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13. 3秒よりも長いハグで満たして
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ぱっと見上げた梓は、一瞬遥二と目を合わせたけど、恥ずかしそうに逸らしてしまった。頬は真っ赤に染まっている。ハートを背中に隠して恥ずかしがるウサギのスタンプみたいだ。
「デート!? 明日!?」
「明日はダメだよ! 病人なんだから!」
「寝たら治る」
「ダメダメ! 初デートなんだから万全の体調で来て」
梓は冗談めかして遥二を止める。
「初デートはパフェ食べに行ったときじゃーん!」
「あ、あれはリサーチだよ! プロジェクトの間は恋愛やらないって、加藤さんに約束してたんだから……」
「ふーん」
「な、なんだよぉ!」
梓は明らかにうろたえた調子で、ジト目で遥二を見る。
「これからはおれと恋愛やってくれるの」
「うっ……そう言ってるじゃん! デートだってさぁ!」
「行こ。日曜日ね」
遥二はがんとして今週末を主張した。だって清水さんの退職が迫っているのだ! この週末をムダにするわけにはいかない。
「ん~……。ちゃんと治すこと。明日熱が下がったら、明後日ね」
腰に手を当てて真面目そうに言うけれど、楽しみな顔を隠しきれていない。そんな梓が、遥二は大好きだ。
「あずさぁ」
「ん?」
「おれ今しあわせ」
幸福な笑い声を上げながら、梓はもう一度遥二を抱きしめた。今度は3秒より長く。
「熱、あるね」
「梓がちょっと吸い取ってよ」
「そうやって遥二を楽にできたらいいんだけど」
「楽になったし、しあわせになった」
微笑んで、梓は身体を離した。食器も洗ってもらった。自分でやると言ったのだけど、結局甘えてしまった。
梓は「またね」と言って帰っていった。今度の「またね」は「いつか、またね」じゃない。早ければ明後日の、すごく近い「またね」。
おれの「ハグ屋さん」が、梓の心のトゲトゲを少し楽にしたんだろうか。きっとそうだ。だっておれのさみしさも、梓の「買い出し屋さん」でこんなに穏やかに満たされたから。
——好きだなあ。
「どんなところに惹かれているんです?」
清水の言葉が耳元でガンガン鳴って、遥二はハッと目を見開いた。
おれは……ちゃんと説明できるだろうか。
梓は、ちゃんと言えないおれより清水さんを選ぶんだろうか。
「デート!? 明日!?」
「明日はダメだよ! 病人なんだから!」
「寝たら治る」
「ダメダメ! 初デートなんだから万全の体調で来て」
梓は冗談めかして遥二を止める。
「初デートはパフェ食べに行ったときじゃーん!」
「あ、あれはリサーチだよ! プロジェクトの間は恋愛やらないって、加藤さんに約束してたんだから……」
「ふーん」
「な、なんだよぉ!」
梓は明らかにうろたえた調子で、ジト目で遥二を見る。
「これからはおれと恋愛やってくれるの」
「うっ……そう言ってるじゃん! デートだってさぁ!」
「行こ。日曜日ね」
遥二はがんとして今週末を主張した。だって清水さんの退職が迫っているのだ! この週末をムダにするわけにはいかない。
「ん~……。ちゃんと治すこと。明日熱が下がったら、明後日ね」
腰に手を当てて真面目そうに言うけれど、楽しみな顔を隠しきれていない。そんな梓が、遥二は大好きだ。
「あずさぁ」
「ん?」
「おれ今しあわせ」
幸福な笑い声を上げながら、梓はもう一度遥二を抱きしめた。今度は3秒より長く。
「熱、あるね」
「梓がちょっと吸い取ってよ」
「そうやって遥二を楽にできたらいいんだけど」
「楽になったし、しあわせになった」
微笑んで、梓は身体を離した。食器も洗ってもらった。自分でやると言ったのだけど、結局甘えてしまった。
梓は「またね」と言って帰っていった。今度の「またね」は「いつか、またね」じゃない。早ければ明後日の、すごく近い「またね」。
おれの「ハグ屋さん」が、梓の心のトゲトゲを少し楽にしたんだろうか。きっとそうだ。だっておれのさみしさも、梓の「買い出し屋さん」でこんなに穏やかに満たされたから。
——好きだなあ。
「どんなところに惹かれているんです?」
清水の言葉が耳元でガンガン鳴って、遥二はハッと目を見開いた。
おれは……ちゃんと説明できるだろうか。
梓は、ちゃんと言えないおれより清水さんを選ぶんだろうか。
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