23 / 61
第二章:猫耳チームとハーブ革命
第12話魔法のスパイスか、呪いの粉か
しおりを挟む
「レオン~っ! たいへんにゃ~!」
朝の畑に、ミュリの叫び声が響いた。
「今度は何だ、畑が爆発したか?」
「ちがうの! 怪しい粉が届いたにゃ! しかも黒い瓶に入ってるにゃ! ラベルには“ひとふりで運命が変わる”って書いてあったにゃ!」
「それ、ただのキャッチコピーだろ……」
レオンは額に手を当て、ため息をついた。最近、ミュリが“特別ルート”で取り寄せたスパイスが、ことごとく問題を起こしていたのだ。先週は、“千年バジル”と書かれた葉っぱが、鍋に入れた瞬間に怪しく光り、食べた村人全員が三日三晩、妙にポエムっぽい言葉しか喋れなくなった。
「……で、また仕入れたのか?」
「今回は大丈夫にゃ! たぶん……いや、ちょっとだけ不安だけど……たぶん!」
ミュリの猫耳が不安定にピクピクしている。しっぽもだらんと垂れていて、完全に“自信ゼロ”のサインだった。
「まあ、見るだけならな……どれどれ」
レオンは瓶を手に取った。確かに黒い。中の粉も、なんというか“禍々しい”。ただ、香りは――妙に芳醇で、スモーキー。鼻を近づけた瞬間、記憶の奥に封印された“バーベキュー失敗事件”がよみがえる。
「これは……危ない。絶対に料理に使っちゃいけないやつだ」
「にゃ! そんな! せっかく高かったのに!」
「いくらだった?」
「ししし、しっぽ3本分の価値にゃ!」
「お前、物々交換でスパイス買ってんのか……?」
「パサージュの闇市で、すっごく怪しいおばあちゃんからにゃ!」
「絶対ヤバいやつじゃねえか!」
そのとき、どこからか現れたノアが、無言で瓶を奪って顕微鏡のような装置を取り出した。
「これは記録しておく……化学式に矛盾がある。恐らく未認可の魔法性香辛料だな」
「未認可って……認可制度あったのか?」
「私が勝手に作った。猫耳スパイス安全基準第一条。怪しい粉はまず燃やす」
「燃やす前提!?」
ミュリは瓶を抱え込むようにして叫んだ。
「燃やしちゃダメにゃ! これが“魔法のスパイス”だったらどうするにゃ!? 一振りで料理がレベルアップするとか、食べたら元気100倍とか!」
「食べたら猫耳が3本に増えるかもしれんぞ」
「にゃあああ!? それは困るにゃああ!」
ミュリのしっぽがぶわっと広がった。明らかにパニック状態である。
そこへリンがやってきた。ツンとした表情で腕を組み、鋭く瓶を睨む。
「ちょっと、それって爆発しないわよね? 前にミュリが使った“火炎カレー粉”で、うちの畑のハーブが蒸発したんだから!」
「ち、違うにゃ! あれは……うっかり火属性が強かっただけにゃ……!」
「『うっかり火属性』ってなんだよ……」
「ハーブ・フレア発動したわけじゃないの! たまたま偶然爆発しただけよっ!」
「十分アウトだな……」
と、その時。
ビビが泥だらけの姿で転がり込んできた。
「うっわ~、なんかいい匂い~! これ撒いたら雑草ぜ~んぶ消えるとかない? むしろ生える? いや、育つ? もうどっちでもいいっ!」
「それは“呪いの粉”の可能性もあるんだってば!」
スイがひょこっと現れ、じっと瓶を見つめると、短く一言。
「……水に溶ける」
「それは新情報!?」
ノアがメモを取り始める。
「これは記録しておく。“呪いの粉、
水で活性化”……実験開始だ」
「やめろーー! 村が消し飛ぶぅぅぅ!!」
レオンはついに瓶を奪い取ると、近くの地面に大きく穴を掘って埋めた。
「二度と掘り返すな! これにフタして“未確認スパイス埋蔵庫”って札立てとく!」
