[完結]不吉な双子と呼ばれた妹ですが、巫女になって兄をざまぁします〜迷信を打ち破ったら、なぜか溺愛されました〜

桃源 華

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第1章 双子の呪いと兄妹の運命

第5話 腫れ物扱いされる双子(妹視点)

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──「双子は不吉」。
 その言葉は、私の影のように
どこまでも付き纏ってくる。

 神殿に身を寄せてから、
もう幾月も経った。
 けれど、ここでの私は、仲間でも
なく、巫女見習いでもなく──
ただの「腫れ物」だった。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

「セレナ、一緒に祈りの準備を……」
 声をかけられたかと思えば、私の
手に触れる寸前で、相手の巫女は
怯えたように退く。
「やっぱり……いいわ。あなたは
別の役を」
 微笑もうとしたが、頬が引きつり、
上手く笑えなかった。

 私が近づくと、距離を取られる。
 私が本を手に取れば、囁き声が
広がる。
「触れれば呪いが移る」
「兄も妹も、滅びの印」

 耳を塞いでも、声は心の奥に
染みこんでくる。
 ああ……人は、こんなにも恐れる
のか。たった“生まれ方”だけで。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 夜更け、蝋燭の灯りのもとで
古文をめくっていたとき、背後に
温かな気配があった。
「セレナ……まだ起きていたのか」
 振り返れば、老神官セリウスが
立っていた。
「ごめんなさい。……でも、知りたい
のです。双子が本当に不吉なのか
どうか」

 老神官は黙って近づき、私が
読んでいた頁を閉じる。
「人は、理解できぬものを恐れる。
恐れを名に変えて“呪い”と呼ぶのだ」
「……では、私は一生、恐れられる者
でしかないのですか」
 思わず問いかける声が震えた。
 セリウスは答えず、ただ私の頭に
手を置いた。
「忘れるでない。闇に抗うのは、
光を信じる心だ」

 ──光を信じる心。
 けれど、私の胸の中にあるのは、
光よりも影だった。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 翌日。祈りの合間に塔から外を
見下ろすと、遠くに兄様の馬車が
見えた。
 城下を通り抜けるその姿を、
領民たちは遠巻きに眺めるだけ。
 誰も声をかけず、誰も近づかない。
 私と同じ……兄様もまた、孤独の
中にいる。

「兄様……」
 思わず呟いた声は、冷たい風に
溶けていく。
 兄様の背中はいつも遠い。
それでも血で繋がった唯一の人。
 きっと、私と同じ痛みを抱えて
いるのだろうか。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 人は、私たちを腫れ物のように
避ける。
 けれど、私たちの運命は二人で
ひとつ。
 逃れられぬなら──せめて並んで
抗いたい。

 ──その願いが、やがて禁断の
真実へと私を導くことになるとは、
この時はまだ知らなかった。

♊️キャラクター紹介♥:.。
≡目次からどうぞ🗝
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