[完結]不吉な双子と呼ばれた妹ですが、巫女になって兄をざまぁします〜迷信を打ち破ったら、なぜか溺愛されました〜

桃源 華

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第4章 裏切りと改心

第32話 アルトリウス、初めて自らの罪を自覚

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夜更けの領主館。
豪奢な寝台に座り込んだアルト
リウスは、重く垂れ下がるカーテンを
見つめていた。
蝋燭の炎が揺れ、影が壁を歪ませる。

「……裏切った。あの重臣どもが……」
低く呟く声は、怒りよりもむしろ
虚ろだった。

昼間の光景が脳裏にこびりつく。
家臣たちは一様に妹へ頭を垂れ、
自分を見放した。
誰も、かつてのように「領主様」
と崇める声を上げなかった。

 ――なぜだ。
私は領主だ。正統な跡継ぎだ。
そう信じて疑わなかったはず
なのに。

思考の隙間に、領民の叫びが蘇る。
「子が飢えて死んだ!」「税を下げて
くれ!」
「病人を見捨てるのか!」

その声に、彼はいつも耳を塞い
できた。
 「我慢しろ」「これが決まりだ」
と突き放し、力で抑え込んできた。

だが――。

「もし……本当に、私が民を苦しめて
きたのなら……」
初めて、自らの声が震えた。

机の上には、妹エリナの残した
古文書の写しが置かれていた。
そこには「双子は災厄にあらず」
と、神託の断片が記されている。

幼い頃、神殿に送られる妹を見て
「不吉だから仕方ない」と納得した。
けれど――本当は、彼女だけに寂しさ
と痛みを押し付けていたのではないか。

「……私が……間違っていたのか」

蝋燭の炎がぱち、と音を立てて
弾ける。
その光に照らされ、アルトリウス
の顔は苦悩と後悔に歪んでいた。

領主として初めて、彼は己の罪を
自覚した。
その胸に芽生えた痛みは、権力の
重さよりも遥かに鋭く、深かった。

♊️キャラクター紹介♥:.。
≡目次からどうぞ
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