[完結]恋よりモフモフ優先です! でも氷の王子が 離れてくれません

桃源 華

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第5話: 注目の新星と嫉妬の視線

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「アハバ、すごいよ! 
初めての実技試験で
神獣を召喚するなんて!」

 授業が終わった後、
同じクラスの女子たちが
私の周りに集まってきた。
驚きと興奮が入り混じった
表情で私を見つめている。

「いやいや、
たまたまだってば! 
本当に偶然で……」

「謙遜しなくてもいいのに。
だってあの神獣、
めちゃくちゃ可愛かったし、
すごくおとなしかったよね!」

「そうそう、
普通なら暴れて試験
どころじゃなくなるって
聞いたけど、アハバは一瞬で
懐かせたし!」

「さすが特別魔法クラスに
入っただけのことはあるわ!」

 褒められるのは嬉しいけど、
周りの視線が急に増えて
ちょっと恥ずかしい……。

「アハバ、
もしかしてすごい血筋の家の
出身とか?」

「えっ!? い、いや、
全然普通だよ!」

 私は慌てて否定する。
女神見習いであることは
絶対に秘密にしなきゃ
いけないから、
変に詮索されるのは困る。

「ふぅん……」

 その時、どこからか
冷たい視線を感じた。
振り返ると、クラスの隅で
腕を組んでこちらを
睨んでいるイリーナの姿
があった。

「あの子、確か……」

「イリーナよ。
同じ特別魔法クラスの生徒で、
魔法の才能があるって
有名なんだ。でもちょっと
気が強いの」

 隣の子が耳打ちしてくれる。
イリーナは高貴な家柄の出身で、
学園でもエリート中のエリート
らしい。

「へぇ……」

 私は軽く会釈したが、
イリーナはそっぽを向いて
しまった。

「えっと、嫌われちゃった……?」

「まあ気にしないほうがいいよ。
イリーナは誰に対しても
あんな感じだから」

 周りの子がフォローして
くれるけど、なんだか
胸がもやもやする。

 その日の放課後、
神獣たちの世話をしに
厩舎に向かうと、
タホールが待っていた。

「ようやく来たな。
神獣たちが君を
待ちくたびれているぞ」

「タホール、
さっきもありがとう! 
テストのサポートが
なかったら絶対に
合格できなかったよ!」

「礼を言うなら神獣たちに
言うんだな。彼らが君の力を
引き出した」

「ふふっ、そうだね。
ありがとう、みんな!」

 私は神獣たちの頭を
順番に撫でながら微笑んだ。

「……しかし、気をつけろよ」

 急に真剣な顔をした
タホールが、私に近づいてきた。

「気をつけるって?」

「今日のテストで目立ちすぎた。
これから学園内で君に注目が
集まるだろう。
好意的な視線ばかりではない」

「えっ……そんな、
大袈裟じゃない?」

「そう思うならそれでいい。
だが、周囲の動きには
注意しておけ」

 タホールの言葉に、
私は少しだけ不安を覚えた。

 次の日の朝、登校すると
早速タホールの予言が的中した。
廊下を歩くたびに、
知らない生徒たちが
私をちらちら見ている。

「ねえ、あの子が神獣を
召喚した新入生らしいよ」

「すごいよね! 
私たち一年生なのに、
もう神獣を呼び出せるなんて!」

「本当に召喚できたのかな? 
たまたまじゃないの?」

 そんな声が聞こえてきて、
私は思わず足を早めた。

「もう、恥ずかしいよ~!」

 教室に逃げ込むように入ると、
そこにはイリーナが
待ち構えていた。

「アハバ・リェホヴァ」

「えっ!? は、はい!」

 イリーナがずかずかと
私に近づいてくる。

「昨日の試験、まさか本当に
神獣を召喚するとはね。
あなた、一体何者なの?」

「えっと……
普通の新入生だよ?」

「ふぅん……そう。
まあいいわ。でも覚えておいて。
次の試験では私が必ずトップに
立つわ」

 イリーナは挑戦的な笑みを
浮かべると、そのまま教室を
出て行った。

「……なんだったんだろう?」

 私は困惑しながら、席に戻った。

「アハバ、大丈夫? 
イリーナに何か言われた?」

 隣の席の子が心配そうに
声をかけてくれる。

「う、うん、大丈夫。
なんとか……」

「イリーナは負けず嫌いだからね。
でも彼女も実力は本物だし、
正面からぶつかるのも悪く
ないかもよ?」

「そ、そうなのかな……」

 私は少し考え込んだ。
イリーナがただの嫌な子ではなく、
実力派のライバルであることを知り、
少しだけ胸が高鳴る。

「負けないように、
私も頑張らなきゃね!」

 その日の放課後、
タホールが再び私を呼び出した。

「アハバ、今後の試験に向けて
本格的な訓練が必要だ」

「本格的な訓練……?」

「そうだ。次の試験はさらに
難易度が上がる。
もしまた神獣を召喚することが
できれば、君は学園でも特別な
存在になるだろう」

「それって……
すごく難しそうだね」

「だからこそ俺がついている。
君の力を引き出すために
全力を尽くすさ」

 タホールの真剣な眼差しに、
私は小さく頷いた。

「分かった。よろしくね、
タホール!」

「まずは基礎を徹底する。
それから神獣との対話の練習もだ」

「対話の練習……?」

「神獣たちはただの使い魔ではない。
彼らは高い知性を持ち、
君の心を読むことができる。
君が信頼を寄せれば、
それに応えてくれるだろう」

「なるほど……頑張る!」

 こうして、私とタホールの
本格的な魔法訓練が始まった。
ライバルのイリーナとの競争、
そしてさらなる神獣との絆――。
学園生活はますます賑やかに
なりそうだ。
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