[完結]おっさん、異世界でスローライフ はじめます 2 〜猫耳少女とふしぎな毎日~

桃源 華

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第五章:畑と未来と、ちょっぴり成長

第48話:おっさん、農業指南本を書く

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「……もう限界だ」

レオンは畑のど真ん中で天を仰いだ。

「レオン、土って食べられるにゃ? 
もしかしてスパイスの赤ちゃんかも!」

「ビビ、それはただの泥だ。やめて
スプーン持つのやめて」

「レオン~! うねってどっち向きに
曲げるにゃ? 『ミ』の字? それとも『レ』にゃ?」

「ミュリ、うねは文字じゃない。あと今、逆から見たら“ヌ”になってる」

その横で、スイが黙ってじょうろを
構える。

「……さっき刈った芽に、水、あげた」

「スイ、それ切り株だからもう水吸え
ない……いや、ありがとうな……
気持ちは受け取る」

──そして、その光景を木陰から眺める
冷静な白猫耳。

「この混沌、記録しておく」

ノアのメモ帳には「農的崩壊現象」
と書かれていた。

🐈🐾 🐾 🐾

夜。レオンは家の書斎で机に
向かっていた。

「ふぅ……やはりこれは、もう書く
しかない」

そう、猫耳たちの農業的カオスに
終止符を打つため、レオンは一冊
の本を作る決意をしたのだ。

タイトルは――

『初心者のための!猫耳でもできる
ハーブ栽培入門』

「……タイトルがギリギリすぎるが、
事実だから仕方ないな……」

ミュリが顔をのぞかせる。

「レオン、またなんか書いてるにゃ? 
絵本? にゃ? 絵、描くにゃ?」

「絵本じゃない、農業指南書だよ。
お前たちの“自由農法”をなんとか
するためのな……」

「じゃあ挿絵はミュリに任せるにゃ! お絵描き得意にゃ!」

「ま、待て、それはちょっと……」

「任せるにゃ!」

🐈🐾 🐾 🐾

数日後。

完成した一冊の手書き本が、
村の図書館に届けられた。

表紙には、猫耳のついた謎の植物が
「ニャー」と叫ぶイラスト。

「表紙からカオスなんだが……」

「いいでしょ!? この“ニャーブ”
は一晩で描いたにゃ!」

「うん、全体的に夢に出てきそうな
顔してるよね……」

とはいえ中身はまじめだった。
土づくり、日当たり、水やり、
害虫対策……そして“絶対に鍋に
入れてはいけない葉”なども
細かく解説。

レオンの本は意外にも村の猫耳たち
にウケた。

「この本……わかりやすいにゃ!」

「図が変だけど、説明はわかり
やすいにゃ!」

「この“ニャーブ”がナビしてくれる
感じ、好きにゃ!」

まさかの挿絵効果まで!?
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