2枚でよろしく」と表情で伝えてこようとしてるようでした。
「まあいいんですけど。でもどうするんですか?」
私は昨日の出来事だけでは、判断材料に欠けるのではと思い、尋ねます。
「特に心配しなくても大丈夫だと思いますよ。なにせあの子は私の自慢の子です。魔力だって十分すぎるほどにありますし、やる気になればやれる子ですから」
「そうですか」
そんな会話をして私は師匠と別れました。師匠は相変わらずですね。さて私はこれからもしばらくはこの街にいないといけないようです。まあ観光でもしつつ、宿屋に泊まりますか。
あの日以降、私はあの魔女のことしか考えられなくなっていました。自分の気が付かないところで救ってくれる。こんな素晴らしい職業はありません。
私はお母さんに言いました。
「お母さん!魔女になりたい!」
するとお母さんは言いました。
「そうですか。魔女ですか。じゃああなたに学費は払えませんね」
え?学費払えないってどういうこと?
その疑問が口から出る前にお母さんは言いました。
「あなたが魔法学校へ行っても学べることはありませんから」
なんだかどんどん私の分からない方向へと話が進んでいきます。学べることがないというのはどういうことでしょうか。
「こういうのは信頼のおける魔女に、良い魔女に、素晴らしい魔女に教えてもらう方が良いのですよ」
よく分かりませんが、学校には行かずに魔女に教われ、ということなのでしょう。
なんででしょう?
私は不思議に思いながらも、どうすれば魔女に教われるのか、どうすれば魔女になれるのかなどを教えてもらいました。教えてもらう時のお母さん、ものすごく詳しくて専門家みたいでした。
私は街に出ていました。お母さんによれば、魔女の家に突撃して「弟子にしてください」と言えば良いらしいのです。
そこでいくつか質問をされて、素質ありと思われれば弟子にしてもらえるということでした。なので私は片っ端から魔女の家を訪問して、弟子の交渉をすることにしました。
しかしいざやってみると分かったことが2つあります。まずこの街には魔女が少なすぎるのです。この街はこの国第3の都市ではあるものの、そこまで人口は多く無く、そのため必然的に魔女の数も少ないのです。あともう一つ。こっちの方が一大事でした。何か。
雇ってくれないのです。門前払いというやつです。どんな感じかというと
「弟子にしてください」
「あなたは…ヤフナさんとこの娘さん?」
「そうです。フロンタと申します」
「んー…他をあたってくれるかしら?」
「え?なんでですか?」
もうこの時点で拒否されています。
「ヤフナさんの娘だもの」
そう言ってどの魔女もドアを閉めてしまいます。そしてどの人も
「ヤフナさんの娘だもの」とか
「ヤフナのとこの娘さんなのね」
みたいなことを言ってドアを閉められてしまいます。あげく
「むかつく」とか
「適任者ならすぐそばにいるじゃない」とか
よく分からないことを言う人もいるのです。
そしてあっという間に街の北の門まで来てしまいました。そこには1軒の宿屋があります。年季の入った宿屋ですが、門の目の前かつ中心街にも近く、旅人には人気な宿屋です。
今日もその宿屋はたくさんの人で賑わっていました。その時、その宿屋から出てくる1人の人物が私の目を釘付けにしました。
それはあの魔女だったのです。
ほうきや杖は持っておらず、黒いローブを着ており、黒くて長い髪の毛を風になびかせながら歩いて行きました。私は無意識にその後を追いました。そして話しかけるチャンスを伺っていると。その魔女は前を向いたまま、なんなら歩いたままこう言いました。
「私の後ろに誰かいるんでしょう?」
私はぎくりと思い、唾を飲み込みましたが、まだ黙っていました。
「いるなら返事をしなさい」
「はい…」すっかりその言葉に萎縮して返事をしてしまいました。もしかしてお咎めを喰らってしまうのではとこの時思いました。
「あなたは私に何か用事があるんですか?」
要件を尋ねてきました。ただ肝心の魔女は前を向いたままで顔を見せてはくれません。
「あの時の魔女さんです…か?」
「あの時ってどの時ですか?」
「昨日のひまわり畑の時の…」
「あぁ、見に行きましたよ。この街には大層美しいひまわり畑があるという話を聞いていたのでね。見に行きたくてしょうがなかったんです」その魔女は立ち止まってはくれましたが、後ろを向いてはくれません。
「えっと…その、あの、、」
「なにか要件があるなら早めに言ってもらっても良いですか?」
そう言われてもまだ心の準備ができていないというか、なんと言えば良いのか分からないというか、そんな感じなのです。
そりゃそうです。まさかこの魔女さんに出会えるとは思っていなかっのですから。
「あの、私を、私を…」
息を吸い込んで
「弟子にしてください!」
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