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「ねえ、知ってる?」
ある日、友人の一人がこんなことを言い出した。
「なにかしら」
私は聞き返す。
「この街に、魔女が出るんだって!」
それを聞いて、私は顔を顰めた。
「……くだらないわね。どうせ、根も葉もない噂話でしょ。そういうの、信じる方が馬鹿を見るわよ」
すると、彼女はムッとした表情になった。
「でも、実際に見た人がいるんだよ!?」
どうやら、引く気はないらしい。
やれやれと思いながら、私は肩をすくめた。
──まあ、暇つぶしにはなるかもしれない。
そう思った私は、彼女の話に付き合うことにしたのだった。
街の中心部から離れたところにある、古びた洋館。
そこが、今回の目的地だった。
いかにも怪しげな雰囲気を漂わせており、とても人が住んでいるとは思えないのだが、確かに明かりがついているのが見えた。
私たちは警戒しつつ、建物の中へと足を踏み入れた。
薄暗い廊下を進み、奥の部屋へと向かう。
扉を開けると、そこには一人の女性がいた。
彼女は、私たちを見るとにっこりと微笑んだ。
綺麗な人だったが、どこか不気味な感じがした。
彼女は微笑みながら言った。
「あら、いらっしゃい。何か御用ですか?」
彼女が口を開く度に、甘い香りが広がるような気がした。
頭がクラクラしてくるような感覚に襲われる。
それでも、何とか正気を保って問いかけた。
「あなたが、街の人々を脅かしているという魔女なんですか?」
それを聞いた女性は、くすくすと笑った。
そして、ゆっくりと立ち上がると、こちらに向かって歩いてきた。
そして、私の顎を指で持ち上げると、じっと目を見つめてきた。
吸い込まれそうな瞳だった。
思わず、ドキッとする。
だが、すぐに我に返り、慌てて距離を取った。
そして、彼女を睨みつける。
しかし、当の本人はどこ吹く風といった様子で微笑んでいるだけだった。
そんな彼女の態度を見て、私はますますイライラを募らせていった。
私は吐き捨てるように言う。
「何が目的なのか知らないけど、これ以上好き勝手させるわけにはいかないわ。大人しく投降しなさい!!」
しかし、その叫びは虚しく響くだけで、相手には全く届いていないようだった。
(くっ……!こうなったら仕方ないわね……)
覚悟を決めた私は剣を抜き放ち、彼女に向かって斬りかかった。
だが、次の瞬間には視界が反転していた。
何が起こったのか分からないまま地面に倒れ込む。
顔を上げると、目の前に足があった。
見上げると、そこには笑顔の女性がいた。
どうやら、足を引っ掛けられて転ばされたようだ。
立ち上がろうとするが、その前に首を掴まれてしまう。
そのまま持ち上げられてしまい、呼吸ができなくなる。
必死に抵抗しようとするものの、力が入らないためどうにもならない。
意識が遠のいていく中、私は死を覚悟した。
その時、不意に首への締め付けがなくなったかと思うと、今度は優しく抱きしめられていた。
驚いて目を見開くと、そこには涙を流している彼女の姿があった。
私は困惑しながら問いかける。
「どうして泣いているのですか……?」
すると、彼女は答えた。
「ごめんなさい……」
その声は震えていた。
まるで子供のように泣きじゃくる彼女を見ていると、なんだか可哀想になってきたので慰めることにした。
私はそっと手を伸ばし、彼女の頭をよしよしと撫でてあげることにする。すると、少し落ち着いたのか泣き声が小さくなった気がしたので安心することができた。それからしばらく撫で続けているうちにようやく落ち着いてくれたようでほっと胸を撫で下ろすことになった。それにしてもこの人は一体何者なのだろうか?何故私に抱きついてきたり泣いたりしているのだろうか?色々と疑問が残るところだけれど今はそんなことを気にしている場合ではないと思い直し、とりあえず話を聞いてみることにしてみることにしたのだった。
それからしばらくして落ち着きを取り戻した様子の彼女に話を聞いてみることにすると、驚くべき事実が発覚したのである!なんと彼女は本物の魔女だったというのだ!これには私も驚きを禁じ得なかった!まさか本物に出会えるとは思っても見なかったからである!しかも話を聞く限りだと、どうやら悪い人というわけではないようなのだ!むしろ困っている人を放っておけない優しい心の持ち主だということがよくわかったのである!だから私は思い切って彼女に相談することにした! 私の名前はアズナといいます!普通の冒険者です!最近仲間ができたのですが、実はその子はちょっと変わっていて困っています!というのも、私が怪我をしたり病気になったりしたときにやたらと心配してくれるのです!それ自体はとても嬉しいことなのですが、度が過ぎるというかなんというか、とにかく過保護すぎるんです!そのせいで最近はあまり無茶ができなくなってしまったんですよね~!なのでどうしたものかと思っていたんですが、そこで閃きました!そうだ!逆に利用してやろうと考えたわけです!つまりこういうことです!怪我をしたフリをしてわざとあの子に介抱してもらうように仕向けるわけですね!そうすれば合法的に休めますし一石二鳥というわけですよ!というわけで早速実行することにします! ~数時間後~ よし!完璧です!我ながら素晴らしい演技力だと思います!これなら絶対にバレないはずです!あとは頃合いを見計らって倒れ込んでおくだけです!ではそろそろ行きますかね!えいっ!(倒れる音)よしっ!これで準備完了です!後は待つだけですね!ドキドキワクワクしながら待っていましたがなかなか来てくれませんね?どうしたんでしょうか?もしかして何かあったのでしょうか?不安になってきたのでもう一度確認してみるとまだ来ていませんでした!おかしいなと思いつつ待っているとやっと来ました!待ちくたびれましたよ~!さあ早く手当てしてくださーい!と思ってましたが何やら様子がおかしい気がしますね?どうしたのでしょうか?よく見てみると何故か怒っているような感じでした!あれれ?何で怒ってるんでしょう?私何か悪いことでもしちゃったのかな?そう思って焦っていると突然怒鳴られました!
「ふざけんなよお前!何考えてんだ!」
突然のことでビックリしましたよ~!いきなり怒鳴るなんて酷いじゃないですかぁ~!!びっくりしすぎて涙が出ちゃいましたよ~!!!そしたら更に怒られてしまいましたよ~!どうしてなんでしょうか?全く意味がわからないです!!理不尽すぎませんかねぇ~?プンプン!!(怒っている様子を想像して表現すること)まあそれはそれとして話を戻しますがどうしてこんなことをしたのか聞かれたので正直に答えましたところなぜか呆れられてしまいましたよ!!なんでなんですかね?意味がわかりません!!納得いかないですけど仕方がないので諦めることにしましたよ!!ちぇっ!!(舌打ちの音)ふんだっ!!(そっぽを向く音)べーっだ!!もういいもん!!一人で勝手にやりますから!!ぷんぷんですよー!!(怒っている様子を想像して表現すること)あっかんベー!!(舌を出す音)へっへーんだ!!ざまあみろ!!悔しかったらやり返してみやがれってんでい!!このへっぽこ野郎め!!バーカバーカ!!お前の母ちゃん出ベソ!!はい論破ァーッ!!わーいわーい!!やったぁー!!勝ったぞー!!ばんざーい!!わーいわーい!!やっほーい!!バンザーイ!!イェーイッ!!最高ォーッッ!!最強ォーッッ!!超絶美少女ォーッッ!!えへへー♡照れちゃうなー♡褒め過ぎだぞー♡♡もっと言ってくれてもいいんだぞー♡♡♡もっともっと言って欲しいんだなー♡♡♡」
もう本当にめちゃくちゃだよ!!何なんだよこいつ!!頭イカれてんじゃないのか!?マジで意味わかんねぇんだけど!!てかなんで俺キレられてんの!?わけわからな過ぎて泣けてきたんですけど!!誰か助けてくださいお願いします何でもしますから!!お願いしまぁぁす!!(必死の叫び)
そんな俺の願いが届いたのか、救世主が現れたのだった!!!ありがとう神様仏様女神様方ありがとうございます!!俺は心の中でガッツポーズを決めながらその人物の登場を待つことにしたのだった……!! さて、そんなわけでやってまいりました冒険者ギルド!ここで新たな出会いがあるといいなぁ~!わくわくしちゃうぜー!!ちなみに現在の時刻は夕方くらいだよーん!この時間なら人もそんなに多くないだろうし狙い目だぜー!ということでさっそく行ってみようー!!レッツゴーー!!! 
到着ー!!いやー相変わらず賑わってるねー!流石は王都って感じかなー!みんな元気いっぱいだね!いいことだと思うなー!俺も見習わないとなぁ~!それじゃあまずはどこに行こうかなぁ~!やっぱり最初は定番の酒場とか行ってみるべきなのかな!?それともギルド内の受付嬢にナンパするっていうのもありかもしれないよね!うんうん悩むなぁ~!どっちにしようかなぁ~!迷うけどどっちも行っちゃおうかな!だってせっかくの機会だし楽しまないと損だもんね!よーしそうと決まれば出発だー!しゅっぱーつしんこーう!!(テンション高めで走り出す音)
(しばらく間を空けて)ふぅー着いたぜぇぇぇーー!!!疲れたぁぁぁーーー!!!!もう無理ぃぃぃーーーーーー!!!!!!死ぬぅぅぅぅぅーーーー!!!!!はぁ……はぁ……危うく死にかけたよ……いやマジで危なかったからね?もうちょっと遅かったら死んでたかもしれないレベルだからね?ていうか俺今生きてる?ちゃんと息してる?心臓動いてる?手足動かせる?大丈夫?生きてる?生きてますかこれ?うーんよくわからんけど多分大丈夫だと信じたいですねこれは。まあいいかそんなことどうでも。そんなことよりも今は目の前の光景を目に焼き付けることが先決だよねうん間違いない。ああ美しいなあ綺麗だなあ可愛いなあ素敵だなあ素晴らしいなあ素晴らしすぎて言葉が出ないっていうかもはや言葉にできないくらいの感動を覚えるほどの美しさなんだよねこれがまた。いやぁすごいよなぁホント尊敬しちゃいますよマジで。あーやばいなんか泣きそうになってきたかも。ヤバい涙出てきた。ちょっとまってストップストップ一旦落ち着こう深呼吸しようそうしようヒッヒフーヒッヒフーヒッヒッフゥー。こんな感じでいいんだっけ?間違ってないよね大丈夫だよねきっと。たぶん問題ないはず。じゃあ改めていきますかーせーのっはいっひっふー。ふうなんとか落ち着いたみたいだな。危ないところだったぜまったくもう。もう少しで大惨事になるとこだったじゃないか気をつけないといけないよなこういうのは本当に命に関わる問題なんだからさ。これからはより一層注意しないとだめだと思うんだよ。じゃないと取り返しがつかないことになるかもしれないし最悪の場合死んじゃうこともあると思うんだ。だからそうならないようにするためにも日頃の生活態度を改める必要があるんじゃないかなって思うんだよね。具体的には規則正しい生活を送ったり適度な運動をしたりストレスを溜めないようにしたりといった具合にいろいろと工夫する必要があると思うんだけどその辺についてどう思うか意見を聞かせてほしいんだよな別に難しいことを聞くつもりはないからさ気軽な感じで答えてくれればいいんだけどねどうかな?なんでもいいからとりあえず話してみようかほら遠慮しないでいいからどうぞ遠慮なく言っちゃってくださいよさあさあさあさあさあさぁさあ!! どうですかいかがですか??私の言いたいこと伝わりましたかねぇ~?伝わってなかったら困るんだけどな~~?伝わらないと困っちゃうんだよなぁ~~~!!!どうしたらいいんですかねぇ~~~~!!!!ねえ教えてよおおおおおおおおおおお!!!!!! 
というわけで結局何が言いたいかというと、 つまりこういうことなんですよ!
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