[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第13話:ミュリ、天然ボケ炸裂!!

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パサージュ建設が着々と進む中、
ミュリの表情は少し浮かない
ものだった。

「なあ、ミュリ。どうした?」

俺が声をかけると、彼女は
モフモフの尻尾をふにゃりと
垂らしながら、ぐるぐると
指を回していた。

「にゃあ……実は、
最近ちょっと
悩んでるのにゃ……」

「悩み? なんだ、珍しいな」

「だって、私の雑貨屋……
パサージュが完成したら、
場所が合わない気が
するのにゃ」

確かに。パサージュは
グルメストリートだ。
可愛らしい雑貨を売るのも
悪くはないが、コンセプト
とは少しズレてしまう。

「なるほどな……」

俺は腕を組んで考え込んだ。

ミュリは前向きで天真爛漫な
性格だが、こうして本気で
悩むこともあるのか。

「だったら、思い切って
新しい商売を始めて
みるってのはどうだ?」

「にゃ?」

ミュリの猫耳がピンと立つ。

「今の雑貨屋を誰かに譲って、
新しいお店をパサージュで
やるってのは?」

「にゃにゃにゃ!? 
そんなこと、できるの?」

「もちろんできるさ。むしろ、
お前ならスパイス専門店
とか向いてるんじゃないか?」

「スパイス……?」

ミュリはぽかんとした顔で
俺を見た後、パッと目を
輝かせた。

「にゃにゃ! それいいにゃ! 
スパイスなら私も大好きだし、
料理にも使えるし!」

「だろ? しかも、
パサージュにはドワーフの
酒場もあるし、飲食店も
増える予定だ。スパイスの
需要は高くなるぞ」

「レオン、すごいにゃ! 
さすが前世のマーケティング
の知識!」

ミュリはしっぽをブンブン
振りながら、俺の腕に飛び
ついてきた。

「よし! じゃあ、雑貨屋を
スパイス商のゴルツに譲るって
条件で、推薦状を書いてもらう
のはどうにゃ?」

「それだ! ゴルツなら信用も
あるし、商業ギルドへの登録
もスムーズになるだろう」



商業ギルド登録へ! 
しかしミュリの天然ボケ
が炸裂

数日後、俺とミュリは
商業ギルドにやってきた。

「にゃあ~……
緊張するにゃ……」

「大丈夫だ。ちゃんと推薦状も
あるし、お前なら問題なく
登録できる」

ミュリは商業ギルドの扉の前で、
もじもじしながら猫耳を
パタパタと動かしていた。

「よし、行くにゃ!」

彼女は気合を入れ、
勢いよく扉を開けた。

すると、中にいた職員が
驚いた顔でこちらを見た。

「……いらっしゃいませ?」

「にゃっ!? ごめんなさい! 
勢い余って猫パンチしそうに
なったにゃ!」

「は?」

「はは……」

俺は苦笑しながら、
ミュリの肩をぽんと叩く。

「気にしないでくれ。
スパイス専門店の開業申請で
来たんだ」

「なるほど、商業ギルドへの
登録ですね。では、
推薦状はお持ちですか?」

「にゃふっ! 
もちろんあるにゃ!」

ミュリは誇らしげにポーチから
推薦状を取り出した。

が——

「……あれ?」

「どうした?」

「にゃあ……? 
おかしいにゃ……
さっきまであったのに……」

「おいおい、まさか……」

ミュリは慌ててポーチを
ひっくり返した。

コロコロ……

ポーチから転がり出たのは、
なぜか……干し魚だった。

「……」

「……ミュリ、お前、
またやらかしたな」

「にゃにゃ!? 
どうして干し魚が!?」

「おそらく、ポーチに入れる
ときに間違えたんだろ」

「そんなこと……
あるにゃ……?」

あるんだよ、
お前の場合は……。

俺はため息をつきながら、
ポケットからもう一通の
推薦状を取り出した。

「……ほら、
予備を持ってきたぞ」

「にゃあああ! 
レオン、大好き!」

「お前のミスを予想してた
俺を褒めてくれ」

「さすがにゃ!」

職員は苦笑しながら、
推薦状を受け取り、
確認を始めた。

「うん、問題ないですね。
では、登録を進めます。
お店の名前は?」

「えっと……
ミュリのもふもふ
スパイス店!」

「……」

「……」

「……もふもふ?」

「にゃ! スパイスにも
癒しが大事にゃ!」

「……うん、とりあえず
登録しますね」



スパイス専門店、開業決定!

こうして、無事にミュリの
スパイス専門店の登録が
完了した。

「やったにゃーーー!!」

ミュリは大喜びで、
尻尾をブンブン振りながら
スキップしている。

「やれやれ……」

俺はホッと息をついた。

こうして、パサージュには
新たに「ミュリのもふもふ
スパイス店」が加わること
になった。

「さて、次は仕入れの準備だな」

「にゃ! でも……」

「ん?」

「お店の内装はどうしようか
にゃ?」

「そこは……
ドワーフの建築家キーリに
相談するか」

「おお! それいいにゃ!」

こうして、ミュリの新しい
挑戦が始まるのだった——。
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