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第12話 星回り
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心細い気持ちが連れてきたのか、僕は風邪を引いた。まあ、普通に考えればタンポポを見た晩、汗をかいた上に4月上旬のまだ冷たい空気の中を歩き回ったから冷えたのだ。
冷蔵庫を覗いてため息をつく。僕は料理が好きだから、素材しかない。調理しないで簡単に口に入るようなものは入っていなかった。スポーツドリンクも飲みたい。冷却シートを買い置きすればよかった。風邪薬も買っておけばよかった……。
後悔に足を取られて全部面倒になって、SNSに『風邪を引いてしまった……』と投稿してベッドに倒れ込んだ。
かけた覚えのないアラームで目を覚ますとそれは、アラームではなく着信だった。衣真くんからだ。
「衣真くん? どうしたの?」
口呼吸で乾いた喉からかさかさの声が出た。
「風邪を引いたと見たけど、食べるものはある?」
「あー……。ない」
「買っていくよ。何が欲しい?」
「テキストで送る。ありがとう」
僕は思い出したように「ありがとう」と言った。衣真くんに恐縮せず、親切を受け入れた。だって衣真くんは衣真くんで、僕たちは無謬の友人だから。
衣真くんを散らかった家に上げるのも恥ずかしくなかった。キッチン回りだけは掃除して、あとは教材とか服とかが部屋の隅まで散らばっている部屋。衣真くんは僕に貸してくれたハンカチが干してあるのを回収した。
僕たちはマスクに隔てられて無口でいたけれど、僕がありがたく思っているのは衣真くんだから分かってくれる。だって僕たちいちばんの友人同士だから。
衣真くんが帰ってしまったあと、悪寒とは違う寂しさに震えた。衣真くんは僕の家に来てくれた。恋人としてではなく、友人として。
だって僕たち。
@angle_mc9 無断利用・AI学習禁止
冷蔵庫を覗いてため息をつく。僕は料理が好きだから、素材しかない。調理しないで簡単に口に入るようなものは入っていなかった。スポーツドリンクも飲みたい。冷却シートを買い置きすればよかった。風邪薬も買っておけばよかった……。
後悔に足を取られて全部面倒になって、SNSに『風邪を引いてしまった……』と投稿してベッドに倒れ込んだ。
かけた覚えのないアラームで目を覚ますとそれは、アラームではなく着信だった。衣真くんからだ。
「衣真くん? どうしたの?」
口呼吸で乾いた喉からかさかさの声が出た。
「風邪を引いたと見たけど、食べるものはある?」
「あー……。ない」
「買っていくよ。何が欲しい?」
「テキストで送る。ありがとう」
僕は思い出したように「ありがとう」と言った。衣真くんに恐縮せず、親切を受け入れた。だって衣真くんは衣真くんで、僕たちは無謬の友人だから。
衣真くんを散らかった家に上げるのも恥ずかしくなかった。キッチン回りだけは掃除して、あとは教材とか服とかが部屋の隅まで散らばっている部屋。衣真くんは僕に貸してくれたハンカチが干してあるのを回収した。
僕たちはマスクに隔てられて無口でいたけれど、僕がありがたく思っているのは衣真くんだから分かってくれる。だって僕たちいちばんの友人同士だから。
衣真くんが帰ってしまったあと、悪寒とは違う寂しさに震えた。衣真くんは僕の家に来てくれた。恋人としてではなく、友人として。
だって僕たち。
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