「えー! もったいないにゃ!」
「村を守るためだ。諦めろ。あと仕入れルート、今後は必ず俺に見せろ」
「うにゃ~……うう、しっぽがしょんぼりにゃ……」
ミュリの猫耳がぺたりと垂れ、しっぽも地面をすっていた。
レオンは、そんなミュリの頭をぽんと叩いて笑った。
「まあ……ちょっとだけなら、調査してみてもいい。もし安全なら、使ってみよう」
「ほんとにゃ!? やったにゃ~~!」
しっぽがぶんぶん振られ、耳もピンッと立ち上がる。
――だが、そのとき、畑の端で。
「……あれ、地面から湯気出てない?」
ビビの声に全員が振り返る。
そこには、スパイスを少しこぼした場所が。モクモクと立ち上る湯気の中、何かが蠢いていた。
「……なぁレオン、やっぱこれ埋めといたほうがよくない?」
「最初からそう言ってるだろ!!」
猫耳たちのスパイス冒険、今日も大波乱である――。
朝の畑に、ミュリの叫び声が響いた。
「今度は何だ、畑が爆発したか?」
「ちがうの! 怪しい粉が届いたにゃ! しかも黒い瓶に入ってるにゃ! ラベルには“ひとふりで運命が変わる”って書いてあったにゃ!」
「それ、ただのキャッチコピーだろ……」
レオンは額に手を当て、ため息をついた。最近、ミュリが“特別ルート”で取り寄せたスパイスが、ことごとく問題を起こしていたのだ。先週は、“千年バジル”と書かれた葉っぱが、鍋に入れた瞬間に怪しく光り、食べた村人全員が三日三晩、妙にポエムっぽい言葉しか喋れなくなった。
「……で、また仕入れたのか?」
「今回は大丈夫にゃ! たぶん……いや、ちょっとだけ不安だけど……たぶん!」
ミュリの猫耳が不安定にピクピクしている。しっぽもだらんと垂れていて、完全に“自信ゼロ”のサインだった。
「まあ、見るだけならな……どれどれ」
レオンは瓶を手に取った。確かに黒い。中の粉も、なんというか“禍々しい”。ただ、香りは――妙に芳醇で、スモーキー。鼻を近づけた瞬間、記憶の奥に封印された“バーベキュー失敗事件”がよみがえる。
「これは……危ない。絶対に料理に使っちゃいけないやつだ」
「にゃ! そんな! せっかく高かったのに!」
「いくらだった?」
「ししし、しっぽ3本分の価値にゃ!」
「お前、物々交換でスパイス買ってんのか……?」
「パサージュの闇市で、すっごく怪しいおばあちゃんからにゃ!」
「絶対ヤバいやつじゃねえか!」
そのとき、どこからか現れたノアが、無言で瓶を奪って顕微鏡のような装置を取り出した。
「これは記録しておく……化学式に矛盾がある。恐らく未認可の魔法性香辛料だな」
「未認可って……認可制度あったのか?」
「私が勝手に作った。猫耳スパイス安全基準第一条。怪しい粉はまず燃やす」
「燃やす前提!?」
ミュリは瓶を抱え込むようにして叫んだ。
「燃やしちゃダメにゃ! これが“魔法のスパイス”だったらどうするにゃ!? 一振りで料理がレベルアップするとか、食べたら元気100倍とか!」
「食べたら猫耳が3本に増えるかもしれんぞ」
「にゃあああ!? それは困るにゃああ!」
ミュリのしっぽがぶわっと広がった。明らかにパニック状態である。
そこへリンがやってきた。ツンとした表情で腕を組み、鋭く瓶を睨む。
「ちょっと、それって爆発しないわよね? 前にミュリが使った“火炎カレー粉”で、うちの畑のハーブが蒸発したんだから!」
「ち、違うにゃ! あれは……うっかり火属性が強かっただけにゃ……!」
「『うっかり火属性』ってなんだよ……」
「ハーブ・フレア発動したわけじゃないの! たまたま偶然爆発しただけよっ!」
「十分アウトだな……」
と、その時。
