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第四章:スパイスの旅と異世界の謎
第36話ミュリ、初めて褒められる料理(99%レオン製)
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「レオンっ! わたし、ついにやったにゃ!」
「やってないだろ、まだ食ってないし」
朝、畑の見回りから戻ってきたレオンを出迎えたのは、三角巾を逆にかぶったミュリだった。エプロンも前後逆。しっぽはブンブン絶好調だが、これは毎度、嵐の前触れ。
「今日はね、ミュリ特製“きらめきスパイスカレーもどき(仮)”なの! もうね、レオンがいなくても料理できるってとこ、見せてあげるにゃ!」
「“もどき”って何だ、“仮”って何だ。というかもう不安しかねえんだけど」
案の定、台所からは謎の湯気と、異世界でも見たことのない色のスープがぷくぷくと煮えていた。レオンの口元がピクついた。
「……ミュリ、お前、また鍋にスイートベリーとマスタードシードを同時に入れたな?」
「ち、違うよ! 今回は“お花の香りがする葉っぱ”も追加したの!」
「それはポプリだッ!」
レオンの声が爆発音のように響いた。猫耳がビクッと跳ね、しっぽが一気にだらーん。
「しょぼん……」
「しょぼんじゃない! せめて鍋のフタを開ける前に教えろ! 火の前で実験するんじゃない!」
「だってぇぇ~! ミュリだって、たまには褒められたいにゃ!」
しっぽは床をバンバンと叩き、猫耳は逆立ち気味。ミュリのプライドに火がついたのは分かるが、火をつけるのはガスコンロだけにしてほしい。
レオンは頭を抱えた――が、ある策を思いつく。
「……よし、ミュリ。今日こそ本気で“褒められる料理”作ってみようじゃねぇか」
「ほんと!? やったーっ! えへへ、レオンがやっとミュリの才能を認め……」
「だが! お前はただ“混ぜるだけ”担当だ」
「……えっ?」
「材料の準備、火加減、味付けは全部俺がやる。ミュリは“混ぜろ”って言ったら混ぜるだけ」
「それ、ミュリが料理してないにゃ……」
「それでも99%ミュリの手柄って言ってやる。いいな?」
「ううっ……わかったにゃ!」
🐈🐾 🐾 🐾
――こうして、「ミュリが混ぜただけのカレー計画」がスタートした。
🐈🐾 🐾 🐾
まずはレオンが隠し味のスパイスを調合。これはミュリのパサージュ店から取り寄せた“くんくんブレンド・甘口タイプ”。うっかり劇辛を使って村人が昏倒した事件も、今は昔の笑い話(レオンだけは笑えていない)。
「ミュリ、スプーン持って構えろ」
「はいにゃ!」
「混ぜろ!」
「にゃーっ!」
鍋の中で、ルゥとスパイスがいい感じに溶けていく。ミュリは得意げにしっぽを左右にぶんぶん。猫耳もピーンと立って、どこからどう見ても「頑張ってる風」だ。
「お、おいミュリ、その混ぜ方……シャバシャバしてきたぞ」
「えへへ~、“ミュリ回転・猫の手の舞”だよ!」
「そんな技はない! 普通に混ぜろ!」
🐈🐾 🐾 🐾
数十分後、なんとかカレーは完成。
さっそく、味見係としてやってきた猫耳チームの面々がズラリと並ぶ。
「うっわ~! おいしそーじゃん!」
ビビがテンションMAXでスプーンを構える。泥だらけの頬にカレーが飛び散ってもお構いなし。
「……食べる。これは……本物の……スパイスの魂……」
スイは無表情でそう言い、なぜか涙を一滴流した。何が彼女を動かしたのか、謎は深まるばかり。
「ふむ……香りはまずまず。辛さ控えめ。味も……悪くない。……くっ、なぜミュリにこれが……!」
ノアはぶつぶつ言いながら、懐からメモ帳を取り出し記録し始めた。「これは記録しておく」
「ま、まぁまぁね。ちょっとだけ見直してやっても……いいけど!」
チャチャはスプーン片手にツンデレモード全開。しっぽだけは素直にふりふり。
「ほ、ほらレオンっ、みんな褒めてるにゃ! ついに、ミュリの時代が……!」
「おう、良かったな。ミュリ」
「えへへ、レオンも一口、どーぞ!」
「……」
レオンは一瞬黙ったが、ミュリのキラキラした目に押されて、渋々スプーンを手にした。
一口、口に含んで、もぐもぐ。
そして。
「――よし、認定する」
「にゃっ!? な、なにを!?」
「ミュリ、ついに“褒められる料理(99%レオン製)”を作ったな」
「にゃあああ~~~っ!! やったにゃああああ~~っ!!」
猫耳はピーン! しっぽはプロペラのようにブンブン回転。本人のテンションは天元突破。
その後、村中に「ミュリのカレー大勝利」が伝わり、「ミュリ様! お代わりを!」と行列ができる事態に。
もちろん、厨房の裏ではレオンが黙々と鍋をかき混ぜ続けていたのは言うまでもない。
🐈🐾 🐾 🐾 🐈🐾 🐾 🐾
第2章 新キャラ 猫耳ハーブ団
ミュリの仲間達⬇️にゃ🐈⬛🎀
https://kakuyomu.jp/works/16818622173856934382/episodes/16818622177180128138
🐈🐾 🐾 🐾 🐈🐾 🐾 🐾
★ようこそ!気まぐれ異世界へ★
https://kakuyomu.jp/users/tougen_hana/news/16818622177742117726
「やってないだろ、まだ食ってないし」
朝、畑の見回りから戻ってきたレオンを出迎えたのは、三角巾を逆にかぶったミュリだった。エプロンも前後逆。しっぽはブンブン絶好調だが、これは毎度、嵐の前触れ。
「今日はね、ミュリ特製“きらめきスパイスカレーもどき(仮)”なの! もうね、レオンがいなくても料理できるってとこ、見せてあげるにゃ!」
「“もどき”って何だ、“仮”って何だ。というかもう不安しかねえんだけど」
案の定、台所からは謎の湯気と、異世界でも見たことのない色のスープがぷくぷくと煮えていた。レオンの口元がピクついた。
「……ミュリ、お前、また鍋にスイートベリーとマスタードシードを同時に入れたな?」
「ち、違うよ! 今回は“お花の香りがする葉っぱ”も追加したの!」
「それはポプリだッ!」
レオンの声が爆発音のように響いた。猫耳がビクッと跳ね、しっぽが一気にだらーん。
「しょぼん……」
「しょぼんじゃない! せめて鍋のフタを開ける前に教えろ! 火の前で実験するんじゃない!」
「だってぇぇ~! ミュリだって、たまには褒められたいにゃ!」
しっぽは床をバンバンと叩き、猫耳は逆立ち気味。ミュリのプライドに火がついたのは分かるが、火をつけるのはガスコンロだけにしてほしい。
レオンは頭を抱えた――が、ある策を思いつく。
「……よし、ミュリ。今日こそ本気で“褒められる料理”作ってみようじゃねぇか」
「ほんと!? やったーっ! えへへ、レオンがやっとミュリの才能を認め……」
「だが! お前はただ“混ぜるだけ”担当だ」
「……えっ?」
「材料の準備、火加減、味付けは全部俺がやる。ミュリは“混ぜろ”って言ったら混ぜるだけ」
「それ、ミュリが料理してないにゃ……」
「それでも99%ミュリの手柄って言ってやる。いいな?」
「ううっ……わかったにゃ!」
🐈🐾 🐾 🐾
――こうして、「ミュリが混ぜただけのカレー計画」がスタートした。
🐈🐾 🐾 🐾
まずはレオンが隠し味のスパイスを調合。これはミュリのパサージュ店から取り寄せた“くんくんブレンド・甘口タイプ”。うっかり劇辛を使って村人が昏倒した事件も、今は昔の笑い話(レオンだけは笑えていない)。
「ミュリ、スプーン持って構えろ」
「はいにゃ!」
「混ぜろ!」
「にゃーっ!」
鍋の中で、ルゥとスパイスがいい感じに溶けていく。ミュリは得意げにしっぽを左右にぶんぶん。猫耳もピーンと立って、どこからどう見ても「頑張ってる風」だ。
「お、おいミュリ、その混ぜ方……シャバシャバしてきたぞ」
「えへへ~、“ミュリ回転・猫の手の舞”だよ!」
「そんな技はない! 普通に混ぜろ!」
🐈🐾 🐾 🐾
数十分後、なんとかカレーは完成。
さっそく、味見係としてやってきた猫耳チームの面々がズラリと並ぶ。
「うっわ~! おいしそーじゃん!」
ビビがテンションMAXでスプーンを構える。泥だらけの頬にカレーが飛び散ってもお構いなし。
「……食べる。これは……本物の……スパイスの魂……」
スイは無表情でそう言い、なぜか涙を一滴流した。何が彼女を動かしたのか、謎は深まるばかり。
「ふむ……香りはまずまず。辛さ控えめ。味も……悪くない。……くっ、なぜミュリにこれが……!」
ノアはぶつぶつ言いながら、懐からメモ帳を取り出し記録し始めた。「これは記録しておく」
「ま、まぁまぁね。ちょっとだけ見直してやっても……いいけど!」
チャチャはスプーン片手にツンデレモード全開。しっぽだけは素直にふりふり。
「ほ、ほらレオンっ、みんな褒めてるにゃ! ついに、ミュリの時代が……!」
「おう、良かったな。ミュリ」
「えへへ、レオンも一口、どーぞ!」
「……」
レオンは一瞬黙ったが、ミュリのキラキラした目に押されて、渋々スプーンを手にした。
一口、口に含んで、もぐもぐ。
そして。
「――よし、認定する」
「にゃっ!? な、なにを!?」
「ミュリ、ついに“褒められる料理(99%レオン製)”を作ったな」
「にゃあああ~~~っ!! やったにゃああああ~~っ!!」
猫耳はピーン! しっぽはプロペラのようにブンブン回転。本人のテンションは天元突破。
その後、村中に「ミュリのカレー大勝利」が伝わり、「ミュリ様! お代わりを!」と行列ができる事態に。
もちろん、厨房の裏ではレオンが黙々と鍋をかき混ぜ続けていたのは言うまでもない。
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第2章 新キャラ 猫耳ハーブ団
ミュリの仲間達⬇️にゃ🐈⬛🎀
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