[完結]おっさん、異世界でスローライフ はじめます 2 〜猫耳少女とふしぎな毎日~

桃源 華

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第四章:スパイスの旅と異世界の謎

第38話旅先の村でハーブ騒動

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「うわぁぁぁぁぁ!! またやったあああああ!!」

旅先の村・トルナで、ミュリの絶叫が空に響いた。

「……ミュリ。お願いだから説明してくれ。なんで村の広場の真ん中に煙が立ってるんだ?」

「わ、わたしは……ただちょっと、旅先の珍しいハーブを使ってスパイス調合してただけで……!」

レオンは、煙がモクモクと上がる広場の中心で、まるで爆発現場のようになった調合セットを見つめた。

「で、なぜか爆発したと」

「そ、そんなに派手には……って、村人さんが鼻を押さえて逃げてるぅー!? うう、またやっちゃった……」

ミュリの猫耳がしょぼんと垂れ、尻尾もだらんと地面を引きずる。

「ミュリ、それ、完全にアレだ。スパイスじゃなくて、毒ガスに近いやつ」

「そんなぁ~っ! 香りが強すぎただけだもん!」

「いや、強すぎたらダメだろ……」

村の長老がよろよろと近づいてきた。顔をしかめながら手にハンカチをあてている。

「こ、これは……新手の魔術かのう……鼻の奥がしびれてたまらんわい……」

「す、すみません! 悪気はなかったんですっ! ちょっとハーブとスパイスを混ぜて……嗅ぎやすい芳香剤を作ろうと思って……!」

「どう見ても催涙弾じゃな!」

「おのれ、ハーブ……恐るべし……」
レオンが呟いた。

そこに、猫耳仲間たちがぞろぞろとやってきた。

「ミュリ~、今度は何をやらかしたの~?」とビビ。全身泥まみれでニッコニコ。

「……においが……強い」無口担当スイがぽつり。

「これは記録しておくべきだな」とノアがメモ帳を広げながらつぶやく。

「もうっ! ミュリってば、ちょっと火加減間違えるだけでこの騒ぎなんだから!」チャチャがあきれた顔で怒る。

リンは赤面しながらレオンの袖を引っ張る。

「べ、別にあんたを助けようと思ったわけじゃないんだからねっ! でもあんまりミュリを責めないでよっ!」

「誰も責めてないよ……いや、村人以外はな」

一同、爆発地点に近づき、現場検証を始める。スイがすっと手を伸ばし、焦げた葉っぱに水を与えると、不思議なことに一部の苗がシャキッと立ち直った。

「……元気になった」

「おおっ!? これがスイ伝説の“水やりマスター”能力!?」

「いや、そんな名前つけてたっけ!? 初耳だけど!?」とチャチャが叫ぶ。

「草は敵! いや、友達!? あ、やっぱ敵!?」ビビは周辺の雑草をむしりながら騒ぐ。

「みんなちょっと落ち着けー!」

レオンが頭を抱えつつも、周囲を見渡してふと気づいた。

「……あれ? これ、ハーブとしては優秀なんじゃないか?」

「えっ?」

「調合ミスで爆発したってことは、それだけ反応が強い。逆に言えば、適切に使えばすごい効果があるかも」

「さすがレオンさま!」ミュリが猫耳ぴん!と立て、尻尾をブンブン振る。

「ううん……これは調べ甲斐がある……」ノアがうなずく。「副作用にさえ気をつければ、癒しのスチームとして使える可能性もある」

「じゃあ、もう一回作ってみよっかっ!」

「待てええええええええええええい!」

レオンが全力でミュリを羽交い締めにする。

「おまえ、もうちょっと村人の心配しろ! さっきのスパイス爆弾で3人くらい鼻炎になったからな!」

「ひょえぇぇぇっ!?」

その時だった。村の広場の奥から、先ほど逃げていた村人たちが再び戻ってきた。

「……なあ、この匂い、なんかクセにならね?」

「わかるわかる、鼻の奥がすーってする感じ」

「ちょっとアレ、うちの風呂に使ってみたいんだけど……」

「スパイス風呂……!?」レオンとミュリが顔を見合わせた。

「こ、これって商機……!?」

「いや、爆発物扱いだったぞ?!」

「爆発しないように調整すればきっといける! よーし! スパイス風呂セット、試作開始にゃああああ!」

「だから落ち着けぇぇぇぇぇぇっ!!」

再び、村中にミュリの爆笑とレオンの絶叫が響き渡ったのだった。
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