ビビが泥だらけの姿で転がり込んできた。
「うっわ~、なんかいい匂い~! これ撒いたら雑草ぜ~んぶ消えるとかない? むしろ生える? いや、育つ? もうどっちでもいいっ!」
「それは“呪いの粉”の可能性もあるんだってば!」
スイがひょこっと現れ、じっと瓶を見つめると、短く一言。
「……水に溶ける」
「それは新情報!?」
ノアがメモを取り始める。
「これは記録しておく。“呪いの粉、
水で活性化”……実験開始だ」
「やめろーー! 村が消し飛ぶぅぅぅ!!」
レオンはついに瓶を奪い取ると、近くの地面に大きく穴を掘って埋めた。
「二度と掘り返すな! これにフタして“未確認スパイス埋蔵庫”って札立てとく!」
「えー! もったいないにゃ!」
「村を守るためだ。諦めろ。あと仕入れルート、今後は必ず俺に見せろ」
「うにゃ~……うう、しっぽがしょんぼりにゃ……」
ミュリの猫耳がぺたりと垂れ、しっぽも地面をすっていた。
レオンは、そんなミュリの頭をぽんと叩いて笑った。
「まあ……ちょっとだけなら、調査してみてもいい。もし安全なら、使ってみよう」
「ほんとにゃ!? やったにゃ~~!」
しっぽがぶんぶん振られ、耳もピンッと立ち上がる。
――だが、そのとき、畑の端で。
「……あれ、地面から湯気出てない?」
ビビの声に全員が振り返る。
そこには、スパイスを少しこぼした場所が。モクモクと立ち上る湯気の中、何かが蠢いていた。
「……なぁレオン、やっぱこれ埋めといたほうがよくない?」
「最初からそう言ってるだろ!!」
猫耳たちのスパイス冒険、今日も大波乱である――。
3
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
追放令嬢と【神の農地】スキル持ちの俺、辺境の痩せ地を世界一の穀倉地帯に変えたら、いつの間にか建国してました。
黒崎隼人
ファンタジー
日本の農学研究者だった俺は、過労死の末、剣と魔法の異世界へ転生した。貧しい農家の三男アキトとして目覚めた俺には、前世の知識と、触れた土地を瞬時に世界一肥沃にするチートスキル【神の農地】が与えられていた!
「この力があれば、家族を、この村を救える!」
俺が奇跡の作物を育て始めた矢先、村に一人の少女がやってくる。彼女は王太子に婚約破棄され、「悪役令嬢」の汚名を着せられて追放された公爵令嬢セレスティーナ。全てを失い、絶望の淵に立つ彼女だったが、その瞳にはまだ気高い光が宿っていた。
「俺が、この土地を生まれ変わらせてみせます。あなたと共に」
孤独な元・悪役令嬢と、最強スキルを持つ転生農民。
二人の出会いが、辺境の痩せた土地を黄金の穀倉地帯へと変え、やがて一つの国を産み落とす奇跡の物語。
優しくて壮大な、逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった
あめとおと
ファンタジー
異世界に転移した主人公が得たスキルは【地図作成】。
戦闘能力ゼロ、初期レベル1。
冒険者ギルドでは「外れスキル」と笑われ、
新人向けの雑用クエストしか回ってこない。
しかしそのスキルは、
ダンジョンの隠し通路、未踏破エリア、消えた古代文明の痕跡まで“地図に表示する”
という、とんでもない能力だった。
生き残るために始めた地味な探索が、
やがて世界の秘密と、国家すら動かす大冒険へ――。
これは、
戦えない主人公が“冒険そのもの”で成り上がる物語。
同作品を「小説家になろう」で先行配信してます。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる