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第二十話(最終話)「王妃戴冠、そして未来へ」
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アランザール王国、王都セレスタリア。
王城の最上階にある神聖儀礼の間は、朝の陽光に包まれていた。
荘厳な音楽とともに、白金の階段をゆっくりと上る一人の女性。
その姿に、宮廷貴族から兵士、民衆まで、すべての者が視線を注いでいた。
――リディア・エルグレイン。
かつて“捨てられた令嬢”と呼ばれたその名は、今や王国の誇りであり、希望そのものだった。
壇上で待つのは、アランザール王・カイ。
彼の隣に並び立つために、リディアは今日ここへ辿り着いた。
「リディア・エルグレイン。汝はこの国と、我が側に立つ者として、戴冠の儀を受ける覚悟があるか?」
神官長の問いに、リディアはひざまずき、はっきりと答える。
「はい。この身、この言葉、この意思のすべてをもって、王国と陛下に誓います」
神官が、王妃の冠を掲げる。
白銀の冠には、小さな紅玉がひとつ。
それは“誇りと献身”を意味する、アランザール伝統の象徴。
その冠がリディアの頭上に置かれた瞬間――
「――リディア・エルグレイン。これより、アランザール王妃と成す」
その宣言と共に、空気が震えたような拍手が湧き起こる。
壇上に立つふたり――王と王妃。
王都の鐘が高らかに鳴り響き、民たちの歓声がそれに続いた。
その夜。
静かな王宮のバルコニーにて、カイとリディアは肩を並べて夜景を眺めていた。
「……不思議です。ようやく終わったはずなのに、心はこれからが始まりだと告げています」
「終わったのは、過去の痛みだけだ。
これからは“君の意思で積み上げる未来”が始まる」
カイの言葉に、リディアは微笑みを返した。
「では、まず始めに……“あなたと共に歩く幸せ”を積み上げていきたいと思います」
カイは彼女の手を取り、静かに唇を寄せた。
それは誓いの口づけでも、儀礼の印でもない。
ただひとりの男が、ひとりの女性を愛しているという“本当の証”だった。
そしてリディアはもう一度、夜空を見上げた。
過去は彼女を縛らない。未来は、すでにその手の中にある。
――彼女は、王妃となった。
自らの意思で歩き、自らの声で語り、自らの愛でこの国を照らす、“選ばれた女王”となったのだ。
(完)
王城の最上階にある神聖儀礼の間は、朝の陽光に包まれていた。
荘厳な音楽とともに、白金の階段をゆっくりと上る一人の女性。
その姿に、宮廷貴族から兵士、民衆まで、すべての者が視線を注いでいた。
――リディア・エルグレイン。
かつて“捨てられた令嬢”と呼ばれたその名は、今や王国の誇りであり、希望そのものだった。
壇上で待つのは、アランザール王・カイ。
彼の隣に並び立つために、リディアは今日ここへ辿り着いた。
「リディア・エルグレイン。汝はこの国と、我が側に立つ者として、戴冠の儀を受ける覚悟があるか?」
神官長の問いに、リディアはひざまずき、はっきりと答える。
「はい。この身、この言葉、この意思のすべてをもって、王国と陛下に誓います」
神官が、王妃の冠を掲げる。
白銀の冠には、小さな紅玉がひとつ。
それは“誇りと献身”を意味する、アランザール伝統の象徴。
その冠がリディアの頭上に置かれた瞬間――
「――リディア・エルグレイン。これより、アランザール王妃と成す」
その宣言と共に、空気が震えたような拍手が湧き起こる。
壇上に立つふたり――王と王妃。
王都の鐘が高らかに鳴り響き、民たちの歓声がそれに続いた。
その夜。
静かな王宮のバルコニーにて、カイとリディアは肩を並べて夜景を眺めていた。
「……不思議です。ようやく終わったはずなのに、心はこれからが始まりだと告げています」
「終わったのは、過去の痛みだけだ。
これからは“君の意思で積み上げる未来”が始まる」
カイの言葉に、リディアは微笑みを返した。
「では、まず始めに……“あなたと共に歩く幸せ”を積み上げていきたいと思います」
カイは彼女の手を取り、静かに唇を寄せた。
それは誓いの口づけでも、儀礼の印でもない。
ただひとりの男が、ひとりの女性を愛しているという“本当の証”だった。
そしてリディアはもう一度、夜空を見上げた。
過去は彼女を縛らない。未来は、すでにその手の中にある。
――彼女は、王妃となった。
自らの意思で歩き、自らの声で語り、自らの愛でこの国を照らす、“選ばれた女王”となったのだ。
(完)
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