振り向いてよ、僕のきら星

街田あんぐる

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第28話 窓越しの星

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 梅雨の晴れ間、夏がもう来たみたいな陽射しがカーテンを透かして、赤と青の切り子の模様をテーブルに映し出す。僕たちはしばらくそれを指でたどって遊んでから、ボウルを流しに運んで洗ってしまう。
 緑茶を淹れ直していると階段を下りる足音がして、美都里みどりさんがダイニングへやってくる。
「あれ! 早暉くん髪を染めたの!?」
「そうなんです」
 僕は髪を金色にブリーチし直したことをすっかり忘れていたので、美都里さんになんと思われるか心配で急にどきどきした。
「就職先が決まったんです。だから内定式までは髪を伸ばして染めようかなって」
「そうなの! おめでとう! とても似合ってる。新鮮でいいね」
「これが早暉くんの本来の姿なんだよ? 髪を派手色に染めてハーフアップにしてピアスをたくさん着けているのが本来の早暉くんなの。就活という悪しきシステムが早暉くんを黒髪にさせてしまっただけ。この方がよほどかっこいい」
 衣真くんが僕より先に力説するので恥ずかしくなる。
「そうなんだ。確かによく似合ってる。ハーフアップまで伸びたところが見たいな」
「就職先は髪型自由なんで、内定式終わったらまた伸ばしてハーフアップでいきます」
「楽しみだね!」
 美都里さんは屈託なく笑って褒めてくれるけど、10月の内定式のあと、僕の髪がもう一度伸びるまで、僕は衣真くんと一緒にいられるだろうか? 衣真くんと1年を超えてお付き合いを続けられるのだろうか? やっぱり衣真くんの窓は鎖されていて、何を考えているのか掴み取ることはできない。
「今日の夕ごはんは何にしますか? カルボナーラはどうですか?」
「えっ。今日も作ってくれるの?」
「システムキッチンを使わせていただきたいだけです」
「いつもありがとね~。カルボナーラがいいな」
「駅前の店でチーズが安く出てたので」
「私がサラダを作りましょう。あっ、冷凍のお刺身用のホタテがある。解凍してホタテのサラダにしよう」
 僕は去年の11月に初めて美都里さんにお招きいただいて以来、すっかりこの家に馴染んで、勝手にシステムキッチンで料理を作り出す始末。衣真くんのお父さんとお母さんのことも「孝輔こうすけさん」「美都里さん」と呼ぶ体たらく。そんなに僕を迎え入れてくれる家族が好きでたまらないのに、衣真くんとお別れしたら一生会えなくなるつながりであることを考えると怖くなる。
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