[完結]不吉な双子と呼ばれた妹ですが、巫女になって兄をざまぁします〜迷信を打ち破ったら、なぜか溺愛されました〜

桃源 華

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第2章 傲慢領主と隠された真実

第14話 兄、巫女見習いの妹を知る

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 領主館の執務室。
 帳簿を広げても、数字は目に
入らなかった。
 窓の外には領民たちのざわめきが
絶え間なく聞こえてくる。
 彼らの目は、かつてのように
従順ではなく、怒りを含んでいた。

 ――なぜだ。
 私は領主として正しいことを
しているはずだ。
 王国に税を納め、法を守り、
この地を維持している。
 それなのに、領民は私に背を
向けようとしている。

 苛立ちを覚えた私は、側に控える
重臣エルドランに問いかけた。
「領民は、何を望んでいるのだ」

 エルドランは恭しく頭を垂れ、
低く答えた。
「……彼らは、セレナ様の名を口に
しているようです」

 その名を聞いた瞬間、胸の奥が
わずかに揺れた。
 忘れたことはない。
 だが、あの夜に泣き声をあげた妹は、もう私の世界から切り離された存在
だった。

「妹は……神殿で生きているはずだ」
「はい。領民は“セレナ様は病人を
癒した”“子どもに薬草を分け与えた”
と噂しております。領主様よりも、
妹御に救いを見ているのでしょう」

「……私よりも?」
 その言葉が、鋭く胸を突いた。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 夜。
 帳の降りた庭を歩きながら、私は
幼い頃の記憶を思い返していた。
 小さな手を握りしめて泣いていた妹。
 神殿へ連れて行かれるとき、こちら
を見ていた金の瞳。
 ――私は、あの視線を背けた。

 「不吉な双子」――そう呼ばれる彼女を、私まで守れば、家そのものが呪わ
れる。
 そう思い込むことで、私は己を
守った。

 だが今、領民の声が彼女を呼び戻す。
 彼らは私を恐れ、彼女を慕う。
 それは領主として許されぬはずなのに……心のどこかで、安堵している
自分がいた。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 執務室に戻ると、机の上には一通
の報告書が置かれていた。
 “神殿の巫女見習いセレナ、日々
の祈りと奉仕により人々の信を集め
つつあり”

 短い文で綴られていたが、その
響きは私の心を揺さぶるのに十分
だった。

「セレナ……お前はまだ、私の名を
覚えているのか」

 答えは返らない。
 だが、その名を口にした途端、
胸に巣食っていた焦燥が一層強まっ
た。

 ――妹。
 民が望むのは、私ではなく……
お前なのか。

♊️キャラクター紹介♥:.。
≡目次からどうぞ🗝
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