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第5話 「いま」と「さき」/「さき」と「いま」
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そんなこんなでカレーを食べた。東京でもタピオカブームは去っていたが、残っている店に連れて行ってもらった。これで衣真くんとのごはんデート(仮)は3回目だ。
それから大学のベンチに集まって、平日のお昼ごはんを一緒に食べた。衣真くんは僕の作ったお弁当を大層褒めてくれて、僕は好感度が上がったんじゃないかと浮かれた。衣真くんは自分で握った大きなおにぎりを食べていた。かわいい。
5月の終わりのベンチは少し陽射しが暑くて、衣真くんの首筋からうっすら汗のにおいがした。僕はそのにおいに気づいて、気づいたことにとても恥ずかしくなって、俯いて、好きなひとの汗のにおいはどうしてこんなに甘く香るんだろうとどうにも泣きたい気持ちになった。
そのあと一人で講義を受けているとき、鼻先に何かふわりと香った。いや、それは衣真くんの汗のにおいだった。僕の脳は好きなひとに焦がれるあまり、香りまで覚えてしまったんだ。
それってほんとに本気ってことで、ほんとに手遅れってことじゃないの。
「好き」の気持ちで苦しくなって、目に涙が浮かんで、講義スライドがよく見えなくなったからずっと窓の外を眺めた。外は快晴から一転、霧雨が降り始めていた。
それから大学のベンチに集まって、平日のお昼ごはんを一緒に食べた。衣真くんは僕の作ったお弁当を大層褒めてくれて、僕は好感度が上がったんじゃないかと浮かれた。衣真くんは自分で握った大きなおにぎりを食べていた。かわいい。
5月の終わりのベンチは少し陽射しが暑くて、衣真くんの首筋からうっすら汗のにおいがした。僕はそのにおいに気づいて、気づいたことにとても恥ずかしくなって、俯いて、好きなひとの汗のにおいはどうしてこんなに甘く香るんだろうとどうにも泣きたい気持ちになった。
そのあと一人で講義を受けているとき、鼻先に何かふわりと香った。いや、それは衣真くんの汗のにおいだった。僕の脳は好きなひとに焦がれるあまり、香りまで覚えてしまったんだ。
それってほんとに本気ってことで、ほんとに手遅れってことじゃないの。
「好き」の気持ちで苦しくなって、目に涙が浮かんで、講義スライドがよく見えなくなったからずっと窓の外を眺めた。外は快晴から一転、霧雨が降り始めていた。
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