ニアリー・シンメトリー・ハート——お前の手だけだよ……こんなゾクゾクさせられるの……

街田あんぐる

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15. とろ火はずるい……呼ばせてよ

2**

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 それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。しばらく布団を頭からかぶって返信を待った。来ない。既読もつかない。
 じっとしていられなくなって、紅茶を淹れて、それからスマホを確認した。既読はついているのに返信はない。

 どうしよう!? 返信に困らせちゃってる!?

 そのタイミングで、ぽん、とメッセージが届いた。

『おれもしたかったよ。嬉しい』
『まだ風邪うつすかもと思って言わなかった』
『ごめんね』

 そういうことかー!! 好きな人が優しい!!
 梓は遥二の思いやりに心からときめいて、ハートのスタンプを送った。

『こちらこそごめんね!』
『そういうことか。ありがとう。優しい』
『遥二が好き』

 ハートのスタンプが返ってくる。嬉しくてたまらない。遥二の素敵な思い出になるような告白を準備しなくちゃ。

『清水さんのことは、江の島で話せる?』
『顔を見て話した方がいい気がする』

 そうだった。この問題が残っていた。
 遥二はどうしてそんなに深刻に捉えるんだろう。いや、深刻な話ではないのかもしれない。ただ直接話した方が分かりやすい話なのかも。

『それって、付き合うかどうか決めるのに関係ある?』

 「関係ないよ」の返信を期待した。

『うん。梓に決めてもらわなきゃいけないと思って』

 期待した返信ではなかった。
 何を決めることがあるのだろう。自分はもうこんなに遥二が好きで、遥二の名前を呼んで……。ここまで考えて、先ほどの痴態を思い出して恥ずかしく情けなくなる。

 ここまで好きになっちゃったのに、まだ何か決めることなんてあるだろうか!?

 でも、遥二の考えを尊重したい。遥二は生まれ変わったように、真剣に物事を考える人間になった。遥二は昔からすごい、という点では梓も信頼している。
 好きな人の変化を前向きに受け止めて、1週間を待とうと決めた。遥二の「ありがとう」の返信を、心強く受け止めることができた。

『通話でする? エロいこと』

 急に遥二が話題を変えて、梓は不意を突かれて赤面した。でもそれってすごく魅惑的なお誘いで……。
 通話を繋いで、言われるままにベッドに背中を預けて座った。

「シャツの上から触って」
「……ん」
「気持ちよくない? かりかりって」
「きもちいいよぉ……」
「声出してくれないと分かんないよ」
「うう……」

 自分の手で胸を触っているのに、遥二の声を耳に流し込まれると遥二の手に触られているみたいだ。

「直接触りたい?」
「えっとぉ……」
「梓が言わなきゃ触らせてあげない」
「んぅ……直接、触りたい……」

 遥二に「いいよ」と言われて、気がいてシャツのボタンを外していく。

「脱げた? かりかりして」
「あっ! うぅ……」
「直接触るの気持ちいい?」
「ん、よーじは、これできもちいいの?」
「うん。めっちゃ興奮してる」

 熱っぽい声に嬉しくなる。好きな人が、自分の痴態で興奮してくれている。

「触っていい?」
「どこを?」
「意地悪」
「下触っていいよ。パンツ脱いで……。どうなってるか教えて? とろとろ?」
「言わないよぅ……!」
「かわいい、梓」

 遥二に「かわいい」「梓」「すきだよ」と言われながら、気持ちいいところに指をひっかけてしごく。すぐに達してしまいそうだった。

「は、は、よーじ、もうむり、よーじ、よーじ」
「いいよ。おれも。あずさ、すきだよ」
「ン~ッ!!」

 今度は気だるいやわらかい幸福感が梓の脳にあふれた。

「遥二……しあわせ」

 ぽやぽやと頭に浮かんだ言葉をそのまま口にする。

「梓……!! おれも、すごい幸せ」
「うん」

 本当は肌を合わせて抱き合いたいけど。

「梓、おれの名前呼んでイってくれたの」
「ん……そうだった?」
「自覚なし!? かわいいなぁもう……」
「う……とても恥ずかしい」
「一人でするときも呼んで?」
「え、あ、それは、えーっと、気分次第?」

 先ほどすでに呼んでひとりで致しました、なんて言えるわけがない。焦って口から出る言葉はヘンテコだ。

「気分次第!?」

 遥二はけらけら笑う。

「遥二はどうなんだよ! 呼んでよ!」
「呼んでいいの? 嬉しいな」

 遥二の反応で、めちゃくちゃ恥ずかしいことを言ってしまったと気づく。

 ああ、楽しいな。でも、付き合ってない。
 遥二は僕に、清水先輩に関して決めてほしいことがあるらしい。
 それは、僕と遥二の関係を決定してしまうような決断で、遥二はそれを求めている。